コロナ禍でも外部依存を脱却し、バックオフィスの生産性を向上!他サービスとの連携で基幹システムの構築に必要だったfreeeの導入

株式会社Take Action 添川 直弥 氏 / 榎本 美鈴 氏

課題
freeeアプリストアやfreee APIの活用経営の課題をリアルタイムに把握

2010年に設立された株式会社Take Action。「人材を採用して終わり」ではなく、その人材が長く定着し活躍することが企業の幸せと考え、経営課題を解決するソリューションを展開しています。


2019年に同社CTOに就任した添川直弥氏は、大手SIer出身。「人を幸せにするサービスを作っていきたい」という思いが、ジョインの決め手になったといいます。ジョイン当初から、「『社員の働きやすさ』にもアプローチしていきたいと考えていた」と話す添川氏。以前から会計業務に携わってきた美鈴氏を交え、freee導入に至った経緯と、導入後の変化について伺いました。

脱・記帳代行後、基幹システムの構築に必要だった「freee会計」

--御社の事業概要を教えてください。

“株式会社Take

株式会社Take Action
CTO 兼 システム開発部 部長
添川 直弥 様

CTO 添川 直弥 氏(以下添川) 「働く人に熱を。組織にエネルギーを。」をミッションに定め、エンゲージメントを軸に、採用・定着・活躍を支援しています。単なる採用支援にとどまらず、人材が定着し活躍するまでのカルチャーづくりや、エンゲージメントを高める組織づくりなどの支援も行うのが、当社の特徴です。


2016年には「THANKS GIFT」という、サブスクリプション型のSaaS(クラウド提供型ソフトウェア)をスタートしました。簡単に説明すると、社員間で感謝の気持ちを伝え合うことで、貢献度を「見える化」したり、理念を浸透させたりして、活躍のサイクルを回していくクラウドサービスです。



--添川さんは現在、どのような業務に携わっていらっしゃるのでしょうか?

添川 2019年にCTOとして当社にジョインし、最初はシステム開発に携わっていました。現在では、システム開発の他に、カスタマーサポートやマーケティング、総務・経理などを含むバックオフィス全般の統括を行っています。



--御社がfreeeを導入されたのは、添川さんがCTOに就任した後ですね。バックオフィス全体を見直そうと思ったのは、なぜでしょうか。

添川 当初から、クライアント向けのサービス開発だけ行うのではなく、社内インフラも整えるつもりでした。SFA(セールス・フォース・オートメーション)やMA(マーケティングオートメーション)など、さまざまなツールを導入して、生産性向上を目指そうと考えていたんです。


ところが、それを実現しようにも、社内の基幹システムが全く整っていませんでした。マーケティングからインサイド、フィールドセールス、経理……という風に、全ての事業部がつながる基幹システムを構築するために、SalesforceやPardotなどと連携できるfreeeの導入を決めたんです。



--freeeを導入する前は、どのように会計管理を行っていたのでしょうか?

榎本 美鈴 氏(以下榎本) 当社ではもともと、会計管理を記帳代行に頼っていました。商談管理から請求までスプレッドシートで管理し、外部の会計士さんにお渡ししていたんです。毎月、請求書発行ソフトの月報とスプレッドシートを突き合わせ、さらに銀行口座の情報とも紐づけていました。いま振り返ると、非常に複雑なやり方でデータ管理を行っていましたね。


添川 銀行振込や口座振替、一括・分割・月払いなど、請求方法もクライアントによって異なります。それらをスプレッドシートで管理していたため、最終的な売上がなかなか見えてこないことも課題でした。いまは、データが全てfreeeに集約されるようになり、毎月の売上がクリアになりましたね。


【写真】添川 直弥 氏


--従来の方法から変えることに対して、社内から反対意見は出ませんでしたか?

添川 基幹システムを入れるのは、大規模な工事を施すようなものですよね。会社として勇気が必要でしたし、代表の成田(靖也)も、はじめは不安そうな顔をしていました。導入期間が3カ月程度と短かったこともあり、私の耳に届かないまでも「本当に大丈夫?」という声はあったと思います。



--導入期間が2〜3カ月というのは、非常に短いですね。いつ頃から導入検討を始め、運用を開始したのでしょうか?

添川 2019年11月末頃から検討を始め、実際に契約したのは12月末。そこから導入準備期間を経て、2020年3月から運用を開始しました。

Salesforceとの連携が決め手になった

--freee以外に検討された会計システムはありましたか?

添川 基幹システムを構築したかったので、クラウドにすることは最初から決めていました。その上で、大手のクラウド会計システムはひと通り検討しましたね。


最終的に、Salesforceとの連携を見据えてfreeeを選びました。Salesforceと連携している会計システムは他にもあります。しかし、ひと口に連携といっても「画面がリンクするだけ」といったものもあって……。Salesforceの担当者に「連携するのに最も適した会計システムは何か」と伺ったところ、freeeを勧められたことが、導入の決め手になりました。

--実際にfreeeを導入するにあたり、どのような苦労がありましたか?

添川 全社員を対象にシステムの入れ替えを予定していたため、まずは社内の足並みをそろえることに苦労しました。また、社内に経理の専門家がいなかったため、システム構築の際の条件付けを手探りで行わなければなりませんでした。



--以前は、会計データをスプレッドシートで管理されていたとのことですが、データ移行はスムーズに行えたのでしょうか?

添川 そこが、最も苦労したところです。過去のデータを棚卸ししたものの「月何万円で、いつから始まった契約か」を一つひとつ探っていかなければならなくて……。サブスクモデルで数年間契約が続いているものや、口座振替で自動引き落としになっているものなど、さまざまな契約パターンがあり、それらを整理するのがものすごく大変でした。


【写真】添川 直弥 氏とインタビュアー



--導入期間のfreee担当者のフォローはいかがでしたか?

添川 2020年3月からの運用開始を目指して動いていましたが、Salesforceの構築も同時に行っていたため、スケジュールが少しずつ後ろ倒しになってしまったんです。そのようなときに、freeeの担当者の方が期日管理をしてくださったり、「ここは会計事務所に任せましょう」と仕切りをしてくださったりして、心強かったですね。


榎本 私を含めて、当初は社内の誰も、記帳を最初から最後までこなしたことがなかったんです。右も左もわからない状態でしたが、freeeの担当者の方にフォローしていただいたおかげで、無事に軌道に乗ったと思っています。コロナ禍で出勤日数が減ったなか、すべきことが明確になったのは本当にありがたかったです。

消込作業工数の大幅削減に成功!「2人で4日」から「1人で2日」に

--freeeを導入したことによって、業務にどのような変化がありましたか?

添川 試算表を把握するまで、以前は2カ月ほどタイムラグがあったんです。いまは、受注したタイミングで、Salesforceを通じて売り掛けがfreeeに全て連携されるようになっています。そのため、現状の売上がいくらかリアルタイムで把握できるようになりました。


榎本 freeeの導入によって、作業工数が大幅に削減しました。スプレッドシートや銀行口座情報など、データがあちこちに散らばっていた頃は、消し込み作業を2人がかりで行っていたんです。毎月4日ほど作業に時間を割く上、手作業のため入力の間違いなども起こっていました。導入後は、データがfreeeに集約されるため、その作業が1人でこなせるようになり、1〜2日で全て終わるようになりました。



--freeeの導入が、業務効率化につながったということですね。

榎本 freeeで試算表を確認できるようになり、助成金の申請をすぐに行えるようになったのも大きな変化です。これまでは、会計士に試算表を出していただいてから申請を行っていたため、助成金を実際に受け取るまで2カ月以上かかっていました。緊急事態宣言時に、各種助成金の申請条件や必要な資料について、freeeのトップページに掲載されていたのも、ありがたいですね。


添川 freeeの導入に伴い、社内の経費申請の方法も変更しました。これまでは、エクセルで経費精算書を作成して、出力して提出してもらうという、なかなか大変な形を取っていたんです。それらを全てウェブ上で完結できるようにしたため、多くの社員から感謝の声が届いています(笑)。



--税理士さんとの関係は、freeeの導入前後で変わりましたか?

添川 より踏み込んだ話がしやすくなりました。以前は、試算表の確認だけで何時間もかかかって、それだけで打ち合わせが終わってしまう状態だったんです。いまはfreee上で月次推移を見ながら、今期の収支や来期の予測について話せるようになりました。税理士の方には、経営コンサル的な立ち位置で関わっていただけるようになったと思います。


榎本 税理士さんも、freeeを使うのは初めてとのこと。導入時の打ち合わせにも何度か来ていただいたところ、分かりやすいとおっしゃっていました。

経理の専門知識がなくても感覚で操作できるUI

--freeeを導入してみて、どのような点にメリットを感じますか?

添川 メリットはたくさんありますが、何より良かったのは、簿記などの経理の専門的な知識がなくても運用できる点です。UIがわかりやすいため、難しく考えず感覚的に仕分けられます。


榎本 機能がわからないときに、ネット上でサポートをしていただけるのもありがたいです。質問した後の返信がかなり早く、滞りなく業務を進められます。



--バックオフィスの生産性をより高めていくために、今後実現したいことはありますか?

添川 freee導入後、売上に関してはリアルタイムで確認できるようになりました。一方で、キャッシュアウトに関してはまだ確認に時間がかかっています。そこを改善できれば、キャッシュフローが完全に見えてくるので、実現に向けて動いていきたいですね。



--実現のための、具体的なプランは立っていますか?

添川 もう少し検討しなければなりませんが、Salesforceの原価管理と連携させることで、freeeでキャッシュアウトを管理する方法を考えています。



--コロナ禍のいま、働き方が見直されつつあります。freeeやSalesforceなどクラウドソフトを導入したことで、御社では働き方がどのように変わったでしょうか?

添川 緊急事態宣言後、当社では休業期間を設けたり、リモートワークに切り替えたりといった対策を取りました。宣言解除後は、通常に近い出勤形態に戻しましたが、商談などはリモートがメインになってきています。いままで以上に、働き方がデジタルにシフトしていることを実感しますし、今後はデジタルツールをいかに使うかが、ビジネスのカギになってくると思います。



(執筆:東谷好依 編集:杉山大祐/ノオト)


Company Profile
株式会社Take Action
https://www.take-action.co.jp/

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