750名規模の地方銀行がfreee人事労務の導入で手作業と属人化を脱却 DXの促進とペーパーレス化で地元支援も

株式会社西京銀行 取締役 人財サポート部 部長 水永 忠伸さん、人財サポート部 秘書グループ 兼 人事グループ 副調査役 梯 伸一郎さん
人財サポート部 秘書グループ 主務 小野 美優さん、人財サポート部 人事グループ 内田 百香さん

課題
パッケージ型ソフトからの移行給与計算から振込までラクにミスなくバックオフィスの体制構築・効率化

山口県周南市に本店を構える西京銀行は、33店舗を展開し、地域に根差した中小規模事業者や個人のお客さまの支援を続けています。一方で、自社業務の効率化や地元事業者のDX支援にも力を入れ、ペーパーレス化やデジタル化を積極的に推進しています。


2021年12月、同行はクラウド型の人事労務システムへと移行するため、freee人事労務を導入。従来の煩雑な業務を効率化し、より柔軟でスムーズな業務体制の構築を目指しています。


人財サポート部の梯さん、freee導入前後のプロセスを支えた小野さん、現在の人事労務業務を担う内田さんに、導入の背景と経緯、バックオフィスの業務改革について伺いました。


煩雑な手作業と属人化からの脱却へ クラウド型人事労務システムに期待

――御社のバックオフィス部門の体制と、部門として抱えていた課題について教えてください。

梯 伸一郎さん(以下、梯): 私たち人財サポート部は、約750名の職員を対象に、人事グループと秘書グループの8名体制で業務を担当しています。採用や研修、人事、問い合わせ対応など、多岐にわたる業務を担うなかで、作業の効率化が重要な課題でした。


株式会社西京銀行


小野 美優さん(以下、小野): freee人事労務導入以前は、紙やExcelに記入したものを人事・給与パッケージシステムへ登録しており、手作業が多い分、申請内容のミスや漏れが発生しやすい状況がありました。


特に、職員の異動が多い時期は、申請方法やタイミングもバラバラで管理に時間がかかるだけでなく、申請を見逃してしまうケースもありました。給与支払い後に申請が反映されていない問題が発生し、そのたびにリカバリー対応を迫られたこともあったんです。


人事担当が少人数体制だったため、業務のマニュアル化が進んでおらず、新しい担当者への引き継ぎや業務の習熟に時間がかかるという課題も抱えていました。こうした状況を改善するため、新たな人事労務システムの導入が検討されることになったのです。


労務管理を一元化 直感的で柔軟な操作性がfreee人事労務の魅力

――そのようななかで、freee人事労務を選定した理由は何だったのでしょうか。決め手になったポイントを教えてください。

小野: 従来のシステムはオンプレミス型だったため、オンラインで一元管理できるシステムを模索し、クラウド型システムを検討することにしました。最終的に候補となったいくつかの製品のなかで、freeeはシンプルなインターフェースで、現場の職員が直感的に操作しやすい点が魅力でした。


株式会社西京銀行


内田 百香さん(以下、内田): 以前のシステムでは専用端末が必要で、操作できるのは銀行内かつ営業時間中と、場所と時間が限られていました。freee人事労務では、職員が場所を問わず勤怠の入力や申請が可能になっています。管理者にとっても、いつでも承認や確認ができる点が大きなメリットです。


: 従来の勤怠管理は、ポータルサイト上で各自が打刻をしていました。これだと社内でしか入力ができず、入力刻漏れもチラホラ散見されました。現在では、スマートフォンで勤怠入力が可能なので、場所を問わずに入力できます。柔軟な働き方を支えるには、ロケーションフリーの仕組みが必須だったんです。


――freee人事労務の導入によって、どのような効果が期待されたのでしょうか。

: 煩雑だった申請手続きをシンプルに統一し、ミスを減らすことが最優先の課題でした。また、人事担当が使いやすいシステムを導入し、バックオフィスの生産性を向上させること。そして、ペーパーレス化を加速することも重要です。


当行では、2022年からキャンペーン商品のチラシを見直し、ピーク時には年間約60万枚以上使用していた紙を、現在では10万枚程度に削減しました。


全店舗にデジタルサイネージを導入したり、キャンペーン情報をホームページで確認できたりする仕組みを構築。これは、コストの削減と同時に資源の節約にもつながっています。


人事労務の各種申請や勤怠管理をオンラインで行う仕組みも、この取り組みの一環と言えます。


マニュアル化を進め、属人化の解消へ

――導入時の取り組みで印象的だった点を教えてください。

小野: freee側の手厚いサポートが、特に思い出されます。オンライン面談や電話でのやり取りを定期的に行い、疑問点があれば迅速に対応していただけたおかげで、導入をスムーズに進めることができました。


現場での運用では、年末調整が記憶に残ります。一年に一度しか行わない業務のため、操作に不慣れな職員からの問い合わせが増え、申請方法の誤りによる差し戻しも少なくありませんでした。職員からの質問を基にマニュアルを整備し、繰り返しサポートを行うことで、徐々に職員の対応力が向上していったと感じます。


: システムをまず触って動かしてみる――そんな当行の文化が、業務改革のスピードにつながったと感じています。現場でのトライアンドエラーを重視するなかで、直感的に作業を進められる仕組みが、バックオフィスの理想形だと考えています。


――導入までは担当されていた小野さんの業務が、内田さんに引き継がれました。この引き継ぎで感じた課題はありましたか。

内田: 以前の課題として、人事労務業務のマニュアルが体系化されていなかったことが挙がっていましたが、freee人事労務の導入を機に整備が進みました。当行独自の給与ルール含めて作業手順を整理し、私が着任した際にも、スムーズに引き継げたと感じています。


業務の仕組み化とマニュアル化が進み、属人的な業務からの脱却が視野に入ってきました。この点も、freee人事労務の導入を通じた業務改革の成果です。


株式会社西京銀行


給与計算業務を月間36時間短縮し、業務効率を大幅に向上

――導入後の効果についてお聞かせください。

小野: 以前は、給与計算に約40時間を要していました。先ほど触れたように、当時は申請が都度バラバラに届き、それぞれに対応する必要があったためです。申請を受けてから承認し、入力・確認を終えるまでに時間がかかるほか、出向者や休職者向けに紙の書類を郵送する作業にも毎月1〜2時間を費やしていました。


現在では、freee人事労務を活用することで、異動による申請が多い時期でも承認まで、2時間ほどで作業を終えられるようになり、月間全体で36時間程度の業務時間を短縮できています。以前は給与計算に追われ、他の業務を後回しにせざるを得ませんでしたが、現在では他の業務にも注力できるようになっています。


内田: 以前は、申請が未処理のままで従業員から指摘を受けるケースもありましたが、freee人事労務では、未承認の申請が可視化され、承認待ちが即座に確認できるようになりました。この仕組みによりミスが大幅に減り、給与の修正作業にかかる時間も大きく削減されています。


また、修正が必要な場合でも、以前は多くの手順や解除作業が必要でしたが、freee人事労務では、シンプルな作業で対応可能です。


その結果、人事や給与計算に過剰な時間や手間を取られることがなくなり、バックオフィス部門全体の業務効率が大幅に向上しました。


地元とともに進めるDX――地方銀行としての挑戦

――今後の展望についてお聞かせください。

: 最近、私たちの取引先で、経営者が世代交代している企業を多く見ています。そうしたなかで、最初に取り組む課題がバックオフィスの効率化やペーパーレス化です。例えば、先代の社長の奥様が経理担当で、給与計算や仕訳を紙で管理しているといったことも多く、そう言ったところに着目する、新たな経営者も相当数いらっしゃいます。


そのようなお客様に向けて、私たちがfreeeなどのシステム導入をサポートする事例も増えており、現在10社程度の取引実績もあります。当行もDX推進の最中ですが、今回のfreee人事労務の導入やそれにまつわる業務改革で得たノウハウを、地域企業にも還元していければと考えています。


――最後に、freee人事労務の導入を検討している企業の担当者に向けてメッセージをお願いします。

内田: 非常にシンプルで使いやすい仕組みが整っており、デジタル化に不安を感じている方でも安心して使い始められると思います。バックオフィスとして、日々の業務がどれだけ効率化されるかを実感できるはずです。


小野: システムの導入で業務が変わることに抵抗感を持つ方も多いかもしれませんが、当行ではfreee人事労務の導入をきっかけに制度を調整し、行員と管理者の双方にとって分かりやすく、負担が少ない仕組みを実現しました。効率化だけでなく、バックオフィス全体の仕組みを見直す良いきっかけになるはずです。ぜひ導入をご検討いただければと思います。


(執筆:佐々木正孝 撮影:睦美マイクロ 編集:ノオト)


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