白色申告の基礎知識
白色申告における基礎控除とは何か?税金の計算方法について
最終更新日:2020/03/12
白色申告は青色申告に比べ、節税面でのメリットが少ないと言われています。しかし、青色申告同様に利用できる控除があります。節税の基本は、経費と控除の活用です。本記事では、白色申告で利用できる控除や税金の計算方法についてご紹介していきます。
目次
白色申告と納税について
個人事業主は、1月1日から12月31日までの所得を計算・申告し、納税する義務があります。この一連の作業を確定申告と言います。
個人事業主は、自分の商売で儲けを得ています。対して会社員は、勤務先から得る賃金給与が儲けです。両者に共通するのは、所得税を支払う義務があることです。ただ、会社員は会社が所得を計算してくれますが、個人事業主は自分で確定申告をして所得を計算・納税しなければなりません。
確定申告の方法には白色申告と青色申告の二種類があります。一般的に、白色申告の方が青色申告よりも簡単と言われていますが、節税面などメリットを多く享受できるのは青色申告の方です。
白色申告で利用できる控除について
個人事業主が納める所得税は、年間の売上から経費や控除を差し引いた金額に対して課税されます。言い換えれば、所得税とは「一年間に得た利益(儲け)に対する税金」です。
節税のためにも経費や控除を売上からきちんと差し引く必要があります。
では、白色申告者が利用できる控除にはどんなものがあるのでしょう。実は、所得控除には14もの種類があります。控除対象者に当てはまる場合は、控除をしっかりと活用したいところです。
14種類の所得控除一覧
控除の種類 | 控除が受けられる場合 | 控除額 |
雑損控除 | 災害や盗難、横領によって損害を受けた時に適用される控除 | 損失額をもとに一定の方法で計算した金額 |
医療費控除 | 一定額以上の医療費を支払った場合。生計を一にする配偶者その他の家族も含まれる。 | (支払った医療費-保険金などで補填される金額)-(所得金額×5%と10万円のいずれか少ない方) |
社会保険料控除 | 健康保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、国民年金保険料、国民年金基金の掛金、厚生年金保険料などを支払った場合に適用される控除。生計を一にする配偶者その他の家族も含まれる。 | 支払った保険料の合計 |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済の掛金を支払った場合に適用される控除 | 支払った掛金の合計額 |
生命保険料控除 | 生命保険や介護医療保険、 個人年金保険で、支払った保険料がある場合に適用される控除 | 一定の方法で計算した金額 |
地震保険料控除 | 地震保険料を支払った場合に適用される控除 | 一定の方法で計算した金額(最高5万円) |
寄附金控除 | ふるさと納税や認定 NPO 法人等に対して寄付をした場合に適用される控除 | 「寄附金支出合計額」と「所得 ×40%」のいずれか少ない方-2,000 円 |
障害者控除 | 納税者や控除対象配偶者、扶養親族が障害者である場合に適用される控除 | 一人につき、 ①障害者 27 万円 ②特別障害者 40 万円 ③同居特別障害者 75 万円 |
寡婦(寡夫)控除 | 配偶者と死別または離婚して扶養家族がいる場合に適用される控除(女性の場合と男性の場合とで要件に差がある) | 27 万円(一定の要件を満たす場合 35 万円) |
勤労学生控除 | 学校に行きながら働いている場合に適用される控除 ※ただし、前年分の合計所得金額が65万円以下で、勤労によらない所得が10 万円以下の方 |
27 万円 |
配偶者控除 | 配偶者の合計所得が 38 万円以下の場合に適用される控除 | ①一般控除対象配偶者:最大38 万円 ②老人控除対象配偶者:最大48 万円 (控除対象配偶者のうち年齢が 70 歳以上) |
配偶者特別控除 | 納税者の合計所得が 1,000 万円以下で、配偶者の合計所得が38万円以上123 万円未満である場合に適用される控除 | 配偶者の所得金額によって最大38万円 |
扶養控除 | 16歳以上の子供や両親などを扶養している場合に適用される控除 | ①一般の控除対象扶養親族:38 万円 ②特定扶養親族:63 万円(扶養親族が 19 歳以上 23 歳未満の方) ③老人扶養親族:最大58万円 |
基礎控除 | すべての人に適用される控除 | 38 万円 |
参考:国税庁『No.1100 所得控除のあらまし』
所得控除の考え方
個人事業主は自分の商売で得た所得を、給与生活者は企業で仕事をしていくらの所得が出たのかを計算します。
しかし、人間には仕事の面だけでなく、私生活の側面もあります。
- どんな家族を養っている?
- 本人や家族が身心に障害を抱えていないか?
- 生活保障に必要な保険などに加入していないか?
- 高額な医療費を負担していないか?
こういった私生活面における負担について、所得税では考慮することになっています。そのための制度が所得控除です。所得控除には、主に人的なものと物的なものが用意されています。
- 人的なグループ:配偶者控除・扶養控除・障害者控除・寡婦(寡夫)控除など
- 物的なグループ:社会保険料控除・生命保険料控除・医療費控除など
医療費控除の計算方法
医療費控除は、納税者本人又は生計を一にする配偶者やその他の親族の医療費を支払った場合に、一定の金額を所得から差し引くことができるもので、下記の式で計算されます。
「実際に支払った医療費」 -「 保険金等で補填される金額」 -(10万円) = 「医療費控除の対象となる金額」(最高で200万円)
※その年の総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく総所得金額等の5%の金額になります。
また、医療に関わる費用として、例えば通院のための交通費等も医療費の範囲に含まれます。
すべての人にあてはまる基礎控除
我々は、どんな人間でも養っている人が1人います。それは自分自身です。どんな方法で生活をしているにしろ、自分という人間の面倒はみているのです。そのため、すべての納税者について基礎控除と呼ばれる所得控除が認められています。基礎控除は、要件に該当する場合に控除するというものではなく、一律に38万円が適用されます。
なお、平成30年度の税制改正で基礎控除の金額に変更がありました。2020年度(令和二年分)から控除額が38万円から48万円に引き上げになります。
白色申告の事業専従者控除
上記の所得控除は白色・青色関係なく利用できますが、白色申告の個人事業主固有のものとして「事業専従者控除」があります。
個人事業主が家族に支払う給与は、原則として経費になりません。しかし、以下の要件のすべてに該当する「事業専従者(事業を手伝う者)がいる場合は、控除の対象となります。
白色申告の事業専従者控除 要件
① 白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
② その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
③ 確定申告の期間(1月1日から12月31日まで)で、6ヶ月を超える期間、白色申告者が営む事業に専ら従事していること
事業主の配偶者であれば最大86万円、それ以外は専従者一人につき最大50万円を控除できます。
白色申告での所得税計算
各種控除、経費を差し引いたら、その金額に税率をかけて所得税を算出します。
所得税=(所得金額-所得控除)×税率 - 控除額
例えば「課税される所得金額」が700万円の場合には、求める税額は次のようになります。
97万4,000円 = 700万円 × 0.23 - 63万6,000円
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
ちなみに、青色申告と白色申告、それぞれの予定納税額が知りたい場合や、副業でどれくらいの納税になりそうなのか知りたい場合は、以下の診断ページがおすすめです。
『青色申告の税額診断 | 最短1分で個人事業主の税額を算出』
『副業の税額診断 | 1分で所得税・住民税・社会保険料を算出』
『青色申告の税額診断 | 最短1分で個人事業主の税額を算出』では、所得税、住民税、社会保険料、個人事業税がどれくらいかかるのかが自動で算出されます。青色申告だけではなく、白色申告の納税額も算出されるため、青色と白色どちらがお得か比べることができます。
『副業の税額診断 | 1分で所得税・住民税・社会保険料を算出』は会社員で確定申告をする方向けの診断ページです。こちらも所得税・住民税・社会保険料が算出されます。
これらの診断結果をそのまま確定申告で提出することはできませんが、どれくらいの納税予定になりそうなのか目安の一つになるでしょう。
また、これまで白色申告の控除や所得税計算についてご説明してきましたが、ご自身で計算するよりも会計ソフトを活用して確定申告する方法がおすすめです。
白色申告を簡単に終わらせる方法
確定申告は個人事業主・フリーランス、さらに最近では副業で収入を得た会社員の方など、様々な方に関わりが深い一大イベントです。
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、対象者は期限までに書類を作成し納税をすることが義務付けられています。青色申告の方が税金の控除がかかるためお得ですが、事前に税務署への届出が必要なので、今年副業で思ったよりも稼げてしまったなど届出をしていない方は今年は白色で申告をすることになります。
青色申告に比べると簡単と言われる白色申告ですが、書類作成に不安をお持ちの方は少なくありません。確定申告書類を作るには、手書き含めいくつか方法がありますが、お勧めは確定申告ソフトfreeeの活用です。
確定申告ソフトfreeeは、会計の知識がないから不安だという方でも、質問に沿って答えていくだけで簡単に白色申告書類を作成することができます。
STEP1: 基本情報の入力
まずは基本情報の入力です。あなた自身の情報やお仕事(事業)の内容について入力後、青色申告・白色申告のいずれかを選択します。各項目の横には「?」マークがついており、カーソルを当てると詳しい説明を見ることもできます。
STEP2: 申告書作成に必要な情報の入力
次に、白色申告書を作成する際に必要な情報を入力していきます。1年間の収支に関して画面の指示に沿って○×形式で15の質問に答えていきましょう。
有料のスタータープラン(月額1,180円)、スタンダードプラン(月額2,380円)はチャットで確定申告についての質問が可能。
スタータープラン(月額1,180円)に申し込むと白色申告に必要な書類のプリントアウトも可能。印刷して郵送するだけで確定申告が完了します。
※無料プランでは、申告書作成まで可能です。
STEP3: 完成!
マイナンバーカードとカードリーダをご用意いただけば、ご自宅からでもすぐに提出が完了するので、税務署に行く手間がかかりません!
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会計freeeを使うとどれくらいお得?
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