人事労務の基礎知識
働き方改革とは? 働き方改革関連法を4つのポイントでわかりやすく解説
公開日:2020/02/02
最終更新日:2020/02/02
巷で叫ばれる働き方改革。残業規制や有休消化など、中身はなんとなく知っているという方は多いかもしれませんが、政府の目的や課題を含め、この記事では働き方改革を4つのポイントにわけて分かりやすくご紹介します。
また記事の内容は動画でもご紹介しております。文字ではなく音声で聞きたいという方は下記の動画をご覧ください。
目次
働き方改革関連法とは
高齢者の就労促進、同一労働同一賃金、長時間労働の是正という3つの働き方改革を実現するために2018年(平成30年)に成立されたのが働き方改革関連法です。
働き方改革関連法は戦後の労働基準法制定以来70年ぶりの大改革と言われており、日本という国にとっても、働く労働者にとっても大きな変化があるとされています。
働き方改革「関連法」という名の通り、下記8つの労働関連法が改正されています。
- 労働基準法
- 雇用対策法
- 労働時間等設定改善法
- 労働安全衛生法
- じん肺法
- パートタイム労働法
- 労働契約法
- 労働者派遣法
8つの関連法の改正ですが、シンプルに考えると4つに分類でき「給料アップ」「働き方の多様化」「健康促進」「長時間労働防止」を促す内容となっています。
働き方改革が叫ばれるようになった背景などは、下記の動画をご覧ください。
働き方改革の4つのポイント
給料アップ
給料アップの内容は、正規・非正規の不合理な待遇格差をなくすため「同一労働・同一賃金の規定」を明確化することです。これまで正社員と同じ仕事をパートやアルバイトの方がしていても、同一の賃金が払われていないケースがありました。
これにより同じ労働であれば、同じ給料が支払われると言う形で明確化されました。
働き方の多様化
働き方の多様化を生み出す為にどのようなことが制定されたのか、主に以下の2つに分けることが出来ます。
フレックスタイム制は一定の清算期間のなかで定めた総労働時間の範囲内で、始業や就業の時刻を決めて働くことができる制度です。これまでは総労働時間は最大で1ヶ月単位で清算する必要がありましたが、これからは3ヶ月単位でも適用可能になったのです。
高度プロフェッショナル制度の創設とは、年収1075万円以上の一部専門職は、本人の同意のもと労働時間規制の対象外とし成果で評価するということです。
このような働き方多様化の仕組みが出来上がった背景の1つとして、高度経済成長期と今の経済が変わったということが言えるでしょう。高度経済成長期は大量生産の時代でした。そのため工場で働いている人が、働いた量に応じて生産物が増えていく状況にありました。現在は工場にもテクノロジーが介入し、機械化も行われ、労働量で生産物が増える時代ではなくなりました。
その中で重要なのは今までにないアイデアを元に、新しいものを生み出すという形です。時間に縛られず、今までの概念にとらわれない、新しい取り組みを行うという事です。
健康促進
健康促進の内容は主に2つに分けられます。
産業医の・産業保健機能の強化とは、産業医の活動状況の整備と事業者から産業医への情報提供を徹底するということです。つまり、産業医の権限が強くなったということです。
勤務間インターバル制度の努力義務とは、勤務後から次の勤務までは、10時間または11時間といった心身を休める時間を求める時間を設けることです。今までは、勤務の終了後5時間6時間の休憩で次の勤務ということがありました。労働者の心身の健康や働き方の改善を行なうため、勤務間インターバル制度の努力義務が制定されています。
長時間労働の是正
長時間労働の是正は全労働者に関わるところであり、働き方改革関連法の要といっても過言ではありません。
長時間労働の防止として、どのようなものが制定されたのでしょうか? 大きく分けて4つ制定されました。まずは2つの項目について説明します。
1つめは残業時間の罰則付き上限規制です。罰則という言葉が付いている通り、今まで罰則はありませんでした。今後上限規制を超えた場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられるという形になりました。
今までも残業の制限はありましたが、36協定、労使間の協定を結べば制限を超えて働くことが可能でした。それを更に特別条項というものを結べば、年間6ヶ月まで1ヶ月45時間以上95時間未満の残業が出来たのです。
これに対して、今後は上限の規制と規制を超えた場合には罰則が設けられることになりました。蔓延していた残業もこれでかなり規制される事になるのではないでしょうか。
2つめは5日間の有給休暇の取得義務化ですが、今後は有給を付与して1年間で5日間の有給消化をしていなければ罰則を受ける事になります。罰則とは労働者1人に対して30万円の罰則です。10人が対象であれば300万、100人であれば3000万円にもなります。
全企業が対象になりますので、留意しなくてはなりません。
有給休暇取得義務化については下記ページにて詳しく解説しております。
【関連記事】「有給休暇義務化」に人手不足の中小企業が対応するには【社労士監修】
続いてですが労働時間の客観的把握義務化と、中小企業の割増賃金比率引き上げが制定されました。
3つめの労働時間の客観的把握義務ですが、今までは紙のタイムカードや、エクセルなどで出退社時間を書いていたかもしれませんが、そのような自己申告型での把握が禁止されました。
明確に、そして客観的な情報を基礎として労働時間を把握する為に、ICカードやパソコンの使用時間など誰にでもわかる客観的記録を基礎として、労働時間を把握する事になりました。
今までは、残業をしていたけど残業としてつけないでおこう。と、妥協的になっているところが禁止されます。
最後に4つめは中小企業の割増賃金比率の引き上げです。大企業は月60時間を超えた時間外労働の割増賃金率は50%と高く残業を行うと多くのお金を支払わなければいけませんでしたが、中小企業にも適用される事になりました。
働き方改革関連法の適用時期
働き方改革関連法の適用時期は大企業と中小企業で異なります。残業時間の罰則付き上限規制でいうと、大企業は2019年4月から適用されていますが、中小企業は2020年4月からになります。詳しくは下記をご覧ください。
まとめ
このように働き方改革関連法は、かなり細かな規定が制定されました。自社の適用時期に向け、計画的に取り組むということが大事になるでしょう。
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