創業期から成長期に向かう会計ベンチャーが成長を続ける秘訣

BesoGroup 代表取締役 CEO兼CFO 白木 淳郎 様
取締役 COO 兼 税理士事務所Beso 代表税理士 仲田 芽衣 様
freee株式会社 代表取締役CEO 佐々木 大輔

課題
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2019年秋に開業したBesoGroupは、freeeを活用したスタートアップに強みを持つ会計ベンチャーです。クライアントも従業員も着実に増え、創業期から成長期に移行しつつあります。


そんなBesoGroupとfreee代表の佐々木との対談は、グループの成長経緯を振り返りながら、組織力の強化が求められる成長期に向け当社も従業員数が増えてきたので、そろそろfreeeさんでいう価値基準のようなものを明文化しようと考えている段階です。カルチャーを浸透させるために、創業期から成長期にかけてのfreeeさんではどんな取り組みをしたのでしょうか?何をすべきかを考える展開になりました。


開業から1年が経ち、クライアントも従業員数も着実に増加

白木 淳郎 様(以下白木) 前職の会計事務所で同僚だった仲田と二人で開業してからの1年間は、本当にあっという間でした。自分の理想とする事務所を作るために敢えて前職からのクライアントを引き継がず、ゼロからのスタートを選んだので、大変な時期もありました。でも、大抵のことは開業前に予測した通りの成長路線を歩んでいます。


佐々木 大輔(以下佐々木) コンセプトを明確に持って開業されていて素晴らしいですね。現在のクライアントはどういった方々が多いのでしょうか?


白木 上場を目指す法人企業が約50件ほどです。スタートアップ支援を強みとする当社のサービスに合うクライアントかどうかは、契約時点で慎重に判断しています。


仲田 芽衣 様(以下仲田) 見込み客の主な集客手法はリスティング広告です。この業界では珍しい手段をとっていると思われるかもしれませんが、実は昨年10月あたりからじわじわとリスティング広告からの問い合わせ件数が増えているんですよ。おそらく決算前の対応を相談したい方々が問い合わせているのだと思います。


佐々木 お二人で開業してから一年で、従業員数も着実に増えていると伺いました。従業員が増えるにつれて、freeeの利用で難しさを感じる場面ってありますか?


白木 当社では特にないですね。ただ、従業員が増えてオペレーションが複雑化すると、複数の会計ソフトを取り扱っている会計事務所ではfreeeの利用につまづく場面があるかもしれません。


仲田 freee会計は他の会計ソフトのように仕訳を入力する仕組みではないので、頭を切り替えて入力に取り掛かるのを面倒に感じる方もいるのではないでしょうか。


白木 従業員数が多い会計事務所ほど、使用する会計ソフトはトップダウンである程度絞り込む方が良いと思います。私たちはクライアントから「freee会計の使い勝手が良い」といった評判を聞いたのを受けて、彼らの期待に応えるべくfreee会計の導入を決めました。



月次決算の早期化で、クライアントのモチベーション向上を実感

佐々木 クライアントからの評判を聞いたこと以外に、freee会計を導入する要因はありましたか。


仲田 前職で複数の会計ソフトを使っていた中で、freee会計は月次決算を早くあげるのに最も優れた会計ソフトだったことも、大きな導入要因です。


毎月のミーティングの際に前月の月次決算が上がっていないと、その先の数字を予測できるわけがありません。今では全てのクライアントに対して、翌月15日までに月次決算を納品できています。


白木 月次決算を早く出すことを最初はあまり望んでいない様子のクライアントもいらっしゃるのですが、そういった方々も、どこかのタイミングで月次決算の重要性に気づいてくださっています。


仲田 今までさほど気にしていなかったクライアントであっても、いったん月次決算を早く出すと、「次はいつ上がりますか?」と聞かれるようになります。リアルタイムで売上や利益が伸びていることを確認できると、モチベーションがグッと上がるのでしょうね。



全従業員で定期的に議論して、価値基準を自分ごと化する

仲田 当社も従業員数が増えてきたので、そろそろfreeeさんでいう価値基準のようなものを明文化しようと考えている段階です。カルチャーを浸透させるために、創業期から成長期にかけてのfreeeさんではどんな取り組みをしたのでしょうか?


佐々木 半年ごとに、価値基準に沿って直近の取り組みを振り返ったりする機会を設けていました。このとき同時に、価値基準自体の見直しと改善も並行して実施しています。


従業員数が約500名になった今でも、年に1回は価値基準について話し合う機会を設けています。みんなで価値基準を作り、考え、実践するサイクルを継続することが大切だと考えています。


白木 freeeさんの価値基準は、トップダウンで決めていないのですね。意外です。


佐々木 そうなんですよ。実は最初にトップダウンで決めた価値基準は社内に全然浸透しなかったので、若手社員に改善してもらいました。そしたら価値基準が「マジ価値」とかキャッチーな造語に変わって、その造語だけが一人歩きして社内に浸透していったんですよ。


このまま放っておくと、造語に対する解釈が人によってバラバラな状態になってしまいます。ですから、「これってどんな意味なんだろう?」とみんなで議論して考えて、解釈のすり合わせをしていきました。そうなると価値基準が自分ごと化するようになって、従業員が自分自身や会社に誇りを持てるようになると思います。


仲田 採用する際にも、価値基準へのコミットメントは重視していましたか?


佐々木 従業員数が30名から100名になるまでの過渡期は、特に重視していましたね。過去の経験に囚われず、世の中を良くするために本質を追求して物事に取り組むマインドを持っている人を採用していきました。


従業員数が100名を超えてからは、freeeのカルチャーに合う人かどうかを見極めるだけでなく、事業をするうえで必要なナレッジに強い人を採用するようにしました。同質な人が集まりすぎると、新しいナレッジに対して弱くなると考えたからです。結果として、これまで以上に広範なバックグラウンドを持つ人が集まりました。


100名前後の従業員規模だと、一人でも後ろ向きなことを言うと組織全体がマイナスに引っ張られてしまいやすいので、価値基準を軸にして人を集める方が強い組織を作りやすいと思います。「freeeのカルチャーにフィットするか」という観点から見ると、創業期から成長期にかけての採用基準は今以上に高く設定していたかもしれません。


これからの税理士は、経営者の決断をサポートする存在に

仲田 税理士の未来について、佐々木社長がどう考えていらっしゃるかを聞きたいです。


佐々木 経営者が会社の生のデータを全部公開できる相手は、おそらく税理士しかいないでしょう。税理士が見せてもらっている生のデータからは、税務以外にも経営や経営者個人の悩みなども見えてくるはずなのですが、現状では生のデータを十分に活かして経営者をサポートしている会計事務所はそう多くはないと感じています。


今はさまざまな個人が、無理なく簡単に、かつ自分らしく起業できる時代。彼らが経営について包み隠さず相談できる相手として、税理士の存在意義は大きいはずです。


白木 同感です。ただ、周りの同業者からは「税理士は経営者ではないし、コンサルティング経験があるとは限らないから、経営のアドバイスをするイメージが湧かない」という声も聞きます。


佐々木 アドバイスにはおそらく、先輩経営者として経験や知識を教える方法と、いわゆるコーチング的な手法で経営者の内省を促す方法の2種類があると思います。どちらも必要なアドバイスだと思うのですが、前者は経営者自らのネットワークで聞き出せることが多いでしょうから、税理士は後者のアプローチを強化する方がよいのかなと考えています。


白木 なるほど、内省を促す方法もあるのですね。私どもでは今、高齢化が進んでいるこの会計業界をガラッと変えるべく、いろいろと試行錯誤をしているところなので、非常に参考になります。


個人的な感覚では、経理をビジネスに活かそうと考えて実践している経営者はまだ多くないと思っています。事業を通してこうした状況を改善して、ミッションに掲げている「財務で日本を明るく、イノベイティブに」を実現していきたいです。




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事業概要
2019年9月開業。「財務で日本を明るく、イノベティブに」をミッションに掲げ、会計ベンチャーとしてスタートアップ・ベンチャー企業を支援する。開業からわずか1年でのfreee5つ星認定アドバイザー資格取得は2020年11月時点で最短記録である。



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