~公益財団法人でも複数のfreee製品を活用~ 特殊な会計処理も導入支援のおかげで効率化できました!

公益財団法人日本自然保護協会 自然のちから推進部 総務チーム 室長 高津 紅実 さん

課題
バックオフィスの体制構築・効率化

公益財団法人日本自然保護協会は、1951年に設立され、今日まで70年以上の歴史がある自然保護NGOです。「自然のちからで、明日をひらく」をスローガンとし、「日本の絶滅危惧種を守る」「自然で地域を元気にする」「自然の守り手を増やす」「壊れそうな自然を守る」などの活動を展開しています。


バックオフィス業務では、実地調査により出張が多いことから、経費精算の滞りに課題を感じていました。また、公益法人会計に合った会計システムおよびバックオフィスシステムの模索をしていたそうです。


そこで、日本自然保護協会は「freee会計」「freee人事労務」「freeeカード」「freeeサイン」を導入しました。導入前の課題や、複数のfreee製品を連携させるメリットなどについて、自然のちから推進部総務チーム室長の高津紅実さんにお話を伺いました。


職員の出張が多く、経費精算作業の滞りが課題に

ーー貴法人の事業内容を教えてください。

高津紅実さん(以下、高津): 日本自然保護協会の活動が始まったのは、もともとは1949年で、群馬、福島、新潟のエリアにある尾瀬ヶ原がきっかけでした。貴重な自然が残っている場所に、大きな水力発電用ダムの開発計画が持ち上がったとき、「この貴重な湿原を後世に残さなければならない」と、研究者や文化人、登山家の方たちが尾瀬保存期成同盟を立ち上げたのです。


それから、日本自然保護協会が1951年に設立され、財団法人になったのが1960年、公益財団法人になったのが2011年でした。設立から70年以上経ち、国内でも有数の長い歴史を持つ自然保護団体のひとつとなっています。


近年、SDGsなどの影響で自然保護への関心が高まっています。国内外の企業の方々から「一緒に何かできないか」とお声がけいただく機会も増えてきました。さまざまなお取引があり、バックオフィスでも対応が必要になっているところです。


日本自然保護協会


ーー続いて、高津さんのプロフィールも教えていただけますか。

高津: 大学卒業後、一般企業や国際NGOで仕事をしていて、アフリカに1年間ほど行っていた時期もありました。日本に戻ってきて、子育てをしながらパートをしていたところ、日本自然保護協会の職員募集を見て、2000年に入職しました。


最初は10年ほど、会報の編集をする部署にいたのですが、バックオフィス全般を担う総務から声がかかって、異動しました。最初は経理から入って、人事労務関係、パソコンなどのセキュリティ関係、会員や寄付者のみなさまのデータ管理などにも業務を広げてきました。


日本自然保護協会
会報誌の「自然保護」。高津さんも以前編集業務で携わっていたという


ーーfreee導入前、バックオフィス業務にはどのような課題がありましたか?

高津: 自然保護に関わる事業の特性上、実地調査等で職員が出張に行く回数が非常に多いです。freee導入前の経費精算業務は、紙で領収書や請求書を提出し、Excelで伝票を作り、さらにそれを会計システムに入力する作業が発生していました。


また、紙で申請をする必要があったため、出張時など提出が遅れ、処置が滞ることが頻繁に起きていました。


勤怠などのワークフローも、紙で行っていたので、バックオフィス業務がなかなかうまく回っていかない状況でした。当時、世間では、「電子化」「クラウド化」といった言葉が広まり始めており、当法人としても対応しなければならないと感じていたんです。


そこで2018年に、オンプレミス型だった会計システムから、freeeとは別のクラウドサービスに移行しました。また、こちらも他社製ですが、経費精算システムも導入しています。freeeのことは知っていて、使いたかったのですが、当時は公益財団法人に対応していなかったんですよね。憧れつつもあきらめていました。


何とかシステム化できたものの、会計システム、経費精算システム、さらにネットバンキングのサービスが別々であることのデメリットが大きく出てきました。まず経費精算システムでデータを作り、csvファイルをエクスポートし、会計システムにアップロードして、今度は会計システムから振り込みデータをエクスポートし、ネットバンキングにアップロードする……。


それぞれにチェックの手間もかかりますし、セキュリティの観点からも良くない状況だと感じていました。データを少しでも間違えると、インポート時に弾かれることもあり、ストレスもありましたね。


公益法人会計でもfreeeを活用できる!

ーー複数のfreee製品を導入した流れを教えてください。

高津: 他社のクラウドサービスを利用してから1年ほど経った頃、freeeの営業の方から、公益財団法人の会計に対応し、導入実績もあることを聞きました。


システムごとの“バラバラ管理”を解消させたい思いがあったので、2020年にfreee会計とfreee人事労務の導入を決めました。


最初にfreeeを導入したときから、とにかく統合できるものは統合したいと考えていたため、2022年にはfreeeカードとfreeeサインを導入しています。


日本自然保護協会


ーーfreee導入時、不安に感じた点はありましたか? また、その点をどのように解消したのでしょうか。

高津: 公益財団法人の会計は、一般企業とは異なる処理になっています。例えば、一般企業で損益計算書と呼ばれているものはなく、「正味財産増減計算書」があります。この決算書類では、公益目的事業会計、法人会計などを分けて表示する必要があるのです。freeeを導入した際に、そうした点に対応できるかどうかを不安に感じていました。


しかし、freeeの導入支援プログラムを利用することで、解決できました。当法人の場合は、実際にfreeeで公益財団法人を導入支援した実績がある税理士さんを紹介していただき、勘定科目を使い分けて対応する方法でうまく処理することができました。


ーーfreeeの導入でどのようなメリットがありましたか?

高津: freee導入前の状況と比べると、業務が本当に楽になりました。

例えば、当法人は3月決算なので、ゴールデンウィーク頃に決算業務が発生してしまい、非常に大変でした。freeeを導入してから決算処理が効率化でき、「ゴールデンウィークってこういうものだったんだ」と実感することができましたね(笑)。


バックオフィス部門以外の職員も、スマホで経費精算などの申請ができるので、出張が多くても滞りなく処理することができ、利便性が上がったと思います。給与明細が画面上で見られるので、わざわざ紙で発行して渡す手間や資源の無駄がなくなったのも良いですね。


freeeカードについては、法人カードはもともと組織法人内で2枚しか持っていませんでした。利用する際は、申請が必要だったのですが、ワークフローが煩雑で使い勝手が悪かったです。さらに、Zoomなどのウェブサービスの支払いはカードを使うことが多く、利用頻度が増えている状況でもありました。


freeeカードでは、最大100枚を発行できるとのことで、部署ごとにカードを作り、部署のリーダーが決裁をするフローに変えることができたんです。また、通常のクレジットカードだと、2カ月ほど経たないと明細がわからないという問題がありましたが、freeeカードではすぐ会計に反映されるので、とても便利になりました。


freeeサインは、主に人事関連で職員との取り交わし文書、個人事業主の方との業務委託契約書などで使っています。履歴がきちんと残っていくのが大きなメリットですね。相手方にとっても、郵送されてきた書類にわざわざハンコを押して送り返すといった手間がなくなり、スピード感が出てきたと思います。また、「期間内にお返事がありません」といったリマインドもしてくれるので、漏れがなくていいですね。


導入支援プログラムやチャットボットの活用で導入・利用をスムーズに

ーー複数のfreee製品や他のツールを連携させて利用するメリットを教えてください。

高津: システムがバラバラだったときは、それぞれの間でデータの出し入れをしていて、そこに手間がかかるだけでなく、セキリュティ上の懸念があったり、無駄な紙が発生したりしていました。


freee製品を連携させて使うことによって、それらの問題を解消できたのが大きなメリットです。


例えば、給与は月末で締めて翌25日に振り込みを行います。freee導入前は社労士さんとの勤怠・給与データのやり取りや振り込み処理に時間がかかり、毎月ギリギリだったのですが、freeeを導入してからは2、3日で済んでいます。勤怠データを集約してから、シームレスに振り込みまで行えるので、非常に楽ですね。社労士さんには、アドバイスのみお願いする状況に変わりました。


日本自然保護協会


ーーfreeeの導入を検討している他の法人に向けてメッセージをお願いします。

高津: freee導入前の当法人と同じように、「公益法人会計だからfreeeは難しい」と感じていらっしゃる方は少なくないと思います。ただ、私たちが実際に使ってみた実感としては、十分に対応できていると感じています。


また、freee会計の導入さえクリアできれば、freee人事労務やfreeeカード、freeeサインなどの連携は効率よく進められます。


導入の際は、導入支援プログラムをきちんと使うのがおすすめです。freee会計とfreee人事労務の導入は、それぞれ別の担当者がいることが多いと思いますが、私は同時に1人で担当していました。それでもスムーズに導入することができたのは、導入支援プログラムのおかげです。


また、質問を受け付けてくれるチャットボットにも助けられました。もしもチャットボットの利用者ランキングがあったら、私は絶対上位にいる自信があります(笑)。そのぐらいたくさん活用しています。


わからないことがあったら、すぐチャットボットに質問を投げて、AIで解決できないことがあれば、担当者の方につないでもらえます。すぐ的確に答えてもらえたので、導入の際にはぜひ使ってみてほしいです。


(執筆:遠藤光太 撮影:小野奈那子 編集:ノオト)

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