経理業務をfreeeで自計化 試算表作成を4分の1に短縮し、販売管理との連携も強化

株式会社Ai.Connect 取締役 石川 智一 さん

課題
月次決算を早期化し事業の意思決定スピードを上げたい

2010年に設立された株式会社Ai.Connectは、アパート・マンションの賃貸オーナーと契約し、入居者に向けて無料インターネットを提供する「アイネット」(https://ainet.life/)などを運営している企業です。


立ち上げから約7年間、会計ソフトを使うことはなく、記帳業務は税理士さんに一任していましたが、freeeを用いた自計化(自社で経理業務を行うこと)を推進してきました。今では専任のスタッフを配置し、試算表の作成にかかる時間がfreee会計導入前の4分の1に短縮されるなどの成果が出ています。


取締役の石川智一さんに、導入前の課題、導入の経緯、導入して良かったことなどについて伺いました。


課題
  • 記帳業務を税理士さんに一任していたため、数字を把握できている人が社内にいなかった
  • 試算表の作成に毎月2ヶ月程かかっていたため、リアルタイムの経営判断ができていなかった
  • 証憑の管理や共有も紙で行っており、煩雑な業務が発生していた

導入の決め手
  • 税理士さんから自計化を勧められたことが会計ソフト導入検討のきっかけ
  • 入力のわかりやすさや使いやすさが決め手となり、freee会計を導入

導入後の効果
  • 経理の自計化に成功し、試算表作成の期間が2ヶ月から半月まで短縮
  • 証憑のペーパーレス化を実現し、キャッシュフロー管理の効率化にも成功
  • その後はプランをアップグレード。販売管理システムとの連携強化にも取り組めるように

会計ソフトを使用せず、税理士さんに一任していた記帳業務

ーー貴社の事業内容と、ご担当者様のプロフィールを教えてください。

Ai.Connect

石川智一さん(以下、石川) 当社の主軸はネットワーク事業です。不動産賃貸のオーナー様と直接契約させていただき、アパートやマンションの入居者様が無料でインターネットを使える「アイネット」というサービスを提供しています。


また、不動産会社様からの紹介で入居者様と個別契約をする「アイコネクト光」もあります。もともと販売代理店から始まり、今では自社サービスとして、インターネット回線サービスの提供・販売をしています。


現在、営業所は本社を含めて6箇所あり、全体の人数は50人ほど。バックオフィス業務は本社に集約しています。


私は取締役として、主に管理部門を担当しています。freee会計導入のときには、私と税理士さんで相談しながら進めました。



ーー導入前、バックオフィスにはどんな課題がありましたか?

石川 創業直後は、従業員数が10人程度と少なく、会社経営においては営業部門を最優先にしていました。そのため、経理担当者のポジションを置くことができず、税理士さん任せになってしまっていたんです。当時は会計ソフトも導入していませんでした。


毎月1回、私と社長が税理士さんから試算表の説明をしてもらいながら、3人で「経営をどうしたらいいのか」と話し合っていて。ただ、その試算表が出てくるのに2カ月ほどかかっていたので、リアルタイムでの経営判断はできていませんでした。


実務では、社内にある領収書やカード明細などを全て税理士さんにお渡ししていました。会社まで取りに来ていただき、紙を手渡ししていましたね。キャッシュフローの管理も大変でした。複数の銀行口座にログインして残高を確認し、その数値をExcelに反映させて資料を作って、税理士さんに共有していました。


私としても、経理の経験が浅く、複数の業務を兼務しているため勉強しようとしても時間が足りなくて、手が回っていませんでした。



Excelを使った請求書作成・管理に限界が生じfreee会計導入へ

ーーfreeeを導入することになった経緯を教えてください。

石川 きっかけは、税理士さんから自計化を勧められたことでした。社内でも検討したところ、自社でやったほうがスピーディーですし、すべてお任せするのではなく数字を把握している人間を社内に置くことが経営には望ましいと考えました。


当時は会計ソフトを使っておらず、請求書作成もExcelで行っていたので、経理周りのシステムがまったくない状態でした。


販売管理も含めて「システムの導入を進めなければならない」とは思いつつ、当時は莫大な費用がかかるシステム開発にまでまわせるほど資金に余裕がなく、できるところまではExcelで管理しようと思っていました。でも、そこに限界が生じていたんです。


そこで、さまざまな会計ソフトを比較検討した結果、入力のわかりやすさや使いやすさが良いと感じ、2017年12月にfreee会計のビジネスプラン(現在のベーシックに近い旧プラン)を導入しました。


ーーfreee導入に対して、社内の反応はいかがでしたか?

石川 検証の中で会計ソフトを使い慣れていない人でも使えることがわかり、社長の松永にも見てもらった結果、「これなら問題なく使えるかもしれない」と。


社内でも「自計化していかなければいけない」といった意識が芽生え始めていたので、特に社員からの抵抗などもなく、スムーズに導入できました。



試算表の作成にかかる時間が2カ月から半月に短縮

ーーfreee会計を導入して良かった点を教えてください。

石川 freee導入直後の2018年から専任の経理担当者を採用し、自計化が実現しました。これは当社として非常に大きい変化でした。


導入前は、月次の試算表を出すまで2カ月ほどかかっていましたが、今では半月で出すことができているので、4分の1の期間に短縮できています。


以前は「今はこういう状態だけど、会計上はどうなっているの?」と調べたいときに試算表が出ていなくて、ストレスになることもありました。現在では、翌月の中旬に試算表を確認できるので、経営判断を早めることができています。


また、ペーパーレス化を進めることができたのも良かったです。証憑はPDF化してエビデンスとしてfreee上にアップロードしています。紙を出力させる必要がないので、リモートワークもスムーズに行えていますね。


他にも、銀行残高を一覧で見ることができるようになり、キャッシュフローの管理もfreee上で完結できるようになりました。


経理の作業としては、予測による仕訳登録の「自動で経理」が便利ですね。例えば、ガソリン代や高速代を1件ずつ登録するのではなく、一度設定した項目ならその後は自動で登録されるところが効率化に繋がっています。


振込作業に関しても、最初に登録しておけば2回目以降は自動でファイルが作成され、簡単に一括振込ができます。業務効率化が図れているのは間違いないかなと思います。



販売管理との連携強化のため、プロフェッショナルプランへアップデート

ーー現在、バックオフィスを更に良くするために実施していることがあれば教えて下さい。

Ai.Connect

石川 実は2021年2月に、販売管理と会計の連携を高めることを目的に、プロフェッショナルプランへのアップグレードを行っています。


freee導入当初、別のソフトを使って販売管理システムを構築しようとしていました。主に営業担当者が使うシステムで、売掛金管理や見積もり作成、請求書や契約書の発行ができるというものです。


しかし、このシステムではAPI連携などの機能がなかったため、やむを得ずCSVを出力して手で加工したものをfreeeにインポートしていました。こうした連携性の低さに、経営陣や現場ではストレスが生じてしまっていたのです。


そこで、販売管理システムをSalesforceに移行することにして、freee会計を自動連携に対応したプロフェッショナルプランにアップグレード、更に連携用アドオンのfreee for Salesforceを導入することに決めました。


現在はSalesforceの導入を進めており、初期開発から行っているため時間がかかっているのですが、いよいよ本稼働の目処が立ってきました。経理担当だけでなく、営業担当の業務効率化にも繋がることを期待しています。


今後は、社内のメンバーにはコア業務を担ってもらい、請求書の発行や電話対応などの業務はアウトソーシングしてもうまく回るような仕組みも整えていきたいですね。


試算表作成の早期化は経営・マーケティングの強化にも繋がる

ーー最後に、freee会計を検討している企業へメッセージをお願いします。

石川 スタートアップでは、会計ソフトの導入や移行には社内で抵抗を受ける場合もあると思います。ただ、freee会計は初心者でも使いやすく、経理以外の現場の社員にも敷居が低いのが魅力だと感じました。


また、当社がメリットを感じた試算表作成の早期化は、経営・マーケティングには非常に大切だと思います。当社もまだ使いこなせていない機能もありますが、「自動で経理」などの機能を活用することで、素早く試算表を出すことができ、経営・マーケティングを推進する力になるのではないでしょうか。


(取材・執筆:遠藤光太 写真提供:株式会社Ai.Connect様 編集:ノオト)

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