過重労働を防ぎ、適切な労働管理をするためには、日々の勤怠管理が大切です。
勤怠管理の方法として、自社に合う勤怠管理システムを導入することで、正しく労働管理を行うと同時に、勤怠管理の効率化も行なうことができます。
今回は、勤怠管理システムついて比較すべきポイントや導入時に気をつけたいポイントをまとめました。
目次
- 勤怠管理システムとは
- 客観的な労働時間の把握
- 労働時間を給与計算にあった形に分けて集計
- 休暇管理と給与計算への反映
- メーカーごとに特色のある勤怠管理機能
- 勤怠管理システムのタイプ
- タイムレコーダーと集計ソフトでの勤怠管理
- パッケージ型の勤怠管理システム
- クラウドサービス型の勤怠管理システム
- 勤怠管理システム選びは、自動化したい業務を明確にすることから始まる
- 勤怠管理の手続きとは
- 勤怠管理システムの要件で確認するポイント
- 勤怠管理の基本機能
- 申請・承認の機能
- 給与計算の機能
- 遅刻早退の処理
- 勤怠管理システム選びの判断基準
- 従業員目線での使いやすさ
- メーカーの姿勢
- 勤怠システム導入時の注意点
- イレギュラーな処理は担当者で行なえるように
- 勤怠管理についての教育
- まとめ
勤怠管理システムとは
勤怠管理システムとは、出勤時間・退社時間を客観的に記録し、給与計算に必要な情報を集計するものです。勤怠管理システムの導入によって、勤怠情報をの記録から、記録された情報を給与計算にあった形で集計するなどの業務を効率的に行うことができます。
客観的な労働時間の把握
原則として使用者が従業員の労働時間を把握する義務があります。しかし使用者が自ら現場で把握することが難しい場合、タイムカードやICカードなどの活用により客観的に把握することになります。
労働時間を給与計算にあった形に分けて集計
記録された労働時間は 給与計算に使用されますが、労働時間を以下のようにわけて集計する必要があります。
- 通常の労働時間
- 残業時間
- 深夜労働
- 休日勤務
なお集計の際に出勤時間や退社時間が抜けている場合には、勤怠情報を修正します。
休暇管理と給与計算への反映
勤怠管理システムには休暇管理の機能も搭載されているものもあります。社員が有給休暇や代休を取得した場合に、正しく給与計算に反映します。
メーカーごとに特色のある勤怠管理機能
上記のような基本的な勤怠管理機能のほかにも、メーカーによっては残業時間が超過した場合のアラート機能など、特色のある機能を搭載しています。
勤怠管理システムのタイプ
勤怠管理システムのタイプは大きく3つに分けられます。ここでは各タイプのメリットやデメリットなどもあわせて見ていきましょう。
タイムレコーダーと集計ソフトでの勤怠管理
タイムレコーダーを設置して単純な出退勤を記録し、後に集計ソフトで行なう方法は、勤怠管理システムの中で最も簡易的に導入できる形態といえるでしょう。
タイムレコーダーのソフトウェアをPCにインストールして利用します。大半の商品はタイムレコーダーと集計ソフトのセット販売です。
Excelなどの表計算ソフトでの集計よりは便利ですが、確認や修正に手間がかかり勤怠管理業務が担当者に集中するため、あまりおすすめできません。時刻の客観的な記録のみが必要な場合は、選択肢の一つとなるでしょう。
パッケージ型の勤怠管理システム
パッケージ型の勤怠管理システムを利用する場合は、サーバーとソフトウェアを購入し自社で運用します。
パッケージ型の場合、ソフトウェア・アップデート回数が少ないため、一度慣れると使い方などを変更する必要が少ない点です。たとえば、他の人事システムで勤怠情報も統合管理するため、フォーマットを作成する場合がありますが、フォーマットの変更回数をおさえることができます。
導入時にサーバー設置など含めて導入コストが高くつくほか、サーバー運用によるランニングコストが必要となる点が挙げられます。また、毎年のバージョンアップで買い替えが必要になる点にも注意が必要です。
クラウドサービス型の勤怠管理システム
クラウドサービス型の勤怠管理システムを利用する場合には、インターネット上で提供されるサービスを月額や年額で契約し利用します。
社内外からパソコンやタブレット・スマートフォンなどのデバイスを問わず勤怠情報を記録できる点があります。またクラウド上で情報を集積するため、事業所が複数拠点にまたがる場合でも集計を楽に行えるのが特徴です。
パッケージ型の製品とは異なり、サーバー運用の負担もなく、ソフトウェアアップデートの手間や更新料を必要としません。またパッケージ型に比べ安価に導入できることが多いため、もっとも導入しやすい形態といえます。
勤怠管理システム選びは、自動化したい業務を明確にすることから始まる
勤怠管理システムを選ぶ際には、まず自社の勤怠管理の業務・手続きを把握することから始めましょう。
その後、勤怠管理の業務・手続きの中から、勤怠管理システムの機能として必要なものを選びます。そしてシステムを導入し、最適な勤怠管理の業務フローとなるように運用を開始し、改善していきます。
勤怠管理の手続きとは
勤怠管理の手続きは、一般的に次のような流れとなります。
- 従業員は勤怠記録を行うため、出社・退社時刻を記録します。また、担当者から承認を得るため、有給休暇などの休暇等申請書を提出します。
- 人事担当者は提出された休暇等の申請書を出勤簿に反映させます。
- 確定した情報をもとに給与計算を行います。
打刻だけを自動化したいのか、集計、給与計算とのスムーズな連携までを自動化したいのかなど、「最低限自動化したい業務」と「自動化されると嬉しい業務」を見分けます。
勤怠管理システムの要件で確認するポイント
勤怠管理システムでは主に次の業務を自動化できますが、システムにより対応可否がわかれる業務もあります。予算の範囲内で必要な業務が自動化されるように、比較を行いましょう。
勤怠管理の基本機能
- 打刻(出退勤管理)
- 打刻機能を自動化することで、従業員の出退勤管理が簡単になるほか、その後の集計などもかんたんに行えるようになります。打刻忘れや修正が必要な場合に、どのような操作が必要となるのか確認しておきます。
- 集計
- 毎月の給与計算のための労働時間の時間集計や、給与計算ソフトに入力するためのデータを自動作成することができます。複数拠点に渡る場合にはより集計を簡単に行えるよう、クラウド型の勤怠管理システムを検討することをおすすめします。
申請・承認の機能
- 日々の勤怠を承認
- 自動で打刻を行なう場合でも「承認」手続きが必要な場合は、機能が備わっている勤怠システムを選びます。
- 各種申請書の承認
- 有給休暇や出張などの申請がある場合、現在の申請書の必要項目を満たしつつ自動化できるかを確認します。申請書ごとに、申請書が承認された場合の処理や集計内容を整理しておくと、システムでの必要性を判断しやすくなります。
給与計算の機能
勤怠管理システムの中には、残業代計算を含め給与計算まで自動で行えるものもあります。打刻から集計、給与計算まで一気に自動化できると、担当者の手間を大きく削減することが可能です。
必要に応じて有給休暇や休日勤務、振替休日の処理ができるかも確認しましょう。
遅刻早退の処理
システムでは打刻時刻と始業時刻の比較により遅刻が判断されるので、始業時刻後の打刻は無条件に遅刻扱いになります。交通機関の遅延など、イレギュラーな処理をどのように行なうかは事前に確認しておきましょう。
勤怠管理システム選びの判断基準
勤怠管理システムを選ぶ際には、自社で必要な勤怠管理システムの要件を満たしているかに加え、いくつかの判断基準でも比較することをおすすめします。
従業員目線での使いやすさ
勤怠管理システム導入で最も重要なのは、従業員が簡単に操作でき、無理のない運用を行えるかどうかという点です。従業員目線で使いやすいことで、担当者への問い合わせの減少にもつながります。導入時からマニュアルなしでもわかる使いやすさであるかや、難しい操作や画面がないかは確認しておきましょう。
メーカーの姿勢
システムを提供するメーカーの対応が自社に合うかどうかは確認しておきたいところです。通常のシステムの使い方の問い合わせをする際の対応スピードや品質はもちろん、不具合があった場合の応対や修正スピードに関する情報も調べられるとよいでしょう。
また、システムに関する問い合わせだけでなく、勤怠管理や給与計算などの業務の問い合わせをできるかどうかも確認してきます。
勤怠システム導入時の注意点
システムを選んだ後も、無事に導入し運用にのせるには注意が必要です。
イレギュラーな処理は担当者で行なえるように
頻度の低いイレギュラーな処理(振替休日の処理など)が想定された場合は、人事担当者の操作で対応ができるような設定としておくことをおすすめします。従業員への過度な負担は、その確認・修正を行なう人事担当者の負担の増加につながる可能性があります。
勤怠管理についての教育
勤怠管理システムの導入を成功させるには、実際に勤怠を登録する従業員の継続的な協力が必要です。勤怠管理への理解が得られ、従業員がスムーズに運用できるための、研修が重要となります。導入する勤怠システムの操作の研修はもちろん、労働法などの研修も含めるようにしましょう。
まとめ
勤怠管理システム選びは、手続きを明確にし、システム化できることを選ぶことから始まります。
システムの導入には、比較検討から実際に導入し運用に載せるまで通常以上の作業が伴いますが、自社に合う勤怠管理システムを選び導入できれば、日々の事務作業の負担を軽減することができます。
しっかりと自社の状況を分析し、自社に合った勤怠管理システムを導入しましょう。
執筆: 西丸兼生(社会保険労務士)
こんにちは。社会保険労務士の西丸兼生です。当事務所では労務管理はもちろん、日々の業務においてクラウドやITツールを使った効率的な経営管理の提案をしています。当事務所Webサイトにて労務管理その他について情報発信も行っております。
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