人事労務の基礎知識

マイナンバーの最新情報と、企業としての年末調整への対応

2015年10月に通知が始まり、2016年から納税や社会保障での利用が始まったばかりのマイナンバー制度(個人番号制度)ですが、まったく新しい制度だけに、対応に不備や不統一が生じているおそれがあります。マイナンバー全般の状況と、年末調整の時期に必要な対応をまとめました(2017年9月時点)。

マイナンバーの最新情報と、企業としての年末調整への対応

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マイナンバー全般の状況

マイナンバー制度は、日本に住むすべての人に12桁の番号を割り当て、「社会保障」「税」「災害対策」の分野で利用されるものとして、2016年1月からスタートしました。

当初はマイナンバー制度が始まると「社会保障や税の手続きが一気に簡素化」するという印象を持たれていましたが、実際は健康保険や雇用保険の被保険者資格取得届のほか、給与所得者の扶養控除等申告書に記載するなど、限られた分野での利用にとどまっています。

また、2017年7月からは、インターネット上で自分のマイナンバーの確認ができる「マイナンバーポータル(マイナポータル)」の運用が始まりました。これは、オンライン上でその人が利用できる行政サービスの一覧を確認したり、書類の受取り納税が可能になったりするサービスで、国民の利便性が向上する窓口となることが期待されています。

雇用保険実務とマイナンバー

2016年1月1日以降の申請分より、「雇用保険被保険者資格取得届」や「雇用保険被保険者資格喪失届」「育児休業給付受給資格確認票」など、いくつかの書類にマイナンバーの記載が必要となりました(雇用保険被保険者資格取得届の場合、赤枠で示した「個人番号」欄に記入します)。

引用元:厚生労働省

では、マイナンバーを記入せずに空欄のまま提出してしまったらどうなるのでしょうか?実は、マイナンバーが空欄のままでも、実務上は受理されているのが現状です。

ただ、今後どこかのタイミングで「マイナンバーが空欄のままでは受理しない」という運用になる可能性はあります。現段階から可能な限りマイナンバーを記入するとともに、各省庁や行政の担当者や税理士などとの連絡を密にして、最新情報を得るようにしましょう。

なお、すでに雇用保険の資格を取得済の従業員についても、「一括してマイナンバーを集めるべき」という話題がありましたが、2017年9月の時点において具体的な動きは見られません。

社会保険(健康保険・厚生年金)実務とマイナンバー

健康保険の「被保険者資格取得届」や「被保険者資格喪失届」にも、2017年1月1日からマイナンバーの記載欄が追加されました(健康保険 厚生年金保険被保険者資格取得届の場合、赤枠で示した「個人番号」欄に記入します。直下は従来の基礎年金番号の記入欄です)。
一方、各種年金については日本年金機構のマイナンバー対応準備の遅れなどの理由により、記載が延期されています。マイナンバーを含む新しい書式案は出ているようですが、利用開始時期に関するアナウンスはされていません(2017年9月時点)。

引用元:厚生労働省

年末調整の実務とマイナンバー

年末調整における従業員の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」には、マイナンバーの記載が必須となり、従業員と控除を受けるその配偶者や扶養家族について、それぞれのマイナンバー記入欄が追加されました(給与所得者の扶養控除等(異動)申告書では、赤枠で示した「個人番号」欄に給与所得者本人のマイナンバーを、中段左側の欄に被扶養者のマイナンバーを記入します)。

引用元:国税庁

また、税務署に提出する「源泉徴収票」及び市区町村に提出する「給与支払報告書」にもマイナンバーの記載が必要となりました。源泉徴収票や給与支払報告書へのマイナンバーの記載ルールは、下記の記事をご参照ください。

平成28年分 源泉徴収票の変化点・注意点

マイナンバーの集め方、保管の仕方の再確認

年末調整に向けて、従業員のマイナンバーの収集を完了させなければなりません。そこで、マイナンバーの集め方や保管の仕方を確認しておきましょう。会社の規模や、従業員がITに強いかどうかによって、次の3つの方法のうち、最も対応しやすい方法でマイナンバーを集めてください。

その1 従業員に扶養控除等申告書へマイナンバーを直接記入してもらう

最もオーソドックスなのが、従業員に扶養控除等申告書へマイナンバーを直接記入してもらう方法です。マイナンバーの記載された扶養控除等申告書は厳重な管理が必要になりますので、金庫や鍵付きのロッカーに保管する必要があります。

年末調整の実務を行う際は、扶養控除等申告書を参照することになります。担当者は「扶養控除申告書にはマイナンバーが書かれていることを認識」し、必要な事務が終わったら、すぐに鍵のかかる保管場所に戻しましょう。また、離席する際は、机の上に出しっぱなしにせず、その都度、保管場所に戻すようにしてください。

その2 マイナンバー収集キットの利用

「マイナンバーは別管理とする」と余白に記載すれば、扶養控除申告書自体にはマイナンバーを記入せず、別紙で管理することも認められています。

この場合、扶養控除等申告書はマイナンバーを記載しない形で進め、従業員のマイナンバーは株式会社日本法令が販売している「従業員用マイナンバー取得・保管セット」などの専用ツールを使って集めることになります。マイナンバーと扶養控除申告書を別々に管理・保管したい場合に利用したい方法です。

源泉徴収票の作成時など、必要最小限の範囲で別管理しているマイナンバーを参照するようにすれば、マイナンバーの漏洩リスクを低下させることができます。

引用元:株式会社日本法令

その3 マイナンバー管理用の業務ソフトを利用する

2番目の方法と同様に、マイナンバーは別管理とする旨を扶養控除等申告書へ記載の上、業務用のソフト上で従業員にマイナンバーを入力してもらいます。業務用のソフトには、インストール型とクラウド型がありますが、中小企業には後者がおすすめです。

クラウド型をすすめる1つ目の理由は「手軽さ」です。インストール型の場合は、ソフトをインストールする社内サーバーや各人のパソコンへのセキュリティー対策コストが発生しますが、クラウド型の場合は、これらのコストがかかりません。2つ目の理由は「共有のしやすさ」です。中小企業では年末調整や源泉徴収票の作成業務を社内で行わず、税理士や社会保険労務士に外注するケースが多くなります。このとき問題になるのがマイナンバーの「安全な管理」でしょう。クラウド型のソフトは、紙ベースで管理するときのような紛失リスクがありませんし、インストールタイプの業務用ソフトに比べると利便性が高く、アクセスできる人間を限定できる点でも安心です。

6. まとめ

以上、マイナンバーの最新情報についてご紹介しましたが、2017年分の年末調整及び源泉徴収票の作成が、直近のマイナンバーに関連する重要業務となりますので、本稿が円滑な業務推進の一助になれば幸いです。

執筆: 榊 裕葵(社会保険労務士)

こんにちは。ポライト社会保険労務士法人マネージング・パートナーの榊です。当社では「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念に掲げ、日々の業務に取り組んでおります。クラウドソフトやITツールを用いた労務管理の提案や運用支援にも強みを持っています。

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