個人事業主ができる節税対策とは? 経費の裏ワザや活用できる控除を解説

更新日:2026/2/18

監修:鶏冠井 悠二
個人事業主ができる節税対策とは? 経費の裏ワザや活用できる控除を解説

個人事業主として事業を営むにあたっては、自身で所得金額や所得税額を計算して申告・納付を行わなければなりません。

所得税は累進課税が採用されており、税率は最高45%です。ただし、経費を適切に計上し、所得控除や税額控除を活用すれば、税負担を抑えられる可能性があります。制度を正しく理解し、適切に節税対策を講じることが重要です。

本記事では、個人事業主が所得税の負担を軽減できる節税対策を「経費」と「控除」に分けてわかりやすく解説します。

目次

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個人事業主が納める主な税金

個人事業主が納める主な税金には、以下の4つあります。


税金の種類 概要
所得税
および
復興特別所得税
個人の1年間(1月1日~12月31日)の所得に対して課される国税
※2037年までは東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するための復興特別所得税をあわせて納める
住民税 1月1日時点で住所を有する人に対して課される地方税
個人事業税 個人が営む事業のうち、地方税法等で定められた事業(法定業種)に対して課される地方税
消費税 商品・サービスの消費に対して広く公平に課税される税(国税7.8%、地方税2.2%)
出典:国税庁「No.1000 所得税のしくみ」
出典:総務省「個人住民税」
出典:東京都主税局「個人事業税」
出典:国税庁「消費税のしくみ」


これらの税金のうち、所得税は課税所得金額が増えるほど税率が段階的に上がる「累進課税」で、所得が増えるほど税負担が重くなる仕組みです。

個人事業主が納める税金の種類については、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
個人事業主なら知っておきたい!納める税金と社会保険の種類

個人事業主が所得税を節税するには?

所得税額の算出方法

節税とは、法律で認められた範囲内で税負担額を軽減することです。

所得税の税額は、次の流れで算出されます。


流れ 計算式
1 所得金額を求める 所得の金額 = 収入金額 - 必要経費
2 課税所得金額を求める 課税所得金額 = 所得金額 - 所得控除
3 所得税額を求める 所得税額 = 課税所得金額 × 税率
4 税額控除を差し引いて申告納税額を求める 申告納税額 = 所得税額 - 税額控除
出典:国税庁「所得税の算出のしくみ」

上記からわかるように、経費を漏れなく計上して所得を減らすことや、所得控除・税額控除を活用することで税負担を軽減できます。また、青色申告を行うことも節税対策のひとつです。

経費を漏れなく計上する

所得とは収入から必要経費を差し引いた額のこと

個人事業主が事業で得た所得は、収入金額(売上)から必要経費(売上を得るために直接要した費用)を差し引いて求めます。

事業所得金額の計算式

事業所得の金額 = 総収入金額 - 必要経費

そのため、該当する支出を漏れなく経費として計上することで所得を減らし、結果的に税額を軽減できます。

個人事業主が経費として計上できる主な項目は以下のとおりです。


勘定科目 具体例
租税公課 個人事業税、固定資産税、印紙税、自動車税など
荷造運賃 商品発送に関する梱包資材代、運送料など
旅費交通費 電車代・バス代、タクシー代、ガソリン代など
通信費 事業利用にかかる電話代・インターネット料金、はがき・切手代など
広告宣伝費 印刷費、広告掲載料など
接待交際費 取引先との飲食代、取引先への慶弔見舞金など
損害保険料 事務所や社用車などにかかる保険の保険料
修繕費 事務所や店舗、自動車に関係する修理代など
消耗品費 文房具類など、10万円未満もしくは耐用年数1年未満の用品の購入費用
減価償却費 建物や機械・装置など事業用の固定資産の取得費用
(耐用年数に応じて分割して計上する)
福利厚生費 従業員の健康保険や慰安旅行費など
給料賃金 従業員の給料や賞与など
外注費・外注工賃 業務の一部を外部に発注した際にかかる費用
利子割引料 借入金の利息や手形割引の割引料など
地代家賃 事業用の土地や事務所・店舗について支払う賃借料や駐車代など
雑費 上記に当てはまらない、一時的かつ少額の支出
出典:国税庁「必要経費」

なお、人間ドックや趣味の書籍代など、事業と無関係の私的な支出は経費として計上できません。「事業に必要な支出である」と説明できる明確な根拠があることが重要です。

【関連記事】
個人事業主の確定申告経費では何をいくらまで落とせる?勘定科目一覧や必要書類を解説
個人事業主は経費でどこまで落とせる?できるものとできないものを詳しく解説



出典:国税庁「No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)」

所得控除を受ける

所得控除は、一定の要件を満たした場合に所得金額から一定の額を差し引ける制度です。所得控除は全16種類あり、それぞれに要件が異なります。

所得控除一覧

控除の種類 適用条件 控除額
雑損控除 災害や盗難、横領によって損害を受けた 「(損害金額 + 災害等関連支出の金額 − 保険金等の額)− 総所得金額等 × 10%」と「(災害等関連支出の金額 − 保険金等の額)− 5万円」のいずれか多い方
医療費控除 一定額以上の医療費を支払った
※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる
(支払った医療費 − 保険金などで補填される金額)− 10万円
※その年の所得金額が200万円未満の人は所得金額 × 5%
社会保険料控除 健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料を支払った
※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる
支払った保険料の合計
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済の掛金を支払った 支払った掛金の合計額
生命保険料控除 生命保険や介護医療保険、 個人年金保険で支払った保険料がある 一定の方法で計算した金額
(最大12万円)
地震保険料控除 地震保険料を支払った 一定の方法で計算した金額
(最大5万円)
寄附金控除 ふるさと納税をはじめ、国・自治体や認定NPO法人などに対して寄附をした 「寄附金支出合計額」と「総所得金額等 × 40%」のいずれか少ない方から2,000円差し引いた額
障害者控除 納税者や控除対象配偶者、扶養親族が障害者である 一人につき、
・障害者27万円
・特別障害者40万円
・同居特別障害者75万円
寡婦控除 その年の12月31日時点で「ひとり親」に該当しない寡婦で一定の要件を満たしている
(※)寡夫控除は2020年度分よりひとり親控除に変更
27万円
ひとり親控除 納税者がひとり親で一定の要件を満たしている 35万円
勤労学生控除 学校に行きながら働いている
※ただし、合計所得金額が85万円以下
27万円
配偶者控除 納税者の合計所得が1,000万円以下で、生計を同じくする配偶者の合計所得が58万円以下である
(給与のみの場合は給与収入が123万円以下)
納税者本人の所得金額と控除対象配偶者の年齢に応じた金額

・一般控除対象配偶者は最大38万円
・老人控除対象配偶者は最大48万円
(控除対象配偶者のうち年齢が70歳以上)
配偶者特別控除 納税者の合計所得が1,000万円以下で、配偶者の合計所得が58万円超133万円以下である 納税者本人の所得金額と控除対象配偶者の所得金額に応じた金額
最大38万円
扶養控除 16歳以上の子どもや両親などを扶養していて、被扶養者の合計所得金額が58万円以下である ・一般控除対象扶養親族は38万円
・特定扶養親族は63万円
(扶養親族が19歳以上23歳未満)
・老人扶養親族は最大58万円
基礎控除 原則、全ての人に適用 納税者の所得金額に応じた金額
(最大95万円)
特定親族特別控除 ⽣計を同じくする特定親族(19歳以上23歳未満、合計所得金額が58万円超123万円以下)がいる 特定親族の合計所得金額に応じた金額
(特定親族一人につき、最大63万円)
出典:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」

控除額が大きくなるほど課税所得額が減少し、税負担を軽減できます。

所得控除については、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
税金の控除制度とは?所得控除・税額控除の種類や違いを解説

税額控除を受ける

税額控除とは、所得税額から一定の金額を差し引くことができる制度です。

所得金額をもとに算出した所得税額から直接控除できるため、所得控除よりも節税効果が高いのが特徴です。税額控除には主に以下があります。

税額控除の種類 概要
配当控除 総合課税の配当所得を受け取った場合、配当所得の金額の10%または5%に相当する金額が控除できる
外国税額控除 海外で得た所得に対して、日本と外国の両方で税金が課される場合、日本の税金から一定額を控除できる
政党等寄附金特別控除 政党または政治資金団体に対する政治活動に関する寄付金のうち、一定額を控除できる
※寄附金控除(所得控除)との併用不可
認定NPO法人等寄附金特別控除 認定NPO法人等に対する寄附について、一定額を控除できる
※寄附金控除(所得控除)との併用不可
公益社団法人等寄附金特別控除 公益社団法人などに対する寄附について、一定額を控除できる
住宅借入金等特別控除 自宅用の住宅を新築・購入した場合に、住宅ローンの年末残高に応じた金額を控除できる
※事業用部分は対象外
(特定増改築等)
住宅借入金等特別控除
自宅を増改築した場合に、住宅ローンの残高に応じて一定額を控除できる
※事業用部分は対象外
住宅耐震改修特別控除 自宅用の住宅について住宅耐震改修をした場合に、一定の金額が控除できる
住宅特定改修特別税額控除 バリアフリーや省エネ、多世帯同居などの改修工事を行った場合に、一定の金額が控除できる
認定住宅等新築等特別税額控除 認定長期優良住宅または認定低炭素住宅の新築などをした場合に、標準的なかかり増し費用の一部を控除できる
試験研究を行った場合の所得税額の特別控除 青色申告者が試験研究を行った場合に、試験研究費の額のうち一定割合の額を控除できる
給与等の支給額が増加した場合の特別控除 青色申告書を提出する中小事業者または個人事業主が支払う給与などの額が、前年度より一定割合以上増加した場合、一部について控除できる
出典:国税庁「No.1200 税額控除」

税額控除の中には事業用では認められていないものもあります。税額控除については、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
税金の控除制度とは?所得控除・税額控除の種類や違いを解説

青色申告を行う

青色申告は、定められた帳簿を作成し、その記帳内容に基づいて申告・納税を行う方法です。10種類の所得区分のうち、事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかがある場合に、青色申告を選択できます。

青色申告を行うには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出し、承認を受ける必要があります。提出期限は、青色申告をしようとする年の3月15日まで(事業開始日が1月16日以降の場合は開業から2ヶ月以内)です。

青色申告は、仕訳帳・総勘定元帳などの帳簿の作成も求められるなど、記帳や手続きの複雑さはありますが、高い節税効果が期待できます。

青色申告の主な特典

  • 最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
  • 要件を満たす配偶者や親族への給与を全額経費として計上できる
  • 赤字を最長3年間繰り越して翌年以降の所得から控除できる など

なお、65万円控除を受けるには、複式簿記・期限内申告などの要件に加え、「e-Taxによる申告」または「電子帳簿保存」のいずれかが必須です(満たさない場合は原則55万円控除)。

【関連記事】
青色申告とは?個人事業主で向いている人や確定申告のやり方をわかりやすく解説
青色申告の繰越損失とは?適用の条件や申告書の書き方も解説

【個人事業主向け】経費の節税対策

正しく経費を計上することで課税所得額が減り、税負担の軽減につながります。経費の観点から節税対策を行う際のポイントとして、経費計上が認められる項目や見落としやすい項目を詳しく解説します。

家事按分を行う

自宅の一部を事務所として使う場合、混在する費用のうち経費にできるのは、事業で使用した分のみです。このとき、一定の基準に基づいて事業使用分を算出することを「家事按分」といいます。


項目 家事按分の基準の例 計算方法の例
家賃 面積 事業用に使っているスペースの割合をもとに計算
光熱費 使用時間・日数 事業で電気やガスを使用した時間の割合をもとに計算
通信費 使用時間・日数 スマホの月額料金、インターネット回線費用など、事業で利用した割合をもとに計算
ガソリン代など
自動車関連費用
走行距離 1ヶ月の走行距離のうち、事業上必要であった分の走行距離の割合をもとに計算

按分は、面積や使用時間などの具体的な基準に基づいて行います。支出内容に応じて適切な按分方法を選びましょう。

詳しい計算方法や税務調査での注意点などについては、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
家事按分とは?個人事業主が知っておくべき経費計上の仕方や計算方法についてわかりやすく解説


出典:国税庁「No.2210 必要経費の知識」

家族に支払う給与を経費計上する

家族が事業を手伝っている場合、その労働に対して支払う給与は、一定の条件を満たせば経費計上が可能です。このような給与を「専従者給与」といい、青色申告と白色申告で取り扱いが異なります。

青色申告者は、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していれば、その届出の範囲内で実際に支払った給与を全額経費にできます。

一方、白色申告の場合は、専従者給与を必要経費に算入することができません。その代わりに「事業専従者控除」を利用できます。控除額は、配偶者86万円・その他の親族50万円、または控除前所得を専従者数+1で割った額のいずれか少ない方が適用されます。

なお、いずれの申告方法でも、控除対象となる家族には以下のような条件が設けられています。

控除対象配偶者の主な要件

  • 納税者と生計を一にしていること
  • その年の12月31日時点で15歳以上であること
  • 6ヶ月を超える期間事業に専従していること など

勤務実態が不明確で一定期間専従している事実を示せない場合など、条件を満たさない家族に対する給与は、経費としての計上や控除が認められません。

なお、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出期限は厳格で、原則として専従者給与を必要経費に算入したい年の3月15日まで(1月16日以後に開業した場合や、新たに専従者がいることとなった場合は開業日等から2ヶ月以内)に提出する必要があります。

期限を過ぎると、その年分は専従者給与として必要経費に算入できない点を把握しておきましょう。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
専従者給与とは?届出・いくらまで経費にできるかも解説


出典:国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」

税金を経費計上する

事業に関係する一部の税金は、必要経費としての計上が認められています。経費計上できる税金とできない税金は以下のとおりです。

経費計上できる個人事業税

  • 固定資産税
  • 自動車税
  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 印紙税

経費計上できない個人事業税

  • 所得税および復興特別所得税
  • 住民税
  • 延滞税・加算税

経費計上できる税金は、事業との関連性が明確なものに限定されます。対象となる税金を正しく理解し、申告に反映しましょう。

なお、固定資産税や事業用自動車の自動車税、契約書に貼る印紙税など、事業に関係する税金は、会計上は一般的に勘定科目「租税公課」として経費計上します。


出典:国税庁「租税公課」
出典:国税庁「〔租税公課〕」

前払いした費用を経費計上する

事業に必要なサービスに対して前払いした場合、その年の内にサービスの提供を受けていない費用については、その年度の必要経費に算入されません。ただし、「短期前払費用の特例」の要件を満たす場合は、全額を支払った年に経費計上できます。

短期前払費用の特例の主な要件

  • 一定の契約に基づいて継続的にサービスの提供を受ける
    (その年の12月31日時点でまだサービスの提供を受けていない)
  • 支払った日から1年以内にサービスの提供を受ける
  • 毎年継続して同様の処理を行っていること
  • その事業年度に支払が完了している

短期前払費用の特例に該当する主な支出には、クラウド利用料やサーバー管理費、前払家賃のほか、事業に必要な保険(例:事業用の生命保険料・地震保険料など)の年払いが挙げられます。


出典:国税庁「〔その他の共通費用〕」

少額減価償却資産の特例を活用する

30万円未満の事業用資産は、「少額減価償却資産の特例」により取得年に全額を経費計上できます。

通常、10万円以上の資産は耐用年数に応じて償却しますが、特例を利用すれば取得年に一括で経費計上でき、所得を抑えられます。

個人事業主がこの特例の適用を受けるための条件は、以下のとおりです。

少額減価償却資産の特例の主な要件

  • 青色申告をしている
  • 対象となる資産の取得価格が30万円未満である
  • 2006年4月1日から2026年3月31日までに取得し、事業用として使用する資産である

なお、特例の利用上限額は年間300万円までです。


出典:国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
出典:中小企業庁「少額減価償却資産の特例」

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)に加入する

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)とは、取引先が倒産した際に掛金の10倍を上限として貸付を受けられる制度です。掛金は月額5,000円~20万円の範囲内で自由に選択でき、全額を必要経費に算入できます。

加入対象者は、常時使用する従業員数が一定以下で、かつ事業を1年以上継続している事業者です。


出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「制度の概要」
出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済の加入資格」

個人事業主が節税に利用できる控除

所得控除や税額控除を活用すれば、税負担の軽減につながります。また、青色申告者は、課税所得金額を算出する際に事業所得から青色申告特別控除額を差し引くことが可能です。

個人事業主が控除を利用して節税対策を行う際のポイントを解説します。

控除を活用して節税対策を行うポイント

  • 青色申告特別控除を活用する
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する
  • 小規模企業共済等掛金控除を活用する
  • ふるさと納税を行う
  • 配当控除を受ける

青色申告特別控除を活用する

青色申告をしている個人事業主は、一定の条件を満たせば「青色申告特別控除」を受けられます。控除額は帳簿の付け方や申告方法によって異なり、最大65万円です。


控除額 適用条件
55万円 不動産所得または事業所得を得ている
複式簿記で記帳を行っている
必要書類を添付し、確定申告書に青色申告特別控除の適用額を記載している
期日以内に確定申告書を提出している
65万円 55万円控除の要件を満たしている
e-Taxで電子申告を行っている、または優良な電子帳簿保存の要件を満たしている
10万円 55万円控除、65万円控除の要件に該当しない
出典:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」

青色申告特別控除については、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
青色申告特別控除とは?控除を受ける条件と節税効果について解説

iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、自ら掛金を拠出して運用を行い、原則60歳以降に給付金を受け取る私的年金制度です。

iDeCoで拠出した掛金は、全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。また、運用益が非課税で再投資される点や、受け取り時に控除を受けられる点もメリットのひとつです。

加入区分に応じて掛金の上限額が決まっており、個人事業主は原則として月額6.8万円まで拠出できます。

ただし、iDeCoは運用商品によっては元本割れ(評価損)のリスクがあり、受取額が拠出額を下回る可能性もあります。また、iDeCoの資産は原則として60歳まで引き出せないため、無理のない範囲で拠出しましょう。


出典:iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の特徴」
出典:iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)のメリット」
出典:iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)をはじめるまでの4つのポイント」

小規模企業共済等掛金控除を活用する

小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者が将来の廃業や引退に備えて、退職金を積み立てられる制度です。掛金は月額1,000円から7万円までの間で、500円単位で自由に設定できます。

支払った掛金は、「小規模企業共済等掛金控除」として、その年の所得金額から全額を控除可能です。さらに、将来共済金を一括で受け取ると退職所得となり、退職所得控除の適用を受けられるため、受け取り時の税負担も抑えられるメリットがあります。

ただし、掛金納付月数が20年未満の場合は元本割れのリスクがあります。節税しながら老後資金の準備ができる制度ですが、メリットだけでなくデメリットも理解したうえで活用しましょう。


出典:国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」
出典:共済サポートnavi「小規模企業共済の掛金」

ふるさと納税を行う

ふるさと納税を行うと、寄附金控除の対象となり、自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税・住民税から控除されます。寄附金のうち全額控除の対象となる上限額は、収入や家族構成によって異なります。

ふるさと納税を活用することで、税負担が軽減されるだけでなく、米・肉・魚・日用品などの返礼品を受け取れる点も特徴です。

なお、個人事業主(確定申告をする人)は「ワンストップ特例制度」を利用できないため、ふるさと納税の控除を受けるには確定申告で寄附金控除を申告する必要があります。


出典:総務省「ふるさと納税のしくみ」

配当控除を受ける

配当所得(株式の配当金や投資信託の分配金など)がある場合、確定申告を行えば配当控除を受けられます。

配当控除は税額控除のひとつで、原則として配当所得の金額の10%または5%に相当する額を所得税額から差し引ける制度です。ただし、配当控除を適用できるのは総合課税を選択した配当所得に限られます。


出典:国税庁「No.1200 税額控除」

利益が増えたら法人化したほうが節税になるケースもある

一般的に、個人事業主としての利益が800万円~900万円ほどになったタイミングが法人化を検討する目安とされています。

個人事業主が負担する所得税は累進課税となっており、最高税率は45%です。

一方、法人税の税率は原則として23.2%(所得800万円以下の部分は15%)であるため、所得が多くなると法人化によって税負担が軽減される可能性があります。

また、法人化後に社長が法人から受け取る役員報酬は経費計上できるほか、社長自身の所得税の計算において、給与所得控除を受けることができます。さらに、法人化すると経費として計上できる範囲が広がる点もメリットのひとつです。

一方で、設立に費用がかかる、経理事務が煩雑になるなどのデメリットもあるため、税理士などに相談しながら総合的に判断することが重要です。

【関連記事】
法人化に適したタイミングとは?売上・利益・節税の3つの観点から解説


出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」
出典:国税庁「No.5759 法人税の税率」
出典:J-Net21「個人事業と法人のどちらがよいか」

まとめ

個人事業主が所得税の税負担を抑えるためには、特に「経費計上」「所得控除」「税額控除」の仕組みを正しく理解し、適切に活用することがポイントです。

制度によって満たすべき要件や申請・届出などの手続きが異なるため、あらかじめ確認のうえ早めに準備を進めておきましょう。

また、確定申告を青色申告で行うことで、最大65万円の青色申告特別控除が受けられ、より高い節税効果が期待できます。

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よくある質問

個人事業主向けの税金対策は?

経費を漏れなく計上して所得を減らす方法や、所得控除・税額控除を活用する方法が効果的です。

詳しくは、記事内「個人事業主が所得税を節税するには?」をご覧ください。

個人事業主が節税できる経費の裏ワザやテクニックの一覧は?

事業用の支出は経費として計上できます。たとえば、事業用の通信費・交通費・仕入代金・交際費などです。ただし、個人的な支出や家事費との区別があいまいなものは、経費として認められないケースがあります。

詳しくは、記事内「【個人事業主向け】経費の節税対策」をご覧ください。

個人事業主にとって一番得する年収はいくらですか?

個人事業主が一番税金面で有利な年収は、一概にいえません。一般的には、所得が800万円~900万円ほどになったタイミングが法人化を検討する目安とされています。

詳しくは、記事内「利益が増えたら法人化したほうが節税になるケースもある」をご覧ください。

監修 鶏冠井 悠二(かいで ゆうじ)

コンサルタント会社、生命保険会社を経験した後、ファイナンシャルプランナーとして独立。「資産形成を通じて便利で豊かな人生を送って頂く」ことを目指して相談・記事監修・執筆業務を手掛ける。担当分野は資産運用、保険、投資、NISAやiDeCo、仮想通貨、相続、クレジットカードやポイ活など幅広く対応。現在、WEB専門のファイナンシャルプランナーとして活動中。

監修者 鶏冠井 悠二

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