給与計算作業を6日から1日に短縮 山積みだった勤怠管理の課題をfreee人事労務で解消

有限会社有志建設 取締役 事業推進部 波平 勇気 さん
総務部 長谷川 さおり さん

課題
給与計算から振込までラクにミスなく

沖縄県で公共工事や民間工事を手がける有限会社有志建設。複数の現場が離れた場所にあるため、紙で作成された勤怠表を各現場から集約するのが大きな手間になっていました。


そこで導入したのがfreee人事労務。社員全員にiPhoneを支給して作業環境を統一した上で、総務部の長谷川さおりさんが本社からのサポートと現場内でのフォロー体制を整え、業務効率化に成功しました。


取締役 事業推進部の波平勇気さんに、導入についてのお話を伺いました


課題
  • 5~6箇所ある建設現場を回って紙の勤怠表を回収する手間が大きかった
  • 紙管理・手計算ゆえ、給与計算に6日かかっていた

導入の決め手
  • 会計との連携ができ、勤怠表の集約から集計、給与振込までを自動でできる点
  • 今後従業員の人数が増えても、総務の人員数を増やさずに対応できるシステムである点

導入後の効果
  • 6日かかっていた給与計算が1日で終り、さらに計算結果の正確性も高まった
  • iPhoneSEを全員に支給することで、ITに詳しくない従業員も教え合いながら勤怠打刻ができるように
  • 業務効率化の結果、浮いた時間でミスの共有や改善策の話し合いができるようになった

紙の勤怠表を回収するために5〜6箇所の現場を車で回るのが大きな手間に

有志建設 取材に対応いただいた総務部の長谷川さおりさん(写真左)と事業推進部の波平勇気さん

ーー貴社の事業内容と、ご担当者様のプロフィールを教えてください。

波平勇気さん(以下、波平) 当社の事業は建設業で、土木の公共工事・民間工事を主軸に展開しています。社名の「有志建設」は、志の有る仲間とともに事業をしていきたいとの想いが由来ですね。2000年の設立以来、私の父が代表を務めています。


私は取締役で、事業推進部に所属しています。沖縄で育ち、一度県外に出て大学院まで通った後、IT系の仕事をしていました。2020年に沖縄へ帰って来て、入社したという経緯です。


入社直後からDXの推進を担当していて、最初のプロジェクトのひとつがfreee人事労務の導入でした。5年後を目処に、事業承継を検討しています。


長谷川さおりさん(以下、長谷川) 総務部の長谷川です。これまで建設業の一般事務、現場事務に携わってきました。当社には2019年8月に入社し、人事労務や経理を担当しています。



ーーfreee人事労務の導入前、バックオフィスにはどんな課題がありましたか?

波平 勤怠管理に課題が山積していました。


最も大きな課題は、紙を用いた勤怠表の管理です。総務部のある本社は沖縄中部の恩納村にあるのですが、建設現場は南は糸満市から北は名護市まで5〜6箇所の現場があり、車で回って、紙の勤怠表を回収する必要があったんです。各現場ごとに集めた紙の勤怠表は、長谷川がExcelで手入力していました。給与も手計算していましたね。


長谷川 人材が増えれば増えるほど業務量が増えました。現在の社員数は、職人が30人、現場監督が10人ほどで、合わせて40人強。外注で仕事をお願いしている方も含めるとさらに増えます。


まず各現場に紙を配るのも大変でしたし、集めるのも大変で、それぞれ何日もかかる状況でした。


波平 現場に「勤怠表を提出してください」と言っても、期日までに出なかったことや、「なくした」と言われることも。勤怠表の回収から給与計算を終えるまで、毎月6営業日くらいかかっていました。


有給休暇の取り扱いも課題でした。というのも、口頭で「使う」「使わない」とやり取りしていて、残数の把握に正確性を欠いていましたし、利用するフローも分かりづらくて……。また、年末調整関連の作業も、大変な処理になってしまっていました。



全社最適のため、はじめにバックオフィスの業務を改善

ーーfreee人事労務を導入することになった経緯を教えてください。

波平 私が入社する前から、勤怠管理や給与計算、電子給与明細などのシステムは何も入っていない状態だったことを聞いていました。なので、入社後の最初のプロジェクトとして、freeeのようなシステムを導入しようと思っており、実際に入社してすぐに取り組んだんです。



ーーバックオフィスの改善は優先度が下がりがちなイメージですが、最初に行ったのですね。

波平 私の考えは逆で、バックオフィスは非常に重要だと思っています。


もちろん、利益を生み出す部門、当社で言うと建設事業部は、とても重要です。ただし、そうしたプロフィット部門とバックオフィスの両方がパフォーマンスを発揮することが全体最適ではないでしょうか。


入社後に目の当たりにしたのは、バックオフィスである総務に、面倒な業務が何でもかんでも任されてしまうことでした。バックオフィス側できちんとイニシアチブを取って業務をコントロールできないと、パンクしたり、パフォーマンスが落ちてしまったりするだけでなく、責任の所在があいまいになることもあります。


なので、手始めに総務の業務の把握と改善、効率化をやることで、各部門の業務範囲の整理ができればと思いました。


こうしておけば、従業員の人数が増えたときにも、総務の人員数を増やさなくても対応できるとも考え、バックオフィスから手をつけることにしたんです。



ーー他の人事労務管理システムもあるなかで、freee人事労務を選んだ決め手は何でしたか

波平 他社製品も合わせていろいろな種類がありますが、会計との連携を考えるとfreee人事労務が良いだろうと考えました。


ただ正直なところ、他社製品と比較・精査するよりも、思い切りで決めた部分もありました。こうしたシステムを導入したことのない会社だったので、まずは入れてみて、もし難しければ変えようと思っていました。


当社が求めていた条件を満たしていて、評判も良かったので、2021年5月にfreee人事労務を、8月にfreee会計を導入しました。これまで問題なく使えており、満足しています。



iPhoneSEの支給で作業環境を統一し、スマホ操作に慣れていない社員のフォロー体制を確立

ーー導入時に大変だったのはどんな点で、どのように解決していきましたか?

波平 スマホを使った勤怠の入力業務が発生することになるので、現場では抵抗を覚える人もいました。単純に業務が増えるので、そうした気持ちは生まれて当然だと思います。


そんなときは「新しい業務が増えたから対応して」と押し付けるのではなくて「こういう理由で対応することになりましたが、できそうですか?」と対話するようにしました。すると、現場監督はITリテラシーの高い人が多い一方で、職人の中にはスマホを持っていない人がいたり、スマホは持っていても電話の用途くらいにしか使っていない人が多かったりして、不安を抱えていることがわかりました。


そこで、できるだけ障壁を取り除こうと工夫したのが、1人1台のiPhoneSEの支給です。建設現場では現場監督と職人が組んで仕事をしているのですが、操作がわからない場合は、現場監督や周りの人に聞いてもらうよう伝えています。iPhoneSEを全員に支給して操作環境を統一することで、現場内で教え合いやすくなったんです。


また、必ず1人1回以上は直接会って、操作方法を説明しました。「アプリを起動してボタンを押すくらいなら難しくない」と言う人、使ってみたら意外と問題なく操作できている人が多かったです。


有志建設

長谷川 実は、私もITには疎くて最初は抵抗がありました。私自身の操作もうまくできるか不安でしたし、「みんなやっていけるのかな?」と。でも、まずは入れてみて行動を起こさないことには、会社は変わりません。始めてみると、周りのフォローなどがあって、最後には「みんなできるじゃん」となっていましたね。


導入後、私は勤怠の入力は問題なくできましたが、質問が来たときの回答や処理の方法などについても不安がありました。でも、総務の他のメンバーがスマホやパソコンにある程度詳しいので、教わって助けてもらいながら慣れていきました。


6日以上かかっていた給与計算作業が1日で完結

本プロジェクトの対象範囲の確認

ーーfreee人事労務を導入して良かった点を教えてください。

長谷川 少なくとも6日はかかっていた給与計算の作業が、1日で終わるようになりました。また、以前は手作業だったので計算が合っているかどうか心配でしたが、導入後は作業の完了が早くなっただけではなく正確性も高まっていて、感動しました。振り込み処理もスムーズにできています。


今年のゴールデンウィークは、今までではじめて、残業せずカレンダー通りに給与の振込まで進めることができたんです。


波平 勤怠表の集約から集計、振込までが自動でできるようになったのは一番良かったですね。


また、総務として時間に余裕ができたことで、ミスの共有や改善策の話し合いをする時間が取れるようになりました。結果として、雑多に積まれていて把握できていなかった書類の束をフローごとに分けて、抜け漏れがなくなりました。バックオフィスの業務を改善・効率化できているのは、うれしいですね。


長谷川 業務の効率化で、精神面でも余裕ができました。以前は給与振込日の期限に追われているとき、期日に気を取られてしまって他の業務がおろそかになってしまったり、期日に提出してくれない人にイライラしてしまったりしていました。そういうときに突発的な仕事が入ると焦るので、残業もよくしていました。


freee人事労務を導入してから、徐々に慣れてきて、今ではスムーズに振込まで行えます。スムーズに仕事ができている分、質問などの受け入れ態勢もできて、前向きに仕事に取り組めています。



ーー最後に、freeeを検討している企業へメッセージをお願いします。

有志建設

波平  私が入社する前は、会議の資料も全て紙だったんです。前日に担当者が資料を印刷して、当日配って、終わったら捨てていました。会議の時間までに資料の更新があれば、印刷をし直していたのも非効率でした。


freeeをはじめとして、いくつかのクラウドサービスをはじめて導入したり、オンライン会議をやり始めたりしたところ、社員からは「大企業みたい」と評判でしたね(笑)。


今では、社員が新しいテクノロジーを使うことに対して、ポジティブな意識になってきていると思います。


freee導入の際には、社内で旗振り役をしっかり決めて、その人が責任を持って現場の隅々まで付いていってでもやる。そうしてきちんと導入すれば、会社全体にとってのメリットは大きいと思います。


長谷川 社員のなかには、ITに対して自信を持ち始めている人もいます。freeeを導入したことによって、「自分にもいろいろできるんだ」と。そういう面で、みんながITに興味を持てたら良いですよね。


波平  最初は「スマホを普段使っていない人には難しいかな」と思っていましたが、触ってみたら、現場でフォローし合いながらできています。


旗振り役を1人でするには、社員が50人未満の当社でも限界がありました。気軽に質問できるようオープンにしておくことを前提にしつつ、作業環境をそろえることで、お互いに教えやすくする。そのように、フォローしやすくするための体制を整えることが大切だと思います。


また、経営者の役割として、キーマンへの根回しや説得のサポートなどを行いプロジェクトの障壁を取り除くことや、旗振り役への権限の付与、取り組みをきちんと評価することが求められます。ただ指示を出すだけでなく、一緒に並走する感覚で、導入プロジェクトに積極的に取り組むことが大事なのではないでしょうか。


(取材・執筆:遠藤光太 撮影:遠藤美弥子/OKINAWA GRIT 編集:ノオト)

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