業務で使用する車の修理代は経費として計上が可能ですが、適切な会計処理が必要です。本記事では、車の修理代に用いる勘定科目を解説します。

また個人事業主が業務とプライベートの両方で車を兼用している場合は、按分処理をしなければなりません。

具体的な仕訳例や会計処理の注意点も説明するので、ぜひ参考にしてください。

確定申告の基本をすべて解説！確定申告が初めてでもわかりやすい図解入りの解説記事はこちら

• 車修理代は経費にできる
• 個人事業主が確定申告で経費計上する場合の注意点
• 車修理代に用いる勘定科目
• 【修繕費】
• 【車両費】
• 【雑損失】
• 【事業主貸】
• 【事例で解説】車修理代の仕訳例
• 修繕費を用いる場合
• 車両費を用いる場合
• 他者所有の車の修理代を支払った場合
• 個人事業主が事業用資金から支払った場合
• 車修理の費用を経費として会計処理する際の注意点
• 勘定科目を統一する
• 車の性能や価値を向上させる修理費用は固定資産として扱う
• まとめ
• 経理を自動化し、日々の業務をもっとラクにする方法
• よくある質問

業務に使用している車の修理代は、経費として計上が可能です。傷やへこみを修理する際にかかった費用や、故障した部品の交換費用、パンクしたタイヤの交換費用などが該当します。

修理費用の金額にかかわらず、減価償却の処理は必要ありません。

なお業務に関連しない車の修理費用の場合は、経費には計上できないため注意してください。たとえば役員が自家用のみの目的で使用している車や、個人事業主の家族が使用している車は、修理費用が発生しても経費としては認められません。

個人事業主が、業務に使用している車をプライベートの用途でも使用している場合は、家事按分の処理が必要です。家事按分は次項で解説します。

個人事業主が業務とプライベート兼用で車を使用している場合、家事按分の処理をしなければなりません。

家事按分とは、費用のうち業務用の割合を明確な基準を用いて算出し、経費として計上する会計処理のことです。

車両関連の費用を按分するには、使用日数や使用時間で割合を求める方法が考えられます。税務調査で指摘された際に提示できるよう、業務日報などの客観的な計算根拠資料は保存しておきましょう。

家事按分に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。個人事業主の方はぜひ参考にしてください。

【関連記事】
家事按分とは？個人事業主が知っておくべき経費計上の仕方や計算方法についてわかりやすく解説

車の修理代に用いる勘定科目は以下の通りです。

それぞれ詳しく解説します。

車の修理代に使用する一般的な勘定科目は「修繕費」です。故障した部分の修理代や、車体の原状を回復する費用・部品の交換代など、車の修理費用全般に使用できます。

修繕費は、車・建物・パソコンなどの有形固定資産の修繕費用に用いる勘定科目です。

【関連記事】
修理代の勘定科目は修繕費？修繕費以外に該当するケースや仕訳例を解説

車両に関連する費用として管理したい場合は「車両費」を使用します。

車両費は、業務で使用する車に関連してかかった費用に用いる勘定科目です。洗車代やオイル交換代のほか、車検にかかる費用などにも使用できます。

他者が所有する車の修理代を負担する場合は「雑損失」を使用します。事故や不注意で相手の車を損傷させた場合などが該当します。

雑損失は、本業以外で生じた、ほかの勘定科目に当てはまらない損失に用いる勘定科目です。

業務とプライベートの両方で車を使用している個人事業主が、事業用資金から修理代を支払った場合、プライベート部分には「事業主貸」を用います。

事業主貸は、事業用資金からプライベートな支出を行った場合や、個人用口座に事業の売上金が入金された場合などに使用する勘定科目です。

車の修理代の具体的な仕訳例を解説します。

車の修理代を、修繕費を用いて処理する際の仕訳例を紹介します。

例：車の修理費用5万円を現金で支払った

借方		貸方
修繕費	50,000円	現金	50,000円

例：車の修理費用5万円をクレジットカードで支払った

支払時

借方		貸方
修繕費	50,000円	未払金	50,000円

利用代金の引落時

借方		貸方
未払金	50,000円	預金	50,000円

車の修理代を、車両費を用いて処理する際の仕訳例を紹介します。

例：車の修理費用5万円を預金からの振込で支払った

借方		貸方
車両費	50,000円	預金	50,000円

例：車の修理費用5万円をクレジットカードで支払った

支払時

借方		貸方
車両費	50,000円	未払金	50,000円

利用代金の引落時

借方		貸方
未払金	50,000円	預金	50,000円

他者が所有する車を誤って損傷させ、修理代を負担した際の仕訳例を紹介します。

例：他者所有の車を不注意により傷つけてしまったため、修理代3万円を現金で支払った

借方		貸方
雑損失	30,000円	現金	30,000円

個人事業主が車の修理代を事業用資金から支払った際の仕訳例を紹介します。

車を使用する目的が業務用のみの場合は、法人の場合と同様の仕訳内容です。

例：車の修理費用5万円を現金で支払った（修繕費を用いて仕訳する場合）

借方		貸方
修繕費	50,000円	現金	50,000円

業務で使用している車をプライベートでも使用する個人事業主が、車の修理代を事業用資金から支払った場合の仕訳例は以下の通りです。

例：車の修理費用5万円を現金で支払った。車を業務で使用している割合は20％である

（修繕費を用いて仕訳する場合）

借方		貸方
修繕費 事業主貸	10,000円 40,000円	現金	50,000円

車の修理代を会計処理する際の注意点は以下の通りです。

それぞれ詳しく解説します。

車の修理代を経費として計上する際、一般的に使用する勘定科目は「修繕費」または「車両費」です。

上記のいずれを使用しても会計上は問題ありませんが、一度決定した会計方針は原則、運用を継続しなければならないとされています。

特段の理由がない限り、原則として勘定科目の変更は認められません。担当者によって仕訳内容が変わらないよう情報を共有し、処理方法の統一に注意してください。

行った修理が車の性能や価値を向上させる内容である場合は「資本的支出」に該当するため、固定資産としての取り扱いが必要です。

上記の場合は経費としては計上できないため、「車両運搬具」など適切な勘定科目を用いて資産計上し、減価償却の処理を行ってください。

【関連記事】
減価償却とは？確定申告前に知っておくべき減価償却資産の計算方法について解説

業務に使用している車の修理代は経費として計上が可能です。車をプライベートと業務の両方で使用する個人事業主の場合は、家事按分に注意してください。

勘定科目は一般的に「修繕費」または「車両費」を用いて仕訳します。他者所有の車の修理代を負担する場合は「雑損失」、事業主が事業用資金からプライベート部分の支出を行った場合は「事業主貸」を使用します。

車の性能や価値を向上させる内容の修理代の場合は、費用として計上するのではなく固定資産として扱わなければなりません。

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業務上の必要があり支出した修理代は、経費として計上が可能です。

車を業務とプライベートの両方も使用している個人事業主の場合は、家事按分の処理が必要です。

車修理代の経費計上を詳しく知りたい方は「車修理代は経費にできる」をご覧ください。