勘定科目の基礎知識

電気代の勘定科目は水道光熱費? 個人事業主が経費にする方法や仕訳のやり方を解説

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

電気代の勘定科目は水道光熱費? 個人事業主が経費にする方法や仕訳のやり方を解説

業務を行うためにかかった電気代は、経費として計上できます。本記事では、電気代に用いる勘定科目具体的な仕訳例をわかりやすく解説します。

ただし、自宅を事務所や店舗として兼用している個人事業主は、法人とは異なる会計処理が必要です。個人事業主の家事按分に関しても説明するので、個人事業主の方もぜひ参考にしてください。

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目次

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電気代と水道光熱費の違い

電気代は、電力の供給に対して電力会社に支払う料金で、水道光熱費に含まれます。

水道光熱費として処理する費用の例は以下の通りです。

水道光熱費で仕訳する費用の例

  • 電気代
  • 水道代・下水道代
  • ガス代
  • 灯油代
  • 暖房・冷房費

事業活動で必要なエネルギー代が水道光熱費です。

業務に必要な水道光熱費は経費にできる

業務のためにかかった水道光熱費は経費にできます。製造業では、直接原価または間接経費として原価計算に含めます。

個人事業主の自宅兼事務所(または店舗など)の水道光熱費は、家事按分が必要です。家事按分は次項で解説します。

個人事業主の会計処理は家事按分に注意する

個人事業主が水道光熱費を経費計上する場合、家事按分の処理が必要なケースがあります。家事按分とは、明確な基準で費用をプライベートと業務に区別し、業務用の割合分のみ経費計上する処理です。

水道光熱費にプライベートな使用と業務使用の両方が含まれる場合は、家事按分の処理が必要です。使用場所ごとに別メーターで分かれていれば問題ありませんが、区別のないケースも多いでしょう。

水道光熱費の按分は、業務使用している面積の割合や使用時間の割合による計算方法が考えられます。たとえば、自宅の2割の面積を事務所として使用している場合、水道光熱費の金額のうち2割を経費に計上できます。

ただし、よくカフェや喫茶店で仕事を行い、そこでの費用を経費計上している作家や投資家などの個人事業主は注意が必要です。常に在宅で仕事を行う人と同じ割合で水道光熱費を計上するのは不自然なためです。

税務調査で指摘を受けないよう、家事按分は実態にあわせた適切な計算を行ってください。また計算の根拠資料は、しっかり保存しておきましょう。

家事按分に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。個人事業主の方はぜひ参考にしてください。

【関連記事】
家事按分とは?個人事業主が知っておくべき経費計上の仕方や計算方法についてわかりやすく解説

水道光熱費を経費計上するタイミング

水道光熱費の計上時期は、原則として経費が発生した時期にあわせます。そのため場合によっては、未払金としての処理が必要です。

支払時に経費計上する方法も認められていますが、同様の方法で継続して会計処理することが条件です。一度決定した会計処理の方針は、特段の理由がない限り変更しないよう注意しましょう。

【関連記事】
未払金とは? 似ている勘定科目との違いや仕訳例、トラブル時の原因と対処法を解説

水道光熱費に用いる勘定科目

水道光熱費に用いる勘定科目は以下の通りです。

水道光熱費に用いる勘定科目

  • 一般的には【水道光熱費】
  • 家賃・共益費に水道光熱費が含まれ明確に算出できない場合は【地代家賃】
  • 個人事業主のプライベート部分を事業用資金で支払った場合は【事業主貸】

それぞれ詳しく解説します。

【水道光熱費】

一般的に用いるのは「水道光熱費」です。

水道光熱費は、電気・水道・ガス代などに用いる勘定科目です。費用の内訳を管理したい場合は、個別に「電気料金」や「水道料金」「ガス料金」など複数の勘定科目を設定するか、補助科目を用いた運用も検討してください。

【地代家賃】

水道光熱費が家賃・共益費に含まれ、金額を明確に算出できない場合は「地代家賃」を用います。

賃貸物件では、家主に支払う家賃・共益費に水道光熱費が含まれる場合があり、費用の内訳が区別されていないケースもあります。このようなケースでは、水道光熱費も地代家賃として処理しましょう。

地代家賃は、賃借している土地や建物・部屋の賃料や共益費に使用する勘定科目です。

【関連記事】
家賃の勘定科目は? 個人事業主の経費計上の可否や仕訳方法、注意点も解説

【事業主貸】

個人事業主が事業用の資金で水道光熱費を支払った際、費用にプライベート部分が含まれる場合は該当金額のみ「事業主貸」を用います。

「事業主貸」は、プライベートな目的の費用を事業用資金から支払った場合や、事業用の売上などのお金がプライベート用口座に入金された場合に用いる勘定科目です。

【事例で解説】水道光熱費の仕訳例

水道光熱費の具体的な仕訳例を解説します。

水道光熱費として計上する場合

水道光熱費の勘定科目を用いて計上する際の仕訳例を紹介します。

例:電気代5,000円を現金で支払った

①支払時に経費計上する場合

借方貸方
水道光熱費5,000円現金5,000円

②未払計上する場合

経費計上時

借方貸方
水道光熱費5,000円未払金5,000円

支払時

借方貸方
未払金5,000円現金5,000円

家賃・共益費に水道光熱費が含まれる場合

水道光熱費が家賃・共益費に含まれ、明確な金額が不明な場合の仕訳例を紹介します。

例:水道光熱費を含む店舗の家賃30万円を現金で支払った(支払時に経費計上を行う)

借方貸方
地代家賃300,000円現金300,000円

例:水道光熱費を含む店舗の家賃30万円が口座振替で引き落とされた(支払時に経費計上を行う)

借方貸方
地代家賃300,000円預金300,000円

個人事業主の場合

個人事業主が水道光熱費を支払った際の仕訳例を紹介します。

費用の全額が事業用であり、事業用資金から支払を行った場合は法人の仕訳と同じ内容です。

例:ガス代2万円を現金で支払った(支払時に経費計上を行う)

借方貸方
水道光熱費20,000円現金20,000円

家事按分する場合は、プライベート部分を「事業主貸」で処理します。

例:自宅兼事務所の水道代4,000円を現金で支払った。うち業務使用は25%の1,000円である(支払時に経費計上を行う)

借方貸方
水道光熱費
事業主貸
1,000円
3,000円
現金4,000円

まとめ

業務上必要でかかった電気代は水道光熱費として経費計上が可能です。水道光熱費には電気代のほか、水道代・ガス代・灯油代などが挙げられます。

個人事業主が水道光熱費を経費計上する場合は、家事按分に注意してください。

勘定科目は、一般的に「水道光熱費」を用います。家賃・共益費に含まれている場合は「地代家賃」、個人事業主のプライベート部分を事業用資金で支払った場合は「事業主貸」を用いましょう。

原則は費用が発生したタイミングで経費計上を行い、未払金として処理します。ただし同じ会計処理の方法を継続して運用することを前提に、支払時に経費計上する処理も認められています。

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よくある質問

水道光熱費は経費にできる?

業務のためにかかった水道光熱費は、経費にできます。ただし個人事業主で自宅と職場を兼用している場合、水道光熱費は家事按分が必要です。

水道光熱費の経費計上を詳しく知りたい方は「業務に必要な水道光熱費は経費にできる」をご覧ください。

水道高熱費の勘定科目は?

一般的には「水道光熱費」、家賃・共益費に含まれる場合は「地代家賃」を用います。個人事業主で業務外の費用を事業資金で支払った場合は「事業主貸」で仕訳をします。

水道光熱費の勘定科目を詳しく知りたい方は「水道光熱費に用いる勘定科目」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策