白色申告で経費にできるもの・できないものとは?上限額や書き方もわかりやすく解説

更新日:2026/10/29

監修:北田 悠策

目次

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白色申告では、事業に必要な支出であれば原則として必要経費に計上できます。経費に一律の上限はありませんが、事業との関連性や金額の妥当性を説明できるようにしておくことが重要です。

一方で、事業主自身の給与や所得税・住民税、生計を一にする親族への給与など、経費として認められない支出もあります。また、10万円以上の備品・機器は減価償却が必要になる場合があり、自宅兼事務所の家賃や水道光熱費などは家事按分して計上しなければなりません。

本記事では、白色申告で経費にできるもの・できないものや、主な勘定科目、経費の書き方などを解説します。

白色申告の経費はいくらまでが上限?

白色申告では、必要経費として計上できる金額に一律の上限はありません。事業に直接関連する支出であれば、高額であっても必要経費として計上できる場合があります。

ただし、全ての支出を無制限に経費にできるわけではありません。必要経費として認められるには、その支出が事業に必要なものであり、金額や内容に妥当性があることが重要です。

たとえば、年間売上が300万円の事業主が200万円の接待交際費を計上した場合、事業との関連性や支出額の妥当性について確認を求められる可能性があります。そのため、経費を計上する際は、誰に・何の目的で・どのような業務上の必要性から支出したのかを説明できるようにしておきましょう。

なお、必要経費は原則として、その年に債務が確定した金額を計上します。支払い済みであっても債務が確定していないものはその年の必要経費にならず、未払いであっても年末までに債務が確定していれば必要経費にできる場合があります。

出典:国税庁「No.2210 必要経費の知識」

【一覧表】白色申告で経費にできるもの

白色申告で確定申告する際に、経費計上できる主な費用の項目は以下のとおりです。

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経費(勘定科目) 具体例
給料賃金 従業員に支払う給料

※生計を一にする親族への給与は原則として必要経費にできず、一定の要件を満たす場合は事業専従者控除の対象となる

外注工賃 仕事を外部に委託した費用
例:電気工事費・システム開発費・店舗ロゴデザイン費用など
減価償却費 固定資産(10万円以上の備品や機器)を法令が定めた耐用年数にしたがって分割し、計上する費用
例:パソコン・自動車・オフィスチェア・デスクなど
貸倒損失 売掛金・貸付金・未収入金などが得意先の経営悪化や倒産により回収不能となった損害金額
地代家賃 事業で使っている事務所や店舗にかかる賃料や使用料

※自宅兼事務所の場合は事業で使う割合を家事按分して計上する必要がある

利子割引料 事業用の借入金にかかる支払利息や、事業用のリボ・分割払いの手数料

※元本の返済分は経費計上できない

租税公課 事業に関連して国や地方自治体などに支払う税金や公的な負担金
例:事業税・固定資産税・自動車税・不動産取得税・印紙税など

※所得税、住民税など事業主個人に課される税金は経費計上できない

荷造運賃 商品や製品を発送するのにかかった費用
例:梱包材料費、配送費など
水道光熱費 事業を運営するうえで必要な電気代・ガス代・水道料金

※自宅兼事務所の場合は、事業で使う割合を家事按分して計上する必要がある

旅費交通費 事業に関わる移動費用、宿泊費用
例:電車賃・タクシー代・飛行機代・宿泊費など
通信費 事業で使う通信費用
例:切手代・はがき代・電話料金・インターネット回線使用料など
広告宣伝費 事業や商品の広告に関わる費用
例:インターネット広告費用・チラシやDMの費用など
接待交際費 得意先や仕入先など特定の範囲に対する接待・供応・慰安・贈答にかかる費用
例:取引先との飲食代・贈答品代・冠婚葬祭の祝儀など
損害保険料 事故や火災といった損害から事業を守るための保険料
例:火災保険・自動車保険・損害保険など
修繕費 事業に関わる建物や機械などの資産を回復、維持するためにかかる費用

※業者を手配して修理した場合も修繕費となる

消耗品費 使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費用
例:文房具・ガソリン代・名刺・電球など
福利厚生費 従業員の慰安・医療・衛生・保健などのために事業主が支出した費用
例:社員旅行代・お祝金・健康診断費用など
雑費 事業上の費用で、ほかの経費(勘定科目)に当てはまらない経費

出典:国税庁「帳簿の記帳のしかた−事業所得者用−」

広告宣伝費と接待交際費とでは、対象とする範囲が異なります。得意先や取引先との会食、贈答品の代金など、事業に関係する特定の相手に対してかかる費用は接待交際費です。

一方、不特定多数の人への宣伝で使った費用は、広告宣伝費として計上します。インターネット広告や街の看板だけでなく、試供品などの宣伝を目的として作成した品物も対象です。

判断に迷う支出があれば、税務署で確認しましょう。

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出典:国税庁「No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分」

白色申告で経費として認められないもの

以下の費用は、白色申告・青色申告を問わず、原則として必要経費には認められません。

白色申告で経費として認められないもの

  • 事業主自身にかかる費用
  • 親族従業員(事業専従者)への給与

事業主自身にかかる費用

以下のような事業主自身にかかる費用は、経費として認められません。

  • 事業主の給与
  • 健康診断費などの健康管理費
  • 所得税・住民税などの税金
  • 国民年金・国民健康保険の保険料

これらは事業主個人に関する支出と判断されます。必要経費として誤って計上しないようにしましょう。

親族従業員(事業専従者)への給与

白色申告では、生計を一にする親族従業員(事業専従者)に支払う給与を経費として計上することはできません。

ただし、一定の要件を満たす場合は、事業専従者控除が必要経費とみなされます。以下の条件を全て満たす場合、控除が適用されます。

事業専従者控除が必要経費とみなされる条件

  • 白色申告者と生計を一にする配偶者またはその他の親族であること
  • その年の12月31日時点で15歳以上であること
  • その年を通じて6ヶ月を超える期間、事業に専ら従事していること

控除額は、以下のいずれか低い金額です。

  • 配偶者の場合は86万円、配偶者以外の専従者は1人につき50万円
  • 事業専従者控除額を差し引く前の事業所得等の金額を専従者の数 + 1で割った金額

一方、青色申告では、一定の要件を満たして届出を行うことで、事業専従者に支払った給与を「青色事業専従者給与」として必要経費に計上できます。

出典:国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」

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白色申告の経費の書き方は?

白色申告では、簡易簿記(単式簿記)による記帳が認められています。簡易簿記とは、支出・収入などについて、ひとつの取引をひとつの項目で記録する記帳方法です。

白色申告の帳簿には、取引年月日、摘要・売上・雑収入等・仕入・経費といった項目を記載します。

法定帳簿の様式例

確定申告の際は、日々の取引で記帳した帳簿をもとに、収入金額や必要経費をまとめた収支内訳書を作成・提出します。

白色申告の帳簿の書き方について、詳しくは「 白色申告の帳簿の付け方は?記入例・保存期間・帳簿付けのポイントをわかりやすく解説」をご覧ください。

出典:国税庁「帳簿の記帳のしかた−事業所得者用−」

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白色申告で経費計上する際の注意点

白色申告で経費計上する際は、固定資産の減価償却や、事業用と私用を兼ねる支出を使用割合に応じて分ける「家事按分」などを理解しておくことが必要です。

白色申告で経費計上する際の主な注意点は以下のとおりです。

白色申告で経費計上する際の主な注意点

  • 10万円以上の備品・機器は一括で経費計上できない
  • プライベートと共用の支出は家事按分する

10万円以上の備品・機器は一括で経費計上できない

白色申告では、取得価額が10万円以上の備品・機器は、原則として購入した年に全額を必要経費として計上できません。

取得価額が10万円以上の備品・機器は、法令で定められた耐用年数に応じて、数年に分けて経費計上する減価償却の処理が必要です。ただし、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、「一括償却資産」として3年間で均等に経費計上することもできます。

なお、取得価額が10万円未満の備品・機器であれば、原則として購入した年に全額を必要経費として計上することが可能です。

一方、青色申告には「少額減価償却資産の特例」があります。一定の要件を満たす場合は、2026年4月1日以降に取得した40万円未満の資産を、事業の用に供した年度に一括で必要経費へ計上できます(ただし、年間合計300万円まで)。

青色申告の「少額減価償却資産の特例」

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改正前 改正後
取得時期 2026年3月31日までに取得 2026年4月1日から2029年3月31日までに取得
取得価額 30万円未満 40万円未満

出典:中小企業庁「少額減価償却資産の特例を拡充しました」

この特例は白色申告では適用できないため、10万円以上の備品・機器は取得価額に応じて、一括償却資産または通常の減価償却として処理する必要があります。

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プライベートと共用の支出は家事按分する

自宅兼事務所の家賃・水道光熱費・自動車関連費など、事業用と私用を兼ねる支出は、「家事按分」と呼ばれる処理が必要です。事業での使用割合を計算し、その割合に応じて経費計上します。

たとえば、自宅兼事務所の家賃を家事按分する場合、自宅の床面積や使用時間などの客観的な基準に基づき、事業で使用している割合を算出します。床面積を基準にする場合、自宅の20%を事務所として使用しているのであれば、家賃の20%を必要経費として計上可能です。

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白色申告の帳簿・領収書について知っておくべきこと

白色申告の帳簿・領収書の扱いについて知っておくべきことは、以下のとおりです。

白色申告の帳簿・領収書について知っておくべきこと

  • 帳簿・領収書は保存が必要
  • 領収書がなければレシートも有効

帳簿・領収書は保存が必要

白色申告では、以下に該当する人に対して、一定期間の帳簿や領収書などの保存が義務付けられています。

  • 不動産所得・事業所得・山林所得のある人
  • 業務にかかる雑所得があり、その年の前々年分の業務収入が300万円を超える人

白色申告で保存が必要な書類と保存年数は、以下のとおりです。

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保存が必要なもの 保存期間
・収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) 7年
・業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)
・決算に関して作成した棚卸表その他の書類
・業務に関して作成し、または受領した請求書・納品書・送り状・領収書などの書類
5年

出典:国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」

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領収書がなければレシートも有効

白色申告では、レシートも経費の証明書類として利用できます。日付・金額・取引内容・発行者などが記載されており、事業に関連する支出であることを説明できれば、レシートでも証憑として保存しておきましょう。

たとえば、ただし書きに「品代」とだけ記載された領収書では、購入した物品やサービスが不明確です。この場合、事業に必要な支出かどうかを客観的に判断しにくいため、購入内容が具体的に記載されたレシートのほうが、証憑として適切な場合もあります。

一方で、取引先との高額な取引や、取引内容の確認が重要な支出については、あて名入りの領収書を発行してもらったほうがよい場合もあります。領収書とレシートは、取引内容に応じて使い分けましょう。

領収書やレシートがない場合でも、請求書・納品書・クレジットカード明細・銀行振込明細・出金伝票などを保存しておくことで、支出の内容を説明しやすくなります。可能な限り、支払日・金額・取引内容・相手先・事業との関連性を確認できる資料を残しておきましょう。

なお、消費税の課税事業者が仕入税額控除を受ける場合は、原則として適格請求書(インボイス)の保存が必要です。

ただし、小売業・飲食店業・タクシー業など不特定多数の人に対して販売やサービス提供を行う事業者から受け取るレシートは、あて名の記載がなくても適格簡易請求書(簡易インボイス)として利用できます。

出典:国税庁「インボイス制度について」

出典:国税庁「適格簡易請求書の交付ができる事業」

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白色申告と青色申告の違い

白色申告と青色申告では、必要な手続きや帳簿付けの方法、受けられる控除に差があります。

青色申告を行うためには、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までに税務署へ「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。なお、その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合は事業開始日から2ヶ月以内に提出する必要があります。

青色申告では、複式簿記による記帳や、e-Taxによる申告など一定の要件を満たすと、最大で65万円の控除を受けることが可能です。青色申告特別控除を利用すると、課税所得を減らせるため、所得税や住民税の負担軽減につながります。

なお、2027年分以後は、青色申告特別控除の見直しが予定されており、複式簿記による記帳、期限内のe-Tax申告、一定の電子帳簿保存などの要件を満たす場合に、最大75万円の控除を受けられる見込みです。

一方、白色申告は特別な申請が不要です。白色申告は帳簿付けや申告手続きが比較的シンプルですが、青色申告特別控除など、青色申告特有の税制優遇措置を受けることはできません。

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まとめ

白色申告では、事業に直接関連する支出であれば、原則として必要経費に計上できます。経費に一律の上限はありませんが、支出の目的や事業との関連性、金額の妥当性を説明できるようにしておくことが重要です。

一方で、事業主自身の給与や所得税・住民税、生計を一にする親族への給与など、経費として認められない支出もあります。また、10万円以上の備品・機器は減価償却が必要になる場合があり、プライベートと共用している支出は家事按分しなければなりません。

正しく申告・納税するためにも、日頃から帳簿を作成し、領収書やレシートなどの証憑を保存しておきましょう。

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    詳しくは記事内の「プライベートと共用の支出は家事按分する」をご覧ください。

監修

北田 悠策

北田 悠策

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

ARDOR税理士事務所
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