ソフト導入・ベンダー紹介に留まらず、ともに課題解決を 中国銀行の目指すICTコンサルの未来

株式会社中国銀行 ソリューション営業部 在本 晴恵 様
株式会社中国銀行 ソリューション営業部 西﨑 伸弥 様
株式会社エコ・クリエイト 常務取締役 坪江 由里子 様

課題
経営の課題をリアルタイムに把握 請求・入金消込を自動化

岡山市に本店を置く中国銀行は、「freee会計 for 中国銀行」をfreeeとともに開発・導入し、企業にICT化コンサルティングやDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進支援を提供しています。2019年8月からサービスの提供を始め、最初のクライアントとなったのが株式会社エコ・クリエイトでした。


中国銀行と同じく岡山市に本社を置き、地域の医療廃棄物や産業廃棄物の収集・運搬などの事業を展開しており、アナログな経理業務の改善を求めていました。


そんな同社が、freeeを活用したICT化を進めた背景や経緯、導入中に苦労したポイント、そして今後の展望について、導入を担当した中国銀行ソリューション営業部の在本晴恵さんと西﨑伸弥さん、そして株式会社エコ・クリエイト常務取締役の坪江由里子さんに話を伺いました。



地域のお客様の業務効率化・デジタル化を支援したいとの強い思いから伴走型の支援を開始

ーーICT化コンサルティングを始めた背景や経緯を教えてください。

中国銀行ソリューション営業部・在本晴恵さん(以下、在本)  中国銀行では「freee会計」のOEM版として「freee会計 for 中国銀行」をお客様に提供しています。「銀行からfreee社へお客様を紹介する」というビジネスマッチングの手法から一歩踏み込んで、OEM版を開発・導入することに決めました。


たくさんのお客様に使っていただくためにも、単なるビジネスマッチングにとどまらず、業務の流れの再構築による無駄・無理の削減から運用定着に至るまでの伴走支援により、お客様の業務効率化・デジタル化をご支援したいと考えました。


中国銀行


中国銀行ソリューション営業部・西﨑伸弥さん(以下、西﨑)  地域のお客様のビジネスに貢献することは銀行の大きなミッションです。「銀行からベンダー様を紹介して終わり」ではなく、お客様の困りごとに対して我々自身が深く関わり、課題解決に寄与したいという思いがありました。2019年8月から開始して以来、20社以上のお客様のご支援をさせていただいています。チームとして議論を重ねながら、日々ご提供できるサービスの質を高められるよう努めています。



中国銀行


紙伝票、現金回収といったアナログ経理をICT化させたい

ーーICT化コンサルの具体的な案件はどのように開始したのでしょうか。

在本  第一号案件としてご支援させていただいたエコ・クリエイトの常務取締役・坪江様からは、「経理業務の多くがアナログである」という点についてご相談いただきました。ご高齢の会長が長年経理業務を担当されており、毎日紙の伝票に手書きをし、集金してきた現金を床一面に広げて数えるような業務のやり方だ、ということでした。


会長はまだ現役ではあるものの、いずれ坪江様が経理業務の引き継ぎを担っていくことを考える上で、「現状のアナログな方法をITツールを使って効率化できないか」と考えられたことが、今回の発端でした。


エコ・クリエイト 坪江由里子さん(以下、坪江)  会長の業務があまりに大変そうで(苦笑)。この作業を私が毎日続けることはできないな、と思っていました。手書き伝票についてはもちろんのこと、現金の回収についても大きな課題だったんです。


病院やクリニックへ廃棄物を回収しに行く際に、お客様から売上を現金で回収するケースが多くありました。そのため営業担当者が常に現金を持って動かないといけませんし、帰社したら計算して帳簿と合わせ、集まった現金を銀行さんに持って行く、と非効率的でリスキーなやり方をしていました。


コロナ禍のため、「なるべく現金に直接触りたくない」とも感じます。ただ、私自身に経理の経験がなく会計・簿記の知識もなかったので、どうすれば現状の課題を解決できるか中国銀行さんにご相談したところ、freee会計をご提案いただいたんです。


エコ・クリエイト


ソフト導入以外の困りごとにも柔軟なサポートを提供ソフト導入以外の困りごとにも柔軟なサポートを提供

ーー導入時に大変だったことはどんなことでしたか?

在本  「集金方法をキャッシュレスに移行したい」と最初の段階から伺っていたので、freee会計の導入と並行して、口座自動引き落としへの移行を進めていきました。いわゆる集金代行ですね。今考えると、第一号案件としては非常に難易度の高い業務でした。


移行にあたっては、エコ・クリエイト様側から「これまでの現金でのやり取りを、自動引き落としにさせていただけませんか?」と病院などの顧客に対して交渉する必要がありました。


一方、これまでの支払方法が変わることに少し不安を感じられるお客様もいらっしゃったので、交渉が難航して、口座自動引き落としへの切り替えのスケジュールが想定よりも遅れてしまいました。freee導入以前の苦労でしたが、銀行としてもサポートしたいと感じていました。


坪江  お客様によっては、請求書をお送りする前に、独自のタイミングや手法でどんどん入金してこられる場合もあるんです。それが重なると、「どの売掛を消し込むべきなのか」「何月分まで入金されているのか」「どれが過入金なのか」といったことが、帳簿やソフトと照らし合わせても全然わからなくなってしまって。かなり苦労していました。


ーーそういった点をどのように乗り越えましたか?

西﨑  地道な交渉を続けましたね。エコ・クリエイト様からお客様に対して、「お支払い方法の変更のお願い」といった書面を出す際に、坪江様とご相談しながら、私たちも一緒に書面作成のお手伝いをしました。


坪江  その書面のお陰で、営業担当者のお客様回りや交渉もすごくスムーズにいったんです。支払い方法切り替えのタイミングでは混乱もあり大変でしたが、何カ月か経つうちにfreeeから自分でデータを探せるようになり、過入金がわかったら赤伝票を切って訂正するなどの処理もできるようになりました。在本さんと西﨑さんのフォローがなければ、本当に困ったと思います。


また、顧客それぞれの入金パターンに合わせたテンプレートをお二人が作ってくださったことも助かりました。同じようなケースでの入金があったときには、テンプレートを選び、金額や取引先名を変えるだけでいいので、非常に使いやすくなったと思います。



中国銀行


ーー中国銀行のコンサルティングを受けた感想をお聞かせください。

坪江  私に経理の専門知識がないことを理解してくれて、経理処理の方法やfreeeの使い方を1から10まで全て教えていただきました。2〜3カ月間は実際の業務を一緒にやってくださったので、とても心強かったです。


わからないところがあれば、オンラインでfreeeの画面を共有しながらやり取りできたので、非常に助かりましたね。もともと経理を担当していた会長に課題点をヒアリングしてくださったのも大きかったと思います。今でも会長自身はアナログで作業をしていますが、freeeの便利さには関心しているようです。



ーー中国銀行さんとしては、具体的にどんな成果を感じられましたか?

在本  エコ・クリエイトの顧問税理士さんがfreeeへの移行を嫌がることなく、乗り気になってくださった点が大きかったですね。むしろ「この機会にfreeeを覚えたい」と言ってくださったほどです。


導入当初は、坪江様がfreeeに入力したデータを税理士事務所で使っているソフトにインポートされていたそうなのですが、途中から「僕がfreeeを直接見ることにします」とおっしゃって。「勘定科目がわからない」「仕入れにするか、外注にするか」といった不明点などを自発的に引き取って対応してくださったので、すごく助かりました。


坪江 月末に大きな支払いがあるときは、ミスがないかいつも不安になるのですが、税理士の先生・中国銀行さん・当社の三者で経理データをリアルタイムに共有しているのでチェック体制も厚くなり、最近では安心して対応できています。



ビジネスマッチングだけではなく、ICT化コンサルで深くニーズを知る

ーー今後の展望について教えてください。

坪江  オールキャッシュレスが目標ですが、「支払いは現金のままがいい」と言うお客様も依然としていらっしゃるので、双方にとってより良いやりとりのできる方法を考えていきたいですね。また、電子手形など新しいツール導入の相談や、これまでになかった処理が出てきた場合などには、引き続き中国銀行さんや税理士の先生に質問しながら、円滑に経理業務を進めていければと思っています。


在本  ビジネスマッチングに留まらず、「お客様の課題解決にもっとスポットを当てていこう」という大きな流れを作っていきたいです。エコ・クリエイト様の事例のように、お客様がお持ちの課題に対して、地域金融機関として寄り添い、課題解決のご支援をさせていただくことは非常に価値のあることだと感じています。今後も、お客様と深く関わって課題を知り、解決に貢献できる銀行でありたいです。


西﨑  これまでは、経理・会計周りのご支援が中心でしたが、少しずつ人事労務等周辺業務のご相談もいただくようになっています。今後はご支援可能な領域を更に広げていき、バックオフィス全体の課題解決、DX推進のご支援にも取り組んでいきたいと考えています。



中国銀行/エコ・クリエイト



(取材・執筆:遠藤光太 撮影:松本紀子 編集:波多野友子/ノオト)