複数のfreee製品導入でバックオフィス業務の作業量を大幅に削減! 削減した時間で会社の仕組みづくりに注力し、更なる成長へ

株式会社山口建設コンサルタント 専務取締役 藤村 正己 さん

課題
バックオフィスの体制構築・効率化

山口県山口市に本社を構える株式会社山口建設コンサルタントは、測量、設計、地質調査、環境調査の4つの事業を行っている会社です。


この10年で売上も従業員数も約2倍に増えており、成長し続けている同社。一方、会計処理は紙の伝票に手書きで起票するなど、アナログな作業が多いことが課題となっていました。


その課題を解決すべく、2021年から複数のfreee製品を導入し、バックオフィスを中心にDXを進めています。結果、手作業はほぼなくなり、本来注力すべき業務に集中できるようになりました。


freee導入前の課題や導入の経緯、導入後のメリット、そして複数のfreee製品を連携させたことによる効果などについて、専務取締役の藤村正己さんにお話を伺いました。


手書きの伝票に、タイムカード……全てが紙ベースで集計作業に追われる日々

――まずは貴社の概要を教えてください。

藤村正己さん(以下、藤村): 事業は、測量、設計、地質調査、環境調査の4部門に分かれて、官公庁から受注した業務を進めています。


当社は、一般的なオーナー会社とは少し成り立ちが違います。創業した1967年当時は、まだ山口県内に建設コンサルタントがなかったため、県内の建設業者が出資し合って当社を設立しました。そのため、山口県建設業協会の会長が当社の代表取締役を兼任しています。そういった経緯から、株主が98人と非常に多いのも特徴です。


山口建設コンサルタント


――続いて、藤村様のプロフィールについてもお聞かせください。

藤村: 私は長年、山口県庁にて勤めておりました。2020年に当社の専務取締役に就任し、現在2期目になります。当社の経営については会長から任されておりますので、会長の意向を踏まえつつ、私が社内のことを判断して指示を出しています。


――ここからはfreeeの導入についてお聞きします。導入前のバックオフィス業務には、どのような課題がありましたか?

藤村: 2021年にfreee製品を導入するまでは、まるで20〜30年前から時が止まっているような状態でした。会計処理は、振替伝票に勘定科目の印鑑を押して、金額を手で記入して……といった方法で行っていたため、起票だけにパート従業員1人がかかりきりになっていました。


売上と工数を、帳票とエクセルのデータで別々に管理していたため、請求書作りも大変でした。両方をチェックしながら請求金額を一旦エクセルにまとめて、それから請求書を発行し、売上を計上して……と、非常に手間のかかることをしていたのです。入金のチェックも当然手作業ですから、全ての作業に時間がかかっていました。


給与計算は、専用ソフトを導入していたものの、勤怠状況はタイムカードで管理していたため、事前の集約は全部手作業でした。総務の担当者が一人ひとりのタイムカードを確認して、勤怠状況をエクセルに入力し、それを給与計算ソフトに転記していたのです。もちろん、社会保険料の変更などもすべて手入力。これらの作業を社員1人とパート従業員1人で行っており、手が回らず、ミスが散見される状況でした。


専門知識がなくても扱えるソフトで、バックオフィス作業を軽減したい

――freee製品を導入するまでの経緯を教えてください。

藤村: 当社は、この10年で従業員数は30人から54人に、売上は2.1倍に増えています。それに伴い、バックオフィスの業務量が大幅に増加しており、今までどおりの手作業ではまかないきれない状況に陥っていました。


とはいえ、社員を増やすことは簡単ではありません。どうすべきか悩んでいた頃に、会計の専門知識を持つ顧問が入社したこともあり、彼の提案で電子帳簿保存法の改正にも対応できるクラウドソフトを導入することにしたのです。


――その後、導入する会計ソフトをfreeeにした決め手はどこにあったのでしょうか?

藤村: ソフトの選定には、5社ほどの製品を比較検討し、説明を聞きました。その際、営業の方の説明が一番わかりやすかったのが、freeeに決めた理由の一つです。


また、機能的には、freee会計は経理の知識がない人でも扱いやすそうなところが決め手になりました。例えば、言葉一つとっても、「仕訳」や「貸方・借方」といった専門用語ではなく、「取引」というシンプルな表現になっています。経理の知識がない人が「貸方・借方」という言葉を見ると戸惑うと思うのですが、そうならないように配慮されている点が良かったですね。また、品目などを柔軟に設定できる点や帳票が随時更新されていく点、法改正にも対応している点も魅力的でした。


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――導入時に苦労したことはありましたか? また、それをどのように乗り越えましたか?

藤村: 2021年3月に、まずはfreee会計とfreee人事労務の導入を始めました。導入前の情報はすべて紙ベースだったため、freeeのデータベースに勘定科目などを設定していくのが大変でしたね。しかし、根気よく入力すれば終わりますし、その後は使えば使うほど、自動で記帳される際の精度が上がっていくのを実感したので、導入して良かったと思います。


また、売上や入金の情報は、freee会計とkintoneを連携させて管理することにしました。複数のソフトをほぼ同時に導入したので設定は大変でしたが、請求書の発行や入金管理もすべてデジタル化されて、非常に便利になりました。


あとは、使用者側の問題ですね。特にベテランの担当者は、長年手作業で業務を行っていたため、不慣れなパソコン入力に、導入当初は戸惑っていたようです。最初の頃はどうしても拒否反応があったり、慣れるまでに時間がかかったりといった様子が見られました。


――従業員の皆さんにfreeeを浸透させるために働きかけたことはありますか?

藤村: このソフトが定着したらどれほど便利になるか、効率が上がるかを示しながら誘導することを心掛けました。長年手作業だったのに、闇雲に「デジタルにしてください」と言っても、なかなか伝わりません。freeeを使うメリットを丁寧に説明していくうちに、浸透していったように感じています。


freeeを導入することで、従業員1人分の手作業がゼロに

――freeeの導入で、どのようなメリットがありましたか?

藤村: 作業量が圧倒的に減ったので、本来すべきことに注力できるようになりました。経理に関しては、起票作業がゼロになったため、パート従業員1人分の仕事がまるっと無くなったわけです。空いた時間で、現在はインボイス制度の導入など、今後行われるさまざまな税改正に対応した業務をお願いしています。また、以前から進めたかった原価管理にも取り組んでもらっています。


労務関係も、有給や手当の申請などは、社員が自分でfreee人事労務を使って申請すれば自動で登録されるので、担当者は確認するだけで良くなりました。担当者からも「ずいぶん楽になった」といった声が寄せられています。


年末調整も非常に簡単になりましたね。以前は、従業員に年末調整の紙を配っていましたが、書き方が分からず質問に来る人が多かったり、提出期限を守ってもらえなかったりと、対応が大変だったんです。


現在は、社員がオンライン上で保険額や扶養人数など、質問に答えていけば申請が完了。スマートフォンなどで簡単に入力できるので、非常に便利になりました。また、そのデータがそのまま会計などにも連携されるので、転記が不要なのも助かります。


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――その後、freeeカードと、freeeサインも導入されたそうですが、導入の経緯を教えてください。

藤村: 以前は、出張などでお金が必要になる際には、金庫から現金を出して渡していました。でも、それが結構手間だったので、法人用のクレジットカードを持つことにしたのです。当社の業務は出張が多いので、枚数に限りがあるとカードの管理ややり取りが大変。


freeeカードは、ある程度の枚数を用意していただけるので、クレジットカードが必要な社員全員に持たせることができて助かっています。freee会計と連動していて、利用履歴がすぐ反映されるのも便利ですね。


また、外注先などと毎月20件近く契約書を交わしていたこともあって、2022年4月にfreeeサインを導入しました。freeeサインは、印鑑も不要ですし、メールでやり取りができて正確なところが良いですね。一度登録してしまえば、次からの契約書の作成も簡単にできて、データとして記録が残る点も重宝しています。


DXで無駄を削減し、会社の仕組みづくりに注力したい

――複数のfreee製品や他のツールを連携させて利用するメリットを教えてください。

藤村: 以前は、会計や給与計算などそれぞれ違うソフトを使っていました。そのため、数値の転記が必要になり、何度もチェックしなければなりません。そうすると非常に時間がかかってしまうし、ミスの原因にもなっていました。


しかし、freeeはそれぞれのソフトが非常にうまく連携しているので、どれか1つ入力すれば、それがすべてのソフトに反映されますし、時間も早い。給与計算や振込なども、非常に簡単になりました。それによって、社員の負担も軽減され、現場の状況は劇的に変わったと思います。


また、会社のお金の動きをリアルタイムで把握することができるので、経営判断がしやすくなりました。freee導入以前は、紙の帳票を元に会計管理をしていたので、何カ月も待たないと経営数値が出てきませんでした。やっと出てきても数カ月前の数値であるため、正確なキャッシュフローがわからず、思い切った判断をするのが非常に難しかったのです。


現在は、レポートで正確な数字を把握し、素早くジャッジができるので、3Dドローンの購入のような思い切った決断も可能になりました。そういったところが売上増にもつながっているのだと思います。


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――バックオフィスのDXを進めるとともに、会社全体も進歩させている印象です。今後の展望を教えてください。

藤村: 今後は、人事評価制度の策定をはじめとする会社の仕組みづくりに力を入れていきたいと考えています。freeeを導入したおかげでバックオフィスの作業量は減りましたが、会社の仕組みや環境をより良くすることに取り組むために、総務や人事の人員は4人に増員しました。


そして、さらに便利に効率化できるソフトや機器をそろえて、システムをより精度の高いものにしていきたいですね。あわせて、人材の育成にも力を入れていきたいと考えています。技術面ももちろん大事ですが、重要な情報を扱っていますので、倫理観をしっかり持った人材の育成も急務だと思っています。


DXを進め、リモートワーク環境なども整えたことで、採用面も充実してきました。同業他社は結構苦労しているようなのですが、ありがたいことに、当社はたくさん応募していただいています。人員もどんどん増えていて、本社社屋が手狭になってきたこともあり、いずれ建て替えることも視野に入れています。


(執筆:神代裕子 撮影:赤坂太一 編集:ノオト)


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