飲食店を開業するには?準備の流れや必要な資格・届出・費用を解説

更新日:2025/6/22

飲食店を開業するには?準備の流れや必要な資格・届出・費用を解説

飲食店を開業するには、資金調達・物件探し・資格の取得・従業員の雇用など多岐にわたる準備が必要です。スムーズに開業を進めるためにも、全体の流れをあらかじめ理解しておきましょう。

また、飲食店の開業には多額の初期費用が必要ですが、助成金・補助金を上手く活用することで、初期費用の自己負担額を抑えられます。

本記事では、飲食店開業の流れや開業にかかる費用の相場、失敗するときの理由、開業で利用できる助成金・補助金などを紹介します。

目次

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飲食店を開業するまでの流れとスケジュール

一般的に、飲食店を開業するには多くのステップを要します。開業後スムーズに軌道に乗せるには、念入りな準備が欠かせません。

飲食店の開業に向けた具体的なステップは以下の通りです。

特に「事業計画書」や「コンセプト」の作成は、融資を受けるために重要なため、時間をかけて取り組みましょう。

なお、この順番はあくまで一般的な目安であり、個人事業主と法人のどちらで開業するかによってもすべきことが変わります。ご自身の状況にあわせて手続き内容を確認したり、複数のステップを同時進行したりする必要があります。

1.コンセプトの作成

飲食店の開業時にまずやるべきことは、コンセプトの設計です。コンセプトとは、「誰に、何を、どのように提供し、どのような価値を感じてもらうか」というお店の基本的な考え方や方向性のことです。明確なコンセプトが定まれば、店舗デザインのイメージも湧きやすくなるでしょう。

まずは、ターゲット・飲食店が利用されるシーン・販売する飲食物のジャンルなどを考えます。

コンセプトを具体化するためには、以下の「5W2H」のフレームワークなどを活用して、お店の骨子を固めていくとよいでしょう。

  • Why(なぜ): なぜこの飲食店を開業するのか
  • What(何を): どのような飲食物・サービスを提供するのか
  • When(いつ): どのような時間・曜日で営業するのか
  • Where(どこで): どのような立地・エリアで開業するのか
  • Who(誰に): どのような顧客層をターゲットにするのか
  • How much(いくらで): どのような価格帯で提供するのか
  • How(どのように): どのような店舗デザイン・雰囲気・接客スタイルで提供するのか

たとえば、「Whoは健康志向の20代後半~30代の女性会社員」「Whatは地元の有機野菜をたっぷり使った、見た目も美しい週替わりランチプレート」「How muchは1,500円前後」といったように具体的に設定することで、お店の独自性や方向性が明確になります。

2.競合店のリサーチ&メニュー作成

明確なコンセプトが決まったら、次に出店したいエリアにある競合店へ実際に足を運んで雰囲気を確かめたり、料理を食べたりしてリサーチをしましょう。

競合店とコンセプトが重なっていると、お客様が分散したり、ひとつの店舗に集中したりする可能性があります。

競合店調査では、以下の点に注目して分析しましょう。

  • コンセプト・ターゲット顧客層
  • 提供しているメニュー・価格帯・品質・独自性
  • 店舗の雰囲気・内装・座席数・清潔感
  • 接客サービス・オペレーション効率
  • 集客方法(オンライン・オフライン)
  • 顧客からの評判(口コミサイト・SNSなど)

これらの調査を通じて、自店の強みを明確にし、競合との差別化ポイントを見つけ出します。そして、競合と差別化を図れるメニューを考案しましょう。

3.物件の調査

出店したいエリアを決めたら、物件の調査を行います。飲食店の成功は立地と物件選びに大きく左右されます。コンセプトとターゲット顧客に合ったエリアを選定し、慎重に物件調査を行いましょう。

店舗用の物件は、以下の2種類に分けられます。

店舗用物件の種類

  • 居抜き物件
  • スケルトン物件

居抜き物件は、前の店舗で使われていた設備や什器(食器など)が置かれたままになっている物件で、残されたものをそのまま使うことで開業費用を抑えることが可能です。

スケルトン物件は、設備や什器などがなく、建物の壁や天井が剥き出しで「骨組み」だけがある物件のことを指します。内装を自由に決められるため、お店のコンセプトを反映させやすい点がメリットです。

予算や開店までのスケジュールにあわせて、どちらの物件にするかを検討しましょう。

4.事業計画書の作成

次に、事業計画書を作成します。事業計画書は、構想している事業計画を書類に起こしたものです。作成することで、構想段階の計画の穴や修正点が見つかることもあります。

作成によって事業戦略の見直しや見込み利益の把握ができるだけでなく、金融機関や従業員へ事業内容を説明する際の基盤として使えます。

特に金融機関や公的機関から融資・出資・補助金などの資金援助を受ける際には事業計画書の内容が重要視されやすいです。事業内容や売上見込みなど、収益構造や市場調査結果をもとに数字の根拠を示し、事業の実現可能性を明確にして作成しましょう。

【関連記事】
事業計画書の書き方を項目別に解説!テンプレートや作成時のポイント

5.資金調達の方法を検討

飲食店の開業には、物件費用・内装工事費用・テーブルや椅子などの備品購入費・運転資金などの費用が必要です。

開業資金の調達手段は、自己資金で賄う以外にも借り入れを行ったり、資金提供を受けたりする方法があります。自己資金で賄えない分は、新規事業者向けの融資や補助金を申請することも検討しましょう。

日本政策金融公庫では開業向けの融資を取り扱っており、低金利で融資を受けられる可能性があります。

【関連記事】
資金調達とは? 企業の資金調達方法やメリット・デメリットを簡単に解説

6.仕入れ先や備品の購入先を決定

市場・卸売業者・業者専用の小売店などから食材の仕入れ先を決めましょう。その際、什器やカトラリーなどの購入先も、同時に決められるとよいでしょう。

【食材の主な仕入れ先】

  • 卸売市場
  • 業務用スーパー・食材卸売業者
  • 生産者(農家・漁師など)からの直接仕入れ
  • インターネット通販

【厨房設備・什器・備品の主な購入先】

  • 厨房機器専門店
  • 中古厨房機器販売店
  • 家具・インテリアショップ
  • オンラインストア

7.各種資格の取得および届出の提出

飲食店を開業するためには、「食品衛生責任者」の資格が必要です。

「食品衛生責任者」は食品衛生上の運営管理を職務とし、飲食店の開業時には必ず各店舗にひとりいなければなりません。また、収容人員が30人以上の飲食店を開業する場合は、「防火管理者」の資格が必要となります。

また、飲食店特有の届出や開業届の手続きがあります。主な届出を以下にまとめました。

届出名 提出先 提出が必要なケース 提出期限
食品営業許可申請 店舗所在地を管轄する保健所 必須 遅くとも店舗が完成する10日ほど前まで
防火管理者選任届 店舗所在地を管轄する消防署 店舗の収容人数が30人以上の場合 防火管理者選任後すみやかに
防火対象設備使用開始届 店舗所在地を管轄する消防署 必須 建物や建物の一部の使用を始める7日前まで
火を使用する設備等の設置届 店舗所在地を管轄する消防署 店舗で火を使用する場合 実際に火を使用する7日前まで
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書 店舗所在地を管轄する警察署 深夜12時以降もお酒を提供する場合 店舗オープンの10日前まで
風俗営業許可申請 店舗所在地を管轄する警察署 店員がお客様に接待行為を行う場合 期限はないが、なるべく早めに(許可を得ないと営業できないため)
開業届 店舗所在地を管轄する税務署 必須 開業から1ヶ月以内

8.従業員の雇用

店舗のオープンが近づいてきたら、正社員・パート・アルバイトなどの従業員を雇用します。オープン前までに従業員研修を完了させたい場合は、オープン時期から逆算して少し早めに募集をかけることを意識しましょう。

9.販促ツールの作成

販促ツールは、飲食店の集客や宣伝に必要不可欠です。導入しやすい販促ツールを表にまとめました。

販促ツール 役割
ホームページ お店の基本情報(メニュー・価格・営業時間・アクセス・連絡先)・コンセプト・こだわりなどを発信し、信頼性を高める
SNSアカウント 新メニューの紹介・キャンペーン情報・お店の日常などを発信し、顧客とのコミュニケーションやファン獲得
ポイントカードやDM 近隣住民への直接的なアプローチや、リピーター獲得

ホームページやSNSアカウントが来店のきっかけとなることがあるため、実店舗だけでなく、オンラインでも積極的に販促を行いましょう。

10.開店準備と内装工事

物件を契約して各種申請が完了したら、本格的に開店準備を進めます。まずは、店舗のコンセプトを踏まえてレイアウトを決め、業者に依頼して内装工事まで行いましょう。

内装が完成したら、インテリアの設置やメニュー表の用意など、細かい準備を行います。

11.オープン前の最終チェック

店内が整ったら、オープン前の最終チェックを行います。商品の準備・清掃状況・衛生管理などを一通り確認し、不備があればすぐに対処しましょう。

開店当日のトラブルを最小限に抑えられるように、当日の対応や流れもスタッフと確認しておきましょう。

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飲食店開業にかかる費用の相場

飲食店開業には初期費用や開業後の固定費・変動費がかかります。初期費用・運転資金の相場や費用を抑えるコツを紹介します。

飲食店の初期費用相場

日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査」によると、開業費用の平均値は985万円、中央値は580万円です。業種や規模によって異なりますが、飲食店の開業は、一般的な平均値に近い1,000万円が目安といわれています。


出典:日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査」

開業後の固定費と変動費

売上に対して、固定費は15%〜25%、変動費は60%〜70%程度が目安です。飲食店の固定費・変動費は、たとえば以下が挙げられます。

飲食店の固定費・変動費

  • 固定費:家賃・人件費・地代・減価償却費・リース料・支払利息
  • 変動費:材料費・水道光熱費・消耗品費・販売促進費

開業資金を抑えるコツと注意点

飲食店の開業も工夫次第で費用が抑えられます。開業資金を抑える方法として、以下が挙げられます。

開業資金を抑えるコツ

  • 居抜き物件で開業する
  • 小規模から始める(テイクアウト専門、キッチンカーなど)
  • DIYで内装工事費を抑える
  • SNS発信などで費用をかけずに集客する

資金集めに苦戦しているなら、居抜き物件の利用や小規模での開業などを検討してみましょう。

また、一部DIYで内装工事をする、SNS発信で費用をかけずに集客するなど、準備の全てを業者任せにしないことで費用を節約できます。

飲食店開業の専門家に相談しよう

飲食店開業へ向けて多くのステップを踏む必要がありますが、そもそも自分の事業計画が実現可能かどうか不安な人は、専門家への相談も選択肢のひとつです。

事業計画の立て方に迷ったときは、開業に関するセミナーに参加したり、起業コンサルタントや税理士などの専門家に相談したりすることを検討しましょう。

また、身近に飲食店経営者がいるなら、開業時の経験談を聞いてみることも有効です。

飲食店開業後にやること

飲食店の開業後は、日々の店舗運営のための業務に取り組むことが必要です。たとえば、以下のような業務を継続的に行うことになります。

飲食店開業後に行う業務例

  • 従業員の求人・教育・管理
  • 売上の管理や日々の経理業務
  • 仕入れ・在庫の管理
  • 売上向上のための販促活動
  • 店内の衛生管理の徹底
  • 許認可の更新・管理
  • 確定申告の準備や手続き

特に開業直後は慣れない業務などにより、想定以上に負担がかかることもあります。スムーズに店舗運営を軌道に乗せるためにも、開業前に可能な準備を進めて、開業後の業務の流れもシミュレーションしておきましょう。

なお、経理業務は会計ソフトを利用すると効率的に処理できます。freee会計では、店舗の経営状況を可視化でき、自動入力による業務の削減、レジサービスとの連携なども可能です。日々の経理にかかる負担を軽減し、収支もリアルタイムに管理できます。

飲食店の開業で失敗してしまうときの理由

飲食店の開業で失敗する理由には、コスト意識の甘さやリサーチ・販売促進の不足などが挙げられます。失敗を避けるためにも、よくある失敗理由をチェックしておきましょう。

コストへの意識が低い

開業資金や運転資金の見積もりが甘いと、想定外の費用が発生して予算オーバーになることがあります。また、開業後もコスト管理が不十分だと、利益を確保できず経営が続けられない事態になりかねません。

市場や競合のリサーチができていない

エリアの特性や競合店の強みを把握せずに開業すると、集客に苦戦する原因となります。お客様が何を求めているか、近くにどんな競合店があるかなど、市場調査・競合調査を十分に行い、お店のメニューやコンセプトに反映させましょう。

集客や広告が不十分

開業前後の集客や広告が不十分だと、思うように利益が上がらず、経営に苦しむことがあります。開業に向けては、店舗や人材採用などの準備とともに、チラシのポスティング・ウェブサイトの整備・SNSでの発信など、宣伝活動にも力を入れていきましょう。

飲食店の開業で利用できる助成金・補助金

飲食店の開業では、助成金・補助金を活用することで自己負担が抑えられます。具体的な助成金・補助金をいくつか紹介します。

地方創生起業支援事業

地方創生起業支援事業は、地域の課題解決に貢献する新たな事業(社会的事業)を対象とした支援制度です。

主に東京圏以外の道府県や東京圏の条件不利地域で起業する場合に、事業立ち上げ費用の一部(最大200万円)が助成されるほか、事業計画策定や経営に関する相談などの伴走支援も受けられる場合があります。

助成を受ける場合、東京圏以外の道府県や東京圏内の条件不利地域において社会的事業で起業するなど、いくつかの要件を満たす必要があります。


出典:地方創生「起業支援金」

創業助成金(東京都)

東京都では、都内で創業を予定している人を対象とした東京都中小企業振興公社による創業助成金があります。

この助成金は、事業立ち上げに必要な経費の一部(例:従業員人件費・賃借料・広告費など)を対象とし、助成限度額や助成率は事業内容や審査によって決定されます。

都内で創業予定の人や創業後5年未満で一定の要件を満たす中小企業者などが対象です。


出典:東京都産業労働局「創業助成金(東京都中小企業振興公社)」

まとめ

飲食店を開業するためには、コンセプトの考案・事業計画書の作成・物件の契約・販促ツールの作成など、さまざまな準備を行わなければなりません。

事業計画の立て方に迷ったときは、セミナーに参加したり専門家に相談をしたりしてアドバイスをもらいましょう。

また、開業時には、物件取得費や内装工事費など各種の初期費用がかかります。開業後の負担を抑えたい場合は、小規模から事業を始める方法や補助金・助成金を利用する方法もあります。

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よくある質問

飲食店を開業するための流れは?

飲食店を開業するには多くのステップが必要です。資金調達・資格取得・物件取得などの申請にかかる期間を把握し、逆算して準備を進めましょう。

飲食店開業までの流れを詳しく知りたい方は、「飲食店を開業するまでの流れとスケジュール」をご覧ください。

飲食店を開業するために必要な資格は?

飲食店開業に必要な資格は「食品衛生責任者」です。食品衛生上の運営管理を職務とし、飲食店を開業する場合は各店舗に少なくとも一人必要とされています。

また、収容人員が30人以上の飲食店を開業する場合は、「防火管理者」の資格が必要です。

飲食店を開業するために必要な資格を詳しく知りたい方は、「7.各種資格の取得および届出の提出」をご覧ください。

飲食店の開業には資金がいくら必要?

日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査」によると、開業費用の平均値は985万円、中央値は580万円とされており、飲食店の開業に関しては1,000万円が目安といわれています。

詳しく知りたい方は、「飲食店の初期費用相場」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

監修 羽場康高(はば やすたか) 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

現在、FPとしてFP継続教育セミナー講師や執筆業務をはじめ、社会保険労務士として企業の顧問や労務管理代行業務、給与計算業務、就業規則作成・見直し業務、企業型確定拠出年金の申請サポートなどを行っています。

監修者 羽場康高

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