人事労務の基礎知識

マイナンバーの最新情報と平成28年の年末調整の対応

平成28年の年末調整は、提出書類の中にマイナンバー記載が必要となるものがあります。マイナンバー全般の状況と平成28年の年末調整で必要な対応をまとめました。(2016年11月18日時点)

1. マイナンバー全般の状況

マイナンバー制度は、日本に住む全ての人に12桁の番号を割り当て、「社会保障、税、災害対策」の分野で利用されるものとして、平成28年1月からスタートしました。

当初はマイナンバー制度が始まると社会保障や税の手続が一気に簡素化するというような印象も持たれていましたが、平成28年11月現在、平成28年度分への扶養控除申告書や雇用保険の資格取得時に記載するなど、一部での利用にとどまっています。

また、平成29年1月からは、インターネット上で自分のマイナンバーの確認ができる「マイナンバーポータル」が運用開始となる予定でしたが、少なくとも平成29年7月以降に延期となりました。

このようにマイナンバーの利用や普及は、全般的に「遅れている」という印象です。

そのような全体感を踏まえた上で、以下、企業実務に関係ある分野ごとにマイナンバーの最新情報を説明していきたいと思います。

2. 雇用保険実務とマイナンバー

平成28年1月1日以降の申請分より、雇用保険の資格取得および喪失手続、育児休業給付金受給資格確認票など、いくつかの手続においてマイナンバーの記載が必要となりました。これらの手続を行うための申請書式にも、マイナンバーの記入欄が追加されています。

では、マイナンバーを記入せずに空欄のまま提出してしまったらどうなるかということですが、平成28年11月現在においては、空欄のままでも実務上は受理されています。

ただ、今後どこかのタイミングで「マイナンバーが空欄のままでは受理しない」という運用になる可能性はありますので、可能な限りマイナンバーを記入するとともに、今後の最新情報にも注意をして下さい。

なお、既に雇用保険の資格を取得済の従業員の分に関しても、一括してマイナンバーを集めるという話も出ていましたが、今のところは特段の具体的動きはありません。

3. 社会保険(健康保険・厚生年金)実務とマイナンバー

当初の計画では、社会保険の資格取得届や喪失届にも平成28年1月1日からマイナンバーの記載が必要になる予定でしたが、日本年金機構のマイナンバー対応準備の遅れ等により延期となりました。

平成28年11月現在、マイナンバーを含んだ新書式案などは出てきていますが、マイナンバー利用開始時期に関するアナウンスはまだ無く、当面は社会保険の資格取得や喪失届に関し、マイナンバーを記載することは無さそうです。

ただし、関東ITソフトウェア健保など、「健康保険組合」に加入している会社はこの限りではありません。

たとえば、関東ITソフトウェア健保では、10月1日より被保険者や被扶養者の資格取得手続きの際、マイナンバーの記載を求めています。また、既存の被保険者や被扶養者の分に関しても、一括してマイナンバーの提出が求められました。

健康保険組合に加入している会社様は、マイナンバー対応については、加入先の健康保険組合の指示に従って下さい。

4. 年末調整実務とマイナンバー

すでに平成28年の年末調整の時期となっていますが、平成28年分の扶養控除等申告書にはマイナンバーの記載が必須となり、記入欄も追加されました。

また、税務署に提出する源泉徴収票および市区町村に提出する給与支払報告書にもマイナンバーの記載が必要となりました。源泉徴収票や給与支払報告書へのマイナンバーの記載ルールは、こちらの記事も合わせてご参照ください。

>> 平成28年分 源泉徴収票の変化点・注意点

5. マイナンバーの集め方、保管の仕方の再確認

平成28年度の年末調整に向け、従業員のマイナンバーの収集を完了させなければならないタイミングになりました。

そこで、マイナンバーの集め方や保管の仕方を確認しておきましょう。会社の規模や、従業員がITに強いかどうか等で、次の3つの方法のうち、対応しやすい方法でマイナンバーを集めて頂ければと思います。

その1. 従業員に、平成28年度の扶養控除等申告書にマイナンバーを記入してもらう

こちらは、最もオーソドックスな方法ですが、マイナンバーの記載された扶養控除等申告書は、厳重な管理が必要になりますので、金庫や鍵付きのロッカーに保管する必要があります。

年末調整の実務を行う際に、扶養控除等申告書を参照することになると思いますが、扶養控除申告書にはマイナンバーが書かれていることを認識し、必要な事務が終わったら、すぐ金庫やロッカーに戻し、また、離席をする際も、机の上の出しっぱなしにするようなことがないよう気を付けて下さい。

その2. マイナンバー収集キットの利用

「マイナンバーは別管理とする」と余白に記載すれば、扶養控除申告書自体にはマイナンバーを未記入とした上で、別紙で管理することも認められています。

したがいまして、扶養控除等申告書はマイナンバーを記載しない形で収集し、マイナンバーについては日本法令が出している「マイナンバー取得・管理セット」のような専用のツールを使って回収すれば、扶養控除申告書とは別管理でマイナンバーを保管することが可能となります。

その上で、税務署に提出する源泉徴収票を作成する際など、必要最小限の範囲で別管理されたマイナンバーを参照するようにすれば、マイナンバーの漏えいリスクを低下させることができます。

その3. マイナンバー管理用の業務ソフトを利用する

第2の方法と同様にマイナンバーは別管理とする旨を扶養控除等申告書へ記載の上、業務ソフトを経由して従業員にマイナンバーを入力してもらう形を取ります。

この際、インストール型の業務用ソフトと、クラウド型の業務ソフトがありますが、中小企業にはクラウド型のソフトがおすすめです。 その理由は2つあります。

1つ目の理由は、「手軽さ」です。インストール型の場合は、ソフトをインストールする社内サーバーのセキュリティ対策のためのコストや、インストールする手間が少なからず発生しますが、クラウド型の場合は、これらのコストや手間が不要であるため中小企業でも気軽に導入できます。

2つ目の理由は、「共有のしやすさ」です。中小企業では年末調整や源泉徴収票の作成業務を税理士や社会保険労務士に外注する場合も多いと思われますが、外注先とマイナンバーを安全に共有することを想定すると、クラウド型のソフトは、紙での管理やインストールタイプの業務用ソフトに比べ利便性が高いということが言えます。

6. まとめ

以上、マイナンバーの最新情報について概説しましたが、平成28年度の年末調整および源泉徴収票の作成が、直近のマイナンバーの絡む重要業務となりますので、本稿が円滑な業務推進の一助になれば幸いです。

執筆: 榊 裕葵(社会保険労務士)

こんにちは。ポライト社会保険労務士法人マネージング・パートナーの榊です。当社では「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念に掲げ、日々の業務に取り組んでおります。クラウドソフトやITツールを用いた労務管理の提案や運用支援にも強みを持っています。

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