白色申告の赤字は繰り越せる?確定申告の書き方や青色申告との違いを紹介
目次
初心者でも安心!
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白色申告の場合、赤字を繰り越して翌年以降の黒字と相殺することは原則できません。
ただし、所得税の還付や国民健康保険料の軽減措置を受ける場合、所得証明書・非課税証明書を取得する場合には、確定申告が必要です。なお、白色申告でも損益通算は利用できるため、事業所得や不動産所得などの赤字をほかの所得と相殺したい場合も、確定申告を行う必要があります。
本記事では、白色申告での赤字の取り扱い・確定申告書の書き方・青色申告との違い・青色申告への変更方法などをわかりやすく解説します。
白色申告では原則として赤字を繰り越せない
白色申告は、青色申告のように損失(赤字)を翌年以降へ繰り越すことができません。
以下の例では、2年目の赤字は繰り越されず、3年目に計上された600万円の黒字は600万円のまま計算します。
(例)個人事業の各年白色申告結果
- 1年目:400万円の黒字→400万円に対して課税
- 2年目:200万円の赤字→課税なし
- 3年目:600万円の黒字→600万円に対して課税
なお、青色申告では、一定の要件を満たす場合に、赤字の繰越控除や繰戻還付を利用することが可能です。詳しくは「青色申告では繰越控除・繰戻還付を活用できる」で解説します。
白色申告で赤字の繰り越しが認められるケース
白色申告は、青色申告のように損失(赤字)を翌年以降へ繰り越すことは原則できません。ただし、変動所得の損失・被災事業用資産の損失・雑損失などは、例外的に繰り越しが認められる場合があります。
白色申告で赤字の繰り越しが認められるケースは、以下のとおりです。
白色申告で赤字の繰り越しが認められるケース
- 変動所得の損失(赤字)
印税・原稿料・作曲料・著作権使用料・漁業・養殖などによる損失(赤字) - 被災事業用資産の損失(赤字)
災害により棚卸資産・事業用固定資産・山林が被害を受けた場合の損失(赤字) - 雑損失
災害・盗難・横領などによる資産の損失のうち、控除しきれない金額
出典:国税庁「所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き(損失申告用)」
白色申告で赤字の繰り越しが認められるケースは、事業から生じた変動所得の損失・被災事業用資産の損失・雑損失に限られます。
変動所得とは、印税・原稿料・作曲料・著作権使用料のほか、漁業・養殖など、その年によって大きく変動する可能性がある所得のことです。
また、被災事業用資産の損失(赤字)は、災害により棚卸資産や事業用固定資産が被害を受けた場合の損失(赤字)を指します。
白色申告でも損益通算は可能
白色申告でも、赤字の所得が不動産所得・事業所得・一定の譲渡所得・山林所得のいずれかである場合、原則としてほかの所得と損益通算ができます。
損益通算とは、ある所得で生じた赤字をほかの所得の黒字と相殺できる仕組みです。たとえば、副業による赤字が事業所得として認められれば、本業の給与所得と相殺できる可能性があります。
ただし、副業収入が雑所得に区分される場合は、赤字を給与所得などと相殺できません。事業所得と雑所得の区分は、社会通念上、事業と認められる規模・実態であるかが判断基準とされています。
副業で出た赤字が必ず損益通算できるわけではなく、事業所得になるか雑所得になるかなどの判断が必要です。
赤字でも確定申告をすべき理由
白色申告で事業所得などが赤字となり、所得税の納税額が発生しない場合は、原則として確定申告の義務はありません。
ただし、確定申告をしておくと、以下のようなメリットが得られる場合があります。
赤字でも確定申告をすべき理由
- 税金の還付を受けられる可能性がある
- 所得証明として利用できる
- 非課税証明書を取得できる
- 国民健康保険料の軽減措置が受けられる
- 住民税の申告を兼ねられる
税金の還付を受けられる可能性がある
源泉徴収や予定納税で本来の所得税額より多く納めている場合、確定申告で税金の還付が受けられます。
源泉徴収とは、給与や報酬の支払者が、支払時に所得税を差し引いて納める仕組みです。会社員の場合、給与から所得税が差し引かれています。
また、予定納税とは、前年分の申告納税額をもとに、その年の所得税の一部を前払いする制度です。
源泉徴収や予定納税で納めた税金が本来の所得税額を上回ると、確定申告によって差額が還付されます。
出典:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」
所得証明として利用できる
事業の拡大や資金調達のために銀行に融資を申し込む際、返済能力を確認する資料として、数年分の確定申告書の写しを求められることがあります。
赤字の場合も確定申告をしていれば、確定申告書の写しを提出できます。無申告の場合は、確定申告書を求められた場合も提出できません。
非課税証明書を取得できる
赤字の場合も確定申告をしていれば、非課税証明書を取得できます。
非課税証明書は、所得などの状況により住民税が非課税であることを証明する書類です。
住民税が非課税であれば非課税証明書、住民税が発生していれば課税証明書がそれぞれ発行されます。課税証明書や非課税証明書は、自治体窓口やコンビニなどで取得が可能です。
非課税証明書は、保育所の入所申請や公営住宅の申し込み、各種減免手続きなどで必要になることがあります。ただし、確定申告も住民税申告もしていない場合は、非課税証明書を取得できない可能性があります。
国民健康保険料の軽減措置が受けられる
国民健康保険料には、世帯の所得が一定の基準以下の場合に均等割額や平等割額が7割・5割・2割減額される軽減制度があります。
国民健康保険料は前年の所得をもとに計算されるため、赤字でも確定申告をすると軽減判定の対象となります。世帯内に所得が申告されていない人がいる場合、判定ができないため軽減措置は適用されません。
確定申告が済んでいれば、国民健康保険料の軽減措置を受けるための別途申請は不要です。ただし、具体的な取り扱いや申請の要否は個人の状況や自治体によって異なるため、必要に応じて居住地の窓口で確認しましょう。
住民税の申告を兼ねられる
赤字の場合でも確定申告をしておくことで、住民税の申告を兼ねられます。
確定申告をすると、税務署から自治体へ申告データが連携されて住民税額が決定されるため、原則として別途住民税申告を行う必要はありません。
一方、確定申告をしない場合でも、事業所得などがある人は住民税申告が必要になることがあります。
白色申告で赤字のときの確定申告書の書き方
白色申告で損失申告が必要な場合は、確定申告書の第一表・第二表に加えて、第四表を作成します。第四表は、損失申告用の申告書類で、第四表(一)と第四表(二)の2ページから成ります。
第四表(一)の記入方法は、次のとおりです。
第四表(一)の記入方法
- ①上部の「年分」欄に申告対象の年を記入し、その右の空欄に「確定」と記入する
- ②住所・氏名・フリガナ・整理番号などの基本情報を記入する
- ③「1 損失額又は所得金額」の各欄を記入する。「A 経常所得」欄には、第一表「所得金額等」①〜⑥と⑩の合計額を記入する
- ④譲渡・一時・山林・退職・株式等・先物取引の所得がある場合は、B〜Fの該当欄を記入する
- ⑤「2 損益の通算」欄で、A〜Fの所得を第1次〜第3次通算の順に差し引く
2ページ目の第四表(二)の記入方法は、次のとおりです。損益通算の申告のみで翌年以後に繰り越す損失がない場合などは、第四表(二)への記入は不要です。
第四表(二)の記入方法
- ①上部の「年分」欄と「確定」の文字を記入する
- ②「3 翌年以後に繰り越す損失額」「4 繰越損失を差し引く計算」「5 翌年以後に繰り越される本年分の雑損失の金額」などの該当する項目に金額を記入する
青色申告では繰越控除・繰戻還付を活用できる
青色申告では、純損失の繰越控除・繰戻還付を利用できます。繰越控除・繰戻還付は、事業で生じた赤字を将来や過去の所得と相殺し、税負担を軽減できる制度です。
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| 項目 | 白色申告 | 青色申告 |
|---|---|---|
| 損益通算 | 可能 | 可能 |
| 純損失の繰越控除 | 原則不可(変動所得・被災事業用資産の損失などは例外) | 翌年以降3年間の繰り越しが可能 |
| 純損失の繰戻還付 | 不可 | 前年も青色申告をしており、損失が生じた年分も期限内に青色申告書を提出する場合に利用可能 |
出典:国税庁「所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き(損失申告用)」
繰越控除とは
繰越控除は、事業所得などで生じた純損失を翌年以降、最長3年間繰り越して、各年分の所得金額から控除できる制度です。
たとえば、当年に500万円の赤字が出たケースを考えます。翌年に300万円の黒字となった場合、繰り越した500万円のうち300万円を差し引いて所得金額をゼロにでき、残った200万円は翌々年へさらに繰り越しが可能です。翌々年に250万円の黒字となれば、残りの200万円を差し引いて所得金額を50万円まで抑えられます。
繰越控除を受けるには、損失が生じた年分を青色申告で確定申告し、その後も連続して確定申告する必要があります。
繰戻還付とは
繰戻還付は、当年に生じた純損失を前年分の所得金額に繰り戻して控除し、前年に納めた所得税の還付を受けられる制度です。
たとえば、前年に600万円の黒字が出たケースを考えます。当年に500万円の赤字が出た場合、前年の600万円から500万円を差し引いて100万円分の所得として再計算することで、前年に納めた所得税との差額が還付されます。
前年の所得金額が当年の赤字より少ない場合、前年分の所得税額を上限として、還付を受けることが可能です。なお、繰戻還付を利用するには、前年も青色申告で確定申告をしている必要があります。
青色申告に変更する方法
白色申告から青色申告に変更するには、青色申告承認申請書を税務署に提出します。
青色申告に変更するための手続き
- 提出書類:青色申告承認申請書
- 提出期限:青色申告する年の3月15日まで(1月16日以降に開業した場合は開業日から2ヶ月以内)
- 提出方法:税務署窓口への持参・郵送・e-Tax
提出期限は、青色申告をしようとする年の3月15日までです。ただし、その年の1月16日以降に開業した場合は、開業日から2ヶ月以内が期限です。期限を過ぎると、その年は白色申告のままとなり、青色申告の適用は翌年からとなります。
提出方法は、税務署窓口への持参・郵送・e-Taxから選択できます。一度提出すれば、取りやめの届出を出さない限り、翌年以降も継続して青色申告が可能です。
まとめ
白色申告では、赤字を翌年以降の黒字と相殺するための繰り越しは原則できません。ただし、損益通算により、事業所得や不動産所得などの赤字をほかの所得と相殺できる場合があります。
赤字でも確定申告をしておくことで、所得税の還付・国民健康保険料の軽減措置・所得証明書や非課税証明書の取得につながる場合があります。赤字の繰り越しや繰り戻しを活用したい場合は、青色申告への変更が必要です。
白色申告・青色申告での赤字の扱いを理解し、事業状況や申告の目的に応じて適切な方法を選びましょう。
参考文献
▶︎国税庁「所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き(損失申告用)」
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白色申告で赤字だとどうなる?
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詳しくは「白色申告では原則として赤字を繰り越せない」をご覧ください。
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白色申告で赤字でも確定申告は必要?
白色申告で事業所得などが赤字となり、所得税の納税額が発生しない場合は、原則として確定申告の義務はありません。
ただし、申告をしておくことで、源泉徴収された所得税の還付や国民健康保険料の軽減措置を受けられる場合があります。
詳しくは「赤字でも確定申告をすべき理由」をご覧ください。
監修

北田 悠策
神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。