会計の基礎知識

電子帳簿保存法とは?電子データで保存できる書類や保存要件

公開日:2019/11/19

電子帳簿保存法とは?電子データで保存できる書類や保存要件

会社は事業を行うに当たって、会計周りの書類やその他証憑を長期間にわたって保管を行わなければならないというルールがあります。この保管義務は実務上多くの手間やコストをかける必要があるため問題となってきました。

この手間やコストを削減する方法として電子帳簿による保管を認める動きがおよそ20年前からあり、度重なる改正により、非常に使いやすい規定となってきています。今回は実務的に使いやすくなった電子帳簿による保管について、その概要や背景、要件や申請方法について説明します。
[執筆:熊谷恵佑(公認会計士)]

目次

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電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、会計データを電子データで保存することを認めた法律であり、近年では証憑書類に限定して、紙の書類をスキャナー保存で電子化して保存することも認めています。

電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法の正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といい、それまで紙での保存が義務づけられていた「国税関係帳簿書類」に関して「電子データ」での保管を認める法律として施行されました 。

初期の電子帳簿保存法はソフトなどで作成した電子データをそのまま保存することを認めたものでしたが、2005年にe-文書法が施行されると同時に改正され、紙で作成された書類をスキャンしてデータとして保存することも可能になりました。

さらに、2016年以降「3万円未満の証憑のみ電子データでの保存が可能」という金額制限が撤廃されるなど、より現場に即した実用的な法律と変化を遂げています。

電子データで保存できる書類

電子帳簿保存法で電子データとして保存できる書類として定められている区分は大きく分けて3つあります。

国税関係帳簿 仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、売上帳、仕入帳、など
決算書 貸借対照表、損益計算書など
証憑書類 注文書、見積書、契約書、納品書、領収書、請求書など

これらはデータで作成されたものをそのままの形で保存することが可能です。

スキャナー保存できる書類には制限がある

スキャナー保存とは、紙媒体で保存していた書類をスキャンしてデータに変換・保存することを指します。
先述したとおり、スキャナー保存が認められたのは2005年のe-文書法を施行されてからです。e-文書法は、法律で書類保存が定められているものすべてを対象として

  • 元々電子データとして作成されたものを書類の保存形態のひとつとして認める
  • 紙の文書を電子データ化したものを文書として認める

という2つの規定を適用する包括的原則です。

これにあわせて電子帳簿保存法の改正がなされ、国税関係帳簿書類に関してもスキャナー保存が認められるようになったのですが、すべての国税関係帳簿書類のスキャナー保存が認められるようになったわけではありません。決算書や国税関係帳簿のスキャナー保存は認められませんでした。しかし、請求書や領収書などの証憑書類のスキャナー保存は認められています。

電子帳簿保存法の保存要件

電子帳簿保存法には2つの保存要件が定められています。ひとつは「真実性の確保」、もうひとつが「可視性の確保」であり、それぞれ4つの要素があります。

保存要件①「真実性の確保」

  • 記録事項の訂正・削除を行った場合の事実内容を確認できること
  • 通常の業務処理期間を経過した後の入力履歴を確認できること
  • 電子化した帳簿の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項 との間において、相互にその関連性を確認できること
  • システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けること

保存要件②「可視性の確保」

  • 存場所に、電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速かに出力できること
  • 取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目により検索できること
  • 日付又は金額の範囲指定により検索できること
  • 二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること

電子データによる帳簿保存を行うためにはこのような環境を満たす必要がありますので、まずは要件を満たすことができているかを確認しましょう。

電子帳簿保存にはタイムスタンプ必須

また、電子帳簿保存を行うためにはタイムスタンプが必要になります。タイムスタンプとはある書類がある時刻に存在していたこと、そしてそれ以降改ざんがなされていないことを証明する証明書のことを指します。

紙での帳簿保存の法的な義務期間は7年間と定められていますが、2018年電子帳簿保存法改正により、電子データで保存をしてさえいれば紙媒体で保存する必要はなくなりました。
これにより電子データに一層の信頼性が求められるようになり、この信頼性を確保するために必要なものがこのタイムスタンプです。

また、以前はタイムスタンプのほかにも「電子署名」が必要とされていましたが、2018年改正で不要になったため手間とコストが削減されています。

電子帳簿保存法の申請手続

準備する書類

会社が電子帳簿保存法に基づく帳簿管理を選択する場合、適用を始めたい会計年度の3月前までには「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」を税務署に提出する必要があります。

国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書

出典:国税庁

個人の場合も上記と同様ですが、平成31年電子帳簿保存法改正により、個人の場合は事業を開始してから2ヶ月以内に上記書類を提出すれば、最初の年度から電子帳簿を使用することが可能になりました。

申請の流れ

前項のとおり、承認申請書の提出そのものは適用を始めたい会計年度の3ヶ月前までに行えば問題ありません。

ただし、この申請書には、スキャナー保存等の電磁的記録等を用いた場合の会社内の新たな業務フローおよび内部統制の状況、そして新たに導入した機器の内容などを記載しなくてはなりません。したがって、事前に準備を行う必要があります。

内部統制の構築、およびフローの明確化

電子帳簿保存やスキャナー保存を業務に織り込むと、業務のフローが大幅に変わるため、新たな内部統制の仕組みや効率的な業務運用を考えていく必要があります。そこで、新たな業務フローを作り組織に周知していく必要があります。

スキャナー等の機器の利用

新たな機器や外部のサービスを利用する場合はその準備をしていく必要があります。特に外部のサービスを利用する場合は、申請の前に契約を済ませておく必要があります。

国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」の記載、および提出

電子データでの帳簿運用を始めたい会計年度の3ヶ月前までに「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」を記載し、税務署に提出します。

まとめ

電子帳簿による運用は確かに導入時には手間とコストがかかりますが、長期的に考えれば、管理コストを大幅に削減できます。

また、市販の会計ソフトもすべての会計ソフトが電子帳簿保存法に対応しているわけではありません。先述したように、8つの要件を満たす場合に電子帳簿での保存が認められることになります。

ですから、会計ソフトを選定する時には電子帳簿保存法に対応しているかを確認することをおすすめします。

執筆:熊谷恵佑(公認会計士)

宮城県仙台市出身。東北大学経済学部卒業。公認会計士として、日本で監査、税務業務等に従事後、国際業務に関心を持ち、2015年より東南アジアに拠点を移し、活動をしている。タイ、カンボジア、ベトナムでの業務経験を持つ。現在は、日本(仙台、東京)とタイ、バンコクで会計サービスを提供している。

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