確定申告の基礎知識

スマホで確定申告する方法とは?マイナンバーカードとe-Taxで簡単にできる手順と必要事項

スマホで確定申告する方法とは?マイナンバーカードとe-Taxで簡単にできる手順と必要事項

2020年1月よりスマート申告のサービスが開始されて以来、所得税の確定申告だけでなく、すべての所得控除も順次扱えるようになるなど、スマホによる申告の対象範囲が広がっています。

スマート申告とは、スマホやタブレットなどで確定申告を行うことをいいます。

また、2023年からはマイナポータルとの連携により、マイナンバーカードの利用による確定申告も可能になりました。本記事では、スマホで確定申告を行うための方法や準備について解説します。

目次

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スマホで確定申告を行うには

スマホでの確定申告は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」もしくは、確定申告に対応している市販の会計ソフトで行います。給与所得のある会社員や、年金収入、副業などでの雑所得がある人が行う確定申告の場合は、スマホの「確定申告書等作成コーナー専用画面」からの申告が可能です。

確定申告書等作成コーナーを利用できる所得と控除の種類に関しては、以下を参考にしてください。


対象となる所得対象となる控除
・給与所得
・雑所得
・一時所得
・特定口座の上場株式等譲渡所得や配当所得
・上場株式等の譲渡損失額(前年繰り越し分)
・事業所得および不動産所得
・すべての所得控除
・政党等寄附金特別控除
・災害減免額
・外国税額控除
・予定納税額
・本年分の繰越損失額

出典:国税庁「令和5年分 確定申告書等作成コーナー入力マニュアル」

2022年の確定申告分(2023年申告分)から、スマホで青色申告決算書や収支内訳書を作成できるようになりました。個人事業主とフリーランスの両者が、スマホでの確定申告が可能です。

また、2023年提出分の確定申告より、確定申告書等作成コーナーで青色申告決算書・収支内訳書を作成する場合に限り、事業所得と不動産所得もスマホから申告できる対象になりました。ただし、確定申告書作成コーナーにて青色申告決算書・収支内訳書を作成する場合に限ります。

会社員が年末調整での控除対象外となる所得控除・税額控除の申告をする場合、スマホでの確定申告が可能です。医療費控除や、ふるさと納税におけるワンストップ特例制度を利用しない場合などが対象になります。

スマホで確定申告をするには何が必要?

スマホでの確定申告では、通常の確定申告書の作成に必要な書類のほか、本人確認の方法に応じてマイナンバーもしくはID・パスワード、専用機器などの用意が必要です。

確定申告書作成のために用意する書類

確定申告書作成のために必要な書類は、以下のとおりです。

確定申告書の作成に必要な書類

  • 源泉徴収票
  • 領収書や各種控除の証明書
  • マイナンバーカード(マイナンバー)

2023年の確定申告より、政府が運営するマイナンバーカードに関するオンラインサービス「マイナポータル」を連携することによる確定申告書の自動入力が可能になりました。スマホからの確定申告をよりスムーズにするため、マイナンバーカードを用意しておくことが推奨されます。

源泉徴収票

会社から発行されている源泉徴収票は、支払われた給与の金額や源泉徴収税額を確認するために必要です。

確定申告書等作成コーナーで給与所得を入力する場合、スマホのカメラで源泉徴収票を読み取ることで内容が自動で入力されます。なお、2024年1月より、給与所得の源泉徴収票がマイナポータル連携で自動入力可能になります。

また、給与所得以外の事業所得や雑所得、不動産所得がある場合は、その金額が分かる書類を用意しましょう。

領収書や各種控除の証明書

領収書は事業所得や雑所得がある場合や控除を受ける際の支出の証明などに、控除に関する証明書は各種控除を受けるために必要な書類です。

医療費控除を受ける際に医療費の領収証の添付は不要ですが、医療費控除の明細書の作成時等に使用するため用意しておきましょう。

医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)に関しては、マイナポータル連携を利用することで自動入力されるため、入力の手間が軽減されます。


出典:国税庁「マイナポータルと連携した所得税確定申告手続」

マイナンバーカード(マイナンバー)

e-Taxをマイナンバーカード方式で利用する場合は、マイナンバーカードが必要です。ID・パスワード方式を利用する場合でもマイナンバーは必要なため、マイナンバーカードや通知カードなど、マイナンバーがわかるものを用意しましょう。

スマホからe-Taxを利用する前に行う準備

e-taxにはマイナンバーカード方式とID・パスワード方式があり、それぞれ必要な事前準備が異なります。スマホから利用する場合は、e-taxソフトのログイン画面からマイナンバーカードを読み取り、ログインのうえで手続きを行ってください。


出典:e-Tax「ご利用の流れ」

マイナンバーカード方式の場合

マイナンバーカードを取得済みの場合は、ICカードリーダーもしくはマイナンバーカードに対応しているスマートフォンさえ準備できれば、すぐに電子申告が可能です。

2023年1月より、過去にマイナンバーカード方式での申告をしたことがある人はマイナンバーカードの読み取り回数が1回でよくなりました。初めてマイナンバーカードを利用して申告する人は、マイナンバーカードで本人確認を行うことで、次回の申告からは1回の読み取りで申請が可能です。

なお、マイナンバーカードでの申告前には、マイナポータルアプリを忘れずインストールしておきましょう。e-taxとマイナポータルを連携しておくと、控除証明書などの必要書類の一部をマイナポータル経由で一括取得できます。

2024年1月以降は、以下の書類がマイナポータルと連携可能になりました。


収入関係控除関係
・源泉徴収票(給与所得・公的年金)
・株式の特定口座
・医療費・ふるさと納税
・生命保険・地震保険
・社会保険(国民年金保険料・国民年金基金掛金)
・iDeCo・小規模企業共済掛金
・住宅ローン控除関係

出典:国税庁「令和5年分の確定申告はマイナンバーカードとe-Taxでさらに便利に!」

ID・パスワード方式の場合

ID・パスワード方式はマイナンバーカードがなくても確定申告を行える方法です。税務署で直接本人確認を行い、e-TaxのIDとパスワードを取得します。

確定申告を行う本人が直接税務署に出向き、税務署職員による本人確認を経てIDとパスワードが即日発行されます。

本人確認には運転免許証などの本人確認書類を忘れず持参してください。IDとパスワードが発行されたら、開始届出書を提出します。開始届出書はwebでも申請可能です。

なお、ID・パスワード方式はマイナンバーカードが普及するまでの暫定的な方式とされています。そのため、できるだけ早急にマイナンバーカードを取得し、上述した「マイナンバーカード方式の場合」の手順で確定申告を行うようにしましょう。

スマホで確定申告を行う手順

スマホで確定申告書を作成する手順について、マイナンバーカード方式を選択し、今回初めて確定申告を行う場合の画面を参考に解説します。

まずは、スマホから「確定申告書等作成コーナー」にアクセスします。

作成する申告書の選択画面から所得税のみの場合は「所得税」、事業所得や不動産所得、雑所得などがある方で、青色申告決算書や収支内訳書を一緒に作成したい場合は「決算書・収支内訳書(+所得税)」を選択、その下の申告書を作成する年も選択します。

スマホで確定申告を行う手順


その後、提出方法の中から「e-tax(マイナンバーカード方式)」にチェックを入れてください。

提出方法


ここまで選択したら、確定申告に関する具体的な項目の入力や操作を進めていきます。 具体的な手順は以下のとおりです。

スマホでの確定申告の手順

  • 申告内容に関する質問に回答する
  • マイナンバーカードの認証を行う
  • 必要情報を入力する


出典:国税庁「確定申告はスマホからできます!」

①申告内容に関する質問に回答する

提出方法の選択まで完了すると、以下のような画面が表示されます。申告する収入を全て選択し、質問へは「はい」「いいえ」で回答をします。

申告する収入


スマホ申告の対象外に該当する場合は「PCからご利用ください」とアラートが出ます。

②マイナンバーカードの認証を行う

申告内容に関する質問に回答後、マイナポータルへの移動画面が表示されます。マイナポータルのアプリをインストールしていない場合は、事前にインストールしておきましょう。

マイナンバーカードの認証


マイナポータルへログイン後、画面の指示に従ってマイナンバーカードを読み取り、認証してください。

マイナンバーカードの認証



出典:国税庁「令和5年分の確定申告はマイナンバーカードとe-Taxでさらに便利に!」

③必要情報を入力する

利用者識別番号と暗証番号を入力したら、画面の指示に従って自分の1年間の給与や所得控除、住宅借入金(住宅ローン)などを入力します。スマホでの入力を中断すると、データの保存やパソコンへの転送ができなくなってしまうため、入力の際には最後まで一度に行うのがおすすめです。

なお、新たに搭載された「源泉徴収票OCR機能(スマホのカメラ機能を利用した読取)」を使用すると、スマホのカメラで源泉徴収票を撮影するだけで記載情報を該当項目に自動反映させることができます。

入力のミスも削減でき、工数も削減できるのでぜひ活用しましょう。

スマホで納税手続きを行う方法

確定申告書を税務署に提出した後、基本的に申告対象年の翌年3月15日までに所得税を納める必要があります。所得税の納税手続きを行う主な方法は、以下のとおりです。


納税方法概要
1.振替納税・納税者の個人名義の預貯金口座からの、口座引落しによって納税する方法
・確実に振替納付できるよう、振替日の前日までに預貯金残高を確認する必要あり
・申告期限までに申告書を提出された場合のみ利用可能
2.e-Tax・所得税・消費税・贈与税・印紙税・酒税などの申告や法定調書の提出、届出や申請などの各種手続をインターネット経由で行えるもの
・ダイレクト納付やインターネットバンキング、ペイジー(Pay-easy)に対応したATMで納付可能
3.クレジットカード・国税庁が指定する「国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスして、税金の種類や納税額、クレジットカードの支払い情報を入力することで納付できる方法
・VISA・MASTER CARD・JCB・AmericanExpress・TS CUBIC CARDなどに対応
4.QRコードによりコンビニエンスストアで納付・確定申告書等作成コーナーもしくはコンビニ納付用QRコード作成専用画面から納付に必要な情報をQRコードとして作成(印刷)する方法
・印刷したQRコードはコンビ二エンスストアで納付する際の振込用紙として利用可能
5.金融機関又は税務署の窓口・金融機関又は所轄税務署の窓口で、現金に納付書を添えて納付する方法
・納付書を持っていない人は、税務署又は所轄税務署管内の金融機関に用意してある納付書を使用
6.スマホアプリ・PayPay・d払い・au PAY・LINE Pay・メルペイ・Amazon Payなどのアプリから納付できる方法
・スマホからe-Taxまたは国税スマートフォン決済専用サイトを開き、自身の情報や納税額などの情報を入力後に決済・納税可能

スマホで納税までを済ませたい場合は、事前手続きが不要かつ、外出の必要もないスマホアプリやクレジットカードでの納付がおすすめです。なお、確定申告後の納税方法について詳しく知りたい方は、別記事「【2023年提出分】確定申告後の納税方法7つ! メリット・デメリットの比較とおすすめの方法」をあわせてご確認してください。

スマホで確定申告を行うときの注意点

スマホで確定申告を行う際は、申告時に使用した以下の書類を一定期間保存しなければなりません。

確定申告に関して保管が求められる書類

  • 本人確認書類
  • 証憑書類(領収書や請求)
  • 帳簿
  • 青色申告決算書(青色申告)
  • 収支内訳書(白色申告)
  • 源泉徴収票の原本(給与所得)
  • 医療費控除の明細書
  • 寄附金の受領証

これらの書類は、確定申告の実施後一定期間において、税務署から提出もしくは掲示を求められる場合があります。個人事業主の場合は原則7年間、それ以外の場合は5年間は保存しておく必要があるため、確定申告を終えてすぐ処分しないよう注意しましょう。

なお、保存が必要な書類の具体例については、以下を参考にしてください。


保存期間7年保存期間5年
青色申告・仕訳帳・総勘定元帳・現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳など
・損益計算書・貸借対照表・棚卸表など
・領収証・小切手控・預金通帳・借用証など
請求書・見積書・契約書・納品書・送り状など(取引に関して作成し、又は受領した書類)
白色申告収入金額や必要経費を記載した帳簿・業務に関して作成した上記以外の帳簿
・決算に関して作成した棚卸表その他の書類
・業務に関して作成し、又は受領した請求書・納品書・送り状・領収書などの書類

出典:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」

まとめ

確定申告は、e-taxを利用することでスマホからでも行えます。スマホで確定申告を行う際は、源泉徴収票や領収書、各種控除の証明書などを用意しておきましょう。

また、マイナポータルによる連携で、添付書類や必要事項の入力にかかる作業負担が軽減されます。マイナンバーカードがあれば、本人確認のために税務署に足を運ぶ必要が無くなるため、マイナンバーカードが未発行の場合は、早めに取得することをおすすめします。

よくある質問

スマホで確定申告はどうやるの?

スマホで「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、画面の指示に従って入力を進めることで確定申告できます。

詳しくは記事内「スマホで確定申告を行う手順」をご覧ください。

スマホで確定申告を行うために準備するものは?

源泉徴収票や領収書、各種控除の証明書などの必要書類を用意しておいてください。マイナポータルに連携したうえで確定申告をする際は、マイナンバーカードも用意しておきましょう。

詳しくは記事内「スマホで確定申告をするには何が必要?」をご覧ください。

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