個人事業主が控除できるものとは?所得控除や税額控除が節税につながる仕組みを解説
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個人事業主の所得税は、収入から必要経費を差し引いた所得をもとに計算される税金です。所得税には控除の仕組みがあり、所得控除・税額控除・青色申告特別控除などを適用できる場合があります。
利用できる控除を見落とさずに申告へ反映すれば、課税所得や所得税額の軽減につながります。控除の仕組みを理解しておくことは、自身に該当する控除を整理するうえでも重要です。
本記事では、個人事業主が利用できる主な控除の種類・所得税の計算の流れ・確定申告や納税が必要になる所得の目安を解説します。
所得税の控除の仕組み
所得税の税額は、以下の流れで計算します。
所得税の計算の流れ
- 所得金額を計算する:収入 - 必要経費
- 課税所得金額を計算する:所得金額 - 所得控除額
- 所得税額を計算する:課税所得金額 × 税率
- 基準所得税額を計算する:所得税額 - 所得税額から差し引かれる金額(税額控除など)
所得控除は、課税所得金額を計算する前に所得金額から差し引く控除です。一方、税額控除は、計算された所得税額から直接差し引く控除を指します。
このように、控除は差し引くタイミングが異なりますが、いずれも所得税の負担軽減につながる可能性があります。
また、一定の条件を満たす青色申告者は、事業所得から青色申告特別控除額を差し引くことが可能です。青色申告特別控除を適用すると課税所得金額を抑えられるため、所得税額の軽減につながります。
個人事業主が控除できるもの①所得控除
所得控除とは、納税者の個人事情に応じて、所得金額から一定額を差し引ける制度です。所得控除を適用すると課税所得金額が少なくなるため、所得税の負担軽減につながる場合があります。
2025年分以降は、特定親族特別控除を含め、所得控除は16種類あります。2026年分の各所得控除の概要は、以下のとおりです。
16種類の所得控除一覧
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| 控除の種類 | 控除が受けられる場合 | 控除額 |
|---|---|---|
| 雑損控除 | 災害や盗難、横領によって損害を受けたとき | 以下のいずれか多いほう ・(差引損失額)-(総所得金額等)× 10% ・(差引損失額のうち災害関連支出の金額)- 5万円 |
| 医療費控除 | 一定額以上の医療費を支払った場合。生計を一にする配偶者その他の家族も含まれる。 | (支払った医療費 - 保険金などで補填される金額)- 10万円 ※その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等 × 5% |
| 社会保険料控除 | 健康保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、国民年金保険料、国民年金基金の掛金、厚生年金保険料などを支払った場合。生計を一にする配偶者その他の家族も含まれる。 | 支払った保険料の合計 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済や確定拠出年金などの掛金を支払った場合 | 支払った掛金の合計額 |
| 生命保険料控除 | 生命保険や介護医療保険、個人年金保険で、支払った保険料がある場合 | 一定の方法で計算した金額 (最高12万円) |
| 地震保険料控除 | 地震保険料を支払った場合 | 一定の方法で計算した金額 (最高5万円) |
| 寄附金控除 | ふるさと納税や認定NPO法人等に対して寄附をした場合 | 「寄附金支出合計額」と 「総所得金額等 × 40%」のいずれか 低い金額 - 2,000円 |
| 障害者控除 | 納税者や控除対象配偶者、扶養親族が障害者である場合 | 一人につき、 ①障害者27万円 ②特別障害者40万円 ③同居特別障害者75万円 |
| 寡婦控除 | ひとり親に該当しない寡婦であるとき | 27万円 |
| ひとり親控除 | 納税者がひとり親であるとき | 35万円 |
| 勤労学生控除 | 学校に行きながら働いている場合 ※ただし、合計所得金額が89万円以下(2026・2027年分) |
27万円 |
| 配偶者控除 | 納税者の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得が62万円以下の場合(2026・2027年分) | ①一般控除対象配偶者:最大38万円 ②老人控除対象配偶者:最大48万円 (控除対象配偶者のうち年齢が70歳以上) |
| 配偶者特別控除 | 納税者の合計所得が1,000万円以下で、配偶者の合計所得が62万円超133万円以下である場合(2026・2027年分) | 配偶者の所得金額によって 最大38万円 |
| 扶養控除 | 16歳以上の子どもや両親などを扶養している場合 | ①一般の控除対象扶養親族:38万円 ②特定扶養親族:63万円 (扶養親族が19歳以上23歳未満の人) ③老人扶養親族:最大58万円 |
| 特定親族特別控除 | 納税者と生計を一にする19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が62万円超123万円以下の場合(2026・2027年分) | 親族の合計所得金額に応じて最大63万円 |
| 基礎控除 | 合計所得金額が2,500万円以下の納税者 | 合計所得金額に応じて最大104万円(2026・2027年分) |
個人事業主が控除できるもの②税額控除
所得税には、所得金額から差し引く所得控除のほかに、計算された所得税額から直接差し引ける「税額控除」があります。税額控除の対象になる主なケースは、以下のとおりです。
税額控除を受けられるケースの例
- 総合課税の配当所得を受け取った
- 一定の政党等寄附金・認定NPO法人等寄附金などを支払った
- マイホームを新築・購入した
- マイホームの増改築を行った
- マイホームのバリアフリー化や省エネ工事を行った
- 従業員に支給した給与額が一定割合以上増加した
税額控除は所得税額から直接差し引くため、所得控除とは異なる形で税負担の軽減につながる可能性があります。
個人事業主が控除できるもの③青色申告特別控除
青色申告をしている個人事業主は、一定の条件を満たすと「青色申告特別控除」が受けられます。青色申告特別控除を適用すると、事業所得などから最大65万円を差し引けるため、課税所得金額を抑えられます。
青色申告特別控除を受けるための条件は以下のとおりです。
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| 青色申告特別控除額 | 適用条件 |
|---|---|
| 65万円 | ①事業所得または不動産所得を得る事業を行っている ②複式簿記で記帳している ③確定申告時に貸借対照表・損益計算書等の必要書類を添付する ④申告期限内に確定申告を行う ⑤現金主義による所得計算の特例を受けていない ⑥e-Taxによる電子申告または優良な電子帳簿保存を行っている |
| 55万円 | 上記①から⑤を満たしている |
| 10万円 | 55万円・65万円控除の要件に該当しない |
一例として、所得税率20%で計算すると、65万円の青色申告特別控除によって13万円分の所得税負担を抑えられる可能性があります。
確定申告・納税が必要になるのはいくらから?
個人事業主(フリーランスを含む)の場合、所得税は「所得」から各種所得控除を差し引いた課税所得金額をもとに計算します。なお、所得とは、売上から必要経費を差し引いた金額のことです。
2026・2027年分は、合計所得金額が132万円以下の場合、所得税の基礎控除額は104万円です。そのため、1年間の所得が104万円で、基礎控除額が104万円の場合、課税所得金額は0円となります。この場合、原則として所得税は発生せず、所得税の確定申告も不要です。
ただし、源泉徴収されている報酬がある場合は、確定申告をすることで還付を受けられる可能性があります。また、青色申告特別控除の適用を受ける場合や、赤字を翌年以降に繰り越す場合などは、所得税が発生しなくても確定申告が必要になるケースがあります。
なお、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあるため、必要に応じて居住地の自治体に確認しましょう。
まとめ
個人事業主は、所得控除・税額控除・青色申告特別控除を活用することで、所得税の負担を軽減できる可能性があります。
控除の種類によって適用条件や控除額、差し引くタイミングが異なるため、自身に該当する控除を確認したうえで確定申告に反映することが重要です。
また、青色申告を行う場合は、青色申告承認申請書の提出や帳簿付けなどの準備が必要です。青色申告特別控除の適用を受けるには、複式簿記での記帳など、一定の要件を満たす必要があります。
確定申告に向けて、利用できる控除や必要な手続きを早めに整理しておくと、申告時の確認漏れを防ぎやすくなるでしょう。
参考文献
▶︎国税庁「所得税のしくみ」
▶︎国税庁「No.2072 青色申告特別控除」
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個人事業主が利用できる控除一覧は?
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所得控除には基礎控除・社会保険料控除・医療費控除などがあり、税額控除には総合課税の配当所得がある場合や、寄附金を支払った場合、マイホームを新築・購入した場合などに対象となるものがあります。
また、青色申告者は一定の条件を満たすと、青色申告特別控除を受けることが可能です。
詳しくは「所得税の控除の仕組み」「個人事業主が控除できるもの①所得控除」をご覧ください。
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個人事業主の基礎控除額は95万円?
基礎控除は所得控除のひとつで、2025年分は最大95万円、2026年・2027年分では、納税者本人の合計所得金額が132万円以下の場合に104万円です。
基礎控除額は合計所得金額に応じて変動し、合計所得金額が2,500万円を超える場合は適用されません。
詳しくは「確定申告・納税が必要になるのはいくらから?」をご覧ください。
監修

鶏冠井 悠二
コンサルタント会社、生命保険会社を経験した後、ファイナンシャルプランナーとして独立。「資産形成を通じて便利で豊かな人生を送って頂く」ことを目指して相談・記事監修・執筆業務を手掛ける。担当分野は資産運用、保険、投資、NISAやiDeCo、仮想通貨、相続、クレジットカードやポイ活など幅広く対応。現在、WEB専門のファイナンシャルプランナーとして活動中。