アウトソース×クラウド会計で、記帳時間半減と業務平準化を実現

株式会社未来会計アスナロ 前田拓 氏
税理士法人あすなろ 遠藤沙耶香 氏/泉輝明 氏

課題
顧問先のコンサルに注力したい

税理士法人あすなろは、2018年春にfreeeがリリースした領収書データ化サービスのテストマーケティングに参加。導入から約2ヶ月で、領収書の記帳時間半減に加え、業務の平準化にも手応えを感じ始めている。
「時代の流れを読み、常に一歩先を走る」ことを戦略に掲げる同事務所でクラウド会計ソフトの導入を担当されている3名に、領収書データ化サービスがもたらしたビジネスインパクトと今後の会計業界の展望についてお話を伺いました。

ペーパーレス時代の到来を見越し、領収書データ化サービスを導入

――freeeを使い始めたきっかけと、今回テストマーケティングに参加された経緯を教えてください。

前田拓様(以下、前田):freeeについて初めて知ったのは2015年で、お客様から導入したい会計ソフトがあると相談を受けたのがきっかけです。 実際に触ってみて、特にインターネットバンキングの入出金情報を同期する機能に驚きました。これまでは残高を合わせる作業に多くの時間を取られていたので、かなりの衝撃でしたね。


泉輝明様(以下、泉):当時から『会計業界の仕事はFintechの影響で今後縮小していくだろう』と危機感を抱いていました。3年前はまだクラウド会計に対応している会計事務所が少なかったのですが、その状況をチャンスと捉え、そこから積極的に導入を進めました。


前田:実際に、先行者利益もあってか新規顧客獲得で成果が出ました。freeeには、導入実績に応じて無料で顧客をご紹介いただける制度があり、これまで多くの顧客を紹介いただきました。今ではfreeeが新規開拓の主なチャネルになっており、従来対比で新規顧客数は約4倍にまでなっています。


泉:今回領収書データ化サービスをいち早く導入したのも、先行投資の意味合いもあります。今後は会計業務のペーパーレス化が進むので、早めにオペレーションを構築しておきたい。短期的には、繁忙期の業務量平準化にも期待しています。


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領収書データ化サービスとは

領収書のスキャンとデータ入力をfreeeが代行するサービス。入力から確認まで、領収書の処理に関する業務を丸ごと効率化できる。主な特徴は以下の3つ。

  • ・会計事務所側で納品データの情報に対して使用する勘定科目等の登録ルールを設定しておけば、納品と同時にfreee内で自動仕訳の処理が行われる。
  • ・領収書の画像とデータが紐付いた状態で納品され、仕訳と証憑が紐付くため、月次監査や決算時の確認が楽にできる。
  • ・会計ソフト内に直接納品されるためデータの出入力は不要。

領収書の記帳時間が半減し、入力前の領収書の仕分け作業も不要に

――領収書データ化サービスの導入で、具体的にどのようなビジネスインパクトがありましたか。

前田:領収書の記帳にかかる時間が、半分くらいになりました。今回は、3ヶ月分の領収書約260枚のデータ化をお願いしましたが、入力作業に加えてその前後の手間を削減できたことが大きいです。例えば、入力しやすくするために事前に領収書を分類する作業もなくなります。


遠藤沙耶香樣(以下、遠藤):最初に自動登録ルール*の設定さえ済ませれば、以降は摘要欄に応じて自動で仕訳登録できるので、入力や取り込みにかかる時間は断然早くなりました。


泉:納品データが直接会計ソフト内に入ってくるのも良いですね。会計ソフトから申告ソフトでのデータ連携もそうですが、一気通貫でデータを連携していく思想がfreeeを好きな理由でもあります。


*自動登録ルール:事前に摘要欄等に対して設定した条件に沿って仕訳登録を自動化する機能。


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繁忙期の業務量平準化に加え、業務の”質”の平準化にも期待

泉:私は、繁忙期における業務量の平準化に大きな期待を寄せています。毎年確定申告期には業務量が増えて大変になりますが、その時期だけ人を雇うことは難しい。年に1回だけ証憑を預かる顧客に対してこのサービスを活用すれば、事務所で対応する業務量が減って非常に助かります。


前田:自動登録ルールによって入力内容のバラツキが減り、業務の”質”が標準化できるところが良いですね。特に、引き継ぎコストの削減効果が大きい。業務量の調整や異動などで入力担当者の変更が生じても、自動登録ルールを設定しておけば引き継ぎコストを大幅に減らせます。引き継ぎ自体がストレスにもなりますので、従業員の精神衛生的にも良いですね。

仕訳データと証憑が紐付いているから、後からの確認も楽にできる

泉:領収書データ化サービスを使えば、会計ソフト内で仕訳と証憑が紐づいた状態にできるので、入力後の確認も楽になりました。例えば、通常に比べて消耗品費が妙に多いときに、試算表からドリルダウンして、気になる仕訳をクリックすると直接領収書を確認できます。従来のように、領収書の束から仕訳に該当するものを探す必要がなくなりました。
今はまだですが、今後の世の中の流れとして、税務調査の場面でも役に立つときが来ると思っています。


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経理業務のIT化はビジネスチャンス、捻出した時間で経理代行や高度税務分野へ投資を

――今後の展望について、教えてください。

前田:監査や入力などの定常業務はITに取って代わられていきます。それは遠い未来ではなく、個人的にはあと5年のうちに入力代行の仕事はなくなりうると考えています。正直なところ、freeeさんが頑張る頑張らないではなくて、世の中の流れ的に不可避だと感じています。電子マネーの普及も急速に進んでいますしね。
その中では、監査や入力などの定常業務に割く時間を減らし、相続や株式評価などの高度税務の分野に時間を投資しないと生き残れません。


泉:従来の会計業界の仕事のあり方や収益体系が変わる強烈な危機感がある一方で、個人的にはビジネスチャンスと前向きに捉えています。
なので、これまでパートさんが対応していた入力業務を機械が、僕らが担当していた決算書作成業務をパートさんが行い、僕らはより高度な税務業務に時間を投資できるような体制にしていきたいです。
お客様目線という点でも、IT化・クラウド化に積極的なお客様対応できる事務所でありたいですね。一方で、IT化・クラウド化に対して保守的な人は一定数残るので、彼らの需要に即して経理代行やBPOの提供も考えています。


前田:そうですね。人材不足でスキルも信頼性も高い経理担当者を雇うのが難しくなっている中、中小企業が経理を丸ごと会計事務所に任せる時代が近いうちに来るのではないでしょうか。
freee等のITツールを活用して捻出した時間は、高度税務分野とこうした新規サービスの開発に投資していきたいと思います。


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神奈川県横浜市中区太田町2-23 横浜メディア・ビジネスセンター5F
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コンサルティング、税理士・行政書士業務、経理代行を行う横浜の税理士事務所。 freee4つ星認定アドバイザー。
経営理念は「One for All, All for One」。入力、監査、決算、MAS等に各々分野のエキスパートでチームを組んで「英知」を集め、経営者に寄り添い、変化・発展への道をともに歩む。

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