東証一部上場企業が「アウトソースなのに3営業日」要していた給与計算を「内製で半日」に圧縮した改善の軌跡

株式会社モバイルファクトリー 人事総務部 部長 小出 浩子 氏/人事総務部 川﨑 聡明 氏

課題
給与計算から振込までラクにミスなく

位置ゲーム「ステーションメモリーズ!(略称:駅メモ!)」やブロックチェーン事業「Uniqys(ユニキス)Project」などを手がける株式会社モバイルファクトリー様。2015年に東証マザーズへ上場し、2017年、さらなる展開を求めて東証一部への市場変更を行っています。

定性的な業務の定量的評価と徹底的な仕事効率化にこだわる同社では、さらなる効率化を目指しfreeeを導入しました。人事総務部主導による人事労務freee導入後、会計freeeの社内導入も進めています。東証一部企業はfreeeをどう活用しているのか。人事労務freeeに注目し、人事総務部 小出浩子様と川﨑聡明様に、freee導入の経緯や効果について話を伺います。

――設立の経緯や御社サービスへの想いを教えてください

ありがとうで高収益を生み出す。社員1人当たりの付加価値向上が人事総務部のミッション

株式会社モバイルファクトリー 人事総務部 部長 小出 浩子 氏

小出 浩子 氏
株式会社モバイルファクトリー 人事総務部 部長
前職は半導体メーカーで営業職として勤務。2006年に株式会社モバイルファクトリーに入社。総務・労務・採用を担当した後にマネージャーへ昇格。そのほか、人事などの制度づくりも担当する

小出 弊社の設立は2001年にさかのぼります。ソフトバンク、サイバーエージェントを経験した代表取締役の宮嶌は、当時流行していた携帯電話とインターネットに将来性を感じ、株式会社モバイルファクトリーを設立しました。


現在のメイン事業はインターネットモバイルサービス。「駅メモ!」や「駅奪取シリーズ」といった位置ゲームのほか、携帯コンテンツ、2018年4月からはブロックチェーン事業、中でもとりわけDApps(分散型アプリケーション)に注目した新規事業などを手がけています。 現在はブロックチェーン事業を成長させようと、我々バックオフィス部門も含めて動いているところです。


ミッションは「わたしたちが創造するモノを通じて世界の人々をハッピーにすること」。代表の宮嶌は自身の経験を踏まえ、創業時から「効率を最大化して結果を出し、社員が生産性高く働くこと」に重きをおいています。


小出 「社員は財産である」「チャレンジし続ける」「スピード×クオリティ」など、弊社にはさまざまなバリューがあります。


相手を誠実に思い、考え、感謝された後で相応の対価を頂くこと。そして、笑顔の数だけ儲かる仕組みを追求すること。宮嶌は自身の経験から、オーバーワークで過重労働を重ねてでもやりきる、というベンチャーの体制に疑問を持っていました。社員の心理的安全性が担保された状態で、最大効率を目指す。頭を使ってクリエイティブなものを生み出す。そういう働き方を創業の頃から大切にしています。


社員に寄り添う存在である人事総務部でも、この思いを尊重し、バックオフィス全体の行動指針としています。全社の生産性向上を支援し社員1人当たりの付加価値を向上すること。これが人事総務部のミッションです。

――freee導入のきっかけを教えてください

人事労務は定性的。定量的な評価が難しく、アウトソーシングの妥当性がわからなかった


株式会社モバイルファクトリー 人事総務部 川﨑 聡明 氏

川﨑 聡明 氏
株式会社モバイルファクトリー 人事総務部
給与を中心とした人事労務担当を2年経験したのち、モバイルファクトリーへ2015年入社。現在は総務・人事労務全般を担当する

川﨑 全部署が頭を使ってクリエイティブなものを生み出す・効率化をはかることを信条とする弊社ですが、人事総務部も例外ではありません。なかでも人事労務業務の効率化は悩みの種。弊社内であれば開発部門など、業務を比較的可視化・定量化しやすい部署はあります。しかしバックオフィス、とくに人事労務に関係する業務は、評価制度を整えたり副業できる仕組みを整えたりするといった定性的な業務ばかり。定量的な評価が大変難しいのです。


小出 上場企業・中小企業を問わず、社員の給与計算や入退社手続きを外部の社労士に委託しているケースは多いと思います。弊社もお付き合いのあった外部のパートナーに、一部の労務関連業務をアウトソースしていました。


人事労務業務をアウトソースすることで、社内の業務を効率化できていると考えていたのです。専門家である社労士に人事労務業務をアウトソースすることで、定型業務の質を保った状態でお願いできる。社内の工数を節約できる分、人事は本質的な業務に集中することができ、コストも削減できる。そんなストーリーを描いていました。


川﨑 しかし、担当者である私自身は、本当に社労士へのアウトソーシングが工数削減に繋がっているのか評価できず、妥当性が把握できていませんでした。


それどころか、アウトソース先へ依頼する為に行うデータの加工作業や納品されたデータへの修正依頼により対応工数の増加や人事業務全体の品質も低下に繋がっているように感じていました。



業務の棚卸し作業で約3日の無駄を発見。社内工程の可視化に成功した

川﨑 アウトソーシングが最適な解決策ではないのではないか——疑問を抱いた私は、定量的なコストパフォーマンスの評価と品質向上に着手。


まずはじめに行ったのは、自らの業務フローの定量化。すべての業務を棚卸ししました。


計測したところ、社員への給与支払いに係る源泉徴収の計算に、私の予想よりもはるかに工数を取られていることが判明したのです。


棚卸しの結果気付くことができた原因が、社内での転記作業が複数回存在すること。アウトソース先に引き渡すためのExcelデータを社内で転記・加工し、給与計算結果が納品されます。加工したデータについては二重・三重のチェックを行い、納品結果に対しても同様のチェックを行います。仮に計算結果に誤りを発見した場合、この工程を繰り返す必要があります。社内で管理している人事データベースの更新についても、同様の転記作業は発生していました。


時間を計測したところ1,522分(=約25時間)。実に、毎月約3日分もの無駄な工数をかけて源泉徴収の計算に割かなければならない状態でした。


工数の節約を期待してアウトソースしていたのに、そもそもこれでは本末転倒です。


バックオフィス業務の棚卸しを通して社内の工程が可視化できました。
人間のチェックには限界がある。そしてアウトソースをしても根本的には解決しない。私たちが模索しはじめたのは、申請から給与計算、そして社内の人事データベースの管理が一つのツールで完結する仕組みでした。


株式会社モバイルファクトリー 人事総務部 川﨑 聡明 氏


人事労務のシステム刷新と内製化に着手。人事主導でfreeeを導入した

川﨑 それまでアウトソースばかりだった弊社の人事労務ですが、これを機に、仕組みの内製化に着手します。システムを刷新し内製化すれば、アウトソース先の体制に依存することなく、自社だけで一気通貫して人事労務業務をこなせます。


社内稟議では、従来のアウトソーシングで得たかった効果に対し、改善点と「担当者である私と小出がコア業務に集中できずにいる」事実を数値化してまとめ、経営陣に問題提起。問題解決に向け、転記作業の撲滅と給与計算の内製化を課題としました。課題解決の具体的なメリットは3日の作業が半日程度に圧縮できる工数の最適化です。


小出 ちょうどその頃、弊社では管理会計を含めた会計システム更改の検討が走っていました。いわゆる経営管理の思想で、経理も人事労務もすべて統合したかった。


バックオフィス全体のシステム刷新に際し、選択肢には3つの条件がありました。開発の早さ、クラウドであること、弊社の業態を熟知し上場企業にも耐えうる人事労務の仕組みであること。この3つの条件に合致したのがfreeeでした。


freeeであれば社保手続きも内部で完結し、給与計算もできる。他のソフトでは給与計算機能がなかったり、社会保険手続きが不可能なものも多い。私たちにとっては実質freeeしか選択肢がない状態でした。


本来、freeeは経理部主導で導入に至るケースが多いのかもしれません。私たちは人事です。今回の経験を通して、freeeを人事主導で導入してもいいと考えられるようになりました。人事労務は社員に最も近い存在。全社の生産性向上のため後方支援する部署です。旗振り役である自分たちの部署が最も効率的な業務に取り組んでいれば、全社の効率性も改善されるはずです。



最適化のため、自社カスタマイズせずfreeeのフォーマットに統一した

川﨑 freeeをシステムとして採用するにあたり、とにかく自社カスタマイズせずfreeeの汎用フォーマットに合わせるよう心がけました。


たとえば、freeeのシステムにあわせるため給与規定も変更しました。給与の端数を切捨処理するのか、切上処理するのか。本来は会社によって決めて良い、というのが労務の大原則です。弊社はfreee導入まで切上処理を採用していました。しかし、freeeのシステムでは一部を切捨処理する必要があった。そこで弊社は、思い切ってfreeeの基準へと統一することにしたのです。


その理由はカスタマイズによるコスト増が見逃せなかったから。カスタマイズすればするだけ、システムに委ねられないイレギュラー対応が増え、人事がミスを犯してしまうリスクも増加する。私たちの通常業務の品質向上と、工数削減を最優先に考えると、freeeの標準へと自分たちの仕組みを合わせることに大きなメリットを感じたのです。


どの企業もそうだと思いますが、バックオフィスのメンバーは総じて事務能力が高く、Excelを使いこなすメンバーが多いもの。しかし、そのわりに当時の弊社は残業も多かった。実は、バックオフィス業務の棚卸しを通して、川﨑の担当業務だけでなく、他の業務にも人的ミスがあることを突き止めています。マニュアル通りに運用されていないケース、Excelの計算式が壊れているケース、Excelの活用しすぎで属人化し担当者がいないと状況がわからないケース。創業から17年、さまざまな問題が山積していました。


各人が業務効率化のためにそれぞれの意思で改善を重ね続けた結果、全体で見れば効率がよくなっているわけではなかったんです。今回、立ち止まって考える機会をつくったことは弊社人事総務部にとって最大の転機でした。



年末調整・入退社の工数が削減できた

小出 現在、弊社のバックオフィスは変革のまっただ中にあります。freee導入により様々な業務が変化しています。直近では年末調整業務。今までは紙でやっていましたので、それがWebで行えれば申請者もラクですし、大幅な工数の削減が見込めます。


あとは入退社に係る手続きの工数削減。これが最も大きなメリットだと感じます。
それまで個別で紙の書類を送付し情報収集していましたが、人事労務freeeの導入後、入社前に人事労務freeeのアカウントを作ってWebから記入してもらうだけで済むようになり、健康保険証を以前よりも早く渡してあげられるようになりました。


入社の手続きが簡略化されたことで、入社日を統一しなくても済むようになったのもメリットのひとつ。現場は内定を出した社員が1日でも早くジョインしてほしい。バラバラと入ってくる状況にも対応でき、この要望に応える労務の仕組みが整ったのです。


株式会社モバイルファクトリー 人事総務部 部長 小出 浩子 氏


東証一部上場企業においても人事労務freeeによる労務の効率化は有効

小出 人事労務freee導入には会計面への良い影響もありました。経営陣は1日でも早く前月の経営指標を知りたいもの。これにはバックオフィス全体のシステム統一が欠かせません。給与は固定費の中でも大きな費目ですので、早めに給与をFixすることで、経営の意思決定を迅速に行えるメリットもあります。


freeeに変えたことで、勤怠の確定と給与計算、ダブルチェックに3〜4営業日要していたものが、半日で終えられるように。上場企業、とりわけ東証一部上場企業には今、さまざまな社会的な責任が求められています。だからこそ、バックオフィス業務を圧縮し、より本質的な業務へ充てたかったのです。


「雑にアウトソースしてしまう」という長年の蓄積、遠回りもしてきた弊社の労務体制ですが、内製化したりシステム刷新に投資するほうがコストも安く、有効な場合がある。東証一部上場企業においても人事労務freeeによる労務の効率化は有効だと考えています。


株式会社モバイルファクトリー 人事総務部 部長 小出 浩子 氏/人事総務部 川﨑 聡明 氏


――今後の展望について教えてください

柔軟な働き方ができる環境づくりに注力。他部署にも定量化手法を横展開したい

小出 バックオフィスの基本的な考え方として、オペレーションを超効率的にしたうえで「モバファクらしい」事業や組織、人材をどう生み出していくかを考え、支援していきたいという思いがあります。


freeeにより空いた工数は、正社員がより良い働き方ができないか、試行錯誤する業務に充てています。働きながら個人の市場価値を高めてもらい、会社側としてはしっかり報酬も支払う。何より社員に「モバファクにいると成長するし、ワクワクする」と思ってもらえる会社を目指していきます。


人事にとって本質的な業務とは、社員一人ひとりの良さを引き出せる施策や環境づくり、個人の価値が適正に評価されるような制度づくりに注力することです。考えるべきことは多岐にわたりますので、いかに人事労務のルーティンワークを減らしていくか、知恵を絞り改善していきたいです。


川﨑 freee導入時に人事総務部が手がけた、作業の定量化や業務の洗い出し手法は社内で横展開し、他部署の生産性アップにも時間を割いていきたいです。


人事や総務はどうしても諸手続きや日々の処理作業に追われがち。人事労務での実作業は「やって当たり前」のものでなかなか業務改善に意識が回りません。まずは業務効率化の旗振り役の私たちが、社内で一番効率的に業務を処理し、新しい施策を打ったり制度を導入するなど、社員のパフォーマンスを上げられる仕組みを作っていきたいと思います。


社員に寄り添う立ち場だからこそ、社員とのコミュニケーションの時間をより増やせるよう、今後もfreeeを使った業務効率化を進めていきたいです。


株式会社モバイルファクトリー 人事総務部 部長 小出 浩子 氏/人事総務部 川﨑 聡明 氏


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