確定申告の基礎知識

家賃収入の確定申告!不動産所得か事業所得かは不動産事業規模で違う

公開日:2017/09/17
最終更新日:2020/02/18

家賃収入が事業所得か不動産所得かで確定申告方法が異なります。家賃収入を事業所得として申告する場合は、3つの条件を満たす必要があります。

賃貸可能な独立した部屋が10室以上、5棟以上の独立家屋があること、50台以上の車室を完備した駐車場を備えていること、が事業所得になる目安です。

事業所得として認められれば、青色申告特別控除や配偶者や親族の専従者控除を受けられたり、貸倒損失を必要経費に計上できたりするメリットがあります。

家賃収入が3つの条件に該当しなければ、不動産所得として申告しなければなりません。土地や建物などの不動産の貸付けで得られる所得や、地上権などの不動産に関する権利の設定や貸付けで得られる所得、船舶や航空機の貸付けで得られる所得などが不動産所得に該当します。

この記事では、不動産所得が事業所得として認められる事業規模の境界線や、不動産所得の確定申告時の注意点をご紹介します。

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不動産所得を事業所得で申告する基準

事業所得にあたるのは、主に自営業者の事業による所得です。小売業やサービス業、農業、漁業などさまざまな事業があてはまります。

不動産を貸して得られる所得の場合、一般的には事業所得ではなく不動産所得として扱います。

不動産収入を事業所得として申告するためには、不動産の貸付けが事業規模で行われているかどうかで判断します。事業規模として認められる基準は以下のとおりです。

<不動産所得が事業所得になる境界線>

  1. アパートなどの場合は、賃貸できる独立した部屋の数がおよそ10室以上
  2. 独立家屋の貸付けは概ね5棟以上
  3. 駐車場は50台以上の車室が基準

事業規模としての貸付けかどうかの判断は、5棟10室が目安です。5棟10室以上の規模ならば、事業所得として認められます。

事業的規模に該当する不動産所得の計算

不動産の貸付けが事業的規模に相当する場合は、不動産所得の計算も変わってきます。一般の不動産所得との大きな違いは以下のとおりです。

青色申告特別控除が適用される

記帳などの条件を満たせば、青色申告特別控除として最高65万円を不動産所得の金額から控除できます。事業的規模にあたらない場合は、控除できるのは最高10万円です。

不動産所得の青色申告については関連記事を参照してください。

【関連記事】
不動産所得がある人の青色申告、そのメリットや条件は?

配偶者や親族の専従者控除が適用される

配偶者や親族が事業に従事している場合は、事業的規模であれば青色申告の専従者給与、白色申告の場合は専従者控除が適用されます。専従者控除額は、配偶者の場合は1人あたり86万円(配偶者でないその他親族の場合は50万円)か、専従者控除前の所得金額のいずれか低いほうになります。一般の不動産所得として申告する場合は、これらの控除は受けられません。

他の所得との損益通算、または青色申告で3年間の繰越控除が適用される

事業的規模の場合、賃貸用の不動産の取り壊しなどで生じる資産損失を必要経費として計上できます。それによって不動産所得が赤字になった場合は、他の所得との損益通算、または青色申告での3年間の繰越控除の適用が可能です。事業的規模でない不動産所得の場合、必要経費に算入できる額は、取り壊しなどを行った年の不動産所得の総収入金額が限度になり、不動産所得金額を0円で申告するだけでマイナス計上はできません。

貸倒損失を必要経費に計上できる

回収不能の賃貸料が発生した場合、事業的規模では貸倒損失をその年度の必要経費に計上できます。不動産所得として申告する場合は、回収不能となった所得をなかったものとみなし、その貸し倒れが発生した年度にさかのぼって所得金額を再計算しなくてはなりません。

事業所得にならない不動産所得の申告

事業所得や譲渡所得にあたらない不動産に関連した所得は、不動産所得として申告が必要です。

<事業所得や譲渡所得にあたらない不動産所得>

  1. 土地や建物など、不動産の貸付けで得られる所得
  2. 地上権など不動産にまつわる権利の設定や貸付けで得られる所得
  3. 船舶や航空機の貸付けで得られる所得

アパートなどの不動産を所有し、人に貸している大家さんのほか、資産運用のためにワンルームマンションなどを貸している給与所得者も、不動産所得の確定申告が必要です。

譲渡所得についての詳細は関連記事を参照してください。

【関連記事】
不動産を売却した時の特例制度と確定申告

不動産所得の計算方法

不動産所得の金額は、不動産に関わる収入金額の合計から必要経費を差し引いて算出します。

不動産所得=総収入金額-必要経費

総収入金額に含まれるのは、地代家賃のほか、名義書換料、更新料、返還の必要がない敷金・保証金、共益費として受け取る電気代・水道代・掃除代などが含まれます。

必要経費に含まれるものは、貸している土地・建物の固定資産税や損害保険料、減価償却費、修繕費などです。土地や建物の借入金の利息部分もこれに該当します。

修繕費にあたるのは、貸している建物の付属設備や器具備品、機械装置、車両運搬具などの資産の修繕にかかる費用です。一方、維持管理や修理にかかる費用は一般の必要経費となります。

参考:不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)|所得税|国税庁

不動産所得の確定申告で注意する点

不動産所得の確定申告は、以下の点に注意して行ってください。

<不動産所得を確定申告する場合の注意>

  1. 不動産所得は年末調整で申告不可
  2. 土地や駐車場の場合は計算方法が変わる
  3. 不動産収入では未収家賃も収入とする
  4. 親族への無料賃貸分は固定資産税等の経費計上不可
  5. 減価償却の設定に注意

1.不動産所得は年末調整で申告不可

会社のお勤めの方は給与所得の申告は年末調整で完了します。副収入として不動産所得がある場合、会社に相談しても年末調整で扱ってもらえませんので、自分で確定申告し、所得や経費を申告する必要があります。

2.土地や駐車場の場合は計算方法が変わる

不動産所得か、事業所得かは、前述した「5棟10室基準」で判断します。戸建てやマンションではない場合、計算方法が変わります。
例えば、土地を貸す場合は5ヵ所で1室分、駐車場の場合は5台分で1室の計算となります。

3.不動産収入では未収家賃も収入とする

家賃は事業収入の売掛金と同じ扱いで、未払家賃があっても収入として申告する必要があります。未払分は未収金などの科目で計上します。

4.親族への無料賃貸分は固定資産税等の経費計上不可

マンションやアパートのうちの1室を親族に無料で貸している場合、その分の固定資産税や減価償却費などは経費として計上できず、マイホームと同じ扱いになります。家賃の何割引きまでなら経費になるのかということは定められていませんが、物販の非課税での社員割引限度である30%が目安になりそうです。税務署にご相談ください。

5.減価償却の設定に注意

減価償却とは、高額で長く使用するものの経費を、何年かに分けて少しずつ計上していく制度です。不動産も減価償却する必要があります。不動産の減価償却はオーナーの裁量範囲が大きく、設定の仕方によって計上できる経費額が変わってきます。

例えば戸建ての場合、土地は減価償却できず、建物のみが減価償却できます。土地と建物の金額は、購入時に両者の比率が決まっているわけではないので、オーナーが決めることができます。また、建物と付帯設備(電気、ガス、水道設備など)では、減価償却の期間や計算方法が変わります。これも、両者をどう分けるかはオーナーが決められます。

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【初めての向けにオススメ】そもそも確定申告とは?スマホ申告の活用など

まとめ

家賃収入を事業所得として申告するか不動産所得として申告するかの判断基準と計算方法、注意点についてご説明しました。

事業所得として申告できれば、青色申告特別控除や配偶者や親族の専従者控除を受けられたり、他の所得との損益通算、または青色申告で3年間の繰越控除が適用されたりとメリットが多くなります。

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