人事労務の基礎知識

勤怠管理はエクセルでも可能!メリット・デメリットや作り方、注意点を解説

勤怠管理はエクセルでも可能!メリット・デメリットや作り方、注意点を解説

勤怠管理をエクセルで行うことは、多くの企業にとって現実的かつ効率的な選択肢です。初期コストを抑えながら柔軟なカスタマイズが可能で、多くの人が使い慣れているという大きなメリットがあります。一方、勤怠管理をエクセルで運用していくうえでは入力ミスや法令遵守といった課題が存在するのも事実です。

本記事では、エクセルを活用した勤怠管理の基本的な流れから具体的な作成方法、メリット、デメリットを詳しく解説します。エクセルに代わる勤怠管理方法も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

目次

勤怠管理をラクにする方法

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勤怠管理をエクセルで運用する流れ

勤怠管理をエクセルで運用するには、まずはベースとなるシートの作成が必須です。それをもとに従業員が打刻・記録を行い、管理者はデータ確認や労働時間の計算などに活用します。

ここでは、勤怠管理にエクセルを活用する場合の一般的な流れを解説します。

なお、労働基準法にもとづいて適正に労働時間を管理するためには、厚生労働省が定める「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に則って運用ルールを決めます。

1. 勤怠管理表(テンプレート)の準備

まずは、勤怠管理表を準備します。エクセルで勤怠管理表を作成する場合、自社の勤務形態に合わせたフォーマットを作成するか、インターネット上で配布されているテンプレートを活用するのがおすすめです。

自社の勤怠管理に必要な項目をピックアップし、記載しましょう。勤怠管理表に記載する項目の例は、以下のとおりです。

勤怠管理表に記載する項目

  • 日付
  • 曜日
  • 従業員の氏名
  • 出勤時刻
  • 退勤時刻
  • 休憩時間
  • 実労働時間
  • 残業時間
  • 深夜残業時間
  • 備考(遅刻、早退、有給休暇など)

就業規則をもとに必要な項目を洗い出し、管理表に反映させるのがポイントです。

2. 従業員による打刻・記録

勤怠管理表が完成したら、従業員に勤怠データを記録してもらいます。記録の入力方法は、タイムカードの打刻や自己申告などさまざまです。

どの記録方法を採用するにしても、入力のルールを明確にして従業員全員に周知することが重要です。たとえば、「当日中に入力する」「修正が必要な場合は管理者に連絡する」などといったルールを設けておくと、スムーズに運用できます。

3. 管理者によるデータの収集・確認

従業員が入力した勤怠データは、管理者が定期的に収集・確認する必要があります。従業員ごとに勤怠管理表のエクセルデータを共有してもらう、メールで提出してもらうなど、データ収集の方法を決めておくことも大切です。

また、管理者はデータを確認する際に「打刻漏れや誤入力はないか」「あらかじめ申請されている休暇と整合性が取れているか」「労働時間が長すぎる・短すぎるといった異常はないか」などを確認します。

万が一、打刻漏れや内容に誤りがあった場合は、正しい時間や数値へ訂正しなければなりません。修正時に備えて、対応フローなども事前に定めておくと運用がスムーズです。

4. 労働時間・残業時間の計算

勤怠データが正確に入力されているのが確認できたら、エクセルの関数機能を活用して、労働時間や残業時間を計算します。関数機能を活用すれば、以下のようなデータの把握も容易です。

  • 実労働時間:退勤時刻から出勤時刻を引き、休憩時間を差し引く
  • 法定内・法定外残業時間:所定労働時間を超えた部分を算出する
  • 深夜労働時間:22時から翌5時までの労働時間を抽出する
  • 休日労働時間:休日に勤務した時間を集計する

計算式を一度設定しておくだけで、以降はデータを入力するだけで自動的に計算してくれるため、手計算よりも効率的です。作業負担の軽減にもつながります。

5. 月次集計と給与計算への連携

従業員ごとの勤怠データから時間を計算できたら、給与計算に必要なデータを作成しましょう。給与計算に専門ソフトを活用している場合は、手入力するかCSV形式のデータをインポートするなどして連携します。

自社の給与計算方法に適した連携方法を選択すると、業務効率の向上につながります。

6. データの保管

集計や給与計算に使用した勤怠データについては、自社内で保管しておく必要があります。紛失や破損に備えて、定期的にバックアップを取ることも検討しましょう。

なお、保管期限は労働基準法にて5年と定められています。ただし、これは2020年の法改正以降定められた期間となるため、現在は経過措置として当面の間3年でもよいとされています。

また、勤怠データには個人情報も含まれます。アクセス権限の設定やパスワード保護など、セキュリティ対策も忘れずに行いましょう。 出典:e-Gov法令検索「労働基準法第百九条」

エクセルを使った勤怠管理のメリット

エクセルによる勤怠管理には、効率性やコストの観点からさまざまなメリットがあります。

導入・運用コストが低い

エクセルを使った勤怠管理の大きなメリットのひとつは、低コストな点です。

専用の勤怠管理システムを導入する場合は初期費用や月額利用料が発生しますが、すでにエクセルを導入済みであれば追加コストをかけずに勤怠管理表の作成・運用が可能です。

また、エクセルをはじめとしたMicrosoft社のソフトは、一度購入すれば継続的に使用できます。ソフトウェア利用料にあまりコストをかけたくない企業にとっては、ランニングコストを抑えた運用ができるのも大きなメリットとなります。

操作に慣れている人が多く取り扱いやすい

エクセルは、多くのビジネスパーソンが日常的に使用しているソフトウェアです。そのため、勤怠管理にエクセルを採用した場合、従業員も管理者も基本的な操作に慣れているケースも多く、導入時の教育コストを最小限に抑えられます。

社内で使用したことのない新しいシステムを導入する場合、その操作方法の習得に時間がかかりますが、エクセルであれば既存のスキルを活かして比較的スムーズに導入できます。

カスタマイズ性が高い

エクセルでは管理表に記載する内容や項目を、自社の就業規則や勤務体系に合わせて自由にカスタマイズできます。運用をはじめてから項目や計算式を変更・追加しやすいのも特徴です。

自社特有の複雑な勤務形態や計算ロジックにも、関数やマクロを活用すれば対応できる可能性があります。

自動計算によって効率化できる

エクセルに計算式をあらかじめ設定しておくことで、労働時間や残業時間の計算を自動化できます。SUM関数やIF関数、TIME関数などを組み合わせると、さまざまな計算を自動算出でき、業務効率の向上にも役立ちます。

自動化できる計算項目例

  • 日々の実労働時間の計算
  • 残業時間(法定内・法定外)の算出
  • 深夜労働時間の抽出
  • 休日労働時間の計算
  • 月間の合計労働時間

残業時間など個人差のある時間計算は、手計算すると手間がかかってしまいます。従業員数が多ければ作業量も膨大になるため、ミスも発生しやすくなりがちです。

これらを自動化することは、管理者の負担軽減につながります。ただし、エクセルの計算式の設定を間違えるミスには注意しましょう。

簡単なデータ分析がしやすい

エクセルには、データを視覚的に分析するための機能が備わっています。グラフ機能やピボットテーブル、フィルター機能などを活用すれば、勤怠データから有用な情報を抽出し、分析することが可能です。

分析できるデータ例

  • 部署別の残業時間の比較
  • 月別の労働時間の推移
  • 有給取得率の推移

勤務管理によって得られるデータを分析することで、業務改善や労働環境の最適化に役立てられます。

エクセルを使った勤怠管理のデメリット

エクセルによる勤怠管理には、デメリットや課題も存在します。導入前にこれらのリスクを理解し、対策を検討することが重要です。

入力ミス・不正打刻のリスクがある

エクセルでの勤怠管理は、手入力によるデータ記録を基本とするケースがあります。入力ミスや打刻漏れが発生しやすく、正確な労働時間の把握が難しくなる可能性があります。

そもそもエクセルは、入力した内容の修正作業が容易であるため、意図的な時間の改ざんや不正打刻のリスクがあります。入力ルールの徹底や管理者による確認プロセスの整備など、運用面での工夫が重要です。

計算式が複雑で設定・管理しづらい

勤怠管理には、複雑な計算ロジックが用いられる場合もあります。残業や深夜労働、休日出勤、休憩時間の控除など、労働基準法に準拠して正確に計算するためには、エクセルに複雑な関数を組み込む必要があるためです。

複雑な計算式を正確に設定するには、エクセルの関数の知識が必要です。また、一度設定した計算式でも、法改正や就業規則の変更時は修正が必要となり、メンテナンスが手間となる場合もあります。

集計・確認作業に工数がかかる

エクセルを使った勤怠管理は、打刻・申告する従業員にとっては手間が少なくても、管理者にとっては負担になる場合があります。とくに従業員数が多い企業では、勤怠データの収集や確認、修正、集計作業などに時間と手間がかかります。

このような管理者側の業務などを手作業で行う場合、本来の業務に支障をきたす恐れがあることに注意が必要です。

法改正への対応が難しい

法改正がある場合、エクセルの計算式や管理方法を迅速かつ正確に変更する必要があります。しかし、社内に専門知識を持つ人がいないと対応は難しく、結果として法令遵守できない恐れがあります。

また、2019年より客観的な記録による労働時間の把握が義務化されました。この客観的な記録方法にはタイムカードやICカードによる出退勤記録、労働時間に使ったパソコンの使用時間の記録などが挙げられます。

出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」

これにより、自己申告のみのエクセル管理だけでは、要件を満たせない可能性があるのです。万が一、違反とみなされると、是正勧告の対象となる場合があるため注意が必要です。

管理上のトラブルやセキュリティ上のリスクがある

エクセルによる勤怠管理は、ファイル破損やデータ消失などのトラブルが発生する恐れがあります。また、勤怠データには個人情報が含まれるため、適切なアクセス権限管理が必要です。

しかし、アクセス制限は比較的容易に解除できてしまう、といったセキュリティ上の問題も無視できません。こうしたリスクを軽減するためには、定期的なバックアップや厳格なアクセス権限の設定など、運用面での対策が必要となるのです。

勤怠管理表をエクセルで作る流れ

エクセルを使った勤怠管理表の作成方法は、以下の4ステップです。

  1. 基本構成の決定
  2. 必要な項目の設定
  3. 計算式・関数の入力
  4. 書式設定で見やすくする

テンプレートを活用する方法もありますが、作り方の流れを把握しておけば、自社特有のニーズにも対応できる管理表を手軽に作成できます。

1. 基本構成の決定

まずは、シートの構成やヘッダー部分の情報といった基本的なレイアウトを決めます。


内容レイアウト詳細の一例
シートの構成・1ヶ月1シート
・従業員ごとにシートを作成
・集計シートを作成
ヘッダー部分の情報・年月
・従業員名
・部署名
・社員番号
集計期間・1日~末日
・26日~翌月25日

自作が難しい場合は、インターネット上で配布されている無料テンプレートやMicrosoft Excelに標準搭載されているテンプレートを参考にしてください。テンプレートを自社仕様にカスタマイズするのもおすすめです。

2. 必要な項目の設定

レイアウトを決めたら、必要な項目を設定していきます。表上部の列に、以下のような項目を設定しましょう。

項目の例

  • 日付
  • 曜日
  • 出勤時刻
  • 退勤時刻
  • 休憩時間
  • 実労働時間
  • 時間内労働(所定労働時間内)
  • 残業時間(法定内・法定外)
  • 深夜残業時間
  • 休日労働時間
  • 有給休暇
  • 欠勤
  • 備考(遅刻、早退、特記事項など)

入力する項目には、規則を設定しておくと便利です。たとえば、時刻形式(HH:MM)を指定したり、プルダウンからの選択制にしたりすることで、入力の効率化や入力ミスの防止にもつながります。

3. 計算式・関数の入力

レイアウトと項目を定めたら、実際の運用で数値を入力した際に自動で反映されるよう、計算式や関数を入力します。正しい計算を導き出すためには、適切な計算式と関数を設定する必要があります。

計算式・関数を入力する項目

  • 実労働時間
  • 残業時間
  • 深夜労働時間
  • 月次合計
  • 曜日表示

それぞれの計算式・関数は、以下のとおりです。

実労働時間(退勤時刻 - 出勤時刻 - 休憩時間)

=IF(AND(C2<>"",D2<>""), C2-D2-E2, "")

※C2:出勤時刻 D2:退勤時刻 E2:休憩時間と仮定

残業時間

=IF(F2>TIME(8,0,0), F2-TIME(8,0,0), "")

※所定労働時間を8時間と仮定
※F2:実労働時間と仮定

深夜労働時間(22時〜翌5時の場合)

=IF(AND(C7<>"", D7<>""),IF(D7 TIME(7,0,0),IF(C7 TIME(5,0,0)))),MAX(0, MIN(D7, TIME(5,0,0))-MAX(C7, TIME(22,0,0)))), "")

※C7:出勤時刻 D7:退勤時刻と仮定

月次合計

=SUM(F2:F32)

※F2:〇月1日の実労働時間 F32:〇月31日の実労働時間と仮定

曜日表示

=TEXT(A2, "aaa")

※A2に日付が入っていると仮定

4. 書式設定で見やすくする

それぞれ必要な項目や計算式が入力できたら、視認性や使いやすさを重視し、背景や文字色を変更しましょう。たとえば、土曜日は水色、日曜日や祝日は赤色の背景にするなど、曜日ごとに色分けするのもおすすめです。

設定の際は条件付き書式を活用すると、特定の条件に合致するセルを自動的に強調表示できます。さらに、ヘッダー行を固定表示に設定しておくと、長い表をスクロールしても項目名が常に表示されるため便利です。

勤怠管理をエクセルで実施する注意点

勤怠管理をエクセルで行う際は、いくつかの点に注意してください。とくに法令遵守や運用ルールの明確化に努め、適正な運用を心がけることが大切です。

正確性を担保する

勤怠管理において、データの正確性は重要です。エクセルでの管理では手入力が基本となるため、入力ミスが発生するリスクがあります。ミスを防ぐには、明確な入力ルールの設定や、管理者・上長によるダブルチェック体制を構築しておくことが重要です。「当日中に入力する」「修正が必要な場合は上長に連絡する」「管理者は退勤前にダブルチェックを行う」など、具体的なルールを定めましょう。

また、端数処理などのルールも明確にしておく必要があります。労働時間を15分単位で切り上げる、切り捨てる、四捨五入するなど、一貫した処理方法を定めることは、公平かつ正確な勤怠管理につながります。

確認時には、計算式が正しく設定されているかどうか定期的に検証することが大切です。労働時間や残業時間の計算は複雑なため、日をまたぐ勤務や休日出勤などのケースを想定したテスト入力を行い、正確性を確認しましょう。

法令遵守を意識する

勤怠管理は単なる記録ではなく、労働基準法をはじめとするさまざまな法令を遵守する必要があります。エクセルで管理を行う場合でも、法的要件を満たす設計が不可欠です。

具体的には、週40時間・1日8時間・時間外労働の上限・休憩時間の付与といった労働時間管理のルールを正しく計算式に反映させます。とくに残業時間の集計や割増賃金の計算は、法令に則った正確な処理が求められます。

また、勤怠記録には原則5年間(当面の間は3年間)の保管義務があります。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法第百九条」

データ破損や紛失リスクに備えて、日頃からファイルを適切にバックアップしておくほか、期間内は確実に保管できる体制を整えましょう。「客観的な方法による労働時間の把握」の要件を満たせるよう、パソコンのログ記録や出退勤管理システムと併用するなど、客観性を高める工夫が必要です。

運用ルールを明確にして周知する

エクセルでの勤怠管理を円滑に進めるためには、明確な運用ルールを設定し、社内全員に周知する必要があります。従業員向けには、以下のようなものを明確にしてください。

  • 入力期限のルール(当日中、翌日午前中までなど)
  • 修正方法(上長への連絡手順、修正履歴の残し方など)
  • 休暇申請との連携方法(申請書の提出タイミング、承認フローなど)

また、これらのルールを文書化しマニュアルを策定しておくことで、従業員全員が一貫した方法で勤怠管理に参加できる環境を整えるのも大切です。

管理者向けには、申請内容の確認や承認フローを定め、「いつ、どのように従業員の勤怠データを確認し、承認するか」を明確にします。月末や給与締め日前のチェック体制を整備し、抜け漏れのない勤怠管理が可能になります。

データ管理とセキュリティ対策を強化する

勤怠データには個人情報や給与計算の基礎となる重要情報が含まれるため、適切なデータ管理とセキュリティ対策が必須です。とくにバックアップの実施は重要で、週次や月次など定期的なタイミングでバックアップを取り、外部ドライブやクラウドストレージなどに保存するようにします。このように、万が一ファイルの破損や誤削除があった場合への備えが重要です。

また、各種ファイルにはパスワードを設定し、権限のない人が閲覧・編集できないよう配慮します。アクセス権限の管理も重要で、編集権限は必要最小限の担当者のみに付与し、その他の社員には閲覧のみの権限を与えるといった対策が効果的です。共有フォルダで勤怠管理ファイルを運用する場合も同様で、保存や更新時のルールを明確化しておきます。

エクセル以外の勤怠管理方法

エクセルでの勤怠管理を行うにはさまざまなメリットがありますが、必ずしも自社の運営に適した方法とは限りません。大切なのは、自社の従業員が理解・運用しやすい仕組みを構築することです。ここでは、エクセル以外の勤怠管理方法を3つ紹介します。

紙の出勤簿による管理

紙の出勤簿による管理方法では、1枚の用紙に出勤・退勤時刻、残業・休憩時間、遅刻・早退、休日取得など、勤務に関するあらゆる情報を記録します。記入欄が一覧になっているため、一目で勤務状況を確認できるところが特徴です。

紙と筆記用具だけで導入できるため、初期コストをかけずに始められるのが大きなメリットです。システム知識がなくても簡単に運用でき、停電などのIT障害の影響を受ける心配も少なくなります。

ただし、毎月の集計作業を手作業で行わなければならない点はデメリットです。従業員が多い場合は、集計作業だけでも膨大な時間と労力を要する恐れがあります。また、従業員本人の自己申告に依存するため客観性に欠け、意図的な虚偽申告のリスクが存在する点も課題として挙げられます。

タイムカードによる管理

タイムカードを使用した勤怠管理も、広く取り入れられている方法のひとつです。従業員が出勤・退勤する際にタイムカードを機械に読み込ませて時刻を打刻します。読み込む機械を用意してしまえば、あとはタイムカードを補給するだけで運用できるため、比較的コストをかけずに導入できる特徴があります。操作が手軽なほか、機械による打刻のため手書きよりも客観性が高く、時刻の改ざんが難しい点もメリットです。

一方、集計業務には紙の管理方法と同様に手間がかかる場合があります。各従業員のタイムカードを1枚ずつ確認し、労働時間や残業時間を計算して集計する作業は、管理者にとって大きな負担となる可能性が否めません。たとえば、打刻忘れや誤った日付への打刻ミスなどが発生すると、管理者は確認・修正作業に追われることとなります。また、別の従業員が代理で打刻する「なりすまし」も発生しやすく、完全な信頼性は担保できません。

加えて、タイムカードの打刻は社内で行うのが一般的です。直行・直帰の勤務形態やテレワークを導入している企業ではリアルタイムの打刻が難しいなど、多様な働き方に対応しきれていない課題があります。

勤怠管理ソフトによる管理

紙での管理やタイムカードでの管理に困難を感じている企業には、勤怠管理ソフトを利用する方法がおすすめです。勤怠管理ソフトとは、従業員の出退勤記録や残業時間の計算、休暇申請の管理などを一元的に行えるソフトウェア(システム)を指します。

クラウド型の勤怠管理ソフトなら、場所を選ばず利用できるため、テレワークや直行直帰が多い従業員がいる会社に適しています。スマートフォンやパソコン、タブレットなどさまざまなデバイスからアクセスできるほか、オフィス外からでも打刻や申請が可能です。打刻方法には、ブラウザやアプリからの入力、ICカードや生体認証による認証、GPS機能を活用した位置情報確認、LINEやSlackなどの各種SNSツールとの連携など、自社のニーズに適した方法が選択できます。

勤怠管理ソフトは、データ集計や分析が自動化できます。多くのシステムは給与計算ソフトとのデータ連携も可能で、二重入力の手間や転記ミスのリスク削減にもつながります。

勤怠管理の工数が増大している企業や、労務管理のコンプライアンスリスクが高まっている企業では、専用システムの導入を前向きに検討すべきです。業務効率化や法令遵守の面で大きなメリットとなります。

まとめ

勤怠管理をエクセルで行うことには、コスト面や操作の手軽さなどのメリットがある反面、入力ミスや集計作業の負担、セキュリティ面での課題といったリスクも存在します。

適切な運用を行うには、計算式の正確な設定や法令遵守への配慮、明確なルール作りが重要です。企業の規模や業務内容に応じて、エクセルでの管理は適切か、専用ソフトの活用が適しているかなど検討しながら、効率的かつ正確な勤怠管理を実現しましょう。

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よくある質問

勤怠管理をエクセルで運用する流れは?

勤怠管理をエクセルで運用するには、ベースとなる管理表を作成し、それをもとに従業員が打刻・記録を行います。また、管理者や上長は従業員が記録した管理表を、週や月ごとなどの一定期間で、データ確認や労働時間の計算を行います。

詳しくは、記事内の「勤怠管理をエクセルで運用する流れ」で解説しています。

勤怠管理をエクセルで運用するデメリットは?

勤怠管理をエクセルで行うには、いくつかデメリットがあります。具体的には、入力ミスや不正打刻のリスク、計算式の設定・管理の複雑さ、集計・確認作業の負担などが挙げられます。

記事内の「エクセルを使った勤怠管理のデメリット」で詳しく解説しています。

勤怠管理をエクセルで実施する際の注意点は?

勤怠管理をエクセルで行う場合、正確性の担保や法令遵守の意識に注意する必要があります。正しく運用するために、社内でルールの明確化や周知徹底を行うことも大切です。

詳しくは、記事内の「勤怠管理をエクセルで実施する注意点」をご覧ください。

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