ビジネスの基礎知識

申し送りとは?引継ぎとの違いや職種別の例文を解説

申し送りとは?引継ぎとの違いや職種別の例文を解説

申し送りとは、シフト交代や担当変更時に、後任者が安全かつスムーズに業務を開始できるように行う要点伝達のことです。単なる報告ではなく、「次に誰が何をすべきか」という具体的なアクションを促す点に本質があります。

本記事では、引継ぎや連絡との違いから、申し送りのマナーや職種(医療・営業・接客)別の例文、抜け漏れを防ぐコツまで、現場で使える実践的な知識を解説します。

目次

申し送りとは

申し送りとは、シフト交代や担当変更といった業務の境目において、後任者が安全かつ迷わずに業務を開始できるように行う「要点伝達」のことです。単なる業務報告とは異なり、「次に誰が具体的に何のアクションをすべきか」「具体的にどのような点について、どのような注意が必要か」といったポイントを伝え、未来の行動を促す点に本来の意味があります。

申し送りで扱われる情報は業界・職種によって異なります。

たとえば、看護師や介護士が活躍する病院・福祉施設では、患者の体調変化や転倒リスクなど、命を守るための記録が中心です。営業職や、ホテル・レストランといった接客業では、クレーム対応の進捗や設備不具合など、業務を止めないための注意事項が主となります。

いずれの仕事においても、業務の安全性信頼性を維持し効率を高めるためには、抜け漏れのない申し送りが欠かせません。

ビジネスシーンでの申し送りのマナー

ビジネスの現場において申し送りを行うにあたって、守るべきマナーについて解説します。

  • 「申し送り」という言葉は社外の人には使わない
  • 「申し送る」は使わないのが原則

社外の人には使わない

ビジネスの現場において「申し送り」という言葉は、あくまで組織内部で使う用語であることを理解しておきましょう。この言葉は、シフト交代や担当変更に伴う事務的な伝達というニュアンスを含みます。

そのため、社外の取引先や顧客に対して使用すると、相手に「会社の都合で処理されている」という印象や、事務的な冷たさを与えてしまうリスクがあります。

社外に対してはより一般的で責任の所在が明確な「引継ぎ」という表現を使うのがマナーです。

言葉の選び方ひとつで、相手に与える印象が大きく変わることを意識し、社内と社外で明確に用語を使い分けることが重要です。

「申し送る」は使わないのが原則

ビジネスシーンで一般に使われるのは「申し送り」(名詞)で、「申し送る」という動詞の形では使わないのが原則です。

なぜなら、「申し送り」が業務上の行為や仕組みそのものを指す名詞として定着しており、動作を表す動詞としては使われないためです。実務では「申し送り事項を共有する」「申し送りを行う」といった表現が自然で、「Aさんに申し送った」「申し送ります」といった言い回しは、違和感を与えることがあります。

とくに社内文書やマニュアルなど、正確さが求められる場面では、用語の使い方ひとつで文章全体の信頼性が左右されます。

そのため、「伝える」「共有する」など、目的に応じた動詞を組み合わせて表現することが重要です。

「申し送り」という言葉は、あくまで情報共有の枠組みや対象を示す言葉として使うのが適切だと理解しておくとよいでしょう。

申し送りの言い換え・類語

「申し送り」と混同されやすい言葉として「引継ぎ」「連絡」「共有」の3つを取り上げ、意味の違いと、業務における正しい使い分けについて紹介します。

申し送りと引継ぎの違い

「引継ぎ」と「申し送り」の違いは、「責任の所在がはっきりしているか否か」にあります。

引継ぎは、職員の退職や部署異動といったタイミングで発生する、業務全体の包括的なバトンタッチを指します。誰から誰へ業務を渡したのかが明確になるため、責任の所在もはっきりしやすく、ビジネスシーンではより一般的に使われる言葉でもあります。

引継ぎされる情報には、以下のような「その業務を継続するために必要なすべての知識とノウハウ」が挙げられます。

  • 顧客との契約経緯
  • 特殊な対応手順
  • ファイルの保存場所

一方、申し送りは日々のシフト交代時に行われる、直近の状況や注意点を簡潔に伝える行為を指します。
日々の申し送りに引継ぎと同じような情報を詰め込むと、読む負担が増え、「今日やるべきこと」が埋もれてしまいます。

反対に、退職時の引継ぎを申し送り用の簡単なメモ書きで済ませてしまうと、後任者は過去の経緯がわからず、将来的にトラブルに発展する可能性があります。

申し送りと連絡の違い

「連絡」と「申し送り」の違いは、相手に対して具体的なアクション(行動)を求めているかどうかという点にあります。

連絡は、会議の日程変更や社内ルールの改定、天候による交通機関の遅れなど、事実や決定事項を関係者に伝える行為を指します。受け手にとって情報は「知っておくこと」がゴールであり、必ずしも即座になんらかの作業をする必要はありません。

一方、申し送りは業務のボールを次の担当者に渡す行為であり、そこには「誰が・いつまでに・何をするか」「何に・どのような注意が必要か」という具体的な行動を促す要点が含まれます。受け手にとっては、「申し送りの内容をふまえて次のアクションを取ること」がゴールとなります。

申し送りと共有の違い

「共有」と「申し送り」は、情報を伝える対象範囲が異なります。

共有は、不特定多数のチームメンバー全体に対して情報を均一化し、認識のズレをなくすことが目的です。一方で申し送りは、業務の担当やシフトを交代した後任者に対して業務の要点を伝え、安全かつスムーズに業務を開始できるようにすることを目的として行われます。

情報は「全員が知るべき知識(共有)」と「特定の人が実行すべきタスク(申し送り)」に明確に分類し、適切なツールや伝達ルートを使い分けることが重要です。

たとえば、新しいセキュリティ手順の導入・ヒヤリハット事例の紹介・マニュアルの更新などを、特定の後任者への申し送りで済ませてしまうと、チーム全体の知識レベルが向上せず属人化の原因となります。

一方で、至急対応が必要な顧客クレームなど、特定の担当者が実行すべきタスクを全体への「共有」として流してしまうと「誰かがやるだろう」という心理が働き、対応漏れにつながるリスクがあります。

【職種別】申し送りの例文

業界や職種によって異なる申し送りのポイントと、具体的な例文を紹介します。

  • 医療職(看護や介護など)
  • 営業職
  • 接客業

医療職(看護や介護など)

看護師や介護士が働く医療・福祉の現場では、申し送りが患者や利用者の安全に直結します。そのため、「事実(バイタル数値など)」と「評価(リスク予測)」を明確に分離し、SBAR(状況・背景・評価・依頼)というフレームワークを活用して、正確に情報を伝えることが重要です。

NG例

「Aさん、今日やや熱っぽくてふらついていたので、様子を見てあげてください」

→ 解釈違いが生じやすい主観がメイン

OK例

「A様、14時に38.2℃の発熱あり(状況)。午前中のリハビリ後に倦怠感を訴えていました(背景)。発熱によるふらつきがあり、転倒リスクが高い状態です(評価)。夜勤帯はトイレ誘導を必ず2名で行ってください(依頼)」

→ 評価とアクションが正確

主観を伝えるのではなく、誰が・どう動くかを明確に指示することで、経験の浅い新人スタッフでもベテランと同じ判断基準で安全なケアを提供できるようになります。

営業職

営業職における申し送りの最大の目的は、「機会損失の防止」と「顧客信頼の維持」です。

チームで動く営業現場では、「いった」「いわない」による対応漏れがそのまま失注やクレームにつながるため、「誰が・いつまでに・何をするか(期限と責任)」を最優先に記載する必要があります。

属人化しがちな顧客情報をチームの資産として活用するためにも、断片的なメモではなく構造化された記録が求められます。

NG例

「B社から修正依頼あり」

→ 誰がいつまでに対応するのか不明

OK例

「件名:【至急】B社様 見積もり修正依頼(本日17時〆)
 本文:B社担当者よりプランCへの変更依頼あり(状況)。私はこれから外出するため、内勤の〇〇さん、17時までに修正版の送付をお願いします(依頼)」

→ 緊急度と対応者が明確

「ボール(責任)が誰にあるか」を明確にし、タスク完了が見える化された運用を行うことで、チーム全体の生産性と信頼性を高められます。

接客業

ホテル・店舗・コールセンター・警備といったシフト制の接客現場では、その場限りのイレギュラーを重点的に伝えることが重要です。

とくに、クレーム対応の途中経過や設備の不具合、VIPの来店予定など「知らなかった」が致命傷になる情報をピックアップして伝えます。

NG例

「305号室のエアコンから異音あり、本日はアサイン禁止。」

→ 対処が必要なのか確認・迷いが発生

OK例

「305号室のエアコンから異音がしており、修理業者が明日10時に来館予定です。本日はアサイン禁止にしています。」

→原因と対応が明確で、迷わず同じ対応の継続が可能

また、「お客様C様より料理提供の遅れでお叱りがあり、マネージャーが対応済みです。退店時に再度お詫びのお声がけをお願いします」といった感情面への配慮が必要な情報も共有します。

これらを箇条書きで簡潔にまとめ、スマホやタブレットですぐに確認して状況が掴めるよう整理することで、交代直後から質の高いサービスを継続して提供できるようになります。

抜け漏れなく安全に申し送りをするコツ

申し送りの質を高め、伝達ミスによるトラブルを防ぐための具体的な運用ルールを紹介します。

  • 口頭だけでなく必ず記録をとして残す
  • 曖昧な表現を使わない
  • 事実と自分の意見を分ける
  • 個人情報や機密情報の取り扱いルールを決めておく

口頭だけでなく必ず記録をとして残す

業務の現場で頻繁に発生し、かつ人間関係を悪化させる原因となるのが「いった」「いわない」の水掛け論です。

すれ違いざまに伝えたことや、電話口での口約束などは、証拠が残らないため後から検証できません。確実な業務遂行のためには、必ずノートやチャットツール、専用のシステムなどに文字情報として記録を残すことが不可欠です。

記録があれば、後任者は業務中にいつでも内容を見返せるようになり、万が一トラブルが発生した際も「いつ・誰が・何を依頼したか」を正確に辿ることが可能になります。

申し送りの記録を必須とし、口頭での伝達はあくまで記録の存在を伝えるための手段とすることで、情報の抜け漏れが減少し、チーム全体の安心感につながります。

曖昧な表現を使わない

申し送りにおいて以下のような曖昧な表現は、ミスの原因となるため避けるべきです。

  • 「様子を見てください」
  • 「なるべく早めに対応してください」
  • 「しっかり確認してください」

これらの言葉は、発信者と受信者の間で基準が大きくズレる可能性があります。

解釈のブレを防ぐためには、誰が読んでも同じ行動が取れるように、具体的な数値やアクションを明記することが不可欠です。

「本日15時までに折り返しの電話がなければ、こちらから架電する」といったように、判断基準を明確にすることで、経験の浅いスタッフでも迷わず業務を遂行できるようになります。

事実と自分の意見を分ける

申し送りにおいて大切なスキルは、実際に起きた事実とそれに対する担当者の意見・推測を明確に区別して記載することです。

事実と意見が混同すると、後任者は前任者の「思い込み」をあたかも確定した事実であるかのように誤認し、間違った判断を下してしまう危険性があります。

たとえば、クレーム対応の申し送りのNG例とOK例は以下のとおりです。

NG例

「〇〇様は怒っています」

→ 主観が入っている

OK例

「〇〇様より『商品がまだ届かない』と強い口調でお電話がありました(事実)。かなりお急ぎのご様子ですので、慎重な対応が必要です(意見)」

→ 事実と主観的な意見の文章が分かれている

NG例で伝えてしまうと、実際は「少し声が大きかっただけ」だとしても、後任者は「激怒している」という先入観をもってしまい、過剰に防衛的な態度で接し、さらに相手を不快にさせてしまうかもしれません。記録として意見を残しておきたいのであれば、事実と書く欄を分けておきましょう。

個人情報や機密情報の取り扱いルールを決めておく

LINEやSlackなどの手軽なチャットツールが業務で利用されるようになった現在、個人情報や機密情報の取り扱いにまつわる明確なルールを定めることは欠かせません。

現場のスタッフが「どこまで詳しく書いてよいのかわからない」と不安を感じていると、重要な情報の共有がためらわれ、結果としてブラックボックス化してしまう恐れがあるからです。

たとえば、個人名を「A様」「顧客ID:12345」のように個人を特定できないようにし、詳細な情報が必要な場合は、アクセス権限が設定されたクラウド上に記載するという方法が挙げられます。

書かないルールと安全に参照する仕組みをセットで運用することで、法的なリスクを回避しつつ、現場が必要な情報をスムーズに共有できる環境を整えることが可能です。

申し送りを効率化するデジタルツールの活用方法

デジタルツールを活用して、申し送りを簡単かつ確実に行う具体的なテクニックについて紹介します。

テンプレートを作成し申し送り・確認の方法を統一する

デジタルツールのテンプレート機能やフォーム機能を活用することは、申し送りの属人化を防ぐのに効果的です。

自由記述のチャットや手書きのノートでは、書く人によって情報量や順序がバラバラになりやすく、読み手は必要な情報を探すのに無駄な時間を費やしてしまいます。

たとえば、ビジネスチャットや情報共有ツールにあらかじめ以下のようなテンプレートを用意しておきます。

  • S(結論)
  • B(背景)
  • A(評価)
  • R(依頼)

テンプレートがあれば、「何を書けばよいかわからない」と悩む時間がゼロになり、チーム全体で統一されたフォーマットでの情報共有が可能です。

読み手にとっても、常に決まった場所に情報があるため、一目で要点を把握できるメリットがあります。

自動通知を設定し申し送りの漏れを防ぐ

申し送りをシステム化する際は、リマインド機能やボット機能など、システム側から人間にアクションを促す仕組みもセットで導入しましょう。

多忙な現場において、申し送りの抜け漏れは個人の能力不足ではなく、忘れてしまう環境に原因があることが多いからです。

システムによるリマインドの例として、たとえば以下のようなものが挙げられます。

  • 前日の未完了タスクのみを自動抽出して通知
  • 退勤打刻時の入力ポップアップ
  • 未提出者への自動メンション

ツールにリマインドを任せることで、管理者が注意喚起しなくても、自然と業務が回るようになります。

音声入力や写真添付機能を利用し申し送りの手間を省く

申し送りを仕組み化するには、スマホやタブレットの「音声入力」と「写真添付機能」の活用がおすすめです。申し送りそのものが負担になることを防ぎ、仕組み化を行いやすくするためです。

移動中や作業の合間にスマホに向かって話しかけるだけで、テキスト化される音声入力機能を使えば、キーボード入力よりも圧倒的に速く記録を残せます。また、設備の破損状況や在庫の乱れ・傷の状態などは、文章で長々と説明するよりも1枚の写真を添えるほうが、正確かつ瞬時に状況が伝わります。

デジタルツールならではの機能をフル活用して、現場スタッフの入力負荷をできるだけ減らしつつ、情報の量と鮮度を上げる運用を目指しましょう。

【関連記事】
業務効率化とは?メリット・進め方をECRSの4原則でわかりやすく解説

まとめ

申し送りとは、次の担当者が安全に業務を開始するために欠かせない仕事です。

口頭での伝達のみに頼らず記録を残すとともに、曖昧な表現を避けることがミス防止の基本です。

適切な申し送りは、医療現場では生命を守り、営業では機会損失を防ぎ、接客業ではイレギュラー対応をスムーズにします。

テンプレートやデジタルツールを導入し、属人化しない「伝わる仕組み」を構築しましょう。

よくある質問

ビジネス用語で「申し送り」とは何ですか?

ビジネスシーンにおける「申し送り」とは、担当者の交代やシフト変更の際、後任者が業務を滞りなく進められるように行う「要点伝達」行為を指します。担当が変わってもサービスや業務の品質を一定に保つためには、具体的な申し送りが欠かせません。

申し送りについて詳しくは、記事内「申し送りとは」をご確認ください。

「申し送り」の丁寧な言い方は?

社外の取引先や目上の人に対しては、「申し送り」という言葉は使わず、「引継ぎ」「報告」「共有」などに言い換えるのがビジネスマナーです。

相手や状況(TPO)にあわせて言葉を選び、プロフェッショナルとしての信頼感を損なわないように注意しましょう。

申し送りの類語や言い換えについて、詳しくは記事内「申し送りの言い換え・類語」をご確認ください。

「申し送りあり」とはどういう意味ですか?

シフト表や出勤簿、備考欄などで見かける「申し送りあり」という記載は、「必ず確認・対応すべき特記事項(イレギュラー)が存在する」ことを示す重要なサインです。

たとえば、以下のような情報がこれに該当します。

  • 本日は機材Aが故障中のため代替の手順Bで対応する
  • 重要顧客からの折り返し電話待ちがある

確認せず通常どおりに動くとトラブルにつながる可能性があるため、作業を開始する前に必ず申し送りノートを確認するか、前任者から直接説明を受ける必要があります。

「申し送りあり」を見かけたら、最優先で詳細を確認することが現場のリスク管理において重要です。

申し送りと引継ぎの違いは何ですか?

「申し送り」と「引継ぎ」の決定的な違いは、扱う情報の「時間軸」にあります。

これらを混同すると、日々の申し送りが長文化して誰も読まなくなったり、逆に退職時の引継ぎがメモ程度で終わり後任の業務に影響したります。

申し送りと引継ぎの違いについて詳しくは、記事内「引継ぎ」をご確認ください。

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