年末調整代行とは?
仕組みや費用相場、注意点を解説

年末調整は企業にとって毎年必ず発生する重要な業務ですが、その手続きは複雑で多くの時間を要します。近年、この負担を軽減し、企業が本業に注力できる環境を整備するため、年末調整代行サービスの利用が注目されています。

ここでは、年末調整代行サービスの概要から、その重要性や具体的な業務フロー、料金体系、そしてサービス選定における注意点やポイントなどを解説します。

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年末調整代行サービスとは

年末調整代行サービスとは、企業が毎年年末に行う所得税の調整業務を、専門知識を持つ外部事業者が代行するサービスです。具体的には、従業員から提出された申告書類の内容確認や各種控除額の計算、従業員からの問い合わせ対応など、多岐にわたる業務を委託できます。

年末調整代行で委託できる具体的な業務内容

従業員からの申告書類の回収・内容確認

各種控除額の計算

源泉所得税の年間の税額計算、過不足税額の通知

源泉徴収票の作成・交付

税務署・市区町村への法定調書作成および提出

年末調整代行は、単に煩雑な作業を外部に委託するだけでなく、企業経営におけるリソース配分の最適化という戦略的な意味合いも持ちます。とくに年末調整業務は11月から1月頃に集中するため、人事・労務担当者の業務負荷が一時的に増大しがちです。

また、年末調整業務には所得税法や社会保険制度など、広範かつ専門的な知識が欠かせません。年末調整に影響する法改正への的確な対応も求められます。

中小企業やスタートアップ企業においては、専門知識を持つ人材を確保し、最新情報をアップデートし続けることは、コストやリソース面で大きな負担になりかねません。

年末調整代行は、専門知識を持つプロフェッショナルの力を必要なときに、必要な分だけ活用できる手段です。自社で専門人材を雇用・育成するコストを抑えつつ、質の高い業務遂行とコンプライアンスの確保を実現できる、非常に有効な選択肢といえるでしょう。

年末調整代行が必要とされる背景

年末調整は、所得税法にもとづいて正確に行う必要があり、その業務には税制に関する高度な知識が欠かせません。しかし、税制は毎年のように改正が行われるため、その都度業務フローやシステムの見直しが求められます。こうした制度の複雑さや頻繁な変更に対応しきれず、人的ミスや確認漏れが発生するリスクは常に存在します。

さらに、企業の人事・労務部門にとって年末は、賞与計算や人事評価など多くの業務が重なる繁忙期です。そのなかで、大量の社員情報を短期間で処理しなければならない年末調整業務は、大きな負担となります。

こうした背景から、「ミスを防ぎたい」「担当者の業務負担を軽減したい」といったニーズが高まり、年末調整代行サービスの導入を検討する企業が年々増加しているのです。

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年末調整代行の流れ

年末調整代行サービスの導入から完了までの流れを解説します。

Step01従業員への案内

代行業者が従業員向けに申告書提出の案内を行う。オンライン申告の場合はログイン方法や入力期限の案内およびリマインド通知も含まれる

Step02申告書の回収

扶養控除申告書や保険料控除申告書などをオンラインまたは紙で回収。書類の抜け漏れや記載内容に不備がある場合には差し戻し対応を行う

Step03データ入力・計算処理

提出された情報をもとに、各種控除の計算および税額の精算を実施

Step04結果の確認・報告

計算結果を企業に報告し、必要に応じて確認・修正を行う

Step05源泉徴収票作成・提出

源泉徴収票、法定調書合計表などの必要書類を作成し、従業員や税務署に提出

Step06納付サポート

必要に応じて、税金の納付についても案内やサポートを提供

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年末調整代行の料金体系

年末調整代行サービスを選ぶ際、料金のほかに、サービス範囲やサポートの質、連携システムの有無など、総合的な観点から比較検討することが重要です。ここでは、税理士と代行業者、それぞれに依頼する場合の料金相場と業務範囲を紹介します。

年末調整代行の料金体系比較

税理士に依頼する場合の料金

税理士に年末調整業務を依頼する場合は、基本料金と従業員数に応じた従量課金を組み合わせた料金体系が一般的です。相場は、基本料金が1〜3万円程度、従業員1人あたり2,000〜3,000円程度が目安とされています。

ただし、これはあくまで参考価格です。従業員数の規模や業務の複雑さ、依頼時期(期限間近の駆け込み依頼など)によって費用は変動します。

また、年末調整業務には税理士の独占業務が含まれます。書類の配布・回収やデータ化などの事務作業に加え、税務代理、税務書類の作成、税務相談なども対応可能なため、複雑なケースにも信頼性の高いサービスが期待できます。

代行業者に依頼する場合の料金

給与計算・人事労務に特化したアウトソーシング業者に年末調整を依頼する場合、料金体系は多様です。これらの事業者の料金相場としては、基本料金が8,000円程度で、従業員1名あたりの計算料金が1,000~2,000円程度となる場合があります。また、従業員数に応じてや一定の従業員数までは一律料金とするプランなど、事業者やプランによって大きく異なります。

給与計算や人事労務を専門に扱うアウトソーシング業者に年末調整を依頼する場合、その料金体系は比較的柔軟で、多様なプランが用意されているのが特徴です。

相場としては、基本料金が8,000〜20,000円程度、従業員1人あたりの料金は1,000〜2,000円前後で設定されているケースが多く見られます。なかには、従業員数に応じて段階的に単価が変動する料金設定や一定人数まで一律料金とする定額プランなどを採用している事業者もあります。

また、クラウド型システムを基盤に年末調整代行を提供する事業者では、書類回収の自動化や従業員とのやり取りのデジタル完結が可能なため、コストを抑えつつ効率的な運用が可能です。「コスト重視」や「効率重視」など、企業のニーズに応じて柔軟に選べるのが、アウトソーシング業者に依頼する大きなメリットといえるでしょう。

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年末調整代行サービスを選ぶ上の注意点

年末調整代行サービスを選定する際には、料金のほかに、多角的な視点から慎重な検討が必要です。単に業務を外部に委託するのではなく、企業の重要な人事情報を預け、法的な責任も伴う業務を任せることになるため、信頼できるパートナーの選定が欠かせません。

問い合わせ対応を含めた工数削減が可能か

年末調整の時期には、従業員からの問い合わせが人事・労務担当者に多数寄せられ、業務時間を圧迫しがちです。そのため、年末調整代行サービスを選定する際には「従業員からの問い合わせ対応をどこまで委託できるか」「実質的な工数削減が図れるか」が非常に重要なポイントとなります。

サービスを選ぶ際には、事業者がどのような体制で問い合わせ対応を行っているかを確認しましょう。たとえば、専門スタッフの有無やFAQ、チャットボットの整備状況、対応時間、回答の正確性を担保する体制などを事前にチェックすることで、より安心して委託できるパートナーを見極められます。

年末調整の関連業務を代行できるか

年末調整代行サービスが対応できる業務範囲は、サービス提供事業者やプラン内容によって大きく異なります。単に税額の計算や申告書の確認といった中核的な業務にとどまらず、関連する付随業務まで委託できるかどうかは、選定時に押さえておくべき重要なポイントです。

委託時に確認すべき業務範囲の例

  • 申告書の作成・従業員への配布と回収
  • 未提出者へのリマインドの対応可否
  • 保険料控除証明書などの添付書類の回収・原本確認
  • 関係書類のファイリングや保存業務

企業ごとにアウトソーシングしたい範囲や課題は異なるため、事前に委託範囲を明らかにすることでトラブルを回避できます。
また、代行を依頼する際はサービスがどれだけ柔軟にカスタマイズできるかも選定の大きな判断材料となります。具体的な業務フローや対応可能な業務範囲を詳細に確認し、自社のニーズに合ったサービスを選びましょう。

毎年の法改正に対応できるか

年末調整業務は、所得税法をはじめとする関連法規の改正によって、手続きや計算方法が毎年のように変更される可能性があります。法改正への的確かつ迅速な対応力は、年末調整を正確に遂行するうえで欠かせない要素で、代行サービスを選ぶ際にも非常に重要なチェックポイントとなります。

また、過去に行われた法改正への対応実績や事例を確認することもサービス選定の参考になります。たとえば、マイナンバー制度の導入時の機能実装スピードなど、事業者の対応力を見極めることで、法改正後もスムーズかつ正確な年末調整の運用が可能になります。

進捗状況の共有は十分か

年末調整業務を外部に委託した場合でも、企業側で進捗管理や業務内容の把握が適切に行える体制が整っていることが大切です。単に完了報告を受け取るだけでなく、「どのような処理がどの段階まで進んでいるのか」をリアルタイムで確認できる仕組みが求められます。

また、作業の有無だけでなく、処理されたデータの内容や計算の根拠を企業側が理解する仕組みも欠かせません。たとえば、従業員ごとの控除額の内訳や最終的な税額の算出プロセスが明確なレポートやデータ形式で提示されれば、社内ノウハウとして蓄積し、自社内で対応する場合にもスムーズな年末調整の運用が可能になります。

こうした情報が共有されることで、企業は記録の保管や税務調査への対応も適切に行えます。代行サービスが進捗共有や透明性の高いレポーティング体制を備えているかどうかは、選定時に必ず確認しておくべき重要なポイントです。

セキュリティ体制は万全か

年末調整業務では、従業員の氏名や住所、生年月日、マイナンバー、給与情報、扶養家族の構成、保険加入状況など、個人情報を大量に扱うことになります。そのため、代行サービスを選定するうえで、情報セキュリティの体制が万全かどうかの確認は不可欠です。

情報漏洩が発生した場合、企業は法的責任を問われる可能性があります。また、金銭的損害や社会的信用の失墜といった深刻なリスクにも直面します。こうした事態を避けるためには、委託先のセキュリティレベルを事前に具体的に確認しましょう。

確認すべきセキュリティ体制の例

  • プライバシーマーク
  • ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証
  • 「TRUSTe」の認証取得

セキュリティ対策は、コストや業務効率とのバランスで軽視されがちな側面もありますが、年末調整業務においては決して妥協してはならない最も基本的な要件です。企業のリスク管理の観点からも、徹底した確認が求められます。

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年末調整代行サービスを選ぶポイント

年末調整代行サービスを選定する際は、注意点を踏まえたうえで、自社のニーズに合致し、より効果的なアウトソーシングを実現できる選定ポイントに着目しましょう。

従業員対応のコミュニケーション工数を抑えられる

年末調整の時期に、人事・労務担当者にとって大きな負担となるのが、従業員からの問い合わせ対応です。そのため、担当者のコミュニケーション工数を効果的に削減できるサービスを選ぶことが業務効率化につながるでしょう。

たとえば、直感的で使いやすい申告システムの提供や入力項目ごとのガイダンス表示、充実したFAQによる自己解決支援などの仕組みが挙げられます。そのほか、チャットボットや電話サポートなど、従業員が自身で疑問を解消できる複数のサポート体制が用意されていれば、コミュニケーションで発生する工数を削減できます。

サービスを選定する際は、情報提供の充実度や、問い合わせを未然に防ぐ仕組みの有無、サポートチャネルの整備状況などをしっかり確認しましょう。

給与・従業員情報の連携をスムーズに行える

年末調整業務は、給与情報や扶養情報などの人事データと密接に関連しています。手作業によるデータの再入力やシステム間のデータ移行を行うと、作業負荷の増大やヒューマンエラーの原因となり得ます。

そのため、既存の人事システム(HRIS)や給与計算システムとスムーズにデータ連携できるかが、業務の効率と正確性を左右します。

従業員データを既存システムから自動で取り込み、年末調整の結果を再び自動で反映できる、シームレスな連携が可能なサービスを選べば、データの整合性・信頼性が保たれ、翌年の住民税や給与処理にもスムーズに対応可能になるでしょう。

サービスを選ぶ際は、自社システムとの連携実績や、API連携・ファイル連携といった技術的対応手段、設定のしやすさなどもチェックし、導入後の運用負荷も含めて検討することが重要です。

充実した機能で使いやすい

年末調整代行サービスを選ぶ際には、提供される機能の充実度や使いやすい設計かどうかが、業務効率と満足度に直結します。

機能面では、申告書の作成・回収や控除の自動計算、帳票の出力といった基本機能に加え、法改正への迅速な対応、多様な控除項目への対応といった拡張性も確認しましょう。

また、直感的で分かりやすいインターフェースを備えているか、スマートフォンやPCから簡単に申告できるかといった点も重要です。エラーチェックや入力サポート機能が備わっていれば、申告ミスの防止にもつながります。

郵送や作業の無駄を削減できる

従来の年末調整では、申告書の配布・回収や証明書の提出など、多くの場面で紙の書類が使われており、郵送や手作業による煩雑な対応が必要でした。こうした作業は、時間やコストがかかるだけでなく、書類の紛失・記入漏れといったリスクも伴います。

近年では、申告書のオンライン提出や証明書類の電子データアップロードに対応するクラウド型サービスも増えており、ペーパーレスによる効率化が進んでいます。これは業務効率の向上に加え、郵送費・印刷費などのコスト削減にもつながる大きなメリットです。

サービスを選定する際は、どの程度までペーパーレス化に対応しているか、電子データのセキュリティが確保されているかといった点を確認しましょう。自社のDX推進方針との整合性を図りながら、最適なサービスを選ぶことが重要です。

法改正への対応力が高い

年末調整業務では、毎年のように行われる税制や制度の法改正に対する的確な対応が求められます。正確な税務処理の実現に直結する重要な要素のため、年末調整代行サービスを選定する際には「法改正への対応力」を重視しましょう。

とくに2025年には、所得税の基礎控除の見直しが予定されており、それに伴う様式の見直しや申告プロセスのアップデートへの対応が不可欠です。こうした改正に柔軟かつ迅速に対応できるサービスでなければ、業務に支障が生じたり、従業員の混乱を招いたりするリスクがあります。

サービスを選定する際には、過去の大きな制度変更の対応実績や専門チームの有無、税理士・社労士など外部専門家との連携体制があるかを確認しましょう。

法改正への対応力は、年末調整業務を安心してアウトソースするための土台であり、長期的に安心して業務を委託できるパートナーを選ぶための鍵となります。

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freeeが提供する
年末調整代行サービス

freeeが提供する年末調整代行サービスは、煩雑な年末調整業務の負担を大幅に軽減しつつ、法令遵守と業務効率化を両立できるサービスとして、多くの企業から支持されています。人事・労務担当者が直面する課題に対し、クラウド型ソフトウェアの強みと専門家の知見を組み合わせることで、現場に即した高品質なアウトソーシングを実現しています。

また、「freee人事労務」を基盤とし、年末調整に特化したプランや給与計算、勤怠管理までを網羅した統合的なプラン、業務そのものを完全に委託できるアウトソーシングサービスなど、幅広い事業規模とニーズに対応できるプランを展開しています。

主な機能

従業員へのオンライン案内・申告機能

freee人事労務とのスムーズな連携

従業員向けヘルプ機能の充実

源泉徴収票のオンライン交付

法改正への自動アップデート

進捗状況のリアルタイム管理機能

労務専門家によるサポート体制

なお、freee人事労務では2025年分の年末調整より「AI年末調整アシスト」の提供を順次開始しています。主要なサービスとして「AI年末調整チェック機能」と「AI年末調整アウトソース」を展開しており、年末調整業務の効率化とミスの削減に効果を発揮します。

AI年末調整アウトソースでは、従来のアウトソースと比較して約5分の1の価格(従業員1人あたり500円)という低コストで業務を委託できるのが特徴です。従業員との連絡や、入力補助、税額計算、源泉徴収票や法定調書合計表の作成など、年末調整に必要な業務をAIを活用して包括的にサポートします。

Point01業務効率を追求した設計

freeeの年末調整サービスは、申告書のオンライン提出や証明書の電子アップロードに対応。紙のやり取りや手作業を大幅に削減します。直感的な操作画面やFAQ、チャットサポートにより、従業員からの問い合わせも最小限に抑えられます。

Point02システム連携と高精度な処理

給与計算システムや人事データとスムーズに連携でき、データの二重入力やミスを防止。計算結果はそのまま住民税処理などにも活用でき、正確で効率的な年末調整を実現します。

Point03最新法令への自動アップデート

毎年の法改正にシステムが自動対応可能です。労務・税務の専門家と連携した運用体制により、安心して業務をお任せいただけます。

Point04優れたコストパフォーマンス

freeeが提供する年末調整サービスは、ID課金制を導入しています。1IDあたり1,900円〜という低価格で、高機能なクラウドシステムと専門家のサポートが受けられる、コストパフォーマンスに優れたサービスです。

Point05クラウドシステム × 専門知識の強み

クラウド技術と労務の専門知識を融合し、申告状況の可視化やリマインド配信など、管理者・従業員双方の利便性を高めたサービスを提供しています。

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