業務委託は社会保険に加入できる?会社員との違いや社会保険料・扶養についても解説

更新日:2026/10/12

監修:大柴 良史
監修:松浦 絢子

目次

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業務委託として働く個人事業主やフリーランスは、会社員とは加入する社会保険が異なります。業務委託の人が加入する社会保険は主に国民健康保険と国民年金(40歳以上の場合は介護保険を含む)です。

一方、業務委託で働く人は原則として労働者とみなされないため、厚生年金や雇用保険には通常加入できません。労災保険も原則として雇用されて働く労働者が対象ですが、企業などから業務委託を受けるフリーランスは、労災保険の特別加入制度を利用できる場合があります。

本記事では、業務委託の人が加入する社会保険の種類や会社員との違い、副業で業務委託を行う際の社会保険の扱いや保険料の考え方について解説します。

業務委託でも社会保険に加入できる?

業務委託として働く個人事業主やフリーランスも社会保険に加入しますが、会社員とは加入する社会保険の種類が異なります。

社会保険とは、広い意味で捉えると以下の5つです。

広義の社会保険

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

このうち、健康保険・介護保険・厚生年金保険の3つを「(狭義の)社会保険」、雇用保険・労災保険の2つを「労働保険」と呼びます。

社会保険の主な5種類

また、業務委託とは雇用契約を結ばず、発注者が事業者に物品の製造やサービスの提供などを委託する契約形態です。業務委託と会社員では、加入する社会保険に主に以下の違いがあります。

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社会保険の種類 業務委託 会社員
健康保険(介護保険を含む) 主に国民健康保険 健康保険組合や全国健康保険協会など
年金保険 国民年金 厚生年金
雇用保険 加入対象外 加入
労災保険 原則として加入対象外
(特別加入制度あり)
加入

出典:広島県公式ホームページ「1 社会保険制度」

出典:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

出典:厚生労働省「介護保険制度について」

出典:大阪労働局「労働保険の適用単位と対象となる労働者の範囲」

出典:都道府県労働局・労働基準監督署「フリーランスの皆さまへ」

なお、契約上は業務委託でも、発注者の指揮監督下で働いている、勤務時間・場所の拘束が強い、報酬が労務の対価と評価されるなど、実態として労働者性が認められる場合は、労働基準法などの法令が適用され、健康保険(被用者保険)や厚生年金の加入対象となる可能性があります。

また、業務委託契約で「社会保険完備」と記載されている場合は、契約内容や働き方を十分に確認することが重要です。

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出典:厚生労働省「フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ」

業務委託で働く人が加入する社会保険

業務委託で働く個人事業主やフリーランスは、主に以下の社会保険に加入します。

業務委託が加入する社会保険

  • 国民健康保険
  • 介護保険(40歳以上の人)
  • 国民年金

なお、会社員が副業として業務委託を行う場合は、本業の勤務先で健康保険や厚生年金に加入します。そのため、一般的には国民健康保険や国民年金に別途加入する必要はありません。この場合、社会保険料は本業の給与(標準報酬月額)を基に決まります。

国民健康保険

国民健康保険とは、75歳未満で被用者保険に加入していない個人事業主や無職の人などが、世帯単位で加入する公的医療保険です。

日本では、全ての国民が何らかの公的医療保険に加入する「国民皆保険制度」が採用されています。そのため、業務委託で働いている人は、原則として自身で国民健康保険に加入する必要があります。

業務委託の人が加入する国民健康保険と会社員が加入する健康保険(被用者保険)の主な違いは以下のとおりです。

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項目 国民健康保険 健康保険(被用者保険)
保険者(運営主体) 市区町村または国民健康保険組合 全国健康保険協会、健康保険組合など
加入対象者 ほかの公的医療保険に加入していない人 会社員や一定の条件を満たすパート・アルバイトなど
扶養制度 なし あり(一定の条件を満たす場合)
保険料の負担 全額自己負担(事業主負担がなく全額を自身で納付する) 事業主との折半(給与からの天引き)
保険料の算出方法 所得などに応じて決まる 標準報酬月額(給与を一定の幅で区分した等級)などに応じて決まる
出産手当金や傷病手当金 原則なし あり

出典:協会けんぽ「健康保険制度の概要」

出典:厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」

出典:協会けんぽ「費用の負担」

出典:広島県公式ホームページ「1 社会保険制度」

出典:厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」

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介護保険

40歳以上の人は、原則として介護保険に加入します。

介護保険とは、高齢者の介護を社会全体で支えるための制度です。40歳から被保険者として保険料を納め、介護が必要になったときに利用できる仕組みです。40歳から64歳までの人は特定疾病が原因の場合に限り介護サービスを利用できます。

なお、40歳から64歳までの人の介護保険料は国民健康保険や健康保険料に含まれて徴収されるため、原則として別途納付する必要はありません。

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出典:厚生労働省「介護保険とは」

出典:国民健康保険連合会「介護保険制度」

出典:東京都主税局「保険料(税)額について」

国民年金

業務委託として働いている個人事業主やフリーランスは、国民年金(基礎年金)に加入します。

国民年金とは、20歳以上60歳未満の全ての人が加入する公的年金制度です。会社員は、国民年金に加えて厚生年金にも加入します。

国民年金保険料は一律で決まっており、年度ごとに見直される仕組みです。2026年度の保険料は月額17,920円です(前納による割引あり)。

出典:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

出典:日本年金機構「国民年金保険料」

業務委託で働く人が加入できない社会保険

業務委託の個人事業主やフリーランスは、会社員とは異なり、以下の社会保険には原則として加入できません。

業務委託で働く人が加入できない社会保険

  • 厚生年金
  • 雇用保険
  • 労災保険

ただし、労災保険には「特別加入制度」があります。2024年11月1日以降、企業などから業務委託を受けるフリーランスは、特定フリーランス事業として、業種・職種を問わず労災保険に特別加入できるようになりました。

厚生年金

厚生年金のイメージ

業務委託として働く個人事業主やフリーランスは、原則として厚生年金には加入できません。

日本の年金制度は、国民年金と厚生年金の2階建て構造になっており、業務委託の人は1階部分の国民年金に加入します。将来受け取る公的年金は基礎年金となるため、基礎年金と厚生年金の両方を受け取れる会社員に比べて、年金額は一般的に少なくなります。

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項目 業務委託 会社員
加入する公的年金制度 国民年金 国民年金、厚生年金
保険料の決まり方 定額で決まっている 給与に応じて変動する
保険料の負担 全額自己負担 事業主との折半
受給する年金 基礎年金 基礎年金および厚生年金
配偶者の扶養制度 なし あり

出典:厚生労働省「日本の公的年金は「2階建て」」

出典:日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」

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雇用保険

雇用保険は労働保険のひとつで、労働者の生活および雇用の安定、就職の促進を図るための公的保険制度です。

被保険者となるのは、雇用されて働く労働者のうち、原則として週の所定労働時間が20時間以上、31日以上の雇用見込みがある人が対象です。したがって、業務委託として働く個人事業主やフリーランスは、原則として雇用保険に加入できません。

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出典:厚生労働省「雇用保険制度」

出典:厚生労働省「Q&A~事業主の皆様へ~」

労災保険

労災保険(労働者災害補償保険)は労働保険のひとつで、労働者の業務上の事由または通勤による病気やケガに対して保険給付を行う制度です。

雇用されて働く「労働者」が被保険者となるため、業務委託として働く個人事業主やフリーランスは原則として労災保険に加入できません。

ただし、労災保険には「特別加入制度」があり、一定の条件を満たせば業務委託として働く場合でも任意で加入できます。

労災保険に特別加入すると、業務中や通勤中の病気やケガなどに対して補償を受けられます。なお、会社員の場合は事業主が保険料を全額負担しますが、業務委託の人が特別加入する場合は自ら保険料を納める必要があります。

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出典:厚生労働省「労災補償」

出典:厚生労働省「労災保険への特別加入」

出典:大阪労働局「労働保険料の計算方法」

業務委託の社会保険料はいくら?

業務委託として働く個人事業主やフリーランスが納める社会保険料は、一般的に国民健康保険料(40歳以上の場合は介護保険料を含む)と国民年金保険料の2つです。会社員とは異なり、全額を自分で納める必要があります。

国民健康保険および国民年金に加入した場合の社会保険料の一例を紹介します。

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保険料の決まり方 保険料例(月額)
国民健康保険料 前年の所得を基に各自治体が定める保険料率や算定方法に基づいて決まる 37,065円※1
国民年金保険料 所得にかかわらず、定額で決まっている 17,920円※2
(前納による割引あり)
合計 - 54,985円

※1 東京都大田区「令和8年度 国民健康保険料の試算」を用いて、30歳・所得400万円で試算した場合の目安です。
※2 2026年度の場合

出典:大田区「令和8年度 国民健康保険料の試算」

出典:大田区「国民健康保険料計算方法」

出典:日本年金機構「国民年金保険料」

上記はあくまで一例であり、実際の社会保険料は自治体や所得などによって異なります。

会社員から業務委託になった場合の社会保険の手続き

勤務先を退職し、業務委託で個人事業主やフリーランスとして働く場合は、社会保険の切替手続きが必要です。

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区分 手続きの内容
健康保険の切替 ・国民健康保険に加入する
・健康保険を任意継続する
・国民健康保険組合に加入する
・家族が加入している社会保険に被扶養者として加入する
年金の切替 国民年金の第1号被保険者または第3号被保険者の手続きを行う

出典:厚生労働省「国民健康保険制度」

出典:協会けんぽ「退職後の健康保険について」

出典:全国国民健康保険組合協会「一般業種国民健康保険組合へのリンク」

出典:日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」

健康保険の手続き

退職後の健康保険にはいくつかの選択肢があり、手続き方法が異なります。

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健康保険の種類 手続き先・内容 期限
国民健康保険に加入する 市区町村役場の窓口や電子申請、郵送などで手続きを行う 原則として退職日の翌日から14日以内
健康保険を任意継続する 電子申請または協会けんぽ支部に任意継続被保険者資格取得申出書を提出する 原則として退職日の翌日から20日以内
国民健康保険組合に加入する 国民健康保険組合に必要書類を提出する 原則として退職日の翌日から14日以内
家族が加入している社会保険に被扶養者として加入する 家族が加入している健康保険を通じて手続きを行う 原則として退職日の翌日から5日以内

出典:東京都北区「加入するとき(国民健康保険)」

出典:協会けんぽ「任意継続の加入手続きについて」

出典:厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」

なお、国民健康保険組合とは、特定の業種ごとに組織されている国民健康保険法上の公法人です。組合によって保険料の決まり方は異なりますが、所得などによっては国民健康保険よりも保険料を抑えられる場合があります。

出典:文芸美術国民健康保険組合「保険料について」

年金の手続き

会社員を辞めて業務委託で個人事業主やフリーランスとして働く場合、一般的には国民年金の第1号被保険者に切り替える手続きが必要です。

原則として退職日の翌日から14日以内に、市区町村役場の窓口またはマイナポータルを利用して手続きを行いましょう。切替手続きには、基礎年金番号がわかるもの(年金手帳など)またはマイナンバーカードが必要です。

一方、退職後に配偶者の扶養に入る場合は、配偶者の勤務先を通じて第3号被保険者の手続きを行います。

出典:日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」

出典:日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」

出典:日本年金機構「個人の方の電子申請(国民年金)」

業務委託で社会保険なし(未加入)のリスク

公的医療保険(国民健康保険など)および国民年金の加入は全ての人に義務付けられています。国民健康保険や国民年金に加入せず、保険料を納めなければ、以下のようなリスクが生じる可能性があります。

業務委託で社会保険に未加入のリスク

  • 未加入期間の保険料をさかのぼって請求される
  • 延滞金が加算される
  • 医療費が原則として10割負担となる
  • 出産育児一時金が受給できない可能性がある
  • 将来の年金受給額が減少する
  • 遺族年金や障害年金が受給できない可能性がある

自身の状況に応じ、速やかに社会保険の加入手続きを行いましょう。

出典:姫路市「さかのぼって国民健康保険に加入しました。未加入期間の国民健康保険料は、どのようになりますか。」

出典:東京都 保健医療局「保険料(税)を納めないでいると」

出典:厚生労働省「出産育児一時金等について」

出典:日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」

出典:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」

出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」

まとめ

勤務先を退職して業務委託で個人事業主やフリーランスとして働く場合は、一般的に国民健康保険や国民年金への加入が必要です。会社員とは異なり、社会保険料は原則として全額自己負担となるため、保険料の仕組みを理解しておくことが重要です。

一方、業務委託で働く人は原則として労働者とみなされないため、雇用保険には加入できず、労災保険も通常は対象外です。

社会保険に未加入のままでいると、保険料の追徴や医療費負担、将来の年金額減少などのリスクが生じる可能性があります。加入する社会保険の種類や社会保険料の決まり方を理解したうえで働き方を検討し、自身の状況に応じて適切な手続きを行いましょう。

参考文献

▶日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」

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よくある質問

  • 業務委託は社会保険(健康保険や厚生年金)に加入できない?

    業務委託として働く個人事業主やフリーランスも社会保険に加入しますが、会社員とは加入できる社会保険の種類が異なります。

    詳しくは「業務委託でも社会保険に加入できる?」をご覧ください。

  • 業務委託なのに社員扱いされるのは違法?

    業務委託を結んでいても、働き方の実態が「労働者」と認められる場合、雇用契約とみなされる可能性があり、健康保険や厚生年金の加入対象となる可能性があります。

    詳しくは「業務委託でも社会保険に加入できる?」をご覧ください。

  • 会社員が副業で業務委託を行うと社会保険料はどうなる?

    会社員が副業で業務委託を行う場合は、本業の勤務先で健康保険や厚生年金に引き続き加入します。そのため、原則として国民健康保険や国民年金に別途加入する必要はありません。なお、社会保険料は本業の給与(標準報酬月額)を基に決まります。

    詳しくは「業務委託が加入する社会保険」をご覧ください。

監修

大柴 良史

大柴 良史

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

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松浦 絢子

松浦 絢子

松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。

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