創業85年の老舗メーカーでfreee人事労務を導入 オンプレミス型システムを中心にバラバラだったツールをfreeeに集約し、業務効率化

株式会社佐竹製作所 経営管理部 係長 市谷 有紀子 さん

課題
パッケージ型ソフトからの移行

株式会社佐竹製作所は、金属加工事業を基軸とした製造業の企業です。


営業所や工場などさまざまな拠点を持ち、従業員の働き方は多種多様。海外との取引も多く、人事労務業務は複雑になっていました。そんな同社は、2022年10月のホールディングス化に合わせて、業務ごとに異なる人事労務関係のシステムを使っていた状況から、freee人事労務に統一したことで、業務を効率化させています。


経営管理部係長の市谷有紀子さんに、導入の経緯や効果について伺いました。


佐竹製作所


バックオフィスに多くのツールが混在し、業務が非効率に

ーー御社の事業内容とご担当者さまのプロフィールを教えてください。

市谷 有紀子 さん(以下、市谷): 当社は、主に金属加工事業を行う創業85年の会社です。東京都に本社があるほか、山形県にはものを作って売る拠点である工場を、埼玉県にはものを仕入れて売る拠点として営業所があり、メーカーと商社の両面を持つ企業です。


製造業における歴史は長い一方で、新しい取り組みも展開しています。例えば、2019年にはFA事業を立ち上げました。FAとはファクトリー・オートメーション(工場の自動化)のことで、当社の特徴である「多品種・小ロット・短納期」を実現するために開発されたシステムです。工程ごとのFAロボットだけでなく、RPA・工程の見える化などを行い、工場全体で問題を考えることで、より効果的な改善を行います。全てのFAシステムは佐竹の自社工場を実践環境として運用されています。2022年には、人材コンサルティング事業を開始し、特定技能人材を始め、技術エンジニアやバックオフィスの海外人材を紹介し、製造業の人手不足の課題解消と海外人材の活躍を支援しています。


会社の規模は、社員数は約220人で、人事労務を担当するバックオフィス部門は3人体制です。


私は、当社がホールディングス化した2022年10月から、本社経営管理部の係長となり、freee人事労務の導入の際にはマネジメントとして携わってきました。


佐竹製作所


佐竹製作所


ーーfreee人事労務の導入前、バックオフィス業務にはどのような課題がありましたか?

市谷勤怠管理、人事、給与明細、源泉徴収票の管理にそれぞれ別のツールを使っていて、どれも中途半端に手を出してしまったことで統一感のない状況となり、手間がかかっていました。オンプレミス型とクラウド型も混ざっている上に、それらのツールで管理できない部分はエクセルで対応している状況でした。


なぜそうなってしまったかと言えば、人事労務全体の総合的なシステム設計をせず、その都度必要に応じて部分的にシステムを導入していたからです。例えば、勤怠管理では、手作業が多くて大変なので「システムを入れないと無理だよね」と勤怠管理システムを入れる。給与明細も「いつまでも紙を配るのはおかしいよね」とクラウド化する……。


そのように部分的な対処が続いた結果として、システム間でデータを連携させるときに転記作業が発生したり、あちこちに誰かが作ったエクセルがあったりしました。余計な業務が多く、当然ミスも発生してしまいます。そして、バックオフィス部門は給与計算・勤怠管理・入退者の社会保険手続きなどルーティーンで作業的な仕事ばかりに追われている状況でした。


タイトな導入スケジュールにも対応できるfreeeを選定

ーーfreee人事労務を導入することになったきっかけや決め手を教えてください。

市谷: ホールディングス化を控えていたことがきっかけです。ルーティーン業務や効率の悪い方法に時間を割かれて他の業務に支障が出るので、もっと「活人化」する必要があると考え、新システムの導入に向け、トップダウンで動き出し始めました。


システム選定の際には、まずインターネットで検索して、情報収集しました。オンプレミス型だと特定のパソコンでしか作業ができない点をネガティブに感じていたので、どこからでも仕事ができるよう、クラウド型にすることは早い段階から決まっていました。クラウド型は、さまざまなツールを導入してきたなかで使用経験もあったので、便利だとわかっていましたし、抵抗感もありませんでした。


特に、コロナ禍で緊急事態宣言などが発生したときには、在宅でも仕事ができるような体制を作る必要がありました。一方で、山形の工場など、ものを作る仕事は出社しなければできません。分社化してもそれぞれの会社が働き方の多様性に対応できるようにする必要があり、freeeが当社の求める条件にマッチしていました。


ーーfreee人事労務の導入はどのような流れで進めましたか?

市谷: 2022年7月から検討を始め、8月にはfreee人事労務の導入を決定しました。10月にホールディングス化することが決まっていたので、その時期までに間に合わせるタイトなスケジュールでも導入できることが最優先の条件でもあったんです。


freeeのご担当者の方は「この日に稼働を始めるためには、この作業をこの日までにやらないといけないですよ」ときっちり導いてくれて助かりましたね。導入サポートは、かなり詰め込んで進めてもらい、2022年10月25日から給与明細を従業員に公開することができました。


ホールディングス化は古い規程や規則を見直すチャンス

ーー導入時に苦労した点はありましたか? また、どのように解決していきましたか?

市谷: 旧システムからデータを移行するときにエラーが多く出てしまい、苦労しそうだなと思っていました。ただ、freeeの導入サポートできちんと対応してもらえたので、スムーズに導入することができました。業務に合わせた設定も大変でしたが、やはり丁寧なサポートのおかげで、問題なく進めることができました。


また当社では、夜勤などのさまざまな勤務スタイルが混在していたり、多く在籍する外国籍の従業員に特有の手続きがあったりして、働き方や手続きが多様です。220人の規模としてはかなり複雑だと感じているので、勤怠管理などの方法をfreee人事労務とすり合わせしていく作業には気を使いました。ただ、これもやはり導入サポートがあったのでスムーズに進められましたね。


サポートがなければ、freee人事労務を導入できなかったかもしれないと思うほど、受けて良かったです。最初にスケジュールの一覧をもらったとき、第一印象として「ちゃんとしてるな」と思いました。


それぞれ項目ごとに進捗管理をできるのも良かったです。自分でスケジュールを設定してしまうと、間違えてしまったり変な方向に進んでしまったりすることもあると思いますが、短い時間のなかで的確にサポートしてもらえて、エラーなどにも対応できました。


他には、当社の長い歴史のなかで作られてきた独自の制度がある点にも苦労しました。今となってはおかしいと感じる規程や規則もたくさん残っていて。例えば、一般的には使用されていない当社オリジナルの書類が提出必須になっていたり。伝統的に残っている文化は、意外と誰も必要性がわかっていないにも関わらず続けてしまっていることがありますよね。


その点に関しては、ホールディングス化のタイミングでもあったので、会社の規程や規則から変えて対応した部分もあります。「今こそ変えるチャンスだ」と捉えて、経営陣にも「ここを変えないと導入は難しい」などと都度伝えていました。効率化のためには変える必要性があると分かってもらえたので、反対意見はありませんでした。


佐竹製作所


ーータイトなスケジュールで導入を進める過程で、従業員のみなさんにはどのように浸透させていきましたか?

市谷: freeeの導入を決定した後に通知を出して、説明会を開催しました。「実際にこんな画面でこういうことができますよ」と使用する様子を見せながら解説していきましたね。説明会は、リーダー以上の役職者向け、一般従業員向け、外国籍の従業員向けなど、複数パターンで行いました。一度でまとめて説明するのでなく段階を踏んで、対象者に合わせて申請の方法などをしっかりと伝えていきました。ベトナム語対応の利用方法テキストは別途作成しました。


その後は「ログインがうまくできない」「操作方法がわからない」といった基本的な問い合わせはありましたが、新システムへの大きな抵抗感はないようで、順調に稼働しています。


給与計算の作業時間を半日に短縮 締め日を5日間後ろ倒しに

ーーfreeeを導入して良かった点を教えてください。

市谷: 導入直後にはじめてfreeeを使って年末調整をしたところ、従来よりスムーズに進んで楽になりました。紙の記入用紙を使っていたときは転記などの作業が大変でしたが、freee人事労務ではアップロードされたデータを見てチェックを行い、間違っていたらシステム上で本人に差し戻すことができるので、かなりの時間を短縮でき、膨大な量の紙も必要なくなりました。


年末調整に限らず、入退者に記入してもらっていた紙もなくなり、手作業と紙の量は大幅に減りました。従業員情報の変更も、これまでは紙で書いてもらったものを反映させていましたが、今ではfreeeで従業員から申請してもらい、管理者が確認して承認したらそのまま反映されます。


給与計算に関しては、勤怠が15日締め・当月25日払いだったのを、20日締め・当月25日払いに変えたんです。これだけで単純に5日分は作業を短縮できています。さらに、工程自体が大幅に減った分、実際には給与計算の作業自体は半日ほどしかかかっていません。


結果的に、そのようなルーティン業務を圧縮できたことで、経営戦略や経営企画といった新たな価値を作る業務に時間を使えるようになりました。


ーーfreee人事労務の導入を行い、これから実現したいことはありますか?

市谷: 会社全体として、今回のfreee導入に限らず、DX化と活人化を推し進めています。DX化によって創出できた時間を、私たち経営管理部経営企画課は経営戦略や経営企画に使い、他事業会社の利益の最大化を図る取り組みを行っていきたいです。


ーー最後に、freeeの導入を検討している企業へメッセージをお願いします。

市谷: freeeを導入するか迷っている企業の方々はおそらく「何かを変えたい」と感じているのだと思います。ただ、「変えるには相当なパワーが必要だろう」という不安も多いはずです。だからこそ踏み出せない気持ちはとてもよくわかるのですが、当社がfreeeに決めた理由は、何を聞いてもきちんと明確に回答してくれたことが大きかったです。


不安なところ全てを一緒に解消してくれました。導入サポートでも、当社に残っていた変わった制度に対しても「こういう形に変更していただいたら、システム側でもこのように対応できますよ」と言ってもらえました。


「長い歴史があるから変えにくい」「現場が納得してくれない」など、いろいろな懸念点を洗い出して全て解決してみれば、古いシステムを残すことよりも、変えることのメリットのほうが大きいと思います。


佐竹製作所


株式会社佐竹製作所

利用サービス