クラウド会計ソフトfreee
創業のマーケティングのヒミツ

freee代表の佐々木の生い立ち、構想、リリースまで遡り、freeeの創業時のマーケティングのヒミツを公開していきます。

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佐々木大輔

創業者・代表取締役

一橋大学商学部卒。データサイエンス専攻。一橋大学派遣留学生として、ストックホルム経済大学(スウェーデン)に在籍。大学在学時よりインターネットリサーチ会社のインタースコープ(経営統合を経て、現在はマクロミル)にてインターン/契約社員としてリサーチ集計システムや新しいマーケティングリサーチ手法を開発。卒業後は博報堂にて、マーケティングプランナーとしてクライアントへのマーケティング戦略の立案に従事する。

その後未公開株式投資ファーム CLSA キャピタルパートナーズ、株式会社ALBERTの執行役員を経て2008年に Google に参画。日本におけるマーケティング戦略立案、Google マップのパートナーシップ開発や、日本およびアジア・パシフィック地域における中小企業向けのマーケティングの統括を担当。中小企業セグメントにおけるアジアでのGoogleのビジネスおよび組織の拡大を推進した。この後、freee 株式会社を創業。

経営者様に伝えたい3つのポイント

①狭めのターゲットセグメントをしっかりと定義すること
②顧客にとっての明確な利益を定義して、確保すること
③トレンドがきたらタイミングを逃さないこと

目次

  • 創業の種を蒔いた創業前
    • 広告代理店時代
    • 投資ファンド・ベンチャーCFO時代
    • Google マーケティング担当時代
  • 中小企業へのサービス展開の構想
  • 創業期のマーケティング調査の落とし穴
  • サービスの開始からの創業期のマーケティングを成功に導いた3つのポイント学び
  • 小さいビジネスがかっこいいと思われる世の中に

創業の種を蒔いた創業前

広告代理店時代

私は、学生時代アンケート調査会社にインターンシップをしていました。その会社で一番大きなお客様である広告代理店に憧れ、広告代理店に新入社員として入りました。

広告代理店では、マーケティングプランの立案を行い、マーケティング戦略に関わることができました。アンケート調査会社から広告代理店時代は、創業時のマーケティングを考える上でとても役に立った経験になりました。

投資ファンド・ベンチャーCFO時代

広告代理店の後、本質的に何かに投資したらリターンが出ることをやってみたいと思い投資ファンドに転職しました。仕事をどんどん進めていくうちに、日本は投資をする側よりも、投資をされる側の数が圧倒的に少なくアンバランスであることがわかってきました。だからこそ、投資をされる側に立ったほうが世の中的には意義もあり、そっちの方が面白そうだなと思うようになりました。

その時、たまたま知り合いが立ち上げたベンチャーに入って、CFO(最高財務責任者)として資金調達などを行いました。また、ベンチャーでは、人手が足りないこともあり別の業務としてレコメンドエンジンの開発などもしていました。この時の経験は、サービスのヒントとなることが多く、特に創業期は資金調達のノウハウが非常に役に立ちました。

Googleマーケティング担当時代

ベンチャーのCFOで働いた後、たまたまGoogleから声がかかり、日本法人が立ち上がったばかりのGoogleに入りました。

Googleでは、中小企業向けのマーケティングを担当することになり、「もっと中小企業のビジネスを伸ばす方法はないのか」というテーマに取り組んでいました。

やっていくうちに成果が出て来て、アジア・パシフィック全体の責任者をやらせてもらい、中小企業にテクノロジーを広げていきました。面白い仕事で、この時にスモールビジネスに関わっていくことの楽しさや社会的意義を感じるようになっていました。

中小企業へのサービス展開の構想

Google在職中、上司の命令で1ヶ月間の休暇を過ごすことになりました。freeeのサービスの構想はそこからはじまります。

普段の業務では、中小企業への広告マーケティングの促進を図っていました。しかし、広告は必ずしもすべての企業に関係のあることではありません。そこで、広告ではない手法で経営の問題を解決する方法を探りました。

そんなところから、このfreeeという発想が出てきました。

日本では、多くの中小企業においてテクノロジー活用を進められていません。中小企業は創造的な活動にフォーカスすべきですが、経理の人間が一日中作業していると言う問題があり、これは私も以前、CFOだった時に痛感したことでした。その会社だけではなく、経理業界全体でイノベーションが起きておらず非効率で、中小企業のバックオフィスへのイノベーションが創造的な活動を支援できると考えるようになったのです。

創業期のマーケティング調査の落とし穴

freeeのサービス開始までの間、評判は決してよくなかった

サービス開始までの間、いろいろな方に見たり、触ったりしていただいただきましたが、実はサービス開始前のfreeeは決して評判がよいわけではありませんでした。

「今までの会計ソフトで十分」、「この業界は30年間変わっていない。今さら変わる訳がない」、「自動で帳簿がつくのは気持ち悪い」など、いろいろなご意見をいただきました。参考になる部分も多かったのですが、心が折れそうにもなり、あるとき一旦フィードバックを聞くのをやめ、とにかく完成させて公表して世の中全体に問うてみようという意思決定をしました。

サービスの開始からの創業期のマーケティングを成功に導いた3つのポイント学び

創業期のマーケティング上のターゲット

あの頃を振り返りfreeeの創業時のマーケティングのポイントは3つあったのだと考えています。

1. 狭めのターゲットセグメントをしっかりと定義すること

会計ソフトfreee は、ターゲットセグメントの定義をしっかりやっていました。しかし、ヒアリングなどをする際にズバリそのセグメントを代表する声を集められていなかったところに問題がありました。会計ソフトfreee の公開前のフィードバックと公開後の実際の反応に大きな乖離があった一因はおそらくここにあります。

具体的にどのようにターゲットをセグメント分けしていたのか?

会計ソフトfreeeのターゲットセグメントは、

  1. 自分で会計帳簿をつけている
  2. 個人事業主あるいは小規模法人の経営者
  3. インターネット活用が非常にアクティブ (具体的にどんなサービスを使っている人だと範囲に入るのかも定義していました)

というようなイメージを持っていましたが、実際にヒアリングさせて頂いた方はこの3つを厳密に満たしていないケースが多かったと振り返ってみれば思います。

freee のターゲット顧客は、インターネット上で積極的に情報に触れている方々であると同時に、自由かつ積極的に発言をする方々が多く、強い拡散力がありました。例えネットで積極的に情報収集・発信をする人の割合は小さかったとしても、そのような方々の強い共感を得られれば、大きな数になります。

このターゲットセグメントは、特にサービスを始める時は狭めに持っていていいと思います。まずはイノベーティブな狭い範囲の方々の心をつかむことが重要で、それができれば周辺にさらに広がっていく素地ができるのだと思います。

2. 顧客にとっての明確な利益を定義して、確保すること

「◯◯な商品を欲しいと思いますか?」に対して賛同を得るよりも重要なことは、自分たちで顧客にとっての明確な利益を定義して、実際にその利益を提供できているかどうかという事実でです。

会計ソフト freee があまりポジティブでないフィードバックを受けている中でサービス開始まで突き進むことができたのは、帳簿付けにかかる時間を「50分の1」にすることができるという自分たちの実験の結果でありました。

これは、既存の会計ソフトでまずは入力の練習をし、同様の作業を freee で行った場合どうなるかというデータですが、自分たちの実験の結果、圧倒的な差が出すことができる、ということに自信を持っていました。これによって、ぶれずに進むことができましたし、この圧倒的な差があれば、絶対に変化のない会計ソフト市場に風穴をあけられると思いました。そして、うまくいかなかったときには明確な学びにもなるだろうと思いました。(失敗する際にも学びになる失敗であるかどうかで大きな差があります)

このように、どのようなターゲットセグメントに対して、具体的にどんな利益を提供することができたら勝ちなのか、これを考えて一旦この点にフォーカスしてみることが重要です。

3.トレンドがきたらタイミングを逃さないこと

 完璧なプランよりも、マーケットのトレンドがきたらタイミングを逃さない「アウトプット⇛思考(まずアウトプットする、そして考え改善する)」が大切。

2013年3月19日というサービス開始日は残念なことにその年の確定申告の直後の需要期を過ぎた後でした。あと、2ヶ月早くサービスを開始することができれば、確定申告に関する知見をさらに1年分多く持つことができました。

なぜ、サービス開始に2ヶ月も遅れてしまったのか?

創業直後、Google を退職して一旦時間ができたことを期に、freeeはどうあるべきかをゼロベースで考えなおしてしまったことが挙げられます。このとき、結果として結論はかわらなかったし、アイデアがあるなら形にしてしまうことの方がよほど大事だというのをこの時の経験からも思います。

これらを回避するのは非常に難しいことでありますが、この経験を生かして「アウトプット⇛思考(まずアウトプットする、そして考え改善する)」という freee の会社としての価値基準にもなっています。

小さいビジネスがかっこいいと思われる世の中に

創業当初よりfreeeは、ただクラウド会計ソフトを世の中に広めるのではなく、「スモールビジネスに携わるすべての人が、 創造的な活動にフォーカスできるよう」をミッションに掲げここまでくることができました。

freeeが世の中に広まっていくにつれ様々な革命が起きています。

定年後から協同組合で事務局長になり、簿記の知識がなくてもfreeeを使い始めすぐに使いこなせるようになるお客様、バックオフィスを効率化でき経営数値を可視化できたことでタイムリーな経営ができるようになったお客様、節税だけではなく経営アドバイスにフォーカスできるようになった税理士の方々まで、freeeによりバックオフィスを効率化し本業にフォーカスできる世界になってきています。  日本の中小企業には「大企業には勝てない」というイメージを抱く人が多いと感じます。しかし、組織は大きくなればなるほど意思決定が難しくなり、大企業では、リスクがあると言われてfreeeのような新しいソフトを使えません。しかし、小さいビジネスだったら身軽に活用できます。結果、大企業よりも小さいビジネスの方が生産性を高くできます。

【論より証拠】従業員規模250名のfreeeは、経理業務を1名で回しています。

小さいビジネスの人々が、本業ではない業務を効率化し、 本業にとって創造的な活動にフォーカスできれば、大企業にも負けない「小さいビジネスもかっこいいじゃん」と認識される世界になる。僕たちは、それを達成したいと考えています。

この度は、freee創業のマーケティングのヒミツを最後まで読んでいただきありがとうございました。創業時のヒントとして少しでも貢献できれば幸いでございます。

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