備品管理とは?重要性や課題、効率化する方法などを解説


最終更新日:2025年09月01日

備品管理とは?重要性や課題、効率化する方法などを解説

備品管理とは、企業が所有するオフィス家具やOA機器、事務用品などを効率的に運用するための業務です。

適切な管理によりコスト削減や業務効率化、セキュリティ強化といった多くのメリットを得られます。しかし、備品の所在不明や台帳管理の煩雑化など、多くの企業が課題を抱えているのが現状です。

本記事では、備品管理の基本から効率化する方法まで詳しく解説します。

目次

備品管理とは

備品管理とは、企業が所有する備品の取得から廃棄まで、ライフサイクル全体を適切に管理する業務です。単に備品の数を把握するだけでなく、所在地や利用状況、保守状態などを統合的に管理することで、企業資産の最適化を図ります。

具体的には、備品の購入計画立案、導入時の台帳登録、日常的な運用管理、定期的な棚卸し、適切な廃棄処理などを行います。

備品と消耗品の違い

備品管理を行ううえで重要なのが、備品と消耗品の区別です。両者は会計処理や管理方法が異なるため、正確に分類する必要があります。

備品は、使用可能期間が1年以上かつ取得価額が10万円以上の物品を指します。パソコンやデスク、プリンターなどがこれに該当し、資産として計上され、減価償却の対象となります。

一方、消耗品は使用可能期間が1年未満もしくは取得価額が10万円未満の少額物品で、コピー用紙やボールペンなどが該当し、購入時に費用として処理されます。備品は長期的な資産管理が必要となり、消耗品は短期的な在庫管理が中心です。

備品管理台帳とは

会社が所有する備品は「備品管理台帳」に詳細を記録して管理します。紙媒体で管理されることもありますが、近年ではExcelやスプレッドシートなどの表計算ソフトのほか、専用の備品管理システムを利用したデータ管理が主流となっています。

備品管理台帳には、主に以下のような情報を記載します。

  • 備品の名称(例:ノートパソコン、オフィスチェア)
  • 型番・メーカー
  • 備品を購入した日付
  • 備品の購入にかかった費用
  • 耐用年数(会計上の備品の使用期間)
  • 備品の設置場所
  • 備品の使用者
  • 備品を特定するための管理番号
  • 備品の現在の状態(例:良好、要修理)
  • 修理を行った日付や内容
  • 備品を廃棄した日付

備品管理台帳を適切に運用することで、備品の所在や利用状況を把握し、紛失や無駄な購入を防ぎます。また、減価償却計算の基礎情報としても活用できるため、棚卸しの際にも重要です。

備品管理の重要性

備品管理は単なる事務作業ではなく、企業経営に直接的な影響を与える重要な業務の一つです。適切な備品管理は企業にとって、さまざまなメリットをもたらします。

コストの最適化

備品管理の最も直接的なメリットは、コストの最適化です。備品の正確な所在や状態を把握することで、重複購入を防止できます。たとえば、ある部署で余剰となった備品を別の部署で再利用すれば、新規の購入費用を削減できます。

また、故障した備品を早期に発見できれば、適切なタイミングで修理・交換ができ、業務中断によるコスト増加を最小限に抑えられます。備品管理は、会社全体での生産性向上に寄与するといえるでしょう。

資産の正確な把握

備品は企業の資産です。その価値の正確な把握は、財務の健全性を保つことにつながります。備品管理台帳を適切に更新すると、減価償却費の計算が正確にできるほか、決算時の資産計上も適切に実行できます。

監査対応もスムーズになり、企業の信頼性向上につながります。保険の加入や更新時にも正確な資産情報が必要となることがあるため、適切な備品管理は企業のリスク管理の観点からも重要です。

セキュリティの強化

備品管理はセキュリティ強化に直結します。パソコンやスマートフォンなどの情報機器には機密情報や個人情報が保存されているため、紛失や盗難時は重大な情報漏えいにつながりかねません。

備品管理を徹底することで、どの情報機器がどこにあり、誰が使用しているかを常に把握できます。万が一の事態が発生した際も、迅速な対応が可能になるほか、定期的な所在確認により、不正な持ち出しや無断使用を防げます。

コンプライアンスの遵守

近年、情報セキュリティや個人情報保護に関する法規制が厳格化しており、企業はこれらの規制遵守が求められています。適切な備品管理は、これらの法的要求に対応するための基盤となります。

また、税務上の観点からも備品の適切な管理は必須事項です。固定資産の取得・処分の記録を正確に保持することは、税務調査への対応や適正な申告の手助けになります。

備品管理の流れ

効率的な備品管理を実現するためには、明確なプロセスを定義し、継続的に実行することが重要です。ここでは、備品管理の流れを説明します。

1. 備品の取得

まず必要な備品の種類、数量、予算を明確にし、購入計画を策定します。この段階で将来の利用計画や他部署での活用可能性も考慮することで、効率的な調達が可能となります。

備品が納品されたら、直ちに備品管理台帳への登録を行います。品名、型番、メーカー、取得年月日、取得価格、耐用年数、管理番号などの基本情報を正確に記録するほか、管理番号を記載したシールやタグを貼り付けるなどして、台帳と現物を紐づけましょう。

2. 備品の登録と台帳管理

取得した備品は、すぐに備品管理台帳に詳細情報を登録します。基本情報に加え、設置場所、使用者、貸出状況なども記録すると、備品の所在や利用状況を常時把握できる体制を整えられます。

デジタル管理を行う場合は、入力規則の設定やデータ検証機能を活用して、情報の正確性を担保することが大切です。ほかにも、定期的な台帳更新ルールを設け、常に最新の状態を維持するよう心がけましょう。

3. 備品の運用・保守

備品が導入された後は、適切に使用されているかの定期確認と、必要に応じた保守管理を行います。故障が発生した場合は速やかに修理手配を行い、修理履歴を台帳に記録しましょう。

また、使用者の変更や設置場所の移動があった場合も、その都度台帳を更新し、情報の整合性を保ちます。この段階での正確な情報維持が、後の棚卸し作業の効率化につながります。

4. 棚卸し

備品管理の品質を維持するため、定期的な棚卸を実施します。棚卸しとは、備品管理台帳の記載内容と実物を照合する業務です。年1回または半年に1回の頻度で実施するのが一般的です。

棚卸しの結果、台帳との差異が発見された場合は、原因を究明して台帳を適切に修正しましょう。

5. 備品の廃棄

備品の寿命や老朽化により使用不能となった場合は、適切な廃棄手続きを行います。とくに情報機器の場合は、データ消去を徹底し情報漏えいリスクを防止します。

廃棄完了後は備品管理台帳に廃棄年月日を記録し、対象備品を台帳から除外します。環境配慮の観点から、リサイクル可能な備品については廃棄ではなく、適切な方法でのリサイクルを検討するとよいでしょう。

備品管理のよくある課題

ここでは、備品管理におけるよくある課題を紹介します。これらの課題を理解し、効果的な改善策を検討しましょう。

備品の紛失や所在不明が起きている

頻繁に発生する課題の一つが「備品の紛失や所在不明」です。とくにノートパソコンやタブレット、スマートフォンなど持ち運び可能な機器は、社外への持ち出し後に返却されなかったり、部署間移動時に所在が不明になったりするケースが多く発生しています。

この問題は情報漏えいリスクを高めるだけでなく、代替品の購入コストを増大させる原因にもなります。また、紛失した備品の捜索に要する時間も、業務効率を低下させる要因です。

台帳情報が不正確になっている

備品管理台帳に記載されている情報が、実情と異なる課題も深刻です。備品の移動、使用者変更、修理、廃棄などの情報がリアルタイムで更新されないために、台帳と現物の状況に差が生じてしまうことがあります。

この問題の原因として考えられるのは、手作業による入力ミス、情報更新ルールの不明確さ、部署間の連携不足などです。棚卸し時に膨大な時間を要したり、正確な資産把握が困難になったりするため、できるだけ避けたい問題です。

棚卸し作業の負担が大きい

手作業や表計算ソフトでの管理に依存している場合、定期的な棚卸し作業が大きな負担となっている可能性があります。とくに備品数が多い企業では、複数人で数日間を要する作業となることも珍しくありません。

この負荷の大きさから、棚卸し頻度が減少したり、精度が低下したりする悪循環に陥ることも考えられます。

備品の一元管理ができていない

部署ごとに備品を管理していたり、担当者が異なったりすることで、管理方法が統一されていないケースがあります。

このような場合、会社全体で備品を効率的に運用することが困難かもしれません。たとえば、ある部署では余っている備品があるにもかかわらず、別の部署で不足している備品を新規購入してしまうといった非効率が生じます。

全体最適の視点が欠如すると無駄なコストが発生しやすいため、備品は担当部署による一元管理がおすすめです。

備品管理を効率化する方法

効率的に備品管理を行うには、体系的なアプローチが必要です。ここでは、具体的な方法を紹介します。

備品管理ルールの周知・徹底

効率的な備品管理の基盤となるのは、明確なルールの策定と社内での周知徹底です。備品の貸出・返却手続き、社外持ち出しのルール、破損・紛失時の報告フロー、定期点検の実施方法などを具体的に定義します。

ルールが曖昧なままだと、従業員間で認識のばらつきが生じ、適切な管理が困難となる恐れがあります。定期的な研修や社内ポータルでの情報共有を行い、ルール遵守の意識を持ってもらうことが重要です。

備品管理システムの導入

手作業や表計算ソフトでの管理は、効率化にも限界があります。備品管理システムの導入は、備品管理を効率化するうえで最も効果的な方法のひとつです。

備品管理システムでは、以下のような機能が利用できます。

機能詳細
台帳の一元管理備品の取得から廃棄まで、全ての情報をデータベースで一元管理できる
貸出・返却管理備品の貸出状況や返却期限をリアルタイムで把握でき、紛失や返却忘れを防ぐ
棚卸しの効率化二次元コードなどを活用し、スキャンするだけで棚卸し作業を大幅に短縮できる
履歴管理備品の修理履歴や移動履歴、使用者の変更履歴などを自動で記録し、トレースが容易になる
レポート機能備品の稼働率や利用状況、コストなどを分析し、今後の備品計画に役立てることができる

これらの機能を備えたシステムを活用することにより、従来のアナログ管理で発生していた入力エラーを削減するほか、情報の即時反映、管理業務の効率化なども期待できます。

以下の記事では、フリー株式会社が「Bundle by freee」の備品管理機能を活用して、工数やコストの削減に成功した事例を紹介しています。あわせてご覧ください。

関連記事限界だった備品やSaaSの手作業管理。Bundleで棚卸し工数を大幅削減し、約240万円のムダカットにも成功

まとめ

備品管理とは、企業の経営効率向上に直結する重要な業務の一つです。コスト最適化、コンプライアンス遵守など多面的なメリットをもたらす一方で、多くの企業では紛失や台帳の不正確性などの課題を抱えています。

これらの解決には、明確なルール策定と専用システムの導入が効果的です。とくにSaaS型統合管理システムは、手作業の非効率を解消して総合的な最適化を実現できます。自社の備品管理に困っている方は、導入を検討してみてください。

よくある質問

備品管理とは?

備品管理とは、企業が所有する備品の取得から廃棄までを適切に管理する業務です。具体的には、備品の購入計画立案、導入時の台帳登録、日常的な運用管理、定期的な棚卸し、適切な廃棄処理などが挙げられます。

詳細は「備品管理とは」をご覧ください。

備品管理のやり方は?

備品管理の主な流れは以下のとおりです。

  • 1.備品の取得
  • 2.備品の登録と台帳管理
  • 3.備品の運用・保守
  • 4.棚卸し
  • 5.備品の廃棄

詳細は「備品管理の流れ」をご覧ください。

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