freeeは事業成長を支える経営管理ツール。現金主義の経理業務を一掃し、最新の数値に基づく意思決定が可能に

社会福祉法人 ナガタナガサキ 理事 桃尾友梨絵 氏

課題
freeeアプリストアやfreee APIの活用経営の課題をリアルタイムに把握

子どもや高齢者、障害者などの生活を支える福祉サービスを提供する社会福祉法人は、全国に約2万法人(注 1)あります。社会福祉法人には一般会計とは異なる独自の会計基準があるため、経理業務には高い専門性が求められるうえ、一般的な会計システムだけでの対応は困難でした。


そこでfreeeは、約2,600の公益法人を顧問先に抱える税理士法人ゆびすいと業務提携をして、freee会計とAPIで連携した社会福祉法人向けレポートシステムを共同開発。試用版のフィードバックを経て、2019年に「社会福祉法人 with freee」をリリースしました。


社会福祉法人with freeeを試用版から利用しているユーザーの一つが、保育園と学童保育を運営する社会福祉法人ナガタナガサキです。同法人では社会福祉法人with freeeの導入によってどのような変化があったのでしょうか。同法人の業務改善とICT化を推進する理事の桃尾友梨絵さんに伺いました。


注1: 厚生統計要覧(平成30年度)

保護者のニーズ多様化への対応と、現場職員の業務負担軽減を実現するための施策を推進

当法人は茨城県つくば市で保育園1園と学童保育2ヶ所を運営しています。35年ほど前に、私の母でもある理事長が「働くお母さんを助けたい」という想いを持って託児所を開いたのが法人のはじまりです。以来、保護者のニーズや教育環境の変化に柔軟に対応しながら、豊かな生活体験や学習機会を作ることに力を注いでいます。


つくば市では今、子育て世代が多く流入しています。そのため、ここ数年間で、学童保育にも教育の機会を求める親御さんが増えている傾向にあります。2ヶ所目の学童保育は、こうした背景を受けて2019年4月に新たに設立したものです。高学年クラスが学習に集中できる環境が整い、遊びの場と学びの場との使い分けができるようになりました。


その一方、新しい取組を行うことにより現場職員の仕事は増加する傾向があります。「今あるサービスの質と量を変えずに、現場職員の負担を軽減する」ことを念頭に置いて、業務改善とICT化推進するコンサルタントを入れ、会計や人事など法人の運営に関わる業務の改善とICT化を推進しています。


中長期的な事業の拡大を見据えながら、一般企業と比べて生産性が低いと思う業務は極力自動化できるように取り組んでいます。社会福祉法人特有のルールもあるので、適宜税理士と相談しながら改善を進めているところです。

現金主義から脱却し、経営状況をリアルタイムで把握することが第一の課題

経理業務の課題は、経営状況がリアルタイムで把握できないことでした。理事長の考えを実現させるべく新たな施策を講じようと考えても、収支予測が立てられないために投資への判断が長引いてしまうのです。中長期的な資金繰りの予測が難しく、資金不足に陥りかねないリスクも抱えていました。


当時の経理業務は現金主義で行っており、収益や費用は事務員がATMで通帳記帳をした後に計上していました。通帳記帳後にインストール型会計システムへの転記と締処理するといった業務フローだったので、翌月末まで月次の数値は確定しません。経理業務にかける作業コストの量に対して、得られるメリットが明らかに少なかったのです。


また、当時使っていたインストール型の会計システムでは、財務諸表等電子開示システムに提出するファイルを自動生成できなかったため、年度末に発生する決算資料の提出作業に多くの手間がかかっていました。


これらの課題は、クラウド会計システムを導入して経理業務を自動化することによって解決可能だと考えていました。ただ、社会福祉法人会計に対応したクラウド会計システムはそう多くありません。口座やアカウントを自動取得できるサービスに絞って考えると、自ずと社会福祉法人 with freeeの導入が最適との結論に至りました。


“社会福祉法人

経理業務の工数は14分の1に削減。最新レポートに基づいた経営判断が迅速化

社会福祉法人with freeeを導入してから、経理業務の工数は明らかに減りました。銀行口座やクレジットカードを同期しているので、もう通帳記帳をするためにATMを往復する必要はありません。「自動で経理」機能を活用しているので、インプットの正確性は従来の手入力よりも向上しています。


導入前は専属の職員1名で月140時間程度かけていた経理業務は、専属の職員なしで月10時間程度で済むようになりました。今はすき間時間で経理業務をしています。クラウド会計システムは、いつでもどこでも、スマホやタブレットからでもクイックに対応できるのがいいですよね。


収益と費用の計上タイミングを早めて、月次の収支予測を正確に立てられるようになりました。以前は通帳記帳後に相手科目を現金として計上していましたが、今は取引発生時に相手科目を事業未収入金/事業未払金に計上しています。月次の収益は入金確認まで含めて正しいスパンで回るようになりました。


社会福祉法人with freeeは、標準で実績管理や資金繰りに関するレポートをタイムリーに表示してくれる点でも助かっています。当法人の月次キャッシュフローは定型化しているので、特に収益レポートは経営状況をざっと把握するためによく見ています。


理事長も顧問税理士も「社会福祉法人with freee」を自分の見たいタイミングで閲覧していますよ。違う場所にいてもリアルタイムの数値を互いに把握できるようになり、経営判断のスピードが上がりました。今までは経営の意思決定を理事長の肌感覚に委ねていた部分もあったのですが、毎月の資金繰りが可視化されるようになってで経営の安心度が高まりました。

freeeを基軸にして、日々の業務からシステム全体まで地道な改善を続ける

freeeで最高の経営基盤を用意してくれているので、業務の進め方もfreeeに合わせて一つひとつ地道に改善しています。現場で起きている課題と真面目に向き合ったうえで、業務自体をfreeeの設計思想に合う方法に変えていくことが、結果として現場職員の負荷軽減とサービスの品質向上につながっています。


業務改善は、いかに手間を減らして便利になるかを考えて最適な流れになるように進めています。購買プロセスは抜本的に見直した業務の代表例ですね。銀行窓口での支払いや立替経費は廃止し、できる限りfreeeで自動入力できる支払方法に変えました。また、保育園では一般的な「集金袋」による教材費の回収を廃止して、口座振込へ切替て回収状況の可視化・freeeへの連携を実現しました。


freeeは、他のクラウドサービスと連携するためのAPIが充実していますよね。勤怠管理や保育料・学童利用料の口座振替、ワークフローなど、いま使っているサービスのほとんどは、freeeと連携させて運用しています。紙ベースで手間取っていた各種申請や保護者への請求管理のルールも、システムに合わせて改正しました。滞納の見過ごしがなくなり、毎月の締処理も早くできるようになっています。


スモールビジネスを良くしていこうとするfreeeと親和性が高いシステムを素直に紡いでいけば、自分たちの事業も高みに上がっていける−−そんなイメージを持っているんです。なので、新しいサービス導入を検討するときには、freeeアプリストアにあるサービスを優先して選定しています。freeeの担当者は親身になって相談に乗ってくれますし、大局的な提案もしていただけるのでありがたいです。

子どもたちに多様な学びの場を用意して、世界を広げる機会を増やしたい

個人的には、freeeを会計システムというより経営管理ツールとして捉えています。事業の改善活動にどれだけ支出できるかを常にコントロールしながら清く正しい経営を推進できるようになり、経営基盤を固められた手応えをつかんでいます。


経営基盤を固められたことで、施設それぞれの特色を打ち出すための施策も講じやすくなりました。今後は、子どもたちに良い学びの場をつくれるような施策を強化・推進していきたいと考えています。大人になってからも使うであろうデジタルツールに触れてもらったり、インターネットを通じて英語講師の授業を受けられるようにしたり……考えるといろいろな案が出てきます。


ツールやシステムの導入だけでなく、保育や教育のプロの採用も推進していきたいです。さまざまな業務でクラウド化やネットワーク化を進めているので、勤務地をつくばに限定せず、より面白い人を採用できればと考えています。子どもたちにとってより良い出会いを用意して、選択肢を増やしたいんですよ。「世界が広がる原風景はここだったなぁ」と、子どもたちが将来思ってくれると嬉しいです。


自治体や保護者から選ばれる事業として成長していくためには、自立して向上していく経営スパイラルを回し続けることが不可欠です。社会福祉法人with freeeは、経営者が自ら実績や資金繰りをリアルタイムで把握し、事業改善の意思決定をするうえで最適な経営管理ツールではないでしょうか。職員の働き方の改善も目に見えて進むはずです。


“社会福祉法人


Company Profile

社会福祉法人 ナガタナガサキ
茨城県つくば市小野崎311-1


事業概要

2011年7月設立。「自分を大切にし、人を思いやる心を育てる。」「自分のできることは自分でする意欲を育てる。」「自分で考え、自分で決めることができる人を育てる。」を育成理念に掲げ、保育園および学童保育施設を運営する。保育士、看護師、栄養士、調理師、学童指導員による専門的な見解を通して、保護者のニーズに応え、子どもたちが第二の家として安らげる場所をつくっている。

社会福祉法人 ナガタナガサキ