青色申告の基礎知識

不動産所得がある人のための青色申告とそのメリットや条件は?

青色申告特別控除などが受けられ税制面でもいろいろと有利な青色申告。不動産所得を青色申告にするためには、記帳方法や規模などの条件があります。青色申告に切り替えようかと検討中の方に、そのメリットや収入から差し引くことができる経費などについて解説します。

不動産所得を青色申告にするために必要なこと

〇青色申告の届け出
青色申告を行うためには、まず管轄の税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。提出時期は、青色申告を始める年の3月15日まで。青色申告にしようと準備をしていたのに届け出を忘れることがないように、早めに提出しておきましょう。

〇記帳方法
青色申告の場合は、複式簿記での記帳が必須です。売り上げや経費などを複式簿記で記帳し、毎年、損益計算書と貸借対照表を作成します。これらの決算書は確定申告の際に提出します。帳簿や請求書、領収書は5年または7年間保存しなければなりません。

〇貸付け規模
不動産所得で65万円の青色申告特別控除を受けられるのは、不動産の貸付け規模が事業的規模にあたる場合に限られます。事業的規模にあたるのは、
①アパートなどは、賃貸が可能な独立した部屋がおおむね10室以上
②独立家屋の場合はおおむね5棟以上の貸付け
です。この5棟10室を目安に事業的規模かどうか判断し、事業的規模にあたる場合は、65万円の青色申告特別控除に加え、専従者給与控除が認められます。事業的規模でない場合は、専従者給与控除は使えず、青色申告特別控除の額も10万円です。

タックスアンサー:No.1373 事業としての不動産貸付けとの区分|所得税|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1373.htm

不動産所得を青色申告にするメリット

不動産所得を青色申告にするメリットは、白色申告に比べてより多くの必要経費や科目数が認められることや、所得控除額を増やせることなどです。所得から差し引くことができる額が増えるため、節税にもつながります。どのようなメリットがあるのか、細かく見ていきましょう。

〇青色申告特別控除
青色申告にすることで、課税所得から65万円の青色申告特別控除を受けられます。所得額が65万円よりも少ない場合は、所得額が控除の限度額になります。白色申告の場合の控除額は10万円です。

〇専従者給与控除
青色申告では、家族を従業員にして給与を払った場合、その額を必要経費に計上することができます。専従者給与の対象者は、同居している、あるいは生計を同一にしている配偶者や親、15歳以上の子ども、祖父母などです。

〇赤字の繰り越し
青色申告にすることで、不動産所得が赤字になった場合、3年以内であれば赤字分を繰り越し、黒字になった年にその課税所得から繰り越した赤字分を差し引く繰越控除を受けられます。修繕工事などで赤字になった場合にそれを繰り越せるため、とても役に立ちます。賃貸用の不動産を取り壊すことは資産の損失にあたりますが、その費用を必要経費として計上できるため、不動産所得が赤字の場合は他所得との損益通算が可能です。 白色申告の場合は、不動産所得金額が0円になるだけで赤字として計上することはできません。

〇少額減価償却資産の特例
30万円未満の資産であれば、毎年減価償却にせずに取得した年に全額経費にすることが可能です。

〇貸倒損失の計上
回収できない賃貸料が発生した場合、貸倒損失もその年の必要経費として計上することができます。

タックスアンサー:No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)|所得税|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1370.htm

■不動産所得の経費にできるものは?

青色申告にすると、不動産所得の経費にできる科目も増えます。特に、修繕費や減価償却費、人件費などのメリットが大きいことがわかります。

〇修繕費
維持管理や原状回復のための費用が修繕費です。3年以内の周期で行う修繕や、20万円以内の修繕は経費に入れることができます。建物などの価値を高めたり耐久性を増したりするための修繕は、経費に入れることはできず、「基本的支出」として計上します。基本的支出に入るのは、用途を変更するために行った改装や新たに避難階段などを取り付けた費用などです。機械の部分品を性能の優れたものに取り換えた場合、通常の取り換え金額を上回る部分の金額も基本的支出になります。
修繕費かどうかあいまいな時は、60万円未満か、修繕した資産が前年末での取得価額の10%にあたる金額以下のどちらかであれば、修繕費に計上できます。

〇減価償却費
建物は耐用年数に応じて、毎年減価償却費として経費に入れることができます。30万円未満の少額資産の場合は、年間300万円まで一括計上が可能です。

〇損害保険料
火災保険料、地震保険料などです。前払いした保険料は、その年の分のみ経費として計上できます。

〇租税公課
土地や建物の固定資産税、事業税、不動産取得税、自動車税、印紙税などが租税公課にあたります。

〇借入金利息
建物や土地の取得のために金融機関から借り入れた費用の利息は必要経費になりますが、元本は経費にはなりません。

〇管理費
仲介業者や物件管理会社などに支払う費用です。

〇人件費
従業員に払う給与です。家族が従業員になっている場合は、青色専従者給与控除が適用されます。

タックスアンサー:No.1379 修繕費とならないものの判定|所得税|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1379.htm

タックスアンサー:No.2107 資本的支出を行った場合の減価償却|所得税|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2107.htm

タックスアンサー:No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算|所得税|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1391.htm

不動産所得
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まとめ

不動産所得の青色申告は控除額や必要経費の計上などで白色申告に比べると優遇され、税制面でもさまざまなメリットがあります。事業的規模で不動産を所有する大家さんは青色申告を検討してみることをおすすめします。

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