「話しかけやすい経理部」への変革で、バックオフィスの業務効率化を促進!創業62年の会社がfreee導入の先に見えた世界

日の丸興業株式会社 経理課室長 黒竹誠辰 氏

課題
freeeアプリストアやfreee APIの活用複数人・複数拠点で経理データを共有

岐阜県にある日の丸興業株式会社は、親会社である日の丸自動車株式会社の自動車整備部門が分社して創業され、安定した経営を長く続けた結果、2017年には創業60周年を迎えました。社是として「マークに恥じないサービス」を掲げる同社では、お客様に信頼されるサービスを提供しながら、業績を伸ばし続けています。


しかし、そのバックオフィスは、膨大な書類やExcelにより、煩雑な経理業務に陥っていました。それを解決したのが、経理課室長の黒竹誠辰氏が導入を推し進めたfreeeです。 同社では、2018年12月に、まずは1社でfreee会計を導入。ペーパーレス化を実現するワークフロー機能や、月次決算が3営業日程度で組めるなどの使用感に納得したところで、グループ全社にも展開しています。また、2019年10月には、グループ2社でfreee人事労務も導入しました。その結果、それまで丸一日かかっていた給与計算が2〜3時間で終わるなどの効果を実感しています。


新規ツール使い始めたばかりのころは、関係者に大きな負荷がかかり、業務に困難を極めることが少なくありません。そのなかで、黒竹氏はどのようにして導入を成功させたのか。その経緯と導入の効果を伺いました。

紙とExcelのデータが膨大で、試算表作成に2〜3カ月かかることも

―― 御社の概要を教えてください。


“日の丸興業株式会社

日の丸興業株式会社 経理課室長 黒竹 誠辰 氏
会計事務所で13年間勤務したのち、名古屋市内の企業にて経理担当者として10年間勤務。その後、人材紹介エージェントを通じて、日の丸興業株式会社と出合い、2014年に経理担当者として入社。現在は、日の丸グループ全社の経理を統括している。

当社は、岐阜県を中心にタクシーやバス、ガソリンスタンドなどの自動車関連事業を展開する「日の丸グループ」の1社です。現在、80人の社員が働いています。


グループは弊社のほか、タクシー会社2社と石油総合商社1社の計4社によって構成されています。当社が担当するのは、自動車やバイクの販売・修理、ボルボのディーラー運営です。


1957年に創業された「老舗」とも言えますが、社長や副社長は「古い慣行が残る自社にITシステムを取り込み、今の時代に合う企業へと変えていきたい」という要望を持っています。そのようなトップがいる組織で、前任の経理部長の定年退職を機に、入れ替わりで入社したのが私でした。



―― 黒竹さんはどういった役割を担われているのでしょうか?

入社時から、「バックオフィスを効率化させる」というミッションが課せられています。というのも当社のバックオフィス業務は、膨大な紙やExcelでの情報管理により、非効率な状態に陥っていたからです。


例えば、当時使っていた会計システムはインストール型。物理的に距離のある拠点間ではコストがかかり、ネットワーク構築ができていませんでした。そのため、出張が多い社長や副社長もノートパソコンからデータを確認できず、紙の資料を常に持ち歩いていたのです。


また、当時の元帳や試算表は手書きで、それをExcelに落とし込んで作成するため、完成には2〜3カ月かかっていました。それでは、確認したい数字がリアルタイムで分かりません。また紙ベースだと、転記ミスなどのヒューマンエラーが起きる可能性があります。さらに、会計データは可視化されておらず、資金繰りの悪化に気づけなかったこともありました。


そのような状況のなか、まずはグループ内でも部門の多い当社の業務効率化を命じられました。

自社に適合する会計システムを探し求め、freeeを見つけた

―― そのような状況で、freeeを導入したきっかけはなんだったのでしょうか?


“日の丸興業株式会社


ミッション遂行のために、クラウド型の会計システムを探していました。見たいデータを自由に確認でき、停電などが起きてもデータが破損するリスクは、ほぼ無いからです。


まずは、顧問税理士から薦められた「税理士向けクラウド会計システム」を利用しましたが、システムが重く、使いづらいと感じましたね。それに部門別会計に対応しておらず、当社には適合しません。


そのとき、「そもそも経理の数字とは、何のために作るのか?」を改めて考えてみたのです。それは企業の実態を把握するため。だったら、「使いやすい会計システムを利用し、自社で数字を把握できなければ意味がない」と思い至りました。そして、自社に合うシステムを探すなかで、法人向けのシステムで、かつ多くの企業での導入実績があり、部門別会計にも対応していたfreee会計に注目しました。



―― 導入の決め手となった機能はありますか?

AI(人工知能)を駆使した「自動仕訳機能」です。経理がわからない人でも処理がしやすく、作業の効率化につながると考えました。


また、帳票などのデータを確認しやすいことも魅力です。経営者は売上や粗利、利益を確認できないと、経営判断を行えません。そのとき、紙ベースの「貸借対照表」や「損益計算書」では科目が多すぎて、重要なポイントがわかりづらくなります。


一方、freee会計の画面は余分な箇所がなく、すっきりと整理されています。重要ポイントには色がついていますし、自動作成されたグラフや表を確認できるため、短時間でも理解しやすいのです。



―― その後、グループ全体へ展開されたんですね。

はい、そのような魅力が詰まったfreee会計のアウトプットを見せながら、社長と副社長には導入の効果を根気強く説明しました。その結果、承諾を得ることができ、全グループにfreee会計の展開を命じられました。


また、グループ内で複数のインストール型給与計算システムを使っていたことで、余分なコストがかかっていました。それを1つにまとめるため、グループ2社には、freee人事労務も導入しています。これはfreee会計と同じクラウド型ということもあり、場所を問わず、経営者が見たいデータをいつでも確認できるなどのメリットを感じています。


現在は、部長と協力しながらfreee人事労務で給与計算を行っています。今までは、紙の給与明細書を印刷して、それを封筒に詰める作業に丸一日必要でした。一方、導入後は社員がfreee人事労務上で給与明細を確認できるので、ほんの2時間くらいで終わるようになり大変助かっています。

部署間とグループ間での壁を壊し、freeeをフル活用する土台をつくる

―― freeeの活用には社員の協力も不可欠です。導入はスムーズに進みましたか?


“日の丸興業株式会社


freeeの機能をフル活用するには、社員の意識改革が必要です。それまでそれぞれの社員が携わる領域は部署ごとに限られており、「自分の仕事を他の人に取られたくない」と考える社員も少なくありませんでした。


けれど、企業で働く以上、仕事は個人で完結できるものではありません。その壁を壊さなければ、全社をつなぐfreeeを活用した業務効率化は実現しないと考えていました。


そこで、「なぜ壁を壊す必要があるのか」を社員に説明し、特に「チームで仕事をすること」の重要性を伝えました。その理解を得ることからスタートし、今では部署間を隔てていた壁が、だいぶ取り払われてきましたね。また、経理部自身も他部署と連携しやすい状態を目指しました。



―― 経理部も、ですか?

当時の経理部は「何をしているのかわからない」「難しい数字を扱う、堅苦しい部署」と思われ、話しかけづらかったようです。しかし、他部署とうまく連携できなければ、経理処理は進みづらくなります。


そこで、まずは経理の仕事を理解してもらおうと、研修の一貫として、新入社員に各部署の仕事を経験してもらったのです。経理部を経験した新入社員から「ここでは大変な仕事をしているんですね」と言われ、社員の理解につながっていくことを感じました。


それまでの経理部の社員は、社内食堂をあまり使っていませんでした。そこでまず、私自身があえて食堂に行き、他部署の社員と雑談をするようにしたのです。これによって話しやすい雰囲気が生まれたようで、経理部に顔を出してくれる人が増え、経理処理に必要な情報を知れるようになりました。


実は、社員同士の交流の少なさは部署間だけではなく、グループ間の課題でもあったんです。そこで、管理職の社員たちもこの課題解決に協力してくれたおかげで、今では交流が増えましたね。自分一人でグループ全体の交流活性化を進めようとしていたら、挫折していたことでしょう。


そうした意識改革をした上で、社員がすぐ使えるようにfreeeを設定し、使い方の説明に注力しました。今では、部長が予算を組むための数字はfreeeで確認してくれています。部長からは「このシステムは見やすいですね」と好評です。

遠隔からでもデータが見られるクラウドのメリットを享受

―― freeeの導入で具体的にはどんな変化がありましたか?


“日の丸興業株式会社


グループ全体の業務効率化が実現したのを感じています。


例えば、社長や副社長は、経営判断に必要なデータを出張先からでも確認できるようになりました。顧問税理士もわざわざ来社する必要がなく、税理士事務所でデータを確認できるので、監査の時間も大幅に短縮されましたね。


また、当社では、月次決算を組む際にfreee会計を活用しています。例えば、「勘定科目内訳明細書」を作成する機能を試したところ、試算表から数字が転記されるので、非常に便利でした。


また、仕訳の入力や修正も、「自動仕訳機能」を活用することでラクになりました。これらを使いこなすことで、今では月次決算は大体3営業日で組めています。



―― ほかに、活用している機能はありますか?

「ワークフロー機能」ですね。支払い・稟議・経費精算がfreee上でできるので、転記ミスを防ぐためのペーパーレス化が実現しつつあります。


また、インターネットバンキングとのデータ連携機能は、特に便利だと感じています。これを使えば、利用明細がfreee会計に自動で取り込まれ、入出金情報をリアルタイムで確認できるからです。


それに「タグ機能」で、経営状況の多角的な分析もできます。ただし、ほとんどの会計システムでは「補助コード」や「枝番」が使われ、それに慣れている社員はfreee独自の「タグ」を理解するのが最初は難しいでしょう。そこさえクリアできれば、さらに活用しやすくなるはずです。


※freeeには「取引先」「品目」「部門」などの情報を付加できる「タグ」という概念があります。「タグ」は従来の補助科目と同じように使うことも可能ですし、多角的分析に用いるなど補助科目を上回るメリットもあります。

ITが不得意な社員も積極的に利用してくれ、年末調整もスムーズに

―― freee人事労務はどう活用されているのでしょうか?

freee人事労務と勤怠管理システム「KING OF TIME」の連携によって、労務管理業務や給与計算も効率化されました。以前は、部長が1人でタイムカードを見ながら、数時間かけて勤怠データと照合していたんです。


「KING OF TIME」の導入後は、権限を与えられた各部門の所属長が「部下の打刻データ」を管理・確認し、それを部長が最終確認する。そして、この勤怠データをfreee人事労務へワンクリックでインポートすると、給料明細に反映されます。このような流れで勤怠データはfreee人事労務へとシームレスに移行されるため、ヒューマンエラーが起きづらくなり、さらに個々のシステムに勤怠データを手入力する手間もなくなりました。


以前は給与計算の作業には丸一日かかっていましたが、今では2〜3時間で終わるようになりましたね。freee人事労務はExcelで作った給与データもインポートできますし、従業員は給与明細をWEB上で見られるようになったので、そもそも紙で印刷して配る必要がなくなりました。

―― ほかに紙を使わなくなった業務はありますか?

2019年から、freee人事労務を使った年末調整をスタートさせました。それぞれの社員のスマホから必要な情報を入力してもらっています。


実は、最初に入力を完了させたのは、ITが苦手と自負している社員でした。その社員が「手順どおりに進めたら、自分でも簡単に入力できた」と話すのを聞き、「あの人ができるなら、自分にもできるはずだ」とほかの社員も感じたようです。freeeはそれほど、シンプルなシステムなんですよね。


また、全体の1割程度を占めるスマホを持っていない社員には紙ベースで提出してもらい、私がfreee人事労務に手入力しています。12月初旬時点で、すでに必要な情報の回収がすべて終わりました。

経理を知らなくても使えるfreeeの価値は損なわれてほしくない

―― 今後の展望と、freeeの導入支援担当者に伝えたいメッセージがあれば教えてください。


“日の丸興業株式会社


今後、トップからは「グループ各社に点在している経理部を集約させ、ホールディングスとしての経理部門を構築してほしい」と要望されています。そのために、グループ全体の会計と労務を1カ所で管理できる体制づくりを進めている最中です。グループ各社にfreee会計とfreee人事労務を導入したのは、その一環でもあります。


また、導入を支援してくれたfreeeの若林さんには、これまでの会計システムとは異なる「freeeの考え方」をユーザーに浸透させる重要性をお伝えしています。その概念を理解できなければ、活用しきれないからです。


また、「経理を知らない人でも使える会計システム」というfreeeのコンセプトは変えないでほしいですね。「電子帳簿保存法」によって、会計データを電子データで保存することが認められ、今後もクラウドシステムを使った会計処理が本格化するはずです。そのなかでfreeeがこのコンセプトを変えてしまったら、ほかのシステムと同じになってしまう。当社でも価値を感じている「freeeらしさ」はなくしてほしくないな、と感じています。


もしクラウドサービスを使って、業務改善を考えている企業であれば、freeeの導入サポートをフル活用しつつ、まずは試しに使ってみるのがおすすめです。そうすれば、いかに業務効率が上がるかを実感できるでしょう。特に当社のように、アナログ作業の限界を感じている企業には、freee導入を薦めたいですね。


(執筆:流石香織 編集:鬼頭佳代/ノオト)

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