
巷で叫ばれる働き方改革。残業規制や有休消化など、中身はなんとなく知っているという方は多いかもしれませんが、なぜ働き方が今になって注目されるようになったのでしょうか。この記事では働き方改革が必要になった背景を詳しく説明するとともに、働き方改革関連法の概要についてご紹介します。
また記事の内容は動画でもご紹介しております。文字ではなく音声で聞きたいという方は下記の動画をご覧ください。
目次
働き方改革が叫ばれるようになった背景
人口構成の変化:人口オーナス時代の到来
「人口オーナス」という言葉をご存知でしょうか。オーナスとは「負担・重荷」という意味です。人口オーナスとは人口構成の変化が経済にマイナスの負荷をかけてしまう状態のことを指します。逆に人口ボーナスという言葉もあり、これは人口構成の変化により高成長率になることです。
現代の日本は人口オーナスの時代に突入しています。このことが働き方改革が叫ばれる大きなきっかけとなったのです。
人口オーナスで経済にマイナスの負荷をかけているとは具体的にどんな人口構成のことを指すのか詳しく見てみましょう。人口構成は大きく分けると3つのカテゴリに分類でき、それぞれのカテゴリにおいて消費と所得のバランスを平均して比較すると下記のようになります。
高齢者人口は例えば介護が必要な状況でどうしても働くことができなかったり、年少人口の場合はそもそも働くことができる年齢ではないため、生産年齢人口が働くことで他の人口カテゴリの所得をカバーする必要があります。
この生産年齢人口が多ければ人口ボーナス、逆に生産年齢人口が少なくこれから増える見込みもない状況を人口オーナスと言います。
過去、高度経済成長以前は日本は年少人口が多く、1950年第以前の第1次ベビーブームの合計特殊出生率は4を超えていました。つまり1人の女性が一生に4人以上の子供を生んでいましたという時代があったのです。
その後、高度経済成長期からバブル期には第1次ベビーブームで増えていた人口が生産年齢人口に成長し、人口ボーナスの時代に突入します。その時期には生産年齢人口は多いものの、少子化も同時に開始していました。
現在は第1次ベビーブームの人口が高齢者人口となり、少子化の影響で生産年齢人口も少なく、圧迫された経済状況から子供を育てる余裕が持てず少子化がさらに深刻化し、人口オーナスの時代となったのです。
働き手の負担増による精神障害件数の増加
人口オーナスの時代となり、働き手が減ってしまったことで今まで人数でカバーすればよかったところが、少ない人手でこれまでより多くの所得を獲得しなくては生きていけないようになりました。結果的に長時間労働をせざる負えない状況になったのです。
長時間労働の増加が働き手の精神的負担にも繋がるのか、精神障害(鬱など)にまつわる労災請求件数は年々増加しています。
ニッポン一億総活躍プランとは
2016年(平成28年)に閣議決定したニッポン一億総活躍プランは戦後最大の名目GDP(=物価変動の影響を除かない国内総生産額のこと)600兆円に向けて、働き手や働く環境に投資を行うというものです。
名目GDPを何で増やしていくかは第4次産業革命例えばAIやBigData、Iotなどの最新テクノロジーの促進で補っていくとされています。それを支える働き手や働く環境の投資については大きく2つの政策が掲げられています。1つは将来の働き手を増やす意味での「希望出生率1.8の実現」、もう1つは高齢者人口の介護をしながらでも働き続けられる社会を実現するという意味での「介護離職ゼロの実現」です。
その2つの政策を実現するために、「子育て・介護環境整備」と「働き方改革」がキーワードとして出てくるようになりました。
働き方改革とは
では「働き方改革」とはどんな内容でしょうか。具体的には3つの改革が挙げられています。
高齢者の就労促進
これまでは定年退職が一般的でした。定年後に元気な体で働きたい気持ちはあっても、年齢によって再就職が難しいという状況がありました。今後は高齢者でも積極的に雇用してもらえるように企業に働きかけるという内容が高齢者の就労促進の1つです。
同一労働同一賃金
女性が出産や配偶者の転勤などを機に一度正社員をやめて労働市場から離れてしまうと、過去と同じ給与水準を保つのが難しいという課題がありました。これは例えばパートやアルバイト、派遣社員が正社員と同じ仕事にも関わらず、雇用形態により賃金に差があるという状況があったのです。そういったことを是正するためにも同一労働同一賃金を呼びかける動きが出てきたのです。
長時間労働の是正
精神障害件数の部分でも長時間労働の影響があるのではと先述しましたが、子育て環境においても長時間労働は課題があります。子供を産んでほしいし、女性にも積極的に働いてほしいという理想を叶えるためには、少なくとも保育園の送り迎えの時間に間に合うように必ず帰宅できる環境が必要なのです。
働き方改革関連法とは
高齢者の就労促進、同一労働同一賃金、長時間労働の是正という3つの働き方改革を実現するために2018年(平成30年)に成立されたのが働き方改革関連法です。
働き方改革関連法は戦後の労働基準法制定以来70年ぶりの大改革と言われており、日本という国にとっても、働く労働者にとっても大きな変化があるとされています。
働き方改革「関連法」という名の通り、下記8つの労働関連法が改正されています。
- 労働基準法
- 雇用対策法
- 労働時間等設定改善法
- 労働安全衛生法
- じん肺法
- パートタイム労働法
- 労働契約法
- 労働者派遣法
8つの関連法の改正ですが、シンプルに考えると4つに分類でき「給料アップ」「働き方の多様化」「健康促進」「長時間労働防止」を促す内容となっています。
まとめ
人口構成から働き方改革の必要性について説明をしてきましたが、日本経済を再生するという目的もあるものの、全ての労働者にとって働き方改革は他人事ではありません。
働き方改革の背景や中身について知ったことをきっかけに、自分の働く権利や働く環境が問題ないか、よりよくするためにはどうすれば良いかも考えてみても良いかもしれません。
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