人事労務の基礎知識

懲戒処分とは?種類と基準、対象になる代表例、処分までの手順、注意点を解説

監修 中村 桂太 税理士法人みらいサクセスパートナーズ

懲戒処分とは?種類と基準、対象になる代表例、処分までの手順、注意点を解説

懲戒処分とは、企業秩序に違反した従業員に対して会社が下す制裁罰のことです。労働基準法や労働契約法などの関連法令にも懲戒処分に関する記載があり、公的な制度として認められています。

ただし、懲戒処分を実施する際は合理性や社会通念上の相当性が求められることから、運用においては基本事項を押さえておくことが重要です。

本記事では、懲戒処分の意味や目的、種類や基準、代表的な事例、そして実施までの一般的な手順などを解説します。

目次

懲戒処分とは?

懲戒処分は、会社の円滑な運営において重要な制度です。はじめに、懲戒処分の意味や目的、懲戒免職・懲戒解雇との違いを解説します。

懲戒処分の意味と目的

懲戒処分とは、従業員の企業秩序や職務規律に対する違反行為を受けて会社が実施する制裁罰のことです。労働者は会社との雇用契約(労働契約)に基づき、円滑な組織運営のために定められた規律や秩序を遵守しなければなりません。

これが守られていないと会社が判断した場合、従業員に対して一方的に不利益となる取り扱いをする懲戒処分を行います。

懲戒処分を行うにあたっては、その根拠として「制裁の種類」と「程度」を就業規則に記しておかなくてはならないと労働基準法第89条で定められています。

また労働契約の締結時には、同法第15条に則って懲戒処分の内容を含めた労働条件を労働者に明示しなければなりません。

ただし、個別に明示するのは作業的に大変なケースも多いため、「就業規則内で明示して周知させる」という方法を採用するケースが一般的です。


出典:e-Gov法令検索「労働基準法 第八十九条」
出典:e-Gov法令検索「労働基準法 第十五条」

また、判例法理(過去の裁判や判例など)に基づいて一般原則を定めた労働契約法では、「合理的な理由なく社会常識に照らして妥当とは言えない懲戒処分は無効」であるとして一方的な処分を制限しています。


出典:e-Gov法令検索「労働契約法 第十五条」

懲戒免職・懲戒解雇との違い

懲戒免職および懲戒解雇は、複数ある懲戒処分のなかで最も重い処分のことです。「懲戒免職」は公務員に対する処分、「懲戒解雇」は民間企業の従業員に対する処分を意味しており、対象者によって使用する言葉が変わります。

「懲戒免職」は国家公務員法第82条または地方公務員法第29条で定められている、公務員に対する懲戒処分のうち最も重い処分のことです。

懲戒免職された公務員は、その職を辞めることになります。公務員が懲戒免職になると、場合によっては氏名や処罰の内容などが公表される可能性もあります。


出典:e-Gov法令検索「国家公務員法 第八十二条」
出典:e-Gov法令検索「地方公務員法 第二十九条」
出典:人事院「懲戒処分の公表指針について」

一方の「懲戒解雇」とは、主に就業規則で定められた、民間企業の従業員に対する懲戒処分のなかで最も重い処分のことです。懲戒解雇を言い渡された対象者は、会社を辞めなければなりません。

懲戒処分の種類と基準

懲戒処分には、対象となる行為の程度に応じて複数の種類(段階)があります。会社は就業規則にあらかじめ定めている懲罰処分の種類と従業員の問題行為の内容・程度を照らし合わせて処分を決めます。懲戒処分の種類は会社によって異なりますが、一般的なものは以下の6種類です。

種類内容
戒告・けん責・始末書の提出再発の防止や従業員の将来を戒めるために行う最も軽度の処分
減給従業員の本来受け取るべき賃金から一定額が差し引かれる処分
出勤停止従業員の就労が一定期間禁止される処分
降格役職や職位、職能資格を引き下げる処分
諭旨解雇
(諭旨退職)
会社が従業員に退職を勧告する処分
懲戒解雇労働者を一方的に退職させる最も重い処分

戒告・けん責・始末書の提出

戒告とけん責、始末書の提出は、将来を戒めるために行う、懲戒処分のなかでは最も軽度の処分です。

戒告とは、口頭で注意することを指します。けん責は口頭での注意に加え、起きてしまったミスやトラブルの経緯報告、そして解決策を記載した顛末書の提出を求める処分です。始末書の提出は、起こった出来事の経緯報告とセットで起こした事象に対する謝罪文を提出させる処分です。

後で紹介する減給や降格とは異なり、これらの処分で直接の経済的不利益は発生しません。ただし、処分を受けた事実は残ることから、以降の人事評価で不利に働くことはあり得ます。

減給

減給は、戒告・けん責・始末書の提出より重い処分です。従業員の本来受け取るべき賃金から、一定額が差し引かれます。ただし、労働基準法第91条の定めにより、減給1回の金額が平均賃金の1日分の半分を超えることは認められません。

また、複数の事案に対する総減給額は、一賃金支払期(減給となる時点の賃金支払い期間)における賃金総額の10分の1を超えてはならないとされています。これを超えて減給を行う必要性がある場合は、超えた部分の減給を次の賃金支払期に延ばさなければなりません。


出典:e-Gov法令検索「労働基準法 第九十一条」

出勤停止

出勤停止は、減給よりも重い処分です。雇用計画を継続させながら、従業員の就労は一定期間禁止されます。処分中は当然ながら無給となり、勤続年数にも算入されないケースが一般的です。

ただし、出勤停止による無給期間があまりに長い場合、労働契約法における「合理的な理由がなく社会常識に照らして妥当とは言えない行為」として無効になる可能性もあります。また、処分の理由と比較して長すぎる出勤停止期間について、一部を「懲戒権の濫用」として無効とした判決もあります。


出典:e-Gov法令検索「民法 第九十条」
出典:公益社団法人全国労働基準関係団体連合会「判例検索」

降格

降格は、出勤停止の次に重い処分です。「現在の役職・職位にふさわしくない」「人を指導する立場に適さない」など引き下げる理由が明確な場合、役職や職位、職能資格を引き下げます。

降格には会社の人事権行使によるケースもありますが、懲戒処分の場合はそれとは異なるため、起こり得る降格の内容について就業規則に定めておかなければなりません。


出典:e-Gov法令検索「労働基準法 第九十一条」

また降格に伴い、役割給や役職手当がなくなることで一般的に賃金も下がります。この減額はあくまでも職務の変更に伴う結果であり、労働基準法第91条の「減給額の制限」には当てはまらないとされます。

諭旨解雇(諭旨退職)

諭旨解雇(諭旨退職)とは、会社が従業員に退職を勧告する処分です。懲戒解雇よりも情状を勘案した処分であり、勧告から一定期間内に退職届が提出されれば自己都合退職扱いになります。期間内に退職届が提出されない場合は、会社から解雇を言い渡されます。

自己都合による退職(当事者との合意に基づく退職)とはいえ、あくまでも問題を起こした事に対する処分であるため、状況によっては退職金の一部が減額されることないとはいえません。

懲戒解雇

懲戒解雇とは、労働者を一方的に退職させる懲戒処分のなかで最も重い処分です。通常、従業員を解雇する際は遅くとも30日前までに「予告」をしなければならないとされていますが、懲戒解雇は労働基準法第20条第1項のただし書き「労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合」に該当するため、予告は不要とされています。


出典:e-Gov法令検索「労働基準法 第二十条」

解雇予告手当は不支給、就業規則に記載があれば退職金の全部または一部の減額も行われます。従業員にとって最も不利益が大きい懲戒解雇は、裁判でも厳しく「処分の妥当性」を問われます。


出典:厚生労働省「モデル就業規則 令和5年7月版」
出典:大阪府「懲戒処分」

懲戒処分の対象になる代表的な事例

懲戒処分の対象になる問題は、幅広く存在します。合理的かつ社会通念上適切な懲戒処分を定めるには、一般的な事例と処分のバランスを理解しておくことが大切です。以下では、懲戒処分の対象になる代表的な事例を紹介します。

勤怠不良

勤怠不良とは、無断欠勤や遅刻、早退、私用外出などの総称です。事前の届け出がない欠勤や遅刻を繰り返す従業員に対しては、日ごろから適切な注意や指導を行うとともに、その旨を記録に残すことが大切です。

一度の無断欠勤や遅刻に対する即座の減給・出勤停止には、相当性が認められない可能性があります。国家公務員の人事管理を担う人事院では、勤怠不良に対して以下の懲戒処分を標準例としています。

対象事例懲戒処分の種類
正当な理由がない欠勤 10日以内:減給または戒告
11日以上20日以内:停職または減給
21日以上:免職または停職
遅刻・早退戒告
勤務態度不良減給または戒告
出典:人事院「懲戒処分の指針について」

機密情報の漏えい

機密情報の漏えいに対しては、対象となる情報の重要性(業績への影響度や損害の大きさなど)や故意か否かなどを考慮して処分内容が検討されます。

重要な情報の漏えいや故意の漏えいなどに対しては、懲戒解雇処分だけでなく告発や損害賠償の対象となる可能性もあります。

人事院では、「秘密漏えい」に対して以下の懲戒処分を標準としています。

秘密漏えいへの懲戒処分の標準

  • 故意に秘密を漏えいさせた:免職または停職
  • 自分の利益のために漏えいさせた:免職
  • 命令や注意喚起を受けた対策を怠ったことで漏えいした:停職、減給、または戒告

出典:人事院「懲戒処分の指針について」

対象者の処分を行っただけでは、情報漏えいが再発する可能性もあります。そのため、適切な懲戒処分を実施するとともに再発防止に向けた取り組みを講じることも重要です。

たとえば、原因が資料の紛失であれば「資料の保管方法や持ち出しに関するルールの見直し」などが再発防止策として考えられます。


出典:独立行政法人情報処理推進機構セキュリティセンター「情報漏洩発生時の対応ポイント集」

就業環境を悪化させるハラスメント行為

セクハラやパワハラ、マタハラといった就業環境を悪化させる行為は、当事者にその意識がないケースが多いといえます。まずは通常の研修の実施や事例の共有などを通して、日頃から従業員に意識づけをしておくことが大切です。

また、懲戒処分にあたっては人によって程度や受け取り方が違うため、事実認定が必要です。本人からヒアリングを行う場合、ヒアリング自体でトラブルが起きることも多いため、上司や総務部の担当者が単独で話を聞くことは避け、特に被害者が女性の場合は守秘義務を徹底させたうえで「女性の上司や管理職」を同席させましょう。

事案の報告があった場合、放置していると自殺などの懸念もあるため、すぐに対処する必要があります。調査の結果、犯罪行為に該当するレベルのハラスメントであれば、懲戒解雇も視野に入れなければなりません。人事院では、ハラスメント行為への懲戒処分の指針を以下のように公表しています。

対象事例行為の内容・程度懲戒処分の種類
セクシュアルハラスメント相手の意に反することを認識のうえで性的な言動をした減給または戒告
相手の意に反することを認識のうえで性的な言動を繰り返した停職または減給
相手の意に反することを認識のうえで性的な言動を繰り返して精神疾患に罹患させた免職または停職
暴行や脅迫、職場での立場の利用により強制的に性的関係を持った、わいせつ行為をした免職または停職
パワーハラスメントパワハラで相手に著しい精神的・身体的苦痛を与えた停職、減給または戒告
指導や注意を受けたにもかかわらず、パワハラを繰り返した停職または減給
パワハラによって相手を精神疾患に罹患させた免職、停職または減給
出典:人事院「懲戒処分の指針について」

ハラスメントの場合、当事者間の関係や程度などは多種多様です。第三者による目撃情報が少ないケースや被害者が他の従業員への事情聴取を承諾しないケースでは、十分な証拠を得られないことも考えられます。そのため、ハラスメント行為に対する事実調査は慎重に行わなければなりません。

また、ハラスメントにおいても再発防止策の策定・実行は重要です。ハラスメント行為者に対する再発防止研修の実施や、事例や情報の共有などが求められるでしょう。

犯罪行為

犯罪行為としては、業務上横領や着服、私生活での犯罪行為などが挙げられます。業務上横領や着服の事実が客観的に判明した場合は、懲戒解雇の検討が原則です。

人事院では、以下を標準的な処分としています。

犯罪行為に対する標準的な処分

  • 横領:免職
  • 窃盗:免職
  • 詐取:免職

出典:人事院「懲戒処分の指針について」

私生活での犯罪行為にはわいせつ行為や窃盗、薬物使用、暴行、交通事故などが例として挙げられますが、「無罪推定原則」があるため刑が確定しないと懲戒処分できない恐れがあります。

特に、本人が罪を認めず裁判となるケースにおいては、就業規則において「○日、復職・出社できない場合は自然退職」といった内容を就業規則に記載するなどで対応することになります。

また、以下のように就いている職業に応じてもそれぞれ処分の判断が必要です。

職業に応じた処分の内容

  • 運送会社などでの飲酒運転、暴走運転、無免許運転などをした場合
  • 医師や薬剤師が不正薬物を使用した場合
  • 不名誉な行為で会社自体の体面を著しく毀損し業績を悪化させた場合

人事院では、私生活での犯罪行為に対して以下を標準的な処分としています。

犯罪行為標準的な懲戒処分
放火、殺人、強盗、麻薬の所持等免職
窃盗、詐欺・恐喝、淫行免職または停職
賭博の常習停職
傷害、痴漢、盗撮停職または減給
賭博、暴行・けんか、器物損壊減給または戒告
出典:人事院「懲戒処分の指針について」

その他の就業規則違反

ここまで紹介してきた以外にも、懲戒処分の対象になる就業規則違反は複数存在します。たとえば、業務命令違反や転勤の拒否、無許可での副業などです。

人事院では、以下のように懲戒処分の方針を公表しています。

懲戒処分の方針

  • 虚偽報告:減給または戒告
  • 公文書の偽造:免職または停職
  • 公文書の改ざんや紛失:停職、減給または戒告
  • コンピューターの不適正使用:減給または戒告
  • 兼業の承認等を得る手続のけ怠:減給または戒告

出典:人事院「懲戒処分の指針について」

懲戒処分を実施するまでの手順

懲戒処分の実施においては、適性な手続きを行わなければ無効とされてしまう恐れがあります。ここでは、懲戒処分を実施するまでの手順について解説します。

STEP1:事実確認

懲戒処分の実施においてまず行うべきなのが、事実確認です。当事者や関係者にヒアリングし、事実の把握を進めます。事実確認が不十分なまま懲戒処分に踏み切れば、無効になるだけでなく、名誉棄損に該当するリスクもあります。

そのためヒアリングでは「いつ」「誰が」「何を」したのか、客観的な事実を聴取・記録することが大切です。

STEP2:理由の告知・弁明の機会付与

事実確認後は処分の理由や内容を本人に説明し、行為者に弁明の機会を与えることも求められます。懲戒処分の理由や内容について説明する際は、就業規則の懲戒規定や法律を踏まえて、具体的に説明することが欠かせません。

行為者に弁明の機会を与えなかった場合、懲戒処分自体が無効となる判決が下された事例もあります。就業規則に「弁明の機会を与える」との定めがない場合でも、弁明の機会を与えることが大切です。

面談でも書面でも問題ないことから、理由の告知後には弁明の機会を与えるようにしましょう。

STEP3:懲戒処分の内容検討

懲戒処分の種類を決める際は、懲戒委員会を設置して検討します。懲戒委員会とは、懲戒処分を決めるための調査や懲戒権の行使を客観的かつ公正な立場で行う機関です。

中小企業では、人員数の関係から懲戒委員会の設置が難しいことも考えられます。しかし、判断の客観性や公正性を確保するには設置が望ましいでしょう。

就業規則を策定する際に、委員会メンバーの人数や人選方法、開催方法についても盛り込んでおくことをおすすめします。

懲戒委員会では、事実調査の結果や本人の弁明内容を基にして、必要に応じて専門家の意見も取り入れながら処分を決定することが大切です。委員会での検討内容は議事録にまとめ、証拠書類として保存しておきましょう。

STEP4:本人への通知・公表

懲戒処分を決定したら、本人への通知と社内への公表を実施します。懲戒処分によってさまざまな法的効果が発生する可能性があることから、内容については本人への通知が必要です。

通知の効力は本人に到達して初めて生じることから、書面を作成して面談にて通知することが望ましいといえます。本人が書面を受け取らなければ、内容証明郵便やメールへの添付など、記録が残る方法で送付することが重要です。

懲戒処分を実施したら、対象者を伏せたうえで懲戒処分の社内公表を実施します。公表は規律・秩序の維持のために効果的な方法で行う必要があり、以下の点をまとめることで再発防止につなげます。

  • どのようなことが対象となったか
  • 罰則はどのような内容か
  • 似たような事例は他になかったか

懲戒処分を下す際の注意点

懲戒処分を実施する際には、有効性を問われないようにさまざまなポイントに気を付けなくてはなりません。具体的な注意点は、以下の通りです。

正当な手続きを踏む

懲戒処分を実施にあたっては、正当な手続きを踏むことが重要です。懲戒処分が妥当であるとみなされるには、適正な手続きの必要性が問われます。

懲戒処分に関してはあらかじめ就業規則に盛り込み、従業員に周知しなくてはなりません。そして就業規則に定めてある手続きを取ることが、処分を法的に有効にするために必要です。


出典:e-Gov法令検索「労働基準法 第八十九条」
出典:e-Gov法令検索「労働基準法 第百六条」

従業員の即時解雇にあたっては、労働基準法第20条の定めによって、30日以上分の平均賃金の支給が必要です。これを支払わずに即時解雇を実行すると労働基準法違反になってしまうため注意しましょう。


出典:e-Gov法令検索「労働基準法 第二十条」
出典:厚生労働省「モデル就業規則 令和5年7月版」

また、懲戒処分にあたって労働組合との協議や懲戒委員会の設置・審議などの手続きが定められている会社の場合、定めに従って手続きを正しく実施する必要があります。

また公務員の懲戒処分については、国家公務員法第82条、地方公務員法第29条に規定されています。


出典:e-Gov法令検索「国家公務員法 第八十二条」 出典:e-Gov法令検索「地方公務員法 第二十九条」

二重処罰はできない

一度処分をした事項について、重ねて処分や処罰を行うこと(二重処罰)はできません。刑事上の責任に関する二重処罰の禁止は日本国憲法第39条において定められており、会社における懲戒処分についても当てはまると解釈されます。


出典:e-Gov法令検索「日本国憲法 第三十九条」

そのためいくら「本人に反省が見られないから」といっても、過去に処分の対象になった行為についてあらためて懲戒処分を下すことはできません。

ただし、過去に受けた何らかの懲戒処分を、後の新たな事案における事情として考慮することは問題ないと解釈されています。


出典:公益社団法人全国労働基準関係団体連合会「判例検索」

懲戒処分の社会的妥当性を考慮する

懲戒処分を決定する際には、社会的妥当性を考慮する必要があります。これは、労働契約法第15条において「合理的な理由がない、社会通念上で相当だと認められない懲戒処分は無効である」と定められているためです。


出典:e-Gov法令検索「労働契約法 第十五条」

この場合の「社会通念上相当である」とは、処分の種類、処分の重さ、適切な手続きを包括してその妥当性がある状態を指します。

行為の種類や程度と対象従業員の勤務状況や注意・指導歴、そして反省状況などを踏まえての判断が重要です。

まとめ

懲戒処分とは、企業秩序に違反した従業員に対して会社が下す制裁罰のことです。従業員に対し一方的に不利益となる扱いをするものであるため、実施にあたっては就業規則の定めに従って適切な手続きを行い、社会通念上相当な処罰を下さなければなりません。

人事院の情報なども参考にしながら就業規則などを策定・修正し、企業秩序の維持や円滑な組織運営につなげましょう。

よくある質問

懲戒処分とはどういう意味?

懲戒処分とは、従業員の企業秩序や職務規律に対する違反行為を受けて会社が下す制裁罰のことです。会社が定めた規律や秩序を従業員が守っていない場合、従業員に対して一方的に不利益となる取り扱いをすることがあります。

詳しくは記事内の「懲戒処分とは?」をご覧ください。

どんなことをすると懲戒処分になる?

懲戒処分は、勤怠不良(無断欠勤や早退など)や機密情報の漏えい、ハラスメント行為、犯罪行為など、就業規則に記載された懲戒処分に該当した場合に行われる処分です。

詳しくは記事内の「懲戒処分の対象になる代表的な事例」をご覧ください。

懲戒処分を受けた事実は転職先にバレる?

懲戒処分を受けた事実が、転職先に知られてしまう可能性はあります。転職先が把握するケースとしては、面接中に質問されてそれに回答する場合が考えられるでしょう。

懲戒処分を受けたことについて、転職活動中に自分から積極的にいう必要はありません。しかし、問われた際に嘘をついたり隠したりしてしまうと、経歴詐称に問われる恐れもあるため注意が必要です。

特に、転職後に企業側に不利益を与える可能性がある場合は、質問されずとも伝えておくのが望ましいといえます。

監修 中村 桂太

建設会社に長期在籍し法務、人事、労務を総括。特定社会保険労務士の資格を所持し、労務関連のコンサルタントを得意分野とする。 ISO9001及び内部統制等の企業内体制の構築に携わり、 仲介、任意売却、大規模開発等の不動産関連業務にも従事。1級土木施工管理技士として、土木建築全般のコンサルタント業務も行う。

中村 桂太

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