スマホを活用した記帳指導で、月次決算にかかる工数が半分に

税理士法人森本会計 代表 森本 琢磨 様

課題
自由な時間・場所で経理作業したい税理士さん・会計士さんとの業務効率化

会計事務所で働く人の中には、毎月届く大量の紙の領収書を前にして、あきらめの心境になることがあるかもしれません。そんな大量の紙を効率よく処理できるのが「スマホを活用した記帳指導」です。


スマホで領収書の写真を撮って簡単な入力をするだけで会計処理ができる、スマホを活用した記帳指導。その効果を実感し、顧問先に導入するよう呼びかけている森本琢磨(税理士法人森本会計 代表)さんに話を伺いました。

freee会計とA-SaaSの併用

――貴事務所の強みを教えてください。

森本琢磨さん(以下、森本): 私たちは対話型の会計事務所だと自負しています。お客様とはがっちりタッグを組み、可能な限りお客様の要望に応える、という指針を打ち出しているのです。


――freee会計を導入したきっかけを教えてください。

森本: 私たちの事務所は元々、Mikatus(ミカタス)社の「A-SaaS(エーサース)」という会計サービスを利用してきました。2022年10月にMikatusがfreeeに吸収合併されたことを受け、freeeの方から「freee会計を使ってみてはいかがですか?」といった連絡があり、試してみることにしたんです。


というのも、私は公認会計士として比較的規模の大きい企業へ関与することもあるのですが、そのような企業の間で、freeeを使うところが増えてきたからです。もともとfreeeに興味があったので、クライアント様から権限を割り振っていただき、データをダウンロードしてみたりして「ああ、こういうソフトなんだな」という認識はありました。今後はfreee会計とA-SaaSを併用しようと思っています。


ノートに張られた大量の領収書

――freeeの「スマホを活用した記帳指導(以下、スマホ記帳指導)」を知った経緯と、その時の印象について教えてください。

森本: 最初はfreeeの担当者の方とやり取りする中で、「スマホ記帳指導というものがありますよ」と教えていただきました。記帳はお客様自身がするものだという考えの下、当事務所では記帳代行は基本的にしないことにしています。


ただ、例えばお客様のマンパワーが足りないなどの理由で、当事務所のスタッフが仕方なく記帳することがあります。その代わり、いつかはお客様ご自分で記帳できるようになってくださいね、という約束を交わします。


当事務所の数少ない個人のお客様の中に、大量の領収書をノートに貼って送りつけてくる方がいらっしゃいます。それを事務所のスタッフが1つずつ入力するのを見た時に、「この非効率的で手間のかかる作業は一体何なのだろう」と思いました。そんな時にスマホ記帳指導のことを知り、おそらく今やっているうちの作業を劇的に効率化できるのではないかと思ったんです。


そのお客様にはすぐにfreeeを導入してもらい、「写真を撮って入れるだけだからやっていただけませんか? 2、3枚でもいいからとりあえずやってみませんか?」とお願いしました。すると、実は先方も、レシートをノートに貼り付けて送るのはいかがなものか、と自覚していらっしゃって、「いつまでこれをやればいいのか」と悩んでいたというのです。


――スマホを使う運用は今回が初めてだったと思いますが、不安はありませんでしたか?

森本: 不安があるとすれば、お客様がきちんと使えるのかというところです。ただ、この点に関しても1回のミーティングでやり方を理解してもらったので、特に問題はありませんでした。


――自計化をする顧問先側も、それを支援する会計事務所側も、ITリテラシーが必要だと思いますか?

森本: そんなことはないように感じます。freeeの場合、スマホにアプリをインストールして、あとは写真を撮ってポチポチ入れるだけなので簡単にできると思います。


問題は、お客様に協力していただけるか、ということです。「面倒くさい」とか「新しいことを始めるのは嫌だ」とか言われたり、freeeの利用料金がお客様にかかったりするので大丈夫かな、と最初は思っていました。ただ、それも杞憂に終わりました。1回の飲み会代にも満たない料金で使い始められるので、お客様は便利なほうがいいのだと思います。


大量の領収書を処理していたらものすごく時間がかかるので、以前は月次決算が2ケ月後になることもありましたし、追加の領収書が届くまで待たなければいけないなど、お互いにストレスが溜まっていたのかもしれません。


紙のやり取りを削減して作業を効率化

――スマホ記帳指導を導入して、貴事務所の課題は解決できたのでしょうか?

森本: 当事務所の課題は、圧倒的に紙が多いということでした。領収書の束だけでなく、色んなものが紙で送られてきてしまうのです。お客様がとりあえず送ってくるものですから、きれいに整理できていません。


あとで確認する際に、どこに何があるかわからない状態なので、当事務所のスタッフがある程度整理しなければならず、そこに相当のストレスがかかっていたと思います。


スマホ記帳指導を導入したことで、こうした紙の整理に費やす時間を圧倒的に短縮できました。また副次的な効果として、お客様と共に行う新しい試みでしたので、頻繁にコミュニケーションを取る場面が増え、色んな意味で印象に残る出来事だったと言えます。良い思い出になったと言えそうです。またお客様に寄り添うことで、お客様との信頼関係を再構築できたと思います。


――顧問先の反応はいかがでしたか?

森本: 良い意味で予想を超える反応でした。何せ、月次決算の工数が半分になったお客様もいらっしゃいます。「これでやっと楽になりますね」というお客様の言葉は、スマホ記帳指導のありがたさを的確に表したものだと思います。当事務所としても、こんなにすんなり行くとは思っていなかったので、もっと早くやっていればよかったと思ったくらいです。


――スマホ記帳指導に関して、freeeのサポート体制はいかがでしたか?

森本: いつも、かなり細かいところまで教えていただけます。今でも月に1、2回くらいはfreeeの担当者の方とミーティングをしています。その場に、私だけでなく当事務所のスタッフにも出席してもらっています。実際に作業するのは私ではなくスタッフですので、参加してもらうのは大切なことだと認識しています。スタッフも「新しいことを始めるんですね」と気持ちを新たにしているようです。


――スマホ記帳指導を導入する際、どんな工夫をしましたか?

森本: 当事務所の事務局を巻き込むようにしました。事務局は、請求書の発行や書類の郵送、お客様対応などを担う部門で、こうした役割の人たちを押さえることが大事だと思います。


森本会計


freeeは決して難しくない

――この先、どんな形で顧問先に導入してもらおうと思っていますか?

森本: freeeが馴染むお客様と、そうではないお客様がいるかもしれないと思っています。


私はこれまで、個人事業主と契約するのにあまり前向きではありませんでした。言葉を選ばずに言うと、手間がかかる上にすべての申告が同じ時期に集中するからです。そういう個人のお客様の割合を減らすことで、確定申告の件数が少ない点がうちの売りの1つになっているのです。


記帳代行はやらないという基本方針でここまで来ましたが、スマホ記帳指導を使えるなら記帳代行もありかもしれない、と思い始めています。例えば小規模の企業や個人事業主でも、以前ほど手間がかかりません。スマホ記帳指導で工数を短縮した分、他の仕事もできますし、処理件数も増えるのではないかと思っています。


――freeeは難しいという意見の方もいらっしゃいます。

森本: 難しいのは認定アドバイザーになるための試験だけです(笑)。会計ソフトという意味では他ベンダーの製品と同じですから、思っているほどfreeeは難しくはないと思います。「freeeはこういう思想でこうなっています」という根本を理解すれば、そんなに苦労することはないと思います。実際に使ってみても特に違和感はありませんでした。


――スマホ記帳指導をどんな人にお勧めしますか?

森本: 経理担当者がいる大きな会社ではどうかわかりませんが、例えば細々と仕事をしている個人事業主や、社長が経理も兼務しているような小規模な会社には、ちょうど良いかもしれません。間違いなく楽になります。


スマホ記帳指導に挑戦した顧問先の声~整骨院A様

スマホ記帳指導に挑戦した森本会計の顧問先A社(整骨院)にもその利点を聞いてみたところ、代表者の方から次のコメントをいただくことができました。


――スマホ記帳指導を知る前、決算に関してどんな課題がありましたか?

A: 期日までに領収書の原本や書類を整理して郵送しないといけませんでした。結局、整理しきれずに送っていたので、森本先生をはじめ森本会計の方々にご迷惑をかけていたと思います。


――森本会計様からスマホ記帳指導を導入する提案があったとき、どんな印象を持ちましたか?

A: 私自身がアナログ人間なので、はじめは難しそうだと感じました。でも、会計は自分たち自身で行うべきだという森本先生のご意見を聞き、そうかもしれないなと思い直したのです。


――実際に導入したのはなぜですか?また導入した結果として、どんな成果が上げられましたか?

A: 森本会計の方に説明を受けながら一緒に操作でき、楽になりそうだと思って導入しました。結果、すごく楽になり、作業時間も短縮できました。




税理士自身や顧問先のITリテラシーの高さに関わらず、スマホ記帳指導は多くのケースで導入できるという森本さん。「社長のライフプランに寄り添う」ことをポリシーとする大阪の若手会計士は、freee&A-SaaSで顧問先に大きな付加価値を届けていきます。


税理士法人森本会計