請求書の発行業務を60~70%削減 上場後にfreeeを導入し、さらなる事業拡大へ

課題
エクセル・紙管理からの脱却バックオフィスの体制構築・効率化

株式会社MS-Japanは、人材採用・教育事業で1990年に設立。2016年12月に東京証券取引所マザーズに株式を上場し、2017年12月には東京証券取引所市場第一部へ市場変更しました。


人材紹介事業に加え、士業と管理部門のためのプラットフォームManegy(マネジー)を運営するなど、複数の事業を展開しています。


同社は、上場し、市場変更したあとの2020年に、freeeを導入しました。上場企業として抱えていた課題やfreee導入後の変化、今後の展望について、取締役 経営管理部長の山本拓さんと経営管理本部 管理部 FAユニットリーダーの山口大和さんに伺いました。

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改善のご提案を差し上げます。まずはお気軽にご相談ください。

新規事業にも対応できる経理の体制が求められる

--貴社の事業内容について教えてください。

山本拓さん(以下、山本) 当社は創業が1990年で、設立当初は会計事務所向けの人材紹介からビジネスをスタートしました。1995年に管理部門特化型の人材紹介も始め、それから一貫して管理部門及び士業の人材紹介事業を続け、今期で32期目になります。


また、管理部門や士業の方々が日々業務で使うメディアプラットフォームとして、「Manegy(マネジー)」を運用しております。




--freee導入以前、上場企業としてどのような課題を抱えていましたか?

山本 大急ぎで上場したところがあり、人材紹介事業のみに特化したような経理業務の体制で、なおかつ紙に依存した業務フローになってしまっていました。


しばらくその状態が続いていたなかで、新たにメディア事業の「Manegy」などの成長で、サービスラインが増えたんです。今後も新たな事業の展開が考えられるなかで、業務のやり方を全体最適となるように見直す必要が出てきました。


会社が非上場のときは、取引先がドラスティックに増えていくこともなく、紙でも業務がまわっていたんです。しかし、上場してさらに戦略的に事業を展開していくとなると、マーケティングや開発などで新しいサービスもどんどん利用していく。それに合わせて請求書や支払い先の数も増えていって、入れ替わりも激しかったので、それまでのシステムでは厳しいと感じていました。


山口大和さん(以下、山口) 現場では、稟議システムと支払い管理のシステムが異なっていることが課題となっていました。支払い依頼に関しては、まず担当部署の人がExcelで支払い依頼書を作り、紙で印刷します。稟議書がある場合はホッチキスで支払い依頼書に留める。それを上長に回し、最終的に経理に回ってきたら、手作業で経理システムに入力するフローになっていたんです。



山本 私は経営管理部の部長なので、集まってくる申請書類が特に多かったです。押印が1カ月で数百枚になるときもありました。ただハンコを押すだけの、生産的とは言えない時間でしたね。



1カ月の並行稼働期間を経てfreee本稼働。丁寧なマニュアルづくりで協力をあおぐ

--freeeを選び、導入したきっかけを教えてください。

山本 支払い申請の紙の量を見たときに、どこかのタイミングで業務改善しなければと思っていたんです。もともとfreeeのサービスは、2014年ぐらいから知っていて、2017年には導入を見送りにしたことがありましたが、今回お話を伺うと、いろいろ機能が付加されていて好感を持ちました。


山口 稟議と支払い申請の紐付けができる点は、当社にとって魅力でしたね。また、導入前からご担当者が手厚くサポートしてくれたのも、決め手の一つでした。もともと人材業界出身の方が導入支援を担当してくれたので、私たちの事業をよく理解されていて、「こういうところに課題はありませんか」と提案してくれたり、「経理処理ってこんなところがありますよね」とよく把握されていたりしたので、とても信頼できました。



--どのような流れで導入を進めましたか?

山口 2020年の8〜9月に検討を始めて、12月に導入しました。本稼働は、新しい会計年度の2021年4月からです。検討段階では、他のサービスの機能や価格も聞き、既存のサービスを全てfreeeに変えるのか、一部残すのかといったことを、金額も含めて検討していました。


山本 経理のシステムを変えるとなると、経理のフローだけではなく、現場にも影響が出るので、合意形成を徐々にしていったんです。事業部側にかかる教育コストも大きいですからね。例えば全てfreeeにした場合、一部残した場合、変えなかった場合の比較を、全社的に丁寧に説明していました。会計システムの導入は経理だけでやっているように見えて、実際には会社全体のプロジェクトだと思うので、協力してもらいつつ、一緒にがんばっていこう、と。



山口 12月に導入し、翌2021年の1〜2月は社員へのマニュアル作りと展開していきました。ポイントは、まだ既存のシステムが走っている段階では、新しいマニュアルを展開するのが早すぎてもいけないことです。マニュアルのリリースのタイミングには気を遣っていましたね。


また、J-SOX対応の業務プロセス上、統制が効いていることは必須でした。紙で行っていた部分をシステムで自動化することで、人的ミスがなくなる点などを、監査法人と確認していきました。



--導入時に大変だったことを教えてください。

山口 4月からの本稼働に向けたタイトなスケジュールでは、既存システムと並行稼働させて検証できる期間が3月の1カ月間しかなかったことです。


並行稼働期間の3月は本決算の時期でもあり、支払い漏れや計上漏れにも特に注意する必要がありました。「紙とクラウドの区別がわからない」など、社員からの問い合わせも多かったです。問い合わせに応えつつ、ミスができるだけ起きないように、2回、3回と細かくアナウンスしていました。


結果的に、3月だけで検証できることには限界があって、4月から本稼働を始めたうえで、さらに検証を進めていきました。4〜5月は社員からの問い合わせがさらに増え、マニュアルを頻繁に更新していました。


導入当初だけは、取り込んだ数字の整合性のチェックなど、運用する側はとても大変でした。本決算もそこに加わってきて、普段の1.5倍ほどの工数があったと思います。



定常業務を効率化し、事業拡大に対応できる経理チームに

--freeeを導入して、業務はどう変わりましたか?

山口 freee導入以前は、月末の債権・債務の消し込みに1日以上かかっていることもありました。以前のシステムの場合、インターネットバンキングから出したデータを目視で確認しながら数字を入れていき、消し込む方法だったんです。システム上で消し込みできるため、その手間が省かれて、業務は30~40%ほど削減できました。


請求書の発行時間は、60~70%削減できていると思います。以前は請求のタイミングで全て紙の請求書を印刷して、漏れがないか数えて封筒に入れる作業がありました。今はfreeeからメールで送っているので、半日かかっていた生産的でない作業がゼロになっています。今後事業が拡大していき、請求書の数もどんどん増えていくことを考えると、長期的な目線でもとても良かったと感じています。


監査法人とのやりとりも楽になりました。今までは、監査法人からのオーダーに応じて、紙から探し出した資料を提出するかたちで、煩雑な作業だったんです。紙を探すときの心理的な負担感も大きかったですね。それが、今では監査法人にもアカウントを提供していて、全て自由に見てもらえます。


監査法人の方も最初は大変そうでしたが、今では結構使い込んでくださっています。経理の債権・債務のデータや稟議も全てfreeeに入っているので、お互いのコミュニケーションコストが大幅に減りました。



山本 支払い依頼書や稟議書にハンコを押す時間がなくなったのも大きいですね。今は電車の通勤のときなどのちょっとした空き時間にも承認作業ができます。


また、稟議システムと支払い依頼が一致しているので、「これって稟議なくて大丈夫?」「本来は必要な稟議書が付いていないな」とチェックする作業もゼロになりました。



--タグ機能はどのように活用していますか?

山口 人材紹介事業では、入社が決まる「受注」のタイミングと、「売上」として計上するタイミングにズレが生じます。例えば、当社のサービスを使っていただいた求職者の方が今月に内定を受けたとしても、実際に入社するのは2〜3カ月後だったりするわけです。


会計処理だけであれば、入社月だけ押さえておけばいいのですが、当社の販売管理上、受注月もちゃんと追っていくことは大事です。それが、営業の成績でもあり、KPIの設定や予算管理、業績予測にもつながっていくからです。


そこで、売上の仕訳に「2021年9月」といったタグをつけて管理しています。例えば売上の計上月、つまり入社日は、2021年12月だとしても、タグで受注月の「2021年9月」というデータが残っているので、タグを引っ張れば管理会計に活用できるようになっています。




--freee導入を検討している企業様に、アドバイスをお願いします。

山口 従来の会計システムは、自分達がやりたい会計の処理に合わせてカスタマイズしていく考え方だったと思います。一方、freeeはある程度決まっているシステムに合わせるようにフローを構築していくことが大切です。


システムのリプレイスは平行稼働する時期が大変だと思うのですが、そこを乗り越えてまわり始めれば、大幅に楽になります。今まで余分にかかっていた時間を事業拡大のバッファやリスクの除去に使えるようになるので、挑戦していって欲しいですね。


山本 今は変化の激しい時代で、会計そのものの捉え方も変わってくると思います。そのときに重要になってくるのは、会社自体の開発スピードや柔軟性だと思うんです。freeeさんは先進的で会社としてどんどん新しいものを取り入れていっていますよね。その姿勢はfreeeさんのサービスに反映されていくと思うので、安心して利用できると思いますね。




--今後の展望についてお聞かせください。

山口 経理として、事業の成長や拡大に柔軟に対応できる体制を作っていきたいです。消し込みのような定常の業務はできるだけ効率化して、事業部が効率よく仕事ができる環境の構築や、リスクの排除に取り組んでいきたいと思っています。


山本 生産性のない仕事を人間の手作業で解決することは避けていきたいです。freeeさんのようなサービスを使い倒していって、できるだけ定常業務をシステムに任せて、これからの時代に求められる付加価値の高い仕事に集中できる経理チームにしていきたいですね。


(取材・執筆:遠藤光太 撮影:藤原慶 編集:ノオト)

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