勤怠管理、給与計算、従業員情報をfreeeに集約 補助金も活用しペーパーレス化を実現

浜松商工会議所 総務管理課長 鈴木 純一 さん
足立 一仁 さん

課題
給与計算から振込までラクにミスなく

浜松市の中小企業、特に10名以下の小規模事業者に対し、補助金の申請などの経営支援や新型コロナウイルスワクチンの職域接種、DXの推進などさまざまなサポートを行っている「浜松商工会議所」。個々の企業を元気にする活動を通じて、地域経済社会の活性化に取り組んでいます。


企業にDXの推進を勧める立場だからこそ、紙やハンコ文化が残る現状を改善しなければと考えていた中、総務管理課長(当時)の鈴木純一さんが着任したことで一気に動きが加速。コロナ禍やIT導入補助金の存在もあり、導入へと繋がりました。


導入までの課題やfreeeを選んだ決め手、導入後の変化について、浜松商工会議所の総務管理課長 鈴木さん、足立一仁さんにお話を聞きました。


課題
  • ハンコ文化で、紙での管理が中心。手間がかかる上にミスも起きていた
  • それまでのシステムはオンプレミス型で、法改正などにあわせてアップデートが必要だった

導入の決め手
  • 勤怠情報と給与計算の両方をカバーしており、かつ保険料率なども自動でアップデートされるクラウド型であること

導入後の効果
  • 2人で行っていた作業を1人でも可能に。人員が減っても部署がまわるようになり、他の作業をする余裕も生まれた
  • 産休・育休に関する情報や、所属区分の情報など、人事情報もfreeeに一元化。書類探しの作業から解放された
  • 制限付きの閲覧権限を課長等に付与し、職員の有給や残業の状況をいつでも確認してもらえるようにした

IT補助金の拡充が後押し コストと機能が導入の決め手に

――freee人事労務導入前のバックオフィスはどのような状況だったのでしょうか。

足立一仁さん(以下、足立) 以前は、ほとんど紙で管理している状態でした。例えば、出勤簿の場合、朝出勤したら職員が印鑑を押していましたし、有休や残業も紙に手書きして、回覧して印鑑を押してもらうというアナログな方法でした。


この方法では承認までに時間がかかりますし、承認ルートの中でも、どこで止まってしまっているのかわかりません。所属課長を回り、部長を回り……と足で探す必要があったのです。


また、集計する際も紙に記載した数字を計算し、Excelに転記して、そこから給与計算ソフトに入力するという作業を行っていたため、ミスが起こりやすく、時間もかかるという問題もありました。


鈴木純一さん(以下、鈴木) もうひとつの問題は、決裁についてです。稟議書や出張に行くときのお伺い書のような書類のほか、経理伝票の承認もすべて紙で行っていたので、ペーパーレス化したいと考えていました。



――人事労務ソフトの導入を検討し始めたきっかけは何ですか?

足立 2019年10月に、私が総務へ戻ってきたことがきっかけです。直前は別の部署にいたのですが、その前に6年ほど総務に所属していたことがあり、再度戻ってくる形になりました。その時に「勤怠のペーパーレス化を検討してほしい」と当時の上長から言われて、検討しはじめました。


freeeとの出会いは、情報収集の目的で訪れた2020年2月の展示会です。翌年度中くらいには導入するソフトを決めて、運用開始できればいいなという気持ちで探していました。ただ、2020年5月頃にIT補助金が拡充されたため、どうせなら活用しようと、それに合わせて選定を進めることになりました。


鈴木 私は2020年4月に総務管理課長になったのですが、もともと紙での運用はどうなのかと問題に感じていました。IT補助金の拡充の話が出たタイミングで「すぐにやろう」と話を進めることにしたのです。


足立 おかげで終わりが見えましたね。申請の期限内に間に合わせなければいけない、という気持ちが生まれました。



浜松商工会議所

――数あるサービスの中から、freeeを選んだ理由は何でしょうか。

足立 勤怠管理システムを中心に探していたのですが、私としては勤怠情報と給与計算が連動できるシステムがいいのではと考えていました。


また、今まで使っていたシステムはオンプレミス型で、法改正されるたびにアップデートを行ったり、社会保険料が変更されると手入力で変更を加えなくてはいけなかったりと、手間がかかっていました。そのため、次のシステムではクラウド型で、自動的にアップデートされるものを希望しました。


勤怠管理だけのシステムでも、他の給与計算システムと連携できるものもありましたが、freeeは単体で勤怠管理と給与計算の両方をカバーしている点が導入の決め手になりました。また、価格も他の製品に比べて割安だったことも重要なポイントでしたね。


鈴木 もともとオンプレミス型だったこともあり、クラウド型であることを条件のひとつとして重視しました。ただコストについては、上を見ればキリがありません。やりたいことができる候補の最後に残った2つを比べて、より費用が抑えられるfreeeを選びました。


足立 また、管理上必要な作業ができるという理由でエンタープライズプランを選んでいます。



試験期間は紙との並用 職員はfreeeの導入を歓迎

――導入の検討から運用開始まで、どのようなスケジュールで行われたのでしょうか。

足立 IT補助金が下りたのが2020年6月末でしたので、7月頭に契約を結び、11月から試験運用を始め、翌年3月末までは紙とシステムを併用して運用していました。完全に移行したのは、2021年4月からになります。


鈴木 組織の特性上、県から監査が入って書類の提出を求められることがあるんです。年度の途中ということもあり、試用期間中は従来の方法である、紙での記入も並行して行いました。


足立 ただ、2020年の年末調整作業はfreeeを活用しました。それまでの年末調整は、紙に書いてもらって集めて、計算して……と言う手順でした。でも、freeeでは、職員に直接ウェブ上で入力してもらい、計算も自動でできます。職員にとっても、我々管理者側にとっても、かなりの負担軽減につながりました。



――導入時に苦労されたことはありますか? 導入支援サポートはどのように活用されたのでしょうか。

足立 わからないことはリモートで都度聞きながら解決しました。こちらが求めることに対して的確に回答いただいたので、運用まで問題なく進めました。リモートでの対応にも抵抗感はありませんでしたし、スムーズでした。



――freee人事労務の中で、それまでの業務フローと合わないものはありましたか。それらはどのようにカバーされたのでしょうか。

足立 時間外労働の計算期間について、一部給与規程と合わない部分があったのですが、こちらは、規程を変更することでクリアしました。


鈴木 規程とシステム、どちらに比重を置くべきかという話になり、今回は規程を変えてシステムに合わせたほうが管理しやすいと判断しました。



――従業員の方へ新しいシステムを浸透させるに当たって、どのような工夫をされましたか。

足立 画面のスクリーンショットを撮りながら、マニュアルを作成して、職員に配りました。今もわからないことは都度聞いてもらいながら、運用している状態です。



――従業員の方の反応はどうでしたか?

足立 歓迎されましたね。私自身も、紙での運用は少し面倒と感じていたので(笑)。


鈴木 休むのにも、上司にお伺いを立てて、紙に書いて、出して……と、これまでは、申請が面倒なだけでなく、重々しい印象を抱いていたと思います。でも、システムを導入したことで、簡単に申請できるようになったので、若い人たちは気軽に休めるようになった感覚があるのではないでしょうか。


足立 勤務時間についても、freeeを導入したことで、各個人がパソコンでクリックする打刻方法に変わりました。勤務時間が把握しやすくなったことで、職員の意識が変わり、なるべく残業しないようにという意識付けができていると思います。



2人分の作業が1人で完結できるように 商工会議所特有の管理項目にもカスタム項目で対応

――freee人事労務を導入したことで、業務の効率は良くなりましたか。

足立 はい、一番は時間外労働の集計作業が楽になりました。これまでの紙に書いたものを計算し、Excelに入力していた作業が、freeeになってから多少の修正で、計算まで行うことができます。


給与明細も、これまでは紙に印刷して、各個人ごとに封筒へ入れ、配るという作業が発生していました。でも、今はそういった作業は不要です。従業員がパソコンから自分で確認できるようになっています。



――作業工数を削減できている実感はありますか?

足立 あります。もともと2人でやっていた作業を1人で完結できるようになったことは大きいです。もう1人の方は異動で他の部署に移ったのですが、人員が減っても仕事を回すことができました。また、これまでよりも自分ができる仕事量も増えていると感じてます。



――そのほか活用されている機能はありますか?

足立 カスタム項目の機能は、産休や育休といった情報のほか、従業員の所属区分など、商工会議所特有の職員の管理方法にも対応できています。これまでは、Excelで管理したり、異動が発生したときは書類でも確認したりしていましたが、今はfreee上で確認できるので、書類探しをしなくて良くなりました。


また、事務担当者権限の機能も活用しており、課長以上に権限を付与しています。各課の職員について、有休の取得状況や残業がどのくらいかといったことを把握できるようにしています。


鈴木 これまではヒューマンエラーもあって、例えば、有休の取得日数が間違っているのではないか、といったことも起きていたのですが、そういったことがなくなりました。freeeを見れば一目瞭然なので、便利になりました。


足立 給与以外の情報、例えば、勤怠情報だけを確認できるように権限を付与できているところがメリットだと思います。


※「カスタム項目」「事務担当者権限」はfreee人事労務エンタープライズプランにて提供(2022年6月現在)



DXの第一歩は人事労務システムの導入がおすすめ

浜松商工会議所

――導入してみての感想やこれから導入したい企業へのメッセージがあればお願いします。

足立 管理者側・従業員側の双方にとって、freeeを導入したことで手間を省き、作業の効率化ができるところが大きなメリットだと感じました。職員数が60数人ほどで、それほど大きな組織ではありませんが、導入したことでかなり楽になっています。


有休申請の情報が自動的にカレンダーに入力されるようになるなど、機能が順次アップデートされて、使い勝手が向上していくところも良いところだと感じています。


鈴木 DX化を進めるのは、なかなか難しいことです。でも、勤怠管理や給与計算は業種業界問わず必要なことなので、手を付けやすい部分ではないでしょうか。freeeはさほど難しくなく、とっつきやすい点も良かったです。


当所もIT補助金を利用できたので、ぜひこれから導入を検討されている企業の方は、補助金をうまく活用していただきたいですね。価格面でなかなかDX化に踏み出せないところには、我々も補助金の活用をお勧めしていきたいです。



(取材・執筆:ミノシマタカコ 編集:ノオト)

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