人事労務の基礎知識

社会保険の電子申請義務化とは? 電子申請のやり方から対象法人まで簡単に解説

最終更新日:2020/06/17

社会保険の電子申請義務化とは? 手続き方法から抑えておくべきポイントを解説

2018年3月厚生労働省より発表された『行政手続きコスト削減のための基本計画』により、社会保険の電子申請義務化が2020年4月1日より適応されます。電子申請を導入することによってどのようなメリットがあるのでしょうか? この記事では社会保険の電子申請義務化の導入メリットから背景まで詳しく解説します。

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目次

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社会保険の電子申請義務化とは?

2018年3月厚生労働省より発表された『行政手続きコスト削減のための基本計画』により、社会保険の電子申請義務化が2020年4月1日より適応されます。義務化の対象企業は、これまで書面で提出していた手続きは電子政府を介して、日本年金機構やハローワークなどに提出しなければなりません。

e-Japan構想のIT戦略

e-Japan構想のIT戦略とは、「日本新生の最も重要な柱は「IT戦略」いわばe-Japanの構想である」として、IT社会の実現を目指す構想が2000年に政府より発表され、2001年e-Japan戦略が下記の通りに策定され、その中の目玉として電子政府の実現がうたわれました。

【2001年e-Japan戦略の概要】
  • 電子政府の実現
  • 超高速ネットワークインフラ整備
  • 電子商取引
  • 人材育成の強化

電子政府と普及率

電子政府とは、行政と国民・事業者との間で書類や対面で行われている業務をオンライン化を行い、情報を瞬時に共有活用する新たな行政を実現するものです。その結果として下記の電子化が推進されました。

  • 税金関係:e-tax、eltax
  • 社会保険・労働保険:e-Gov
  • 登記関係:登記ネット
電子政府と普及率

このような形でさまざまな手続きが電子化されましたが、実際に使用している人がいなければ意味がありません。

電子申請の普及率を見てみると、登記の電子申請や国税の電子申請は2017年時点で70%、65%と比較的普及しているのに対し、社会保険や労働保険の普及率が約15%と非常に低く、一般的に普及しているとは言い難い状況に置かれています。


電子政府と普及率

このような状況はしばらく続いていましたが、2016年に政府は日本再興戦略として「GDP600兆円を目指す」と発表しました。GDP600兆円を目指すためには、企業の生産性向上が急務です。

生産性向上の1つの目標として行政手続きコストを20%以上削減することが決定し、企業の申請書作成や窓口の往復に要する時間を削減するためにも、社会保険や労働保険の電子申請が必須と考えられ、電子申請が義務化となりました。

電子申請義務化のメリット

義務化と聞くと、負担を強いられるイメージがありますが、従来の「紙に書き」「窓口に足を運び」「手続きをする」というアナログな手法が必要なくなり、下記の通り電子申請を行うことでメリットは多くあります。

  1. 24時間いつでもどこでも申請可能
  2. 行政機関の窓口で待たなくていい
  3. 複数の窓口を回る必要なし
  4. 時間も交通費も削減できる
  5. 手書きの手間も削減し、ペーパーレス化

このように電子申請義務化によって、対象となる法人は多くのコスト削減が可能になります。

電子申請義務化の対象法人と手続き方法

社会保険の電子申請義務化は、対象となる法人と対象とならない法人に分けられ、対象内の法人は以下の4種類になります。

  1. 資本金の額又は出資金額が1億円を超える法人
  2. 相互会社
  3. 投資法人
  4. 特定目的会社にかかる適用事業所

対象となる法人は、従業員数や被保険者数で決まるというわけではなく、上記に当てはまるか否かになりますので注意をしましょう。

電子申請義務化にあたり、対象となる手続きは以下の通りです。

対象手続き
厚生年金保険被保険者賞与支払届
被保険者報酬月額算定基礎書
厚生年金被保険者報酬月額変更届
健康保険被保険者賞与支払届
被保険者報酬月額算定基礎書
健康保険被保険者報酬月額変更届
労働保険年度更新に関する申告書(概算保険料申告書・確定保険料申告書・一般搬出金申告書)増加概算保険料申告書
雇用保険雇用保険被保険者資格取得届
雇用保険被保険者資格喪失届
雇用保険被保険者転勤届
高年齢雇用継続給付支給申請
育児休業給付支給申請

大きく分けた場合、厚生年金、健康保険、労働保険、雇用保険になり、ほとんどの会社員が入らなければならない保険が電子申請義務化の対象となります。

まとめ

現在、電子申請義務化の対象手続きは一部の社会保険のみですが、対象となる手続きが拡大する可能性があります。まだ電子申請に対応していない事業所は、今のうちから準備を進めておくことが必要不可欠でしょう。

義務化の対象でない企業であっても多くのメリットのある電子申請ですので、この期に電子申請をしてみてはいかがでしょうか。

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