給与計算・労務管理の基礎知識

平成28年分 源泉徴収票の変化・注意点

平成28年も残りわずかとなり、年末調整となりました。年末調整を行ったら、会社は税務署への送付や従業員への交付のため、源泉徴収票を作成しなければなりません。
今回は、平成28年度の源泉徴収票を作成するにあたってのポイントを説明したいと思います。

1. 平成27年分と平成28年分の源泉徴収票の変化

源泉徴収票は、毎年フォーマットが変更されます。必ず、平成28年分の源泉徴収票を使用するようにして下さい。まず、そのことを確認いただいた上で、平成28年分の源泉徴収票の、平成27年分の書式からの変更点を説明します。大きな変化点は次の2点です。

その1. 源泉徴収票のサイズの変化

平成27年分まではA6サイズでしたが、平成28年分は2倍の大きさのA5サイズになりました。

その2. 源泉徴収票への記載事項の増加

追加となった記載事項のうち、最重要なのは、マイナンバーです。

源泉徴収票は、①税務署提出用、②本人交付用、③市区町村提出用(×2枚)の4枚1組で作成されますが、本人交付用の源泉徴収票を除き、本人や扶養親族のマイナンバーを記載することになりました。

※市区町村提出用の源泉徴収票は、公的には「給与支払報告書」と呼ばれます。 ※給与支払報告書を2枚作成する理由は、1枚は都道府県に転送されるためです。

また、給与支払者の欄に関しても、支払者が法人であれば法人マイナンバー(法人番号)、個人であれば事業主のマイナンバーを記載することになりました。 どの源泉徴収票に誰のマイナンバーを書けば良いのかを下表にまとめましたので、ご確認下さい。

源泉徴収票と給与支払報告書におけるマイナンバーの記載必要有無

その他、「控除対象配偶者の有無等」の記載方法が変更になっていることや、「非居住者である親族の数」の記載欄が新設されたなど、細かいレイアウト変更がいくつかありますので、詳細は、税務署が作成している「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」を参照しながら源泉徴収票の作成を進めて下さい。

2. 源泉徴収票の作成実務で迷いやすい・間違いやすいポイント

次に、平成28年度に限った話ではありませんが、源泉徴収票の作成実務で迷いやすい、間違いやすいポイントを4点説明したいと思います。

その1. 源泉徴収票に社印を押印するのは必要か?

近年、年末調整を、クラウドソフトを使って行う会社も増えてきており、従業員はクラウド上で作成された源泉徴収票をダウンロードしたり、メール添付のPDFで受け取ったりすることになります。このとき、ダウンロードやメールで受け取った源泉徴収票には社印が押印されていませんが、押印が無いことが問題にならないかということです。

この点、社印が押印されていないことは法的には問題ありません。

ただ、従業員の方が住宅ローンを組む際に銀行へ源泉徴収票を提示する必要がある場合等には、押印のある源泉徴収票が必要になる場合もあるようなので、その際には個別対応で押印をしてあげて下さい。

その2. 摘要欄への記入事項でミスが起きやすい注意点

前述しましたように、平成28年分からは源泉徴収票のサイズが大きくなりました。これまで摘要欄に詰め込んでいた記載事項を個別に記載する欄も増え、従来よりも摘要欄が使いやすくなったと思います。それでも、摘要欄の記載は気を付けなければ、やはり漏れや誤記などのミスが生じてしまう恐れがあると思います。

「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」に摘要欄に記載すべきことが詳しく書かれているので、該当箇所を熟読頂くのは大前提ですが、以下の3点に特に気を付けてください。

  1. 控除対象扶養親族の方が5名以上いる場合には、氏名を摘要欄に記入しますが、マイナンバーは備考欄に分けて記入します。
  2. 配偶者特別控除の対象となる配偶者を記入して下さい。(被扶養配偶者の欄には記入しません。また、マイナンバーの記載も不要です。)
  3. 途中入社の方に関しては、前職の名称・所在地、離職日、前職から受けた給与額等などの必要な前職情報を忘れずに記入して下さい。

その3. 源泉徴収票は誰の分を税務署に提出する必要があるのか

簡略化して下表にまとめましたが、年末調整対象者のうち、源泉徴収票を税務署に提出しなければならない者の範囲は、役員の場合と従業員の場合で異なります。また、給与支払報告書に関しては、原則として全員分につき各市区町村へ提出する必要があります。

源泉徴収票と給与支払報告書の提出先と提出範囲・同時提出する書類

なお、源泉徴収票には法定調書合計表を添えますが、これは、その会社で1年間に支払った給与額の合計のほか、税理士等への報酬額や、不動産収入の額なども記載した一覧表になっている書式です。

また、給与支払報告書に添付する総括表は、各市区町村に給与支払報告書を送る際の表紙のような書類で、給与支払者の連絡先や、給与支払報告書を作成した人数等を記載する形になっています。

その4. 年の途中の転職者で、前職の源泉徴収票が手に入らない人の対応をどうすべきか

第4の注意点は、年末調整全体にも絡む話になります。

年末調整は、その年度の全ての給与収入を合算した上で行わなければなりません。ですから、年度の途中から転職してきた人で、前職がある人に関しては、年末調整を行うためには、前職の退職時に発行されているはずの源泉徴収票も提出してもらうことが不可欠です。

もし、従業員が前職の源泉徴収票を発行してもらっていない場合や、紛失してしまった場合は、前職の会社に発行を依頼してもらわなければなりません。

万一、依頼をしても何らかの事情で前職の源泉徴収票が発行されず、自社の年末調整に間に合わない従業員がいた場合は、ひとまず自社分の給与だけで源泉徴収票を作成し、摘要欄に「年調未済」と記入した上で、その従業員に交付して下さい。後日、従業員が現職と前職の源泉徴収票を揃えて、自ら確定申告を行うことになります。

以上のような注意点に気を付けて頂き、源泉徴収票の発行実務をスムーズに終わらせて頂ければと思います。

おわりに

最後に、本文中でも何度か紹介しましたが、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」には源泉徴収票の作成に関して細部まで説明がされていますので、不明点が出てきましたら、都度参照するようにして下さい。

執筆: 榊 裕葵(社会保険労務士)

こんにちは。ポライト社会保険労務士法人マネージング・パートナーの榊です。当社では「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念に掲げ、日々の業務に取り組んでおります。クラウドソフトやITツールを用いた労務管理の提案や運用支援にも強みを持っています。

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