勘定科目の基礎知識

キャンセル料の勘定科目は? 具体的な仕訳例とともに解説

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

キャンセル料の勘定科目は? 具体的な仕訳例とともに解説

キャンセル料の勘定科目は、支払手数料や雑損失などが用いられます。キャンセル料の具体的な仕訳例とともに解説します。

キャンセル料は、予約した商品やサービスの取り消しで発生する料金です。内容により消費税の課税に違いがあるので、適切に処理しましょう。

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目次

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キャンセル料に用いる勘定科目

キャンセル料を会計処理する場合は、支払手数料や雑損失、雑費などの勘定科目が用いられます。支払った費用の内容により、適した勘定科目は異なるため、注意が必要です。

キャンセル料に用いる勘定科目

  • 解約に伴う事務手数料の場合は【支払手数料】
  • 違約金や損害賠償金の支払いの場合は【雑損失】
  • キャンセル料が発生する機会が少ない場合は【雑費】

【支払手数料】

支払手数料は、商品やサービスそのものでなく、取引に付随して発生した費用で用いる勘定科目です。

キャンセル料はその内容により、消費税の課税取引となるか、不課税取引となるかが分かれます。


キャンセル料の内容消費税の取り扱い
解約に伴う事務手数料課税取引
逸失利益に対する損害賠償金不課税取引

解約に伴う事務手数料は、キャンセル手続きをするうえで必要な役務の対価です。したがって、消費税の課税取引に該当し、勘定科目は支払手数料や後述する雑費が用いられるケースが多いです。

なお、解約に伴う事務手数料は、通常、時期に関係なく一定の金額が設定されます。

【関連記事】
支払手数料の勘定科目はどう使う?仕訳例や混同しやすい経費も解説

【雑損失】

雑損失は本業以外で発生した営業外費用のうち、ほかの勘定科目に該当せず、少額で重要性の低い支出に用いる勘定科目です。

たとえば、盗難被害による損失・交通違反をした場合の反則金・違約金や損害賠償金の支払いの際に用いられます。

キャンセル料のうち、逸失利益に対する損害賠償金は、本来得られる予定であった利益がなくなったことに対する補填金です。

具体的には、航空運賃の取消手数料が挙げられます。解約の時期や搭乗区間などで金額が異なる点が、逸失利益に対する損害賠償金の特徴です。

逸失利益に対する損害賠償金は、役務の提供や資産の譲渡などが伴うわけではありません。そのため、消費税は不課税取引となり、勘定科目には雑損失や雑費が用いられます。

【雑費】

雑費は、販売費や一般管理費に区分される支出のうち、少額で重要性の低い支出に用いる勘定科目です。

キャンセル料が発生する機会が少ない場合、または自社の会計処理でキャンセル料に一貫して雑費を用いている場合などは、雑費の勘定科目を用います。

雑費で計上するときは、消費税の課税・不課税に注意しましょう。

【関連記事】
雑費とはどのような勘定科目?消耗品費との違いや仕訳方法などを解説

【事例で解説】キャンセル料の仕訳例

出張が取りやめとなった場合のホテルのキャンセル料など、事業を進めていくうえでキャンセル料は発生し得る費用です。

以下では、事例とともにキャンセル料の仕訳例を解説します。

キャンセル料の仕訳例

  • 解約に伴う事務手数料でキャンセル料を支払った場合
  • 逸失利益に対する損害賠償金でキャンセル料を支払った場合
  • すでに支払った代金がキャンセル料を差し引かれて返金された場合

解約に伴う事務手数料でキャンセル料を支払った場合

解約に伴う事務手数料で、キャンセル料1,100円を口座振込で支払った場合の仕訳例は次の通りです。


借方貸方
支払手数料(課税)1,100円普通預金1,100円

費用の発生のため、借方に支払手数料の勘定科目で1,100円、貸方に支払方法に該当する勘定科目(今回は普通預金)で1,100円を計上します。

雑費で計上する場合の仕訳例は次の通りです。


借方貸方
雑費(課税)1,100円普通預金1,100円

逸失利益に対する損害賠償金でキャンセル料を支払った場合

逸失利益に対する損害賠償金で、キャンセル料1,000円を口座振込で支払った場合の仕訳例は次の通りです。


借方貸方
雑損失(不課税)1,000円普通預金1,000円

また、雑費の場合は、次のように計上します。


借方貸方
雑費(不課税)1,000円普通預金1,000円

どちらの勘定科目を用いた場合も、消費税は不課税取引となる点に注意しましょう。

すでに支払った代金がキャンセル料を差し引かれて返金された場合

予約時にすでに代金を支払った場合は、予約時とキャンセル時の2回に分けて計上します。

たとえば、航空券を予約時に30,000円を支払い、払戻手数料(解約に伴う事務手数料)440円と取消手数料(逸失利益に対する損害賠償金)5,000円が差し引かれて返金された場合の仕訳例は次の通りです。

●航空券を予約したとき

借方貸方
前渡金30,000円普通預金30,000円

予約時はサービスの提供を受けていないので、前渡金で計上します。

●キャンセルして返金されたとき

借方貸方
普通預金24,560円前渡金30,000円
支払手数料(課税)440円
雑損失(不課税)5,000円

キャンセル時は、貸方で予約時の逆仕訳を行い、前渡金を消し込みます。予約時に「旅費交通費」で計上した場合は、旅費交通費で逆仕訳を行いましょう。

借方では、預金口座に振り込まれた金額を計上して、キャンセル料の仕訳を行います。

解約に伴う事務手数料に該当する部分は支払手数料で、逸失利益に対する損害賠償金に該当する部分は雑損失で計上しています。

キャンセル料を会計処理する際のポイント・注意点

キャンセル料は事務手数料と損害賠償金を区別して計上することがポイントです。

ただし、なかには両者を区別できないケースも存在します。

以下では、区分できないときの取り扱いと、キャンセル料を受け取った場合のケースを解説します。

キャンセル料を会計処理する際のポイント・注意点

  • 事務手数料と損害賠償金を区分できないときは不課税取引となる
  • キャンセル料を受け取る場合は雑収入で計上する

事務手数料と損害賠償金を区分できないときは不課税取引となる

キャンセル料は、航空会社のように解約に伴う事務手数料と逸失利益に対する損害賠償金を明確に区分する企業もあれば、区分することなく一括して受け取る企業も存在します。

具体的には、ゴルフ場のキャンセル料が代表例です。

解約時期に関係なく一定の金額であれば事務手数料とわかるケースもありますが、上記の場合、領収書で事務手数料と損害賠償金を判別できません。

キャンセル先の企業が両者を一括して受け取った場合は、不課税取引で取り扱います。

キャンセル料を受け取る場合は雑収入で計上する

商品を販売する企業でキャンセルが入り、契約によりキャンセル料を受け取った場合は、雑収入で処理するケースが多いです。

キャンセル料は通常の営業活動での収入ではないため、本業と関係のない営業外収益の雑収入が適しています。

まとめ

キャンセル料は内容により、消費税の課税取引か不課税取引かが異なる点に注意しましょう。

キャンセル先の企業が事務手数料と損害賠償金を区別していない場合は、全額が不課税取引です。

勘定科目は取引内容ごとに統一した科目の使用が大切ですが、キャンセル料の発生が稀な場合、参考となる自社の取引がない場合も考えられます。その場合は、今回紹介した仕訳例などを参考にしてください。

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よくある質問

キャンセル料を会計処理する際の勘定科目は?

キャンセル料の内容により、支払手数料や雑損失、雑費で計上します。

キャンセル料の勘定科目を詳しく知りたい方は「キャンセル料に用いる勘定科目」をご覧ください。

キャンセル料の区別がつかないときは?

キャンセル先の企業が事務手数料と損害賠償金を区分せずに受け取った場合は、全額が不課税取引となり、雑損失で計上します。

具体的な内容を知りたい方は「キャンセル料を会計処理する際のポイント・注意点」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮